写真と生きる |「自分が思い描いた世界を目に見える形で表現できる。それが私にとっての写真。」

今回は主婦をする傍で写真制作を意欲的に行なっている宇賀地尚子氏と、ヒーコ黒田明臣による対談をお届けします。

宇賀地尚子X黒田明臣対談「自分が思い描いた世界を目に見える形で表現できる。それが私にとっての写真。」

写真をはじめた経緯

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[黒田]

こんにちは、宇賀地さんとは*東京カメラ部さん経由でお知り合いになって一年程でしょうか。こうして改まりお話を聞くというのも奇妙に感じますが、オーソドックスな質問からいきたいと思います。写真をはじめた経緯を教えていただけますか?

[宇賀地]

高校3年生のときでしょうか。リンゴの写真を撮って両親に褒められたことが全ての始まりなのは、間違いないです。両親がL版の小さなプリントを本棚に飾ってくれました。それが相当うれしかったというか、「あぁ、自分は写真を上手く撮ることができるんだ」ということを知りました。大学は、写真と関係のない英米文学科に通い、卒業後、カメラマンになろうと撮影スタジオにスタジオマンとして入社しました。
でも、面倒くさがりで打たれ弱い人間なので挫折、言い訳つくって逃げました。ただ、やはり写真は好きなので撮り続けてはいました。
結婚して子どもが生まれ、記録として子どもを撮っていましたが、本格的に撮影を始めたきっかけはSNS(Facebook)をはじめたことです。投稿した写真への反応。見てもらえる、認めてもらえるという確かな感触。
そして東京カメラ部さんの分室FINE ART TOKYO に投稿して10選に選出されたことが決定的でした。レベルの高い写真に囲まれ、より創作的な作品を撮るようになりました。

[黒田]

はじまりがリンゴとは、創世記を感じさせますね(笑)
しかもスタジオマンとしての経験もあったとは驚きました。これは自分も肌身で感じていることですが、インターネットの発展やSNSの台頭により写真の楽しみ方や、周りの人たちをはじめ見知らぬ人にも見て貰える機会が増えてくるというのは、改めて考えてみるとすごいことだなと思います。自分がこうして宇賀地さんはじめ前回、前々回にご登場いただいた別所さん、菊池さんと知り合えたりというのも東京カメラ部さんのつながりですし、やはり撮った写真を公開していくことは思わぬ幸せに繋がったりするのでやめられないですよね。

作品としての撮影

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[黒田]

ちなみに、お子さんや家族写真を撮る場合は、記録として撮影されている方が大半だと思いますが、作品として撮影されるようになった経緯はあるのでしょうか?

[宇賀地]

創作・作品として撮影するようになったのは、先ほども触れたSNSがきっかけです。海外の写真家の作品を目にして衝撃を受けました。合成や、微妙な色合い、質感。自分の中の「写真」に対する認識が大きく変わりました。写真ってこんなに自由でいいんだと思いました。Photoshopを使い始めたのも、こうした海外の作品の影響です。インターネットでチュートリアルを見て勉強しました。

[黒田]

なるほど。写真にたいして興味を持っていたからこそ、写真が好きだったこと、お子さんが生まれたこと、Facebookをはじめたことなど、全ての点が繋がったんでしょうね。

写真を撮る原動力

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[黒田]

しかし二人のお子さんを育てながら、写真のように時間もとられる趣味を持つというのは、中々難しいものがあると思うのですが、何が原動力なんでしょうか?

[宇賀地]

性格ですね。わがままなので、やりたいことは何としてもやりたいんです。写真を撮るのは楽しいです。自分が思い描いた世界を目に見える形で表現できるんですから。私の写真はとても個人的で内向的で独りよがりの作品なんです。写真に写っているのは色々なモデルさんで私ではないけど、そこに写っているのはある意味、私なんです。そして、それを見て良いと言ってくれる人たちがいて。要は、親に褒められた子供みたいな。ずっと子どものままの私が、認めてもらえたという実感を求めて撮り続けているのかもしれません。

[黒田]

そうした思いが自己表現としての写真に結びついているんですね。カメラの性能もあがっていること、値段的にも手が届きやすくなっていること、そして撮った写真を発表する場が多様化していること。こうした色々な世の中の変化によって、記録目的以外で写真をはじめる方は増え続けている気がします。自分もそのうちの一人ですし。

コンパクトなカメラを使うこだわり

[黒田]

ちなみにカメラの話ですが、写真に夢中になっていくと、その機材についてもこだわりを持ったり色々目移りしたりするものだと思うのですが、宇賀地さんはずっと小さいミラーレスのカメラを使っていますね。何かこだわりはありますか?

