SIGMA sd Quattro Hで魅せる作品にならなかった写真と、その心。

ご無沙汰しております。タンノトール(@tang40)です。

SIGMA sd Quattro Hで魅せる作品にならなかった写真と、その心。。

はじめに

先日こんなメモを見つけてあまりにもくだらないのでおすそわけします。

AF性能検証
黒くて速いもの

  • ゴキブリ
  • 暗闇の黒猫

なに考えてたんでしょうね。ベンヤミン曰く「ぼんやりとしているときが仕事中なのだ」だそうですから、きっと忙しかったんでしょう。仕事が。

撮った写真を売る仕事

まあ、仕事といってもいろいろ。
ヒーコさんで記事を書かせて頂くときは主に「レタッチャー」「DTPオペレーター(印刷関係の職種)」という立ち位置で執筆しておりますが、こちらはクライアントワークですからご依頼を頂いて仕事をして報酬を頂くかたちになります。

その一方で自分で撮った写真を売ることもしています。
「撮った写真を売る」と書いたのには理由があります。
フォトグラファーというとクライアントからの依頼があり、それに対して写真を納品するというスタイルを想起される方が多いと思います。
実際“プロフォトグラファー”というのはそういった方々を指すものでしょうし・・・。
で、僕の場合「撮った写真を売る」ほうはクライアントさんはいません。
“頼まれもしないのに写真撮って売る”
というなんだか文章にすると、そんなんが職業になるのか?と思われる方も多いと思いますが確定申告等々、公的な職業欄では美術家という扱いになりまして活動の場は画廊や百貨店が主になります。
最近ではアートフェア東京 2017という催事に出展させて頂きました。

活動のプロセス

活動のプロセスを乱暴に(ほんとうに乱暴ですが…)まとめると「こんな写真を撮りたい→写真撮りに行こう→撮ったからプリントしよう→上手く出来たから気に入ってくださる方に売れたらいいなぁ・・・」となります。
これってやってることは趣味の写真を楽しむアマチュアの方々とまったく変わらないのです。
違うことがあるとすれば然るべき発表の場があるという点だけで撮影も含めて制作に関してはほんとうに一緒です。

作品にならなかった写真

商業写真のレタッチのTIPSやらノウハウ、そういったものもお役に立つと思いますが、分業化されたワークフローの中での専門職のお話って(ある程度)前提となる知識がないと「即実践」みたいなお手軽さに欠ける傾向は否めないので、もっと身近なお話を若干のTIPSを交えながら書かせていただければと・・・そんな訳で本稿では商業写真のレタッチャーとしてではなく「写真を撮ったり、撮った写真を売る人」として、日々思うことなどを「作品にならなかった写真」とともに記してみたいと考えております。

作品という言葉

「作品」という言葉の用い方は人それぞれだと思います。僕の場合は「エディションをつけて販売する写真」ということになります。
もちろんエディションをつけて販売する為にはいろいろな要件があり、その要件は完全に満たされている必要がありますが、そのことは「写真」としての良し悪しとは必ずしも一致しません。

作品としての要件を備えていないけれど良い(と自分で思える)写真を“作品にならなかった写真”という形でまとめています。
・・・まとめている?いやまぁ まとまってませんけど。
むしろ散らかしてる。とっ散らかった日々の写真、作品制作の為にどこかへ出かけて行く、その道すがらに気になったものを撮ったものや制作素材のアウトカットだったり・・・どちらかといえば気楽な写真。

それ故どうにもその場の気分や好みといったパーソナルなテイストが滲んでしまって少々気恥ずかしさも覚えますが御笑覧頂けましたら嬉しく思います。

最高の趣味のカメラ

この冒頭にもあった花の写真、自宅近辺を散策していた時に撮ったのですがTwitterに投げたら一部の方々に好評だったので使っちゃいました。
特にライティングしたわけでもないのですが、SIGMA Photo Pro 6.5でX3 Fill Lightという素敵機能で暗部を落とすととてもいい感じになりました。

SIGMA sd Quattro Hは動作もゆったりとして、けっこうな重さと大きさがあるのですが何故か「何か撮りたい」という気持ちにさせるカメラです。
ぼんやりと、視界のなかに浮かび上がる風景をすくいとるといった、これといった目的もなく、なんとなくカメラを持ち出す時にはSIGMA sd Quattro HSIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Artを選ぶことが多いです。
APS-HというレアなフォーマットとFoveonセンサーの組み合わせで撮れる写真は、少し風変わりで新鮮な印象で僕にとっては最高の趣味のカメラです。

