フォトグラファー2.0の時代と、7つの特徴

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お疲れ様です。平成最後の黒田明臣(@crypingraphy)です。ついに平成最後の黒田明臣になってしまうことにいささかの不安を覚えながらも、その向こう側でようやくの出番に舞い上がり新年号最初の黒田明臣が狂喜乱舞しております。ということでお察しの通り今日はフォトグラファー2.0ということを書いてみたいと思います。フィルムからデジタルへと変革を遂げた平成におきた小さなパラダイム転換の話です。

フォトグラファー2.0の時代


フォトグラファー2.0。いったい突然何を言い出したのかというところですが、ちょっと平成も終わりフォトグラファーのSNS活用も成熟してきた昨今。成熟、してきてますよね?どうでしょう。自分はもう熟れきっていると思ってるんですけど。どうかな。何はともあれ、そんな時期というのもあり、このフォトグラファー2.0もしくは写真家2.0といったキーワードについて話したいと思います。2.0ってなに?視力の話?けっこう遠くまで見えてない?と思ったあなた、その直感はかなり鋭いと言えません。

2.0というのは、旧来と比べて新しいムーブメントやスタイルを指しています。2.0だから1.0より優れているとかそういう話ではありません。

実は今更な2.0


フォトグラファー2.0とは言いますが、実は内容としては今更。というのも、自分をはじめSNSを中心とした活動を繰り広げているフォトグラファーが、各種SNS上で注目されるようになり既に数年が経っており、先に述べたとおり既に成熟に近い状況。ここから円熟。

既に世の中にはフォトグラファー2.0では表現不可能な3.0とでも言うべきスタイルもあらわれ、混沌の極み。しかし2.0を説明する前にいきなり3.0というのも意味不明なので、3.0を語るにもまずは2.0からでしょうということで、自分なりの2.0をまとめてみました。

フォトグラファー1.0

2.0を語る前に、まずは1.0とはなにか。ということを考えないといけないですよね。ステータス問わず、つまりプロフェッショナルだとかアマチュアだとかは関係なく、写真を撮るということを日常的に行う人たち全員が当てはまります。

撮影した写真をアナログな範囲で公開したり、グループ展をしたり、何処にも公開せず残し続けている人などが主に当てはまるでしょう。クラシックで伝統的なスタイル。

フォトグラファー2.0

比べて、フォトグラファー2.0は、多様な観点から自己を価値化することに長けています。

そして今は世の中のテクノロジーやサービスを利用することで、多面的な自分を発見して価値化することが容易に。後述する2.0ならではの特徴は、あくまで特徴であって優劣ではないのですが、時としてその特徴が優劣や勝敗や金銭やステータスといった結果にあらわれることも否定できないポイントではあります。

これは時代を味方につけた人間の強みという点では、社会不変の法則でもあるかもしれません。

グレードではなく、スタイル


フォトグラファー2.0というのはグレードではありません。上とか下とか、そういう概念では断じてないわけですね。プロとアマとかそういう二元論とも違います。あくまで、写真と向き合うスタイルだと考えることが肝要だと思います。クラシックでトラッドなスタイルに価値があることと、モダンでモードなことにも価値があるのはベクトルは違うもののどちらも価値として機能するスタイルに変わりありません。

フォトグラファー2.0とは


もう少し具体的にどういった特徴があるのかまとめてみましょう。

SNSやインターネットの活用であったり、それに伴うインフルエンスの獲得、発表からコミュニケーションへの発展、オンラインとオフラインの有効活用や、ネットワークの多様化などが挙げられます。フォトグラファー2.0は、おそらく自分が写真をはじめる前から芽は出始めていたのだと思います。2009年頃、Flickrや500pxなどの写真専門のウェブサービスが次々と誕生し、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSが成長、拡大するのと比例してフォトグラファー2.0のスタイルも一緒に成長してきたのだと思います。

