もしも写真が盗まれたら?損害額の算定にストックフォトが役立つかも。法律で考える写真の価値。写真の権利問題!

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みんなだいすきAdobe製品。そのアドビシステムズ株式会社のご提供でお送りする写真の権利問題シリーズ。そろそろ頭痛が痛くなってきて馬から落馬しそうな気配を漂わせていますが、身近なこんな権利を知らなかったのかと目から巨大な鱗が出てきている、黒田明臣です。

写真がデジタルデータとなってからは当たり前のように横行している問題の一つ、盗用問題。もしも起きてしまったときに我々がどうしたらよいのかという話をすこし伺っていきましょう。

もしも写真が盗まれたら?損害額の算定にストックフォトが役立つかも。法律で考える写真の価値

あなたの写真が侵害されていた!ストックフォトに登録していたことが損害額の算出に役立つかも!?

実際に自分の写真が模倣、販売されてしまった。皆目見当もつかない損害額。そんな時ストックフォトに登録していることが助けになるかも知れません。
[黒田]

ちょっと話が逸れるんですがフォトグラファーの写真が例えば侵害されていました、二次利用されていました、侵害されていますとなったときには、「訴えますよ」というのは往々にして起こり得る話ですよね。

例えば自分の場合もSNSとか、海外の画像投稿サイト、Flickrにあげた写真が中国で売られていた時期がありました。

[氏家]

なんと。

[黒田]

自分の写真はAkiomi Kurodaと英語で検索すると滅茶苦茶売られている様子でして。買っている人が本当にいるのかはわからないけれど、全然もう普通に黒田の名前付きで売られているようなんです。許可していないのに。

それに対する損害額を出したい時、自分が実際に10万円で売ったり、仕事の案件でいうと100万円で売っていますとなった時にそれが自分の写真の価格になるじゃないですか。それは額の裏付けになりますか?

[氏家]

一つの有力な資料にはなりますね。つまり正規にやったらこれだけの額で売れたものをよく分からない人が勝手に売っていると、黒田さんが本当は得られるべき報酬を得られなくなっているはずですよね。それがそもそもの損害です。だからどういう相場観でライセンスしているのか、取引してきているのか、利益を得ているのかといった過去の実績は、一つの有力な証拠資料になります。

[黒田]

例えばストックフォトを利用してその写真を投稿して売られましたと。で、その写真が2000円だと。だとしたらその写真は最低でも2000円は取れると考えていいと?

[氏家]

考えていいと思います。2000円をベースに。そして違法に侵害しているわけですからそれに色をつけて貰わないと困るわけです。要は後で見つかったときに正規の値段さえ払えばいいということになると、皆やりたい放題になってしまいますから。

[黒田]

確かにそうですね。

[氏家]

いくらになるかそこは裁判官次第でしょうね。どこまで加味してくれるか。それは悪質性とかにもよって、正規料プラスαですね。何れにせよ、正規の価格がいくらなのか、スタート地点としてどれくらいの損害なのかは、他者でもいいんですが、実際の例がないとなかなか主張できないですね。

[黒田]

参考価格にはなりますか?

[氏家]

そうですね、勿論なります。

[黒田]

逆にストックフォトで1枚数円単位で売っていた場合、その金額がその写真の資産的価値ということになってしまい、賠償金が低く見積もられてしまうこともあるということなんでしょうか?

[氏家]

あり得ますね。また、少なくとも任意交渉ではそういう議論が当然出てくるし、裁判においても一つの有力な資料になるでしょうね。この人の作品というのはどのくらいの価値があるのかと、経済的に換算する際の。結局、損害賠償って経済的な話なので。

勿論それ以外に慰謝料請求、精神的な苦痛などという話だったらまた話は別ですが。

損害賠償は基本的には経済的な損害・損失というところに尽きる。この人の作品というのはどれくらいの相場観なのかを裏付けるものは一つの有力な材料ですよね。

[吉本]

