二台のカメラから生まれるときめき。柴崎まどか | 写真家の機材

写真家の機材と作品の関係性について、インタビューを通して発見する新企画!写真作品と機材の関係性とは一体?ぶっちゃけそんなに関係あるの?撮影の裏側を知りたい!そんな気になるアレコレを、現在ご活躍中の写真家の方々に伺っちゃいます!普段見ることが出来ない写真作品の裏側を、フォトグラファーならではの目線でフォーカスする、記念すべき第一回目「写真家の機材」でインタビューさせて頂いたのは、柴崎まどか氏(@shibazakimadoka)!

柴崎まどか氏に、ヒーコのすーちゃん(@iamnildotcom)が根掘り葉掘り伺っていきたいと思います。

二台のカメラから生まれるときめき。柴崎まどか | 写真家の機材

柴崎 まどか

経歴

1990年生まれ、埼玉県出身、東京都在住。 雑誌、広告、カタログ、アーティスト写真など幅広く活動。 若山和子氏、小林修士氏などのアシスタントを経て独立。現在はフリーランスフォトグラファーとして活動中。 生きている人、動物、誰かが生活している場所を好み、ファッション、アートを取り入れた様々な切り口から撮影に挑み、写真展や写真集の発売など、自身の作品も精力的に発表している。服飾専門学校卒業後、アパレルデザイナーとして3年間勤務。在職中にWebデザイン を学び、並行して独学でDTPデザインを学ぶ。その後某大手アパレルメーカーに転職し、アートディレクション部署にてファッション広告のディレクション、デザイン業務を経験。その経験を活かし、現在デザイナーとしても案件を請け負う。

近年の実績

【Magazine】
Gina, JJ, Hanako, BRUTUS, WWD NY, The Forumist magazine, MY magazine, Splendor_magazine, 音楽と人, エンタミクス, Qetic, Cheki press, and more…
【Photo Book】
市川美織「なりたいの、わたし」, 笠松将「Show one’s true colors.」
【Fashion】
E hyphen world gallery, LEBECCA boutique, Haus deu kuchen, Last Virgin, dress ma liberte, and more…
【Exhibition】
2016.7.26-31 個展「Q.veil -クエスチョン.ベール-」 2017.10.25-11.5 個展「Show one’s true colors.」 2018.2.4-2.11 個展「CARIN25+1」

撮影機材

カメラ

  • メイン機
    • Nikon D800
    • Nikon D750(暗い時などに使用)
  • 旅行用スナップ
    • FUJIFILM X100S

ライティング撮影時のセット

  • カメラ
    • Nikon D800
    • Nikon D750
  • ライティング機材
    • アンブレラ
    • レフ板
  • アイテム
    • 物撮り用の白布
    • 三脚

機材の使い分け

[すーちゃん]

よろしくお願いします!それでは、まず機材について伺っていきたいと思います。撮る作品によってどう機材を使い分けていますか?

[柴崎]

メイン機がNikon D800で、カジュアルなシーン(プライベートの旅行など)は、写真家の相澤義和氏とTatsuo Suzuki氏からオススメ頂きFUJIFILM X100Sというカメラを使っています。これは色味が良くて、とにかく軽いです。デジタルっぽい綺麗な写りじゃないのが個人的に好きで!あと、暗い場面や感度をあげて撮影したいシーンではD750を使ったりして使い分けていますね。

[すーちゃん]

旅行とかになると大きいカメラは邪魔ですし、小さいカメラの方が使いやすいですよね!私も小さめのLEICA Qってカメラを使ってますが、柴崎氏の作品を見ていたらFUJIFILM X100Sめっちゃ欲しくなってきました…(笑)

機材は多い?少ない?

[すーちゃん]

ぶっちゃけ柴崎さんの作品は機材に頼っているイメージが無いというか、どんな状況でも良い写真を撮ってそうな感じがするんですが、撮影機材は結構多い方なんですか?

[柴崎]

う〜ん…そうですね、なるべく移動や撮影時の身軽さを考えて機材は少ない事が多く、身一つで行く事も多々あります。スタジオ撮影でライティングするとなったらライトやスタンド等も持っていきますが、ロケ撮影ならカメラ一つだけ持っていくとか、他に持って行ってもレフ板を持つか持たないかくらいの感じですね。その撮影に必要かどうかで、使い分けるというよりそもそも持っていかないという選択をする感じです。

[すーちゃん]

確かに、ロケの場合たくさん機材を持っていくのも大変ですよね、移動しかり。撮影の身軽さを重視するという事は、撮りやすさに繋がり、それは「撮りたい一瞬」を逃さない事にも繋がりそうです!

