フォトグラファー3.0を考える

こんばんは、QoLをあげるために睡眠の質をあげようと夢中になっていて、ここ最近は夜も眠れない日が続いています。これまでフォトグラファー2.0ということで、書いてきました。今回はこれから先の、フォトグラファー3.0を考えたいと思います。ちなみに、言うまでもないことですがこれは私が勝手に書いているだけの予想と傾向でしかないのであしからず。

フォトグラファー3.0を考える

まずはこれまでの内容を振り返ってみますか。

フォトグラファー2.0の特徴

写真以外の何かを使って価値化しようとするスタイルを2.0としました。今となってはその最大手としてインターネットやSNSを活用した価値化が誰にでも簡単にトライ可能という点が大きいのかなと思います。

  1. SNSやインターネットの活用
  2. スタンス
  3. クロスボーダーな活躍
  4. インフルエンスからのムーブメント
  5. 提示からコミュニケーションへ
  6. オンラインとオフライン
  7. ネットワークの多様化

フォトグラファー2.0を知る5つのキーワード

そして、フォトグラファー2.0を知るために、もしくはなりたいという人のためのキーワード5選。実はこれはフォトグラファーに限らず、SNSを活用するという意味では粋をあつめたキーワードになるのではないかなと思います。

  1. ティッピング・ポイント
  2. スタイル
  3. メディア
  4. 錯覚資産
  5. マルチコミュニティ

フォトグラファースタイルの遍歴

フォトグラファー1.0とは何だったのか

フォトグラファー1.0というのは、フォトグラファーの実体がなんであるか、どんな人物であるかということよりも、その写真がなんであるかという点が前に出ていたのだと思います。写真家よりも写真が前に出る時代。クリエイターよりもコンテンツが先にくる。もちろん写真愛好家の中では、この写真は誰某が撮ったというのは共通認識としてあったのだとは思いますけど。

逆に言えば、1.0として名を残すというのはそんなコンテンツファーストな時代であっても、コンテンツの影に隠れないほどの存在であったと考えることも出来るかもしれないですね。

価値化のチャネルを増やしたフォトグラファー2.0

兎にも角にも、これがフォトグラファー2.0となり、フォトグラファーと写真が横並びとなり、何ならフォトグラファーが前に出ることのほうが多かったりすることも日常的になってきました。世の中からのリアクションが個人に帰結して定着していく方向性がさらに加速していきます。

見えてきたフォトグラファー3.0の尻尾

例えばSNSは、読むことができて、書くことができて、さらに投稿することができれば道のひらける世界でした。あとはそれをどのように活用していくのかというところがポイントで、フォトグラファー2.0は多くの場合SNSを中心とした舞台を活用して自己を価値化することに長けており、ブランディングを多角的に行うことができました。一方で、SNSを利用しながらもコンテンツファーストでフォトグラファー1.0としてのスタイルを貫く人もいましたし、SNSではなく自己を価値化していく人も多くいいたと思います。

1.0も2.0も3.0も、いずれも時代と共にある切り離せない変化であって、時代を考えることがその先を想像する切符なのかなと考えています。

そういう意味で、フォトグラファー3.0というのは、すべてのコンテンツを自己に帰する人たちではないかなと考えています。

フォトグラファー3.0の傾向


フォトグラファー2.0が自己を多角的に価値化することに長けた者たちだとしたら、フォトグラファー3.0というのは、どうなるのでしょうか。

ユニーク至上主義

フォトグラファー2.0の世界では、SNS上におけるタグや一部のインフルエンサーへの憧れから誰もが同じような写真に憧れ模倣し同質化していく傾向があり、本人の立場やスタンスを問わずムーブメントの渦に飲み込まれていく傾向があったと思います。

フォトグラファー3.0では、写真の持つ簡便さに拍車がかかり同質化していくことが白日の下にさらされ、そこに気づいた人々がまず、ユニークネスを求めていく世界が想像できます。

写真表現の多様化

第5世代移動通信システム、通称5Gの普及に伴って、これまで当たり前だった多くの制限が覆る可能性があります。それほど破壊的なイノベーションだと言われていますが、これによって映像の閲覧という意味でも、いま障壁となっているようなモノはすべて取り払われ、テクノロジーはスチールよりもムービー支援という文脈で進化していくことが予想されます。

写真と映像の境界はより曖昧になって、写真家の表現が静止画の範囲でおさまるかどうかという点もポイントになりそうです。

仮に、無線ネットワークがSDカード並の速度で行えるようになった場合、シャッターを押した瞬間ネットワーク保存できるようになるかもしれません。その延長線上で映像の容量問題も解決して、そもそもシャッターを押すという行為が不要になり視点を回すだけになるかも?そしたらシャッターボタンのあるカメラはもはや嗜好品になるかも?どうでしょうか。

映像から静止画の切り出しが当たり前という時代であれば、我々はただ瞬間を押さえているだけで満足できるんだろうかと思います。例えで映像を出しましたが、他にも深度情報の有効活用など、写真表現を変えるだけの情報は他にもいくつかあるように思います。