撮影時の設定

普段の素材撮りでは被写界深度(DoF)を可能な限り深くするのですが、このカメラに限っては絞りを開けて被写界深度(DoF)の浅い写真を楽しんでいます。この写真は開放f2.0で撮りたかったんですけどシャッタースピードの上限が1/4000秒だったので少し絞りました。

写真にとってもっとも美しいアスペクト比

なんとなく撮ったこの写真を現像しながら構図について考えていました。カメラに関して言えば縦横比/アスペクト比というのはトリミングしない限り(大抵は)機種によって決まっています。
僕はデフォルトのアスペクト比がキライ(ミもフタもないですが…)なので必ずトリミングするのですが撮影時にはなす術もなく、出来合いのアスペクト比で見ざるを得ないのでどうしても意識してしまうのです。

すなわち「この被写体/写真にとってもっとも美しいアスペクト比とは?」という問いです。

花と人を同じ縦横比/アスペクト比で撮ること対する疑問、あるいはそれがヤカンであっても梅干しであっても同様です。

撮影時に収めるべき範囲

プリントであれモニターであれ最終的なアウトプットのアスペクト比とサイズから撮影時に収めるべき範囲を決める。

なにやら話が大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、例えば標準的なポストカードのサイズが100mm × 148mm、A4サイズは210mm × 297mm、半分にすると105mm × 148.5mm。
長辺の0.5mmは無視(しちゃまずいんだけどあえて目をつぶって)しても、短辺の5mm。
この差は構図という視点から見れば大きな違いとなってしまいます。

カメラの名前を記載する理由

“作品にならなかった写真”シリーズでは「作品ではない」ということを明確にする為に白縁部分に撮影に用いたカメラの名前を記載しています。(というのは美術系の展示、メディアで僕の作品に興味を持ってくださる方々のほとんどは撮影機材に関心がありません。)

このシリーズのフォーマット、白縁部分の外側は横4:縦3の比率、内側は横1.42:縦1です。
そしてこの比率がこのシリーズの基礎でありオリジナリティになります。4:3の比率に薄い白縁をつけた写真と並べて見ると、同じ風景から異なる印象を感じられると思います。
こういった印象の差異がスタイルを形成していくのです。

比較画像

枯れ木の庭

“作品にならなかった写真”シリーズのフォーマット

4:3のアスペクト比

SIGMA sd Quattro H / SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art / 焦点距離 25mm SS 1/1000 秒 f6.3 ISO100

空と木

“作品にならなかった写真”シリーズのフォーマット

4:3のアスペクト比

SIGMA sd Quattro H / SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art / 焦点距離 35mm SS 1/1000 秒 f6.3 ISO100

決まりを作らない

もちろん規格の美というものがあることは承知しております。
でも規格だからといって、あるいは決まりだから、常識だから、モラルだから、〇〇だから、といってそれについて考えることを放棄してしまうことがないように心がけています。
そして結論が出ないことを恐れないことも。

と、ここまで思案を巡らせたところでちょっと冷蔵庫買いに行ってきます。
壊れたんですよ、もう水浸し。思案どころじゃない。
いよいよ夏が、というタイミングでは冷蔵庫=生命維持装置といっても過言じゃない。うん、このままだと死んじゃう。
何卒ご理解ご寛恕のほど宜しくお願い申し上げます。
みなさま良い1日をお過ごしくださいませ。

ヒトコトTIPS(おまけ)

粗密

造形もさることながら自然界の色彩の調和は本当に見事なものです。
依頼仕事の行きがかりで時折グラフィックデザインの真似事(本当に真似事レベル)をするのですが、なんとかまとめられるのは2〜3色が限度です。
こういったクレイジーカラーを上手に扱えるデザインスキルというのはとても高度なもので僕のような素人にはとても手に負えませんが、写真という手法であれば自然界の色彩から多くの助けと、知見を得ることができます。
特にここでは「粗密」に注目してみましょう。

色の粗密の例

「色の粗密」の例
SIGMA sd Quattro H
SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art
焦点距離 35mm SS 1/1000 秒 f4.0 ISO100

「粗密」というのはデザインや色彩など多くの分野で用いられる概念で、簡単に言えば「粗いところと細かいところ」という意味です。
写真であれば「色の粗密」「情報量の粗密」といった要素を、フォーカスや被写体との距離などをコントロールして粗密を形成していることに容易に気づくことができるでしょう。
主としてそしてこの粗密こそが構図を決定する大きな要因であると考えています。

情報量の粗密の例

「情報量の粗密」の例
SIGMA sd Quattro H
SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art
焦点距離 35mm SS 1/3200 秒 f2.0 ISO100

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