よく使うライティング機材

[すーちゃん]

ライティング撮影を行う場合は、何の機材を使うことが多いですか?合わせてその理由も知りたいです!

[柴崎]

ライティング機材は、比較的クリップオンストロボを使うことが多いですね。使っている理由は単純に安価だったからと、何と言っても軽いことです。大荷物で行きたくない・場所を取らない・フットワークを軽くしたい、となると小型で軽いクリップオンストロボが適していると感じるので。

[すーちゃん]

聞いている感じ、ライトの性能より軽さが大事で、あとは最低限使えるものであれば何でもOKそうな感じですね…!早くも機材あんまり意味ない感じ出てきてこの「写真家の機材」企画存命の危機ですが、撮影はフットワークの軽さが一番重要にしているところなんですね。

[柴崎]

とはいえ、クリップオンストロボ一つあればいいってわけでもないので大荷物じゃないとは言いきれないですが…。撮影のイメージによって、ストロボ直当て、銀アンブレラ、ルーセントで使い分けているので。例えば、ストロボ直当ては硬いパキッとしたストリートファッションのような撮影の時に使いますし、銀アンブレラは直当てより光の向きなどをコントロールしたいときに使います。大体サイドめに置いて被写体の側面に影を落としたい時、逆光にしたい時などで使ってますね。ルーセントはよりナチュラルな光をコントロールしたい時に使うという感じです。ただ、アンブレラを使う時は主に仕事で、それが必要な場合のみ使うので、あんまり作品撮りでは使わないですね。

[すーちゃん]

自分の撮りたいものと仕事の撮影は全く別物なんですね。好き嫌いとは別で、技術は仕事でどんなものでも対応できるように身につけているが、その技術は必ずしも作品で生きるとは限らないということですね。

お話を聞いていると仕事以外の自分が表現したい作品は、撮影機材を使用してどうこうより、撮影時のライブ感や身軽さといった感覚的なものに比重を置いていて、機材は柴崎氏において必要に迫られた時に最低限必要な分だけ使うスタンスで、機材を多く持って行って技術的にできることを増やすより、できるだけ機材を減らしていく事を大事にしているのかなって感じました。

機材の重要性

[すーちゃん]

柴崎さんにとって、機材はどのくらい撮影で重要だと思いますか?

[柴崎]

元々撮れればなんでもいいと思っていたんですが、最近自分の求める質感があるなあと今更ながら気づいて、それを表現するには機材選びであったり、光の当て方(ライトやレフ板でのフォロー)も重要だなって感じています。

[すーちゃん]

自分は、カメラだけ持ってあんなに良い写真が撮れるなら機材もういらないんじゃ無いかって思えてきましたけどね…。

自分らしい世界観の出し方

[すーちゃん]

どの作品を見ても一貫した「柴崎まどか」らしい世界を感じるのですが、撮影のこだわりや大事にしている事はありますか?

[柴崎]

撮影時に、特に気にかけているのは光の入り方、自分がときめく被写体の表情を見落とさないこと、あとはロケーションや衣装にも自分がときめくポイントを押さえておくことでしょうか。レタッチの段階では被写体の「肌色」にかなりこだわっています。

ときめきが重要

[すーちゃん]

その「ときめく」ポイントというのは、一体なんですか?

[柴崎]

具体的にときめくポイントは…例えば被写体の素が出た一瞬の表情だったり、普段見せないような顔をした時や、好みのファッションだったり、あとは懐かしさを感じる場所を見つけたりとか、光が綺麗に差し込んでたりといった点とかです。感覚的なところも多いから言葉に表せないんですが、グッとくるようなポイント、という感じですね!おそらく撮り手によって様々なときめくポイントがあるんじゃないかなと。

[すーちゃん]

私は柴崎さんの写真を見ているとときめくので、柴崎さんには、きっとときめくポイントを即座に見つける、もしくは作り出すスキルがめちゃくちゃあるんだろうな、と感じます。とても感覚的に、自分のセンスを信じて撮っていて素敵です。

作品制作に必要なもの

[すーちゃん]

良い作品を生み出すには、何が必要だと感じますか?

