風景写真レタッチ Photoshopを使って星の軌跡写真を美しく仕上げるTIPS

風景写真レタッチ Photoshopを使って星の軌跡写真を美しく仕上げるTIPS

はじめに

こんにちは! 朱門(@shumonphoto)です!

今回は↓のような星の軌跡写真をどうやって撮影・現像しているかについてのお話です。

比較明合成で星の軌跡写真を作る方法は有名ですが、さらにそこに一工夫加えることでより美しく仕上げる方法を紹介しちゃいます!

0-final-image

この写真を見て、「え?単純に比較明合成してるだけでしょ?」と思った人は写真をよく見てみてください。

通常の比較明合成をするためのソフトウェアはいくつかありますが、ここではPhotoshopならではの現像方法で星写真の重ね方にひと工夫してあります。
違いが分かりますか?

撮影方法

星の軌跡写真の撮影方法ですが、星の撮影をしたことがある人は一度くらいは試したことがあるのではないでしょうか?
ご存知の方には説明するまでもないのですが、代表的な方法は以下の2種類です。

a. 超長時間露光で撮影する方法

北極星にカメラを向けて(必ずしも北向きじゃなくても良いですが)、レリーズなどのバルブ撮影機能を使って長時間露光して撮影する方法です(数時間~10時間とか)。言うまでもないですが、三脚はしっかり固定しましょう。

単純に聞こえますが、ハイリスクな方法なので実は私はあまり試したことがありません。
ただし、星の軌跡が一本線になるため、成功すると綺麗ですし、現像処理もb.の方法に比べれば楽だと思います。(データ量が少ないので)

リスクとしては、飛行機が通過したり、撮影中に車のライトなどが差し込むとやり直しになってしまうので、撮影中は気を抜けないという点でしょうか。。

この方法で撮影されている写真家さんは本当に凄いと思います。

b. 連続撮影した写真を後で合成する方法

今回説明する方法はこちらです。

こちらの方法も同様に、三脚をしっかり固定し、北極星などにカメラを向けて撮影するところまではa.と同じです。

但し、数時間露光するのではなく、20-30秒の露光時間でなるべく間隔を空けずに連続撮影します。

連続撮影方法はカメラの機能を使っても良いですし、タイマー機能付きのレリーズを使う方法もあります。タイマー機能付きのレリーズを使う場合は最小撮影間隔が短いもの(1秒以内)を使用して撮影すると後で綺麗に仕上がると思います。(私は0.1秒間隔のレリーズを使っています)

この方法のメリットとしては、飛行機や車のライトが差し込んだとしても、後の現像時に修正が容易であるという点や、今回説明する方法のように星の軌跡の形状を変化させることが容易であるという点が挙げられます。

デメリットとしては、星と星の間に僅かに隙間が出来てしまうというのと、データ量が多くなってしまうので、現像処理が少々大変ではあります。

Lightroomへの撮影データの読み込み

まずは連続撮影した星写真を全てLightroomに読み込みます。
※今回の例では50枚の星写真を使っています。

1-open-in-LR-grid

Lightroomでの諧調や色温度の基本現像

Lightroomに読み込んだ写真を一枚選択し、基本的な現像処理を行います。
後でも細かい調整は可能なので、ここではざっくりとでも大丈夫です。

2-edit-in-LR

一枚目の調整が終わったら、残りの写真データを全て選択した状態で「同期」ボタンを押して全ての項目の同期を行います。

3-sync-in-LR

Photoshopでレイヤーとして開く

Lightroom上での基本現像が終わったら、全データ(ここでは50枚)を選択した状態のまま、右クリックし「Photoshopでレイヤーとして開く」を選択します。

使用しているPC環境によりますが、枚数やデータサイズに応じて処理が完了するまで時間がかかる場合があります。

もし初めての場合は最初は枚数を少な目(20枚くらい)にして試してみると良いと思います。

4-open-in-PS-as-layers

↓がPhotoshopで全データがそれぞれレイヤーとして生成された状態になります。

5-opened-in-PS

とりあえず普通に比較明合成してみる

全レイヤーを選択した状態にします。

6-layers-normal-PS

レイヤーの種類を「比較(明)」に変更します。

7-change-layer-type-in-PS

いわゆる比較明合成した星の軌跡写真が出来ます。
こちらがその写真。

8-all-layer-is-belendid

ちなみに今回使用しているデータは運良く飛行機などの航跡は入ってないのですが、気になる航跡などがあればここでレイヤー別にレイヤーマスクを使って綺麗に除くことが出来ます。

レイヤーの透過度を変える

上の写真のままですと、通常の星の軌跡写真なので、一工夫することで軌跡写真の印象を変えていきます。

それぞれの星のレイヤーを始めは薄く、徐々に濃くなるように重ね具合を変えていくことで、星が尾を引くような感じにすることが出来ます。

例ではちょうど50枚のデータがありますので、2%, 4%, 6%, 8%, 10%と2%ずつ増やして行き、最後が98%, 100%となるように全ての星のレイヤーの透過度を変えます。

9-layer-opacity-2percent

全部のレイヤーの透明度を変更し終わると、こんな感じになります。

10-layer-opacity-98percent

今回は反時計周り(実際の回転方向と同じ)に見えるようにしましたが、始めを濃くして徐々に薄くすることで逆回転にも出来ます。

真ん中を濃くして両先を薄くするのでも面白いですので、色々試してみてください。

レイヤーの統合

レイヤーが多いとデータ量が多く、処理も重くなるので、特にレイヤー別に修正する必要がなければここでレイヤーを統合してしまいます。

統合したいレイヤーを選択した状態で右クリックし「レイヤーを統合」を選択します。

12-merge-layers

色調整など

お好みでトーンカーブ等の調整レイヤーを使用して最終調整を行います。
今回は説明を省きますが、前景は星の部分とは別に分けて処理をした方が仕上がりがきれいになります。
こちらが調整後の写真です。
13-final-image2

まとめ

今回の方法を使えば、普段とは違う綺麗な星の軌跡写真を簡単に仕上げることが出来ますので、皆さんも是非お試し下さいね!

さらにもうひと工夫

本記事では省略しましたが、比較明合成でのデメリットとして挙げた星と星の隙間をさらにもうひと工夫加えることで目立たなくすることが出来ます。
その方法については別の記事等で説明する予定です。乞うご期待!

ではまた。

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