そんなことが当たり前となった時代に、シャッターを押す人びとがオールドタイプと言われる未来がくるのかもしれないですね。それはそれでおもしろいけど。

まあ5Gと一口に言ってもゆるやかに普及していくので振り返ってみれば〜ということになりそうですけど。

マルチスキル

フォトグラファーとしての立身出世に励むフォトグラファー1.0や2.0が生まれた背景には、写真という行為の参入障壁が著しく下がったことが挙げられます。それから今ではデジタルカメラの出荷台数ピークも落ち込んではいるものの、スマートフォンをはじめとする写真が撮れちゃう便利なデバイスは日に日に進化しています。

もはや良い写真を撮って身を立たせるために、カメラをもっている必要がない世界に向かって進んでいると言えるのではないでしょうか。

肝心のクオリティも、カメラというハードの限界を越えて、データさえ残っていればソフトウェア側で向上できる可能性は充分にあります。Adobe Senseiが我々のデータを解析して今この瞬間も賢くなっているのは、そんな未来のためかも知れません。

そうなった時に、これまで写真ではないスキルをもって身を立たせていた人々が、自らフォトグラファーとなって、写真が持つメディア機能や表現機能を存分に活用し、フォトグラファー3.0と呼ばれる可能性も充分にあるように感じます。

写真ネイティブであるかどうかというのは、問われること自体が今は異端扱いですが、これが当たり前の要素になるかもしれないですね。このポイントについては、既に多く誕生しているところでもあります。

スタンスとポジション

フォトグラファー2.0の特徴でもそうですが、スタンスの表明というのがありました。いまも、その人のフィードをみて性格を察することができるように、SNSやインターネットが生活基盤となり、ネットワーク上でのコミュニケーションが当たり前になったとき、我々は当たり前のようにウェブ上の情報からメタ推理をして表現している裏まで察するようになってくることが想像できます。これはフェイス・トゥ・フェイスであれば、表情を読み取るということや身振り手振り仕草から言葉以上の何かを受け取るという進化に親しいものがあるのではないでしょうか。

今も一部のネットネイティブなフォトグラファーはその感度が非常に高いことから、巧みなブランディングをすることができているように思います。

フォトグラファー3.0は、このメタ推理が基本となった世界で生きていくのに充分な感度をもっており、明確に自身のポジションをとってスタンスを表明していくことが想像できます。自分が何者なのか、何故写真を撮っているのか、どの立場にいるのか。

写真を使ってこういったスタンスとポジションを獲得していく人たちは、出自が何であればこれまでの常識では考えられなかったところから気づけばフォトグラファーとして認識されるということになると思います。

現在見えているフォトグラファー3.0


現時点でも2.0の枠では語れないフォトグラファーは出現していると思います。ただ、この時代においては現在2.0で説明できないからといってそれが未来の3.0として代表的な特徴であるとは思いませんが、既に説明できないことは確かです。

一つは、1.0と2.0のハイブリッド。つまり、SNSを活用して多角的な価値を見出しているものの、その価値は写真コンテンツに帰結しておらず個人に帰結しているという人たちもいます。これはやはり2.0と3.0の狭間だと思うんですよね。また、マルチスキルという見出しで既にあげましたが、ソフトウェアによる支援があるとは言えまだネイティブフォトグラファーの領域を脅かすまでにはいっていない現代においても、写真をスキルの一つとして活用する人々も存在して、その数は日に増えています。

冒頭に、すべてのコンテンツを自己に帰する人たちと書きましたが、写真コンテンツ含む自身すべてから生まれるものを、コンテンツではなく自分に集約する人たちが3.0として活躍していくのだろうと思います。その中から写真という概念とテクノロジーとの折り合いをつけてアップデートする人もあらわれてくるんじゃないかなあとか。

自分自身を振り返る。

自分自身を単に振り返っても、非常に複雑です。

趣味として活動していた写真に多少の価値があるということをSNSを通じて知り、そこから写真業界に関わる仕事を増えたりする一方で、名前を伏せて撮影サービスを立ち上げて写真コンテンツの力で商業写真家として活動したり。

フォトグラファー2.0としてヒーコをはじめ様々な価値化をしていながら、レガシーに1.0的な取り組みにもチャレンジしているので。
こんどは自分のスキルすべてをつかって写真家としても活動しているのでわけがわからないんですよね。

未来を考えるということ

他にも考えたらいろいろありそうですが、未来を考えたときにフォトグラファーというのは今の形を保っているのだろうかということをよく考えます。これまでプロカメラマンと言えば想像できた働きは、多様化が発展して今まで以上に希薄化していってしまうかもしれません。

悲観的な意味ではなく、写真というのはとにかく懐の深い世界で、多くのことを食い合わせよく許容していくがゆえに様々なことに巻き込まれる宿命を背負っているように思うのです。それは写真が持つ機能性故のところもあるとは思いますが。

事実、自分自身も異なるキャリアからフォトグラファーにシフトして、落ち着く間もなくいまは、写真を撮るという行為だけではなく写真を使うという行為に仕事の範囲も拡がっています。

この話は尽きることがなさそうなので、また思うことがあれば書きたいと思います。では

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