[宇賀地]

一番はカメラのデザインですね。かわいいのが好きなので。あと、軽いこと。大きな一眼レフってまず私には似合わないと思うんです。
あと、小さいカメラと大きいカメラで撮る作品の違いがあまり分かりません(笑)
そして予算。予算があればきっとどんどん色々な機材を購入することでしょう(笑)ストロボとか!!主婦なので、今のカメラを買うのさえ大きな買い物でしたから。あとは撮ったあとの作業の方が作品作りに占める割合が大きいので、編集ソフトは欠かせません。

[黒田]

意外とカメラの見た目って、画質とは特に関係のない部分なのですが大事なんですよね。
とくに、購入するとなった時には大抵の人が「自分には才能がないかも…」なんて思いながら恐る恐る買ったりすると思うので、画質どうこうよりも持ち運びやすさや似合うかどうかが大事だったり。宇賀地さんの写真はたしかに、カメラの性能というよりも編集や撮影時の世界観によって構成されている気がします。

作品のイメージ

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[黒田]

そこで写真作品について少しお聞かせください。 個人的な宇賀地さんの印象は、独特の色味もそうなのですが、小物や衣装など世界観が目を引きます。
一体どういう生活をして何を考えていたらああいう設定やイメージが思い浮かぶんでしょうか?

[宇賀地]

色味は海外作品の影響が大きいです。あと、音楽によく影響されます。音楽聴いていると、頭の中にイメージが湧いてきてメモします。それを再現したりします。深夜アニメもよく見ます。日本のアニメの世界観ってすごいですよ。

[黒田]

海外作品というのはダイレクトでわかりやすいですが、音楽やアニメというのはおもしろいですね。自分も映画や小説に影響をうけたりということは多いのでインスピレーションの源という点では、わかる気はします。アニメは見ないのですが、世界観の独創性はすごいですもんね。しかし宇賀地さんは写真関係なく昔からきっと変わった人だったんでしょうね(笑)

今後の展望

[黒田]

最後に、仕事について少しお聞かせください。 現在も既に、写真でお仕事にも結びついていらっしゃると思いますが、今後の展望などはありますか?

[宇賀地]

写真で子どもたちを食べさせていけるようになれたらいいなと思っています(笑)

[黒田]

いまのご活躍をみるとそんな日も近そうな気がします(笑)
主婦の方って明確な休みもないですし、毎日やることがあって基本的に忙しいですよね。そんな中でも精力的に活動されている宇賀地さんの姿は、色々な同じ環境にいらっしゃる女性の方々に刺激を与えているのではないでしょうか。
今回は貴重なお話をありがとうございました。

プロフィール

宇賀地尚子

神奈川県在住。非日常をテーマにポートレートを撮影しています。
撮影小物作りのセミナーや、ポートレートのワークショップを随時開催しています。
Facebook  https://www.facebook.com/lisasora628
https://www.facebook.com/darkness4548/?fref=ts
Instagram  https://www.instagram.com/takakougachi/
Twitter  https://twitter.com/ugachi_takako

クレジット

制作​ 出張写真撮影・デザイン制作 ヒーコ http://xico.photo/
カバー写真​ 黒田明臣
出演​ 宇賀地尚子
Biz Life Style Magazine https://www.biz-s.jp/tokyo-kanagawa/topics/topics_cat/artsculture/

参考

*東京カメラ部(日本最大の審査制写真投稿サイト。Facebookページとして運営を開始してから2年を待たずしてファン数は20万人を超え、2017年7月現在、東京カメラ部とその分室の総ファン数は300万人に及ぶ。)

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