[柴崎]

自分がときめくものを探し続けることです。

[すーちゃん]

その言葉に最早ときめきを覚えます。良いと思うものを探し続ける、ゴールの無い探究心ですね。

撮影にあると便利なものやアイディア

[すーちゃん]

では次に、「これがあると撮影に便利!」とか「これをやったら上手くいった」というアイディア等はありますか?

[柴崎]

そうですね〜…、身近にあるものと被写体をかけ合わせると面白い偶然が生まれたりするんですよね。なんかかわいい、なんか好き、くらいの理由のないときめきが作品のアクセントになると思っていて。

あとは具体的に言うと、仕事の撮影時に物撮り用の白布があると結構便利です。よく、撮影中に「急遽物撮りも出来ますか?」って言われたりする事があるので、地面にそのまま物を置くのも申し訳ない状況があったりも。だから、まず白布は持って行って損は無いですね。しかも、その物撮り用の白布をたまたま作品撮りの時も持っていたので使ってみたらときめく作品になった事もあります。

他には、作撮りの時にカメラの内蔵ストロボを使うのも結構良いです。あの光が大好きなんですよね。内蔵ストロボが付いていないカメラだと使えないですが。

[すーちゃん]

備えあれば憂いなしどころか、思わぬ作品が生まれるきっかけにもなるんですね!きっちり決めすぎず、ジャストアイディアとその場にあるもので創造していく作品はまさに現場で作っているという感じですね。

理想の撮影スタイル

[すーちゃん]

自分にとっての、究極に理想だと思う撮影スタイルってありますか?

[柴崎]

作品にもよりけりですが、究極はやっぱり朝起きて天気がよくて「あ、写真撮りたいな」って思う時にすぐに会える人がいて、「ちょっとそこらへん散歩しようよ」っていう感じの撮影が好きです。

[すーちゃん]

胸熱すぎる…究極に自然体で、身軽に撮りたい柴崎さんらしさを感じます。

自分に必要なもの

[すーちゃん]

最後になりますが、今後自分が撮りたいもの。また、それに必要だと思うものはありますか?

[柴崎]

撮りたい方はたくさんいるので、自分が撮影できる立場まで登れるよう日々経験を積んでいきたいです。

[すーちゃん]

ときめき続ける柴崎氏の今後のご活躍をお祈りします!本日はありがとうございました!

作品ギャラリー

まとめ

今回のまとめ

  • 撮影時は、光、被写体の表情、ロケーション、衣装といったときめくポイントを大事にする
  • 現像時は、被写体の肌色に気をかけて仕上げる
  • 撮る作品によって、暗所に強いスペックのカメラを選択するなどして使い分けて撮影する
  • クリップオンストロボは「大荷物で行きたくない・場所を取らない・撮影時のフットワークを軽くしたい」という思いに応えてくれる
  • 自分の求める質感や光を表現するために機材を使用するようになった
  • 良い作品には「ときめき」が重要
  • 白布を持っていると結構便利
  • カメラの内蔵ストロボが大好き
  • 写真が撮りたいなと思った時にすぐ撮れる事が理想

柴崎まどか氏の使用機材

使用カメラ

使用レンズ

機材は最低限、ときめきは無限に。

今回柴崎まどか氏のお話を伺って、感覚的に撮るという事を一番にした撮影機材・撮影スタイルに、どう自分が撮りたいかが重要なんだなあと思いました。機材をたくさん持っていたって、技術があったって、それは表現したいものに必要無かったらいらないわけで。技術ばかりに頼ってしまう時は、一旦自分の良いと思うものに素直に、純粋に向き合ってみたいなと思わせられました。どの作品からも「同じ人が撮っている写真だ!」と感じるのは、きっとブレない撮影スタイルと「ときめき」から生まれているんでしょうね!

機材はそんなに重要じゃなく、「ときめき」が一番大事という事で、第一回目「写真家の機材」は締めくくらせて頂きます!次回は機材の活躍エピソードがあるのか…乞うご期待です(笑)

2019/01/16 文体のフォーマットをアップデートしました。
Pocket
LINEで送る

0 replies on “二台のカメラから生まれるときめき。柴崎まどか | 写真家の機材”