都市景観写真にみる超高画素機PHASE ONE XF IQ4の実力

はじめに

中判デジタルカメラとは?

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/125秒* 絞りF/8 ISO50 焦点距離28mm
■現像・調整:Capture One
* 4分59秒のAutomatic Frame Averaging

皆さん、こんにちは。タカウエ(@Akira_TAKAUE)です。

昨今、世界のカメラメーカーでは様々な特徴を有する製品が続々と発表されており、描画性能は一定の水準を維持しつつ機能の簡便化を目指した低解像度機から、広告撮影や展示に至るまでの高度な撮影が可能な高解像度を有する35mmフルサイズ機まで、その選択肢の幅が広がっています。

従って私たちユーザーは目的とニーズに合わせた機材を的確に選択することができ、リーズナブルな世の中になったなと感じています。

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 40-80mm f/4.0-5.6
■撮影環境:シャッター速度1/800秒* 絞りF/8 ISO100 焦点距離28mm
■現像・調整:Capture One : “SHUDAI” Split-Tone Processing
* 5分00秒のAutomatic Frame Averaging

一方で、これらの機材とは異なるタイムフローがフィルム時代から脈々と存在し続けていることは周知の事実でしょう。

それはいわゆる中判カメラの領域です。中判カメラとはフィルム時代に最も普及し汎用性が高かった35mmフィルムよりも少々大きなサイズである中判フィルムを使用していたカメラのことですが、このフィルムサイズが現在のデジタルカメラにおけるセンサーサイズと機能上等価となりますので、中判デジタルカメラの領域は今日でいうところの35mmフルサイズ機よりも大きなセンサーを用いているカメラのこと、を指すことができるでしょう。

■Phase One XF IQ4

中判デジタルカメラの特徴と主要用途

それではこの中判デジタルカメラにはどんな特徴があるのでしょうか。その特徴は高解像が挙げられ、今日では少なくとも1億画素以上の解像度を指すのが一般的です。

ここで果たしてここまでの画素数が必要なのだろうか、という疑問が湧いてきますが、その主要用途の一つとして産業用撮影が挙げられます。私が行ったことがある事例としては建造物の世界(土木・建築工学)において、建物や橋の定点撮影を行い、その高解像データを分析することによりコンクリートや塗装の劣化具合を把握するために役立てる目的や、古いアナログ記録メディア(フィルムや文書等)を撮影し、超高解像度デジタルデータとして記録するという目的も挙げられます。

航空イメージ写真や地図作成等の高度な解像度が要求される一般産業写真も挙げられることは言うまでもありません。

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/400秒 絞りF/9 ISO100 焦点距離28mm
■現像・調整:Capture One

更に、広告写真や視覚芸術写真の分野でも高い有効性を発揮します。

最終的にここまでの画素数が不要の場合であっても、例えば横構図で撮影したデータを突如縦構図にトリミングして大型サインボードでの広告に用いたい等、画素数に余裕があるためトリミングを含めた構図の再構築を大胆に行うことができます。当然のことながら、大きくて高解像の成果物が必要である場合、例えば視覚芸術写真における高解像写真の展示等にはその威力を発揮します。

PHASE ONE XF IQ4の紹介と本記事の目的

以上のように35mmフルサイズ機とは異なる特徴と用途を有する中判デジタルカメラですが、本記事では、中判デジタルカメラの世界をリードするカメラメーカーの一つであり、広告、産業写真から視覚芸術写真に至るまで、それらの高い要求性能に対応してきたデンマークのメーカー、Phase One社のフラッグシップモデル「XF IQ4 150MPカメラシステム」について、都市景観写真を主体とした作例を見ながらその実力に迫ってみたいと思います。

普段、広告写真を撮影されておられる方におかれましては、「現場でも編集時でも作業の自由度を上げたい」、かつ「高いクオリティーを維持した成果物を制作したい」、そして勿論「圧倒的な勝負機材を使いたい」、と考えておられる方々や、写真展開催やNFT販売を目指しておられる方々におかれましても、「圧倒的な解像度の作品展示やNFTアートを制作したい」、かつ「持ち運ぶPCとも定義できるXF IQ4のデジタルバックの多用な機能を活かしたオリジナリティーの高い作品を制作したい」、と考えておられる方々におかれましても、僭越ながら是非参考にしていただければと思います。