結局営業妨害じゃないですけれど、これが500円で売っていてそのマーケットでもしかしたら1万枚売れていたかもしれない。ということになると500円で色つけて600円という話ではないですよね。

[黒田]

規模ということですよね。

1週間で5枚売れていたら1週間で1万円、じゃああなたは1年間使っていたら1週間1万円に基づいて1年分の額を請求できるかもしれないくらいの計算は有効で、本来取得していたはずの金額が損害額として認められると。

[吉本]

前職の時も実際にあったのですが、不動産屋さんのWEBサイトで使っている画像が全部ウォーターマーク付きのもので構成されており、使用料をお願いすると、「宣伝になるんだからいいですよね?」と言われたことがあります(笑)

[氏家]

いやいやいや(笑)

[吉本]

そのケースは結局お支払いいただいたと記憶しています。

[黒田]

機会損失じゃないですけれど。

[吉本]

そうですね。機会損失を加味していただいた上での計算になっていたと思います。

[黒田]

怖いですね。そうですよ、あり得ますよ。

ストックフォトに登録していたことが広く機会損失をしていると認められ本来売れていたはずの額が損害額の基礎になることはあり得る。

どこで侵害されているかすぐわかるのが写真のメリットかもしれない

何故写真が著作権侵害行為の捕捉に強いのかは写真の特色に理由があります。
[黒田]

インターネットというのは我々にプレッシャー与えてきているといいますか、インターネットに限らないと思いますけど、著作権侵害行為は発見される確率がぐーんと上がったでしょうね。

[氏家]

特にグラフィックであったりとか写真であったりっていうのはもうGoogle先生のお陰で発見されやすくなっていますからね。画像検索という機能もありますし。特定班的な人も世の中にいらっしゃるわけで。やっぱり著作物によっては見つかりやすくなってきているといえるでしょうね。見つけやすいし見つかりやすくなっているといいますか。

「著作物によっては」というのは、グラフィックとかではない、例えば、演劇とか音楽とかは難しそうですよね。

[黒田]

複雑性の高いものは見つかり辛いということでしょうか。

[氏家]

そういえるでしょうね。あと、ちょっとアレンジされちゃうと捕捉できないようなものですね。

絵とか写真って並べたらもう一目瞭然なわけですけれど。音楽って聴き比べしないといけなくて、なんなら楽譜も読めないといけなかったりするわけで。普通の人はそこまでできないわけですから。見つかりやすさ、バレやすさは著作物によって全然違うし、技術の進歩によってまた全然変わってくるんだろうなという気はします。

[黒田]

間違いないですね。

[氏家]

技術の進歩によって少なくとも写真はかなり侵害を捕捉しやすくなってきているといえるでしょう。

[黒田]

確かにそうですね。映画とか小説のスクリプトと言うかストーリーみたいなエピソードって言うのは既視感あるもの結構あるじゃないですか。

あんなのって別にパクリだから訴えられたみたいな話って聞いた事ないですよね。

[氏家]

そうですね。それはアイデアに留まっているからなのかもしれませんし、そもそも基本的に著作物って多かれ少なかれ既存の先人達のものにインスパイアされて作られているものであるともいえるので、その範疇だ、という事で権利行使されていないだけなのかもしれない。

[黒田]

映画とかになってしまうと役者がいて、著作隣接権じゃないですけれども、複雑性とか次元が物凄く重なってくるから、そのアウトプットと丸々同じというのは逆にちょっと難しくなる、抽象度の高いところだけを比較、侵害とやるのは難しいイメージです。

[氏家]

絵とか写真はそれだけで完結しているのでわかりやすいですよね。他方で映画とかは最初から最後までが一つの著作物なのか、細切れ的にここまでが一つの著作物となるのか、どこまでが1個の著作物なのかという難しい問題もでてくる。また、例えば本でも、本1冊なのか、章ごとなのか。突き詰めていくと難しい問題はあります。

[黒田]

そうですね。エピソードごとなのかとか。

[氏家]

