せっかくデジタル一眼レフやミラーレスなどデジタルカメラを使っているなら、現像やレタッチをして思い通りのイメージに仕上げたいと思うのは人類の性。こんにちは、あきりん @crypingraphyです。
日頃からTwitterや個人サイトのなどで、白飛びを避けて露出をアンダーに振るという話をしているのですが、今回は何故そのような露出設定で撮影するのかということについて触れてみたいと思います。
失ったハイライトは取り戻せない。
人間は何かを破壊していると言ってもいい生き物だ。
その中でAdobe Lightroomはこの世のどんな能力よりもやさしい。
だが失ったハイライトは戻ってこない。
どんなソフトウェアだろうと戻せない。
先日、ポートレート初心者が陥りがちな五つの失敗。という記事のなかで、露出をいつでもカメラ任せにしてしまわないように気をつけましょうということを書きました。
その中でもっとも気をつけてほしいのは、白飛びです。
白飛びしている写真が悪いとは言わないですよ。
ただ、意図していないのであれば気をつけたほうがよろしいでしょうということです。
RAWデータの素晴らしさ
RAWデータには実際に見えている以上の情報が含まれています。
情報量は、メーカーやカメラによって差があるのですが、一見して黒つぶれに見える写真が、現像時に見えていなかった情報を復元できたりしますよね。
JPEGデータでも、ディスプレイで確認できるる以上の情報は含まれていますが、RAWデータには及びません。
しかしそんな素晴らしいデータでも救えないのが、白飛びです。
現像時にISOをあげるようなつもりで。
露出をアンダーで撮影するということは、その分暗く写るということになります。
カメラが判断する「適正露出」よりも暗くなるので、カメラのディスプレイでみた時には、ぎょっとするくらい暗いかもしれません。
例えば、暗いところでシャッタースピードも落とせなければ絞りも決まっているなんていう状況だと、ISOをあげて明るさを稼ぐしかないのですが、実は低感度のISOで撮影したRAWデータというのは充分必要なディティールを確保していたりします。
場合によりますが、大抵の場合はISO100で撮影したデータをISO400の明るさにすることはそこまで難しいものではありません。
というのもあり、自分はシャッタースピードに問題がない限り極力ISOをあげることをせずに、シャッタースピードや白飛びしないことを最優先とし、露出アンダーでも気にせず撮影します。
そして、現像時に明るくするという手法をとっているんですね。
もちろんノイズはでますが、それはISOをあげても出ます。
あとで復元できない白飛びよりもましなのです。とは言え、実際に見てみないとイメージもわからないような気もするので写真を用意してみます。
デジタルカメラにおける白飛びと黒つぶれ。
論より証拠ということで、実際にデータをみてみましょう。
露出オーバーで撮影

こちらはオーバー目に撮影したものです。
適正露出より少し高めの露出ですが、白飛びをのぞけばなくはない明るさだと思います。
とは言え、クリッピング(赤色になっている部分)をみるとわかる通り、アグレッシブに白飛びしていますね。
露出アンダーで撮影

こちらはアンダー目に撮影したものです。
まあ暗いですね。何も見えない。
万が一、彼女の背後にツチノコがいたとしてもこれでは写真に収められないことは確定的に明らか。
黒つぶれしている部分

黒つぶれしている部分をクリッピング表示でみてみましょう。
青い部分が黒つぶれの嫌疑がかけられている箇所です。
中々盛大にブルーマンですね。
現像でリカバーする。
さて、これらの画像を実際に現像してみます。
オーバー目に撮影した写真を現像で調整

現像時に露出を下げてみました。
しかし、なんということでしょう。
クリッピングがみえない程度には白飛びはなくなりましたが、鼻にクレーターが出来ています!
つまり、階調が失われてしまっているのですね。
白飛びというほど真っ白ではないものの、真っ白から肌色にゆっくり移り変わって欲しい階調が
冷酷にもクレーター状態です。
これならオーバー気味で全体的に明るくしたほうが階調も近づいて、まだ自然にみえますね。
露出アンダーで撮影した写真を現像で調整

そして今度は、先ほどのアンダーに撮影した写真を、現像ソフトで調整します。
露出を同様にあげてみました。
黒つぶれのクリッピング表示がなくなりましたね。
しかし、露出を全体的にあげた為に、光のあたっている部分。
つまり元々明るかった顔の部分がオーバー気味になっています。
しかしこの程度なら明るい部分だけを暗くすれば良いですね。
更にハイライトを少し落として調整することも可能

はい。このような形で、写真全体の露出を整えることができました。
これと同様のことを、オーバーに写した写真でやろうと思っても、上記写真のようにクレーターが存在しているので整えるも何もないんですよね。
Before / After


こちらが現像前と、現像後の Before / After です。修学旅行、暗闇の中で懐中電灯に照らされた友人を連想させる写真から、普通の横たわる女性に変わりましたね。
あんなに暗かった部分のディティールが普通に写せていますねー。このようにシャドー部分はけっこう復元できるんですよね。もちろんノイズは出ますし、適正露出で撮るに越したことはないんですよ。
ただ、デジタルカメラが一度に写せる明るさの範囲というのは決まっているので、明暗差がはげしいシチュエーションなどでは、明るいところに露出を合わせるか、暗いところに露出を合わせるかなど、繊細な測光が必要な場合も存在します。
こういった時に、マニュアルモードで調整したりすることで現像をふまえた撮影をできるかどうかというのも大切ですね。
ダイナミックレンジの話
ダイナミックレンジというものがあります。
上述した「一度に写せる明るさの範囲」に関連するのですが、
これを幅広いとか狭いとか表現します。
そして、ダイナミックレンジが広いカメラのほうが現像時に、適正露出外の情報を復元しやすいのです。
また、カメラによってダイナミックレンジは変わるので、カメラ選びの際に自分が気にするポイントの一つですね。
例えば自分が愛用している Nikon D810 や Sony α7R II というのは、このダイナミックレンジが非常に広いです。
なのでこういった撮り方をしてもある程度無茶ができます。
この光の範囲については、ラチチュードという指標もあるのですが、この点については長くなるのと触れません。
また、白飛びをしていない範囲であれば、当然適性で撮影することがデータとしては美しい状態になります。なんでもむやみに露出アンダーにすべきではないことは書いておきます。
まとめ

- シャドー部分の復元は、多少のノイズと引き換えに可能な場合がおおい。
- 明暗差が激しく、白飛びしてしまいそうな場合には容赦なく露出アンダーに撮影しよう。
- 色々かいたけど適正露出(カメラ的にも自分的にも)であれば、それよりもアンダーにする必要はない。
- ヒストグラムを確認しながらね。
- 白飛びさせるつもりで撮るのが悪いわけじゃないですよ。
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