PHASE ONE XF IQ4都市景観撮影における特筆すべき機能

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/400秒* 絞りF/11 ISO100 焦点距離28mm
* 2分29秒のAutomatic Frame Averaging
■現像・調整:Capture One

本機の仕様ですが、有効画素数は1億5100万画素。53.4×40mmのCMOSセンサーを採用しており、多くの中判デジタルカメラで採用されている44×33mmよりも一回り大きく、フィルム645判の有効サイズに近いサイズです。このイメージセンサーは裏面照射型であり光のロスやノイズが極小まで抑えられており、撮影においても顕著に体感することができます。ここで、XF IQ4が有する特筆すべき機能のなかで都市景観撮影上、驚くべきかつ重要な機能をピックアップしてみたいと思います。

Dual Exposure Plus機能による階調維持

明暗差が極端な被写体への対応

本機は広範に渡るダイナミックレンジを描画できる能力を有しており、通常の撮影では少々無理をしても滅多なことで白飛びおよび黒つぶれは起こりません。特にIIQ 16 ラージフォーマットを用いた場合、圧倒的なダイナミックレンジを得ることができます。

しかしながら、都市景観撮影は光の透過がゼロとなる構造物を被写体とするわけですから、特に早朝や夕方のように強い斜光を受ける被写体においては、流石のIIQ16ラージフォーマットのみでは黒つぶれによる階調の破綻等が所々起こることもあります。これは広告写真でも視覚芸術写真でも絶対あってはならないことです。

そんな時、Dual Exposure Plusという機能を用いることにより、通常の撮影では達成できない高いダイナミックレンジを得つつ、シャドー部分のノイズを大幅に低減することが可能となります。例えば上図の設定の場合、3秒間に2枚の露光差のある画像連続的に撮影し本機内部で自動的に同じRAWファイルにまとめられます。同じような方法にブラケット撮影がありますが、これは1枚1枚撮影し外部ソフトウェアで編集する必要がありますが、この機能は現場で全て行ってくれます。

以下の作例は隅田川の駒形橋から早朝にスカイツリー方面を見上げた構図で、上述のDual Exposure Plusを適用しています。

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:Dual Exposure +による露光調整

Dual Exposure Plus機能の検証

私はこの構図はとても気に入っていまして、スカイツリー建設中の2010年頃から撮影しておりますが、特に早朝において露光差が激しく、スカイツリーを含む中景に露光を合わせると、橋の桁下空間(橋梁の世界では「橋の裏」のこと)は完全に黒つぶれてしまいます。まさに0か1かの世界です。ここで、Dual Exposure Plusを適用せずに撮影した場合(左)と、Dual Exposure Plusを適用した場合(右)の比較写真を示します。

■Dual Exposureの設定有無:
左:設定無し➤明度を引き上げた例、右:設定有り➤明度は引き上げずそのまま

一目瞭然ですが、設定をしていない場合、流石に桁下空間の各所においてノイズが散見できるとともに、ディテールの崩壊が起こっています。一方でDual Exposure Plusの設定を行った場合、深いシャドー部と色彩の階調そしてディテールを驚くべき描写力で表現することができています。

この設定の面白いところは、現場で簡単に設定が行える点と、数秒の撮影で最適な階調をそれも本機内部で処理し1枚のRAWデータに仕上げてくれる点です。従って、どう考えても暗部の階調維持は不可能であろうと思われる状況においても、ダイナミックレンジの破綻を心配することなく、クリーンで精細な描画性能を得ることが可能となります。

Automatic Frame Averaging機能による異空間表現

昼間長時間露光の時にNDフィルターが不要?