自分は2014年から写真に没頭しはじめましたが、カメラをもっていた2012年頃にも既にそういった写真系のウェブサービスは利用していました。というよりそういうサービスがあったからこそ2014年からの傾倒につながったとも言えます。そういう意味では、生粋のフォトグラファー2.0。とくに、商業の世界に足を踏み入れて、各雑誌でご活躍中の先輩方と話をしていると、特にその違いを感じますし最近は特に2.0的な立ち回りを期待されている場面も増えてきました。

フォトグラファー2.0の起源

フォトグラファー2.0の起源や根本が何処にあるかということを考えると、おそらくもっとも原始的なところでは写真以外のスキルセットを使用したフォトグラファーキャリアの強化が挙げられるのではないかなと思います。具体的に何とかいうわけではないですけど、これから書いていく特徴がその延長線上にあることは間違いないだろうと思います。

フォトグラファー2.0の特徴

ということで、特徴の数々です。一つ一つが語り始めると一つの記事になりそうなボリュームなので、できるだけ簡潔にいきましょう。

SNSやインターネットの活用

まず外せないのがこれでしょうね。SNSやインターネットの活用。これまでアナログなソリューションで知ってもらうことが基本だったところにあらわれた新しいソリューションです。日本全国インターネットが飛び交っていて、誰もがスマートフォンを持って、インターネットを活用する時代にあっても、フォトグラファー全員がSNSやインターネットをするわけではないのだからおもしろいですね。

インターネットやSNSの普及なくして2.0の発展は訪れなかったでしょうね。それだけ革命的なテクノロジーなので不思議はないんですけど。

スタンス

フォトグラファー2.0は、意識しようとしまいと、そのスタンスを表明しています。そこに意志があろうとなかろうと、SNSに一度でも登録して、誰か一人とでも繋がってしまうということはスタンスを示すことであると言えます。

・SNSに登録して継続して写真をあげている。
・無秩序に活動している、秩序をもって活動している。
・登録してあるけど活用してない。

さまざまな活用方法があるでしょうけど、これら全ていずれも例外なく他人にメタ推理される余地を与えている事には違いありません。フォトグラファー2.0は、ただ写真をアナログに見せるということ以上にその人の生き様やスタンスそのものを世界に対して表明していると言えます。

それがブランドマネジメントであり、ブランド・エクイティの重要さを認知している人ほどそこに意識を働かせているはずです。多くの場合は無意識にも。

ポイントは、SNSに登録しているから2.0とかシンプルな話ではなく、どのように価値化しているかです。中にはSNSを利用しながらフォトグラファー1.0的な動きをしている人もいると思います。

クロスボーダーな活躍


旧来フォトグラファーは、写真単独で写真家として活動するのが基本路線だったと思いますが、他のスキルと組み合わせることで活躍するようになる人が増えてきていたり、本来の持ち物に写真を通して表現する人が増えました。この理由は二つ考えられると思っていて。

・写真のメディア機能
・一億総フォトグラファー化

もともと写真というのは何とでも食い合わせの良い媒体で、メディアや情報そのものとしても機能していて、その他のスキルや技能と合わせやすいんですよね。例えば、言葉を巧みにあやつることでプレゼンスを発揮するタイプのフォトグラファーの台頭や、アパレルブランドのオーナーが自ら写真を撮ってルックやキービジュアルに使ったり。さらに、デジタルカメラの普及によって一億総フォトグラファー時代となり、フォトグラファーという単語そもそもが希釈されました。

これは写真家である、これは写真家ではないという文法が成り立つことが、おかしいのだと思います。

インフルエンスからのムーブメント

最前線を走る者にインフルエンスが備わるというのは、いつの時代も変わらずで、高いクリエイティブが世の中に影響を与えたりするのは当然のこと。

これが、2.0になると拡大の仕方が尋常ではなくなります。SNS内でのタグに代表されるような小さなムーブメントが同じような写真を量産させて議論に発展したり、興味のなかったユーザーをその領域に呼び込んだり、連鎖の中に組み込まれていくムーブメントです。フォトグラファー2.0は、発信する側も受け取る側も、このムーブメントの渦に飲み込まれる傾向があります。