短編集的なものだと1編ごとが著作物だと言うこともできるでしょうが、そこは実は明確な答えはないんです。でも、絵とか写真って明らかじゃないですか。著作物の範囲を画するのが容易で明確です。だから問題にもなりやすいし、権利も主張しやすいし、されやすいという性質があるかもしれませんね。

[黒田]

これは何かいい話のまとめになりそうですね。

写真とか絵、グラフィックというのは著作物として明確であることが多いというか。だから我々もリテラシーを持ってある程度99%か9割なのかはわからないですけれども類似性がある場合、権利行使できるし、他の媒体と比べてできやすいということですね。

[氏家]

例えば建築の著作物だってどこまでが建築の著作物なんだろうというのがあるわけですよ。庭にあるこれってどうなのとか。壁はどうなんだとか。だからそれに比べたらもう明白も明白。

それはグラフィックとか写真の特殊性かもしれないですね。

[黒田]

なるほど。面白いですね。

写真は1枚で作品として完成しているのが特徴。写真の侵害行為を捕捉したい時その特徴が役立つ。テクノロジーの発達もその助けとなるだろう。

法律の専門家がフォトグラファーに伝えておきたい話

法律の専門家としての視点から写真家へのアドバイス
[黒田]

じゃあちょっとまとめていきたいと思うんですけれど、専門家から見てフォトグラファーに向けて写真を撮るにあたって権利を守ったりとか認識していく上でこうしておくといいよとか気をつけたらいいよとかアドバイス的なものは何かありますか?

[氏家]

やっぱりざっくりでもいいから著作権法を一度簡単に学ぶことが重要かもしれません。概要としてでも、自分にどんな権利があり得るんだとか、逆に他者にどういう権利があり得るんだっけっということを知ることですね。あまりにも知らない人が多すぎるのではないかと感じることがあります。だから気づかずに権利侵害しちゃったり、されちゃったりしている。

今回の対談も、その助けになればというのがあるんですけれども、体系的にざっくり全体を知っておくのがいいですね。「著作権」と一言で言っても支分権というものがあって、複製権とか翻案権とか上映権とか色々あるんだな程度でも良いので知っておくことですね。

あとはこういう場合に権利が制限されるのだというのを、写真に関連しそうなところだけでも知っておくといいと思います。報道に関連して使われる場合はどうなんだとか、「引用」とかですね。

僕達が普段見ている専門書はおそらく読んでも難しくて心が折れてしまうかもしれないので、簡単なまとめをみるといいかもしれません。例えばネットでもそういう情報を提供しているサイトとかもあると思うんです。勿論ネットは玉石混交ですけれども、とにかくまずは知るということに尽きますね。

[黒田]

まさにその通りですね。勉強になることばかりでした。知識的にもそうですし、温度感とかも話すことでわかることがありますね。これから先にも法律的に判断が難しいサービスやプロダクトが出てきたりもするでしょうし、それらを使う時に正しく使えるような基礎知識があるといいなと思いました。

著作権の保護期間が50年でしたっけ?そういうのとか。

[氏家]

そうですね。ちなみに著作権の保護期間はまたさらに伸びますよ。TPP11(11)が発効したら70年になります。改正案自体はもう国会を通って公布されているので、施行待ちですね。

映画は元々もう70年なんですけれど、それ以外の著作物が今までは50年でしたがもうすぐ70年になります。いつになるかはわからないですけれど。TPP11が発効したら変わります。

[吉本]

非親告罪化(12)ってどうなるんですか?