この機能は強烈です。初めてこの機能を知った際、そのシーケンス自体は直感的に理解できたのですが、こんな機能をカメラの中に入れてしまおう、と決断したPhase One社の戦術に驚愕を覚えて言葉がでませんでした。

通常、昼間長時間露光撮影を行う手段としてNDフィルターを用いて意図的にシャッター速度をコントロールし、通常では目の当たりにすることができない動体物の抽象化を含めた、いわゆる異空間表現が生まれてくるのですが、本機能を使用することによりフィルター類を使用することなく、本機のみで時空をパッケージ処理してしまうという機能です。機能の流れとしては通常のシャッター速度で例えば5分間、隙間なく撮影し、それらの撮影が終了した直後から本機内部で露出を自動的に平均化しながら無数の撮影結果を1枚のRAWファイルに統合する流れとなります。

元来、この機能はいわゆるファインアート的な作画を主目的としたものではなく(副次的な目的はあったと想像しますが)、長時間露光で問題となるノイズの発生をランダム合成処理により極力抑制したい、という要求から生まれたようです。

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 80mm f/2.8
■撮影環境:シャッター速度1/25秒* 絞りF/8 ISO100 焦点距離80mm
* 2分29秒のAutomatic Frame Averaging
■現像・調整:Capture One

Automatic Frame Averaging機能の検証

私は都市景観撮影において構造物を先鋭化させるため、高濃度のNDフィルターを使用することにより、少なくとも15秒以上、長くて10分の長時間露光を行い、動体物の動きを抽象化させる手法をとっておりますが、本機能を適用した場合NDフィルターは必要無く、レンズの性能をダイレクトに享受しながら、かつノイズが極小までキャンセルされている、という複数の優位点を得ることができます。

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 40-80mm f/4.0-5.6
■撮影環境:シャッター速度1/320秒* 絞りF/8 ISO100 焦点距離60mm
* 2分30秒のAutomatic Frame Averaging
■現像・調整:Capture One ➤ DxO PhotoLab 3

この作例は夕暮れの中景に位置する構造物群。NDフィルターを使用することなく、SS 1/320で2分30秒間撮影し続け、その後本機内部で平均化処理を自動的に施し、非連続化長時間露光撮影を行った作例となります。

1枚1億5000万画素のRAWデータで、1/320秒で2分30秒間撮影し続けた結果をカメラの方で処理するわけですから、現場での効率は?、という心配してしまいますが、撮影終了から処理完了まで長くて1分程度で終了するため、私の感覚では全く苦になりません。大量の1億5000万画素の16-bitラージフォーマットデータをこの時間で現場処理してしまうわけですからこのXF IQ4、まさに動くPCと言えるでしょう。

振動分析と振動ディレイ機能によるブレの防止

激しい振動がある場所での撮影

■撮影機材:Phase One XF IQ4 Achromatic + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF/12 ISO400 焦点距離150mm
■現像・調整:Capture One

本機には振動分析に基づいた振動ディレイという優れた機能が備わっています。
都市景観写真では通行車両の振動の影響を受けるような場所、例えば橋とか遊歩道から撮影する機会も多いことでしょう。本機のような中判デジタルカメラですと小さな振動でもブレが顕著に表れてしまうのですが、通常、なかなかその振幅の収束を自分で判断することは難しく、振幅が大きく減衰域が長い場所からの撮影では振動によるブレが頻繁に起こってしまいます。

ここで、威力を発揮する機能が振動分析による振動ディレイ機能です。
この機能は、内蔵されている振動計に基づいており振動ディレイを0.5秒から無限まで設定でき、カメラの振動がその振動計のレベルに基づいてシャッターが下りるという機能です。

振動ディレイ機能の検証

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 80mm f/2.8
■撮影環境:シャッター速度1/400秒 絞りF/8 ISO100 焦点距離80mm
■現像・調整:Capture One

この写真は隅田川に架かる隅田川大橋からの撮影で、通常の普通乗用車の通行程度でも無視できない振動振幅がランダムに連続して発生してしまいます。ここでカメラ内部の振動計をモニタリングしますと振動が収まる瞬間が存在することが明らかとなったため、振動ディレイ機能を設定して撮影した一枚です。

■拡大写真:振動ディレイ機能による被写体ブレの抑止

拡大写真を示しますが、振動解析に基づく振動ディレイ機能により被写体ブレが極小に抑えられており、強烈な解像特性を活かすことができています。せっかく面白い写真表現や要求された構図設定に成功したとしてもその撮影条件の厳しさがネックとなってしまう場合においても、当該機能を適用することにより本機の描画性能を十分に活かすことができます。

以上のように、都市景観撮影上においてその有効性が高いと思われる本機の特筆すべき機能を簡単に紹介いたしましたが、ここでこのような機能を活用した都市景観写真を見てみましょう。