そしてこれらのムーブメントのもう一つの特徴は、テレビが生活の中心であった頃と異なり、そこに属さない人には全く寝耳に水というのも珍しくないという点もポイントですね。

提示からコミュニケーションへ

フォトグラファー2.0では、一方通行の提示からコミュニケーションへとシフトしています。プラットフォームの世界観では、言葉を交わさずとも無言のコミュニケーションが行われ、それぞれは認知しあい繋がり合います。2.0のネットワークに入った人間は望む望まないにかかわらず、意識され意識していくことになり拡散されていきます。鑑賞者がただホームページを眺めているウェブ黎明期のスタイルでは考えられなかったことです。おそらくホームページ全盛期が1.5くらいでしょうか。ホームページの世界からSNSの世界になり、そこに身を置き、写真を提示し、誰か他人とつながり、そのつながりを他者に明らかにすることが2.0的です。

オンラインとオフライン


オンラインとオフラインという点も特筆すべき点です。写真を鑑賞するポイントはこれまではオフラインのみだったところに、オンラインという概念があらわれたことで、オンラインとオフラインの境界がより明快になったように思います。

自分は写真業界の中では歴史の浅い人間なので、これは想像になりますが、かつて雑誌や映像を中心に写真が使われていた頃も、作品上のみにおける存在というのはあったと思います。例えば美術館の名品がそうであるように。(作品のみ知っているという一方通行な認知)。逆に言えば、オンラインのみで活動して交流もせず発表し続けるフォトグラファーというのは、例えSNSを利用していても1.0的であると言えるのではないかと思っています。

少し話がそれましたけど、フォトグラファー2.0の時代になり、オンラインとオフラインを行き来できるようになったことで、それぞれの特性を効果的に利用するフォトグラファーがあらわれてきました。自分もそのうちの一人に分類されると思いますが、オンラインで効率性の高いことはオンラインで、オフラインでやるべきことはオフラインでというフォトグラファー2.0特有の動き方であり、これはさらに加速・多様化していくだろうとも想像しています。

ネットワークの多様化


最後にネットワークの多様化というところも無視できません。フォトグラファー2.0の人間は、従来では考えられなかったようなスピードと範囲でつながりを獲得していきます。

そのつながり一つ一つは多様でオープンなのが特徴です。「一体どうやって知り合ったんだろう」と思えるような広範囲の関係を築きあげていて、2.0の間でも個性によって格差を生むポイントになるでしょう。SNS普及の下地となった六次の隔たりという仮説を裏付けるよう現象を、自分も何度か写真を通して体験しています。

さらに、それらのつながりが小さなコミュニティをつくりあげて、やがてコミュニティが意味をなさないほどにすべてがつながりあって一つになっていく。と自分は考えていますがこれはまた別の機会で話しましょう。

フォトグラファー2.0の時代

以上、フォトグラファー2.0と7つの特徴でした。

  1. SNSやインターネットの活用
  2. スタンス
  3. クロスボーダーな活躍
  4. インフルエンスからのムーブメント
  5. 提示からコミュニケーションへ
  6. オンラインとオフライン
  7. ネットワークの多様化

フォトグラファー2.0と言っても、実はここまで語られる時点で既にスタンダードなんですよね。ほんとうはこれから、3.0が語られるべき時代というのがこのエントリーのあるべき時代なんですけど、これまで2.0という事自体が触れられてこなかったように思うので(少なくとも自分の観測範囲内では)、一旦2.0について書いてみました。

そして、同時にフォトグラファー2.0が効果的に波及するためのはじまりとなるエントリーになれば良いなと思っています。

上にあげた特徴が全てではないですが、大きな特徴であることは間違いないので、自分のスタンスに照らし合わせて意識して活動していくことはなにかの指針になるかもしれません。

それではまた。次回はフォトグラファー2.0を紐解くキーワードをご紹介します。

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