[氏家]

非親告罪化も同じタイミングです。20年延長されるのと同じタイミングでTPP11が発効したらそのタイミングで日本の改正も施行されますので、著作権や著作隣接権の侵害の一部の非親告罪化も実際に動きます。TPP11次第ですけどね。

[黒田]

ざっくりでもどんな権利があるのかは知っておいたほうがいいということですね。

[氏家]

そうですね、そういう概要は知っておかないと。

ただ、著作権法って割とパッチワーク的に改正されている面もあるので、もしかしたらとっつきにくいところがあるかもしれません。

ただでさえ法律の条文って読みにくいと思うんですね。たとえば日本の法律って基本的に、原則なるべくカタカナを使わないんですね。コンピューターは「電子計算機」、「電子情報処理組織」とかですよ。普通の方からすればなんのこっちゃみたいな。そのうえ著作権法ってツギハギみたいな感じで改正されてきている面もあったりするから、条文によってはかなり読みにくいところがあると思うんです。

[黒田]

その話を聞いて、もう読む気がゼロになりました。

[氏家]

だからいきなりこの法律を読め!というのはちょっと無茶なので。

[黒田]

何か意訳されていないときついですね。

[氏家]

何かうまく著作権法をまとめてくれたものは知っておいた方がいいと思いますね。その理解のうえで法律の原文にあたってみると読みやすいでしょうね。

[黒田]

なるほどです。最近は、本や雑誌でもそういうトピックにフォーカスされている内容は多いので、フォトグラファーにとってはありがたいですね〜!

フォトグラファーの活動にも大きく関わる著作権法。基礎知識を持って内容を知っておくことが大切。
(11)TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に合意した当初の参加国12カ国から米国を除いた11カ国が結んだアジア太平洋地域における経済連携協定。米国は2017年1に離脱宣言。
(12)これまで著作権侵害罪は親告罪であり告訴がなければ公訴を提起できないとされていましたがTPP協定の合意により著作権や著作隣接権の侵害罪の一部は非親告罪化。著作権者が望むと望まざるに関わらず処罰が科されることになります。

損害額の算出には実績をつくるのが一番

写真を盗まれてしまったとき、どうしたらいいかわからないというのは大いにありますよね。かくいう自分も、海外で売られていることを知ってもどうにもできませんでした。そもそもコレがいくらなのかもわからないし。そんなときには、ストックフォトでの販売実績などが参考価格として提案できるというのはあたらしい発見でした。

すこしでもどういう権利なのか、把握しながら写真撮影を楽しみましょうということで、早速「みんなのための著作権教室」をのぞきまくってきます。

みんなのための著作権教室

著作権の理解には、こちらのサイトも参考になるかもしれません。みんなのための著作権教室(http://kids.cric.or.jp/)。著作権法の概要がまとめられたサイトです。

写真の権利問題

フォトグラファーとストックフォトの観点で考える写真の権利問題ということでお送りしている本対談。フォトグラファーのリテラシー向上と発展を願うアドビシステム株式会社の提供でお送りしました。著作権を正しく理解して、ストックフォトで腕試しやマネタイズをしていきたいですね。

自分の写真が世界で通用するのか?

著作権など写真の権利を正しく理解して、Adobe Stockコントリビューターとしてご活躍してみてはいかがでしょうか

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はじめよう、ストックフォト

プロフィール

氏家 優太(ウジケ ユウタ)

青山綜合法律事務所 パートナー弁護士

大手法律事務所在籍、グリー株式会社法務部への出向などを経て、アメリカ合衆国カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)のロースクールに留学。同校でエンターテイナメント、知的財産関係を中心に学び、日本に帰国後、青山綜合法律事務所に移籍。2017年4月からパートナー就任。

得意領域は知的財産関係。特に著作権、商標、不正競争防止法。主にエンターテインメント関係(映画・音楽・ゲーム・イベント等)、もしくはクリエィティブ関係、デザイン関係、アート関係のクライアントを取り扱う。

吉本 龍生(ヨシモト リュウセイ)

株式会社アドビシステムズ Adobe Stockマーケティングマネージャー

日系のストックフォトエージェンシーにて海外からのコンテンツ調達および管理を統括。海外での販売チャネル開拓や事業展開を経験後、現会社に入社。

現在はAdobe Stockのマーケティングを担当。日本での認知拡大や売り上げ向上につなげるためのキャンペーン活動全般を行う。

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Photo by Suzuki Yusuke

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