都市景観写真にみるPHASE ONE XF IQ4の実力

PHASE ONE XF IQ4の都市景観写真への適用性について

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/320秒* 絞りF/9 ISO100 焦点距離28mm
* 2分29秒のAutomatic Frame Averaging
■現像・調整:Capture One

人間生活上の結論としてそこに存在する都市景観。それを的確に切り取ることは人間生活の歴史や都市の変化変遷の最中にある文化までをもメッセージとして切り取ることに繋がり、都市景観は有意義な被写体であろうと考えています。では、上述までに分析した、本機においてどこまでこの適用性があるのでしょうか。

まず考えられる点として、上述のDual Exposureの仕様による階調維持です。都市景観写真はライティングを行うことはできず、一方で構造物は透過を許さない被写体です。従って明暗差が激しくなるわけですが、もともと広いダイナミックレンジを記録できるRAWフォーマットであるIIQ16と合わせてこの機能があればいかなるシーンでも問題が発生することは無いでしょう。

二つ目としては、Automatic Frame Averaging機能を活用した異空間表現です。フィルターワークが必要なく、環境光に対応したNDフィルターの減光段数やF値そして露光時間を現場で瞬時に計算する必要がない、そしてレンズ性能をフルに発揮できる当該機能は、広告写真やファインアートフォトグラフィーにおけるコンセプチュアル表現にまで昇華することが可能となる面白い機能でしょう。

更に、振動ディレイモードを活用しつつ高解像性能をフルに発揮させ、素材の反射率やテクスチャーの質感を厳密に把握することが必要となる分野の撮影において、本機の適用性は高いといえるでしょう。

PHASE ONE XF IQ4の実力

近景被写体の圧倒的な解像性能

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/420秒* 絞りF/9 ISO100 焦点距離28mm
* 2分29秒のAutomatic Frame Averaging : 2019年撮影
■現像・調整:Capture One

こちらは御存知、東京都庁。構図設定の基本は近景の複合視点撮影。第一本庁舎を強いパースペクティブ(パース:遠近感)が残った状態で主たる近景被写体とし、議会棟を補足的な被写体として1枚の構図に収めています。撮影は2分30秒のAutomatic Frame Averaging機能により、全ての構造物群の背景が抽象化され、被写体の先鋭化が顕著に表れています(現在は三脚の設置が不可能となっております。三脚設置の可否については細心の注意を払い、通行されておられる方々や構造物の規則等を鑑み、マナーを守っておこないたいところです)

以下に第一本庁舎の拡大写真を示しますが、強烈な解像性能を体感することができているとともに、コントラストの強いモノクロ写真においても階調性とノイズ耐性の両立を実現することができています。

■第一本庁舎の拡大

広範なダイナミックレンジと視覚芸術的要素の融合

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/125秒* 絞りF/8 ISO50 焦点距離28mm
* 4分59秒のAutomatic Frame Averaging

次に、近景と中景の複合構図の作例を見てみましょう。

冒頭においてもキャッチ写真としていますが、こちらは上述のDual Exposure Plus機能の項目で使用した作例における撮影位置において、構図を再設定し、IIQ L 16拡張フォーマットにて4分59秒のAutomatic Frame Averaging機能を用いて撮影を行った結果です。

早暁の隅田川、斜光を受けて明暗差が厳しい構図設定であるにもかかわらず、IIQ L 16拡張フォーマットによる広域にわたるダイナミックレンジにより白飛びおよび黒つぶれは回避することができています。また、このAutomatic Frame Averagingによりまさに鏡のように滑らかに平滑化された水面と空の豊かな階調を表現することができています。

以下はスカイツリーの塔頂部の拡大写真ですが、まさに望遠レンズを使用して当該構図をターゲットとして撮影したかのような解像を保持しています。この拡大写真は上記の写真を大胆にクロップした後であり、それでも長辺2500pxを有しており、通常のウェブメディアや誌面等の写真においても十分使用することが可能であり、本機の適用性を十分に理解することができる事例ではないでしょうか。

■拡大写真

現場作業の簡便化と高層建築を高いクオリティーで正確に表現

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 40-80mm f/4.0-5.6
■撮影環境:シャッター速度1/800秒* 絞りF/8 ISO100 焦点距離28mm
■現像・調整:Capture One
* 5分00秒のAutomatic Frame Averaging

次は近景に位置する高層建築に参りましょう。

近景における高層建築は強烈なパースが生まれてきます。このパースを敢えて活かすコンセプトもありますが、実務写真の世界では基本的にパースをコントロールした写真が必須案の一つとなります。

このパースをコントロールする手法として、以下の二つが挙げられます。

①チルトシフトレンズ(パースペクティブコントロールレンズ)などのアオリ機能を有するレンズを使用する方法
②複数の縦構図写真をパノラマステッチする方法

ここで、①の方法ですと対応レンズが必要になりますが、残念ながらXF IQ4のレンズラインナップには当該レンズは存在していません。そして②の方法ですと現場および編集作業がとても煩雑となります。(勿論目的によっては行う価値はあり、私の個展でも大パネルでの超高解像度展示を行った経験もあります)

そこでXF IQ4の高い画素数を活かし、

③パースペクティブコントロールをソフトウェアで行った際にできる余白を考慮しつつ撮影を行い、編集時において大胆にクロップする

という手法も間違いなく一案として挙げることができるでしょう。

この作例は③を採用し、5分間のAutomatic Frame Averagingを用いて構造物の先鋭化を行った作例です。本機は超高解像度ゆえ画素数に大きな余裕があるため、クロップ後においても長辺10,000ピクセルのクオリティーを維持できています。現場での簡便性のみならず編集後におけるクオリティーの維持の双方を満足することができる好事例ではないでしょうか。

まとめ

今回は35mmフルサイズ機とは異なる特徴を有する中判デジタルカメラにおいて、デンマークのメーカー・Phase One社が発売している「超高解像度XF IQ4 150MPカメラシステム」について、都市景観撮影に対して適用できる特筆すべき機能やその実力について広範に迫ってみました。
その解像性能においては圧倒的な結果を確認できたとともに、極めて明暗差が激しい構図においてもその問題を瞬時に解決できる機能や、振動検知によるディレイ機能など非常に有効な機能が備わっており、正確性が求められる分野の写真において高い適用性があることが明らかとなりました。更に、Automatic Frame Averaging機能のように、長時間露光を複雑なステップを介することなく手軽に行うことができる機能もアート性の高い作品を制作するうえにおいて極めて有効であることも併せて特筆するべきでしょう。

■撮影機材:Phase One XF IQ4 + Schneider Kreuznach LS 28mm f/4.5 Aspherical
■撮影環境:シャッター速度1/125秒* 絞りF/8 ISO50 焦点距離28mm
■現像・調整:Capture One : “SHUDAI” Split-Tone Processing
* 2分00秒のAutomatic Frame Averaging

一方で、繊細な取り回しが必要であることも理解したいところです。本機の重量とサイズが大きいとともに、画素数も圧倒的であるため、軽微なブレがそのまま描画に現れてくることになります。従って三脚撮影による振動への配慮は必須となるでしょう。更に、AFポイントと被写界深度です。このXF IQ4のAFポイントは中央1点のスポットとアベレージのみであり、AF合掌点をカメラ本体で取りまわして合致させる必要があり、構図設定の大幅な変更を撮影毎に行う必要があります。また、センサーサイズが大きいため、回析現象が極小となるF値においても合掌点前後の構造物のピントがずれてしまう現象が生じることもあるため、厳密なハイパーフォーカルディスタンスの計算が必要な場合もあり、その際はフォーカススタック機能を適用する等、撮影時においては細心の注意を払う必要があるでしょう。

昨今の35mmフルサイズ機はミラーレスの時代に入り、軽さ、堅牢性、操作性、描画性能等の複数に渡る優位点を同時に得ることができ一般的に広く使用されていますが、このPhase One XF IQ4に代表されるような中判デジタルカメラの上述における種々の特性を理解し則して使用するのであれば、極めて高いクオリティーを有する成果を得ることが可能となるでしょう。従って、広告写真や写真展開催等を目指しておられる方々にとっては、当該中判デジタルカメラを使用機材の一つとして加えることは自身のフォトグラフィー領域の大幅な拡張に繋がることになると考えられます。

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