すっかり過ごしやすい気候になってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。こんにちは、タンノトール(@tang40)です。
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO レビュー – OLYMPUSレンズの描写力 vol 6.
見たままに写し取る描写力
M.ZUIKO PRO F1.2 Prime Lenses F1.2大口径単焦点シリーズのレビュー、トリを飾るのはM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO。ポートレートではお馴染みの画角ですが…風景ではいかがなものでしょうか。まずは八丈島の海からご覧ください。
45mmくらいの焦点距離でこの波を撮ってると…けっこう怖いです。波が弾ける瞬間に合わせてシャッターを、露出は藍色に澄んだ海の描写が写せるように設定しました。一部白飛びしておりますが、肉眼での印象と合致しておりましたので善しとしました。八丈島・中之郷の藍ヶ江の堤防に上がり釣り人に混じって撮影していたのですが、よくよく見渡すとみなさん救命胴衣を着用しておりました。安全第一。すみやかに堤防の内側に降りました。

刻々と変化する天候の中撮影
八丈富士の麓のふれあい牧場からの海、右手の海面の反射は白飛びしてしまっています。曇天の夕方、雲の切れ目から射した陽光の乱反射、似たようなシーンでは雪景色がありますが、刻々と変わる島の天候に遂にピッタリとダイナミックレンジ内に収めることが出来ませんでした。ブラケットでHDRという選択もあったな、と今更思います。

描写破綻が少なく、撮影に集中できる一本
こちらは八丈富士からの八丈小島。同様に輝度差を収めきれておりませんが、暗部も明部も絵面が破綻するような描写はありません。さざ波に乱反射する光など、フリンジやピクセルの角落ち(ピクセルが四角く抜ける)の出やすいシーンですが、レンズ起因の描写破綻が少ないということは、その反面、撮影方法で対応策を試みる余地が多いということでもあります。複数の露出設定で撮影した画像を合成するなど、いろいろな方法が考えられますが何れにしてもセンサー自体の持つダイナミックレンジ、階調特性に応じて撮影手法を工夫できるという安心感(後処理に対する耐性が担保される)は、撮影に集中させてくれます。

気軽にスナップ撮影
ところ変わって横浜某所。きっと素敵なカフェなのでしょう…超朝型人間(26時起床)の僕には手の届かない11:00開店とのこと。透明なビニールと金属、椅子の赤が妙にフェティッシュな印象を感じました。

繊細な質感描写
最短撮影距離は0.5m、グラス底面の光のボケと、水の表面に写る青い反射の揺らぎ、ピントピークの質感描写に繊細さを感じます。OLYMPUSのレンズ群の中では柔らかい描写になるように思いますが、けっして精細感は損なわれていません。

シリーズに共通する自然なトーン表現
雪面の柔らかな描写、なだらかなトーンと木々の精細感に加えて、遠景(木)から超遠景/無限遠(空)の唐突な距離差のある部分のトーンの自然な繋がりは、M.ZUIKO PRO F1.2 Prime Lenses F1.2大口径単焦点シリーズに共通する特色と言えるでしょう。

適度なボケが被写体を浮かび上がらせる
とあるレストラン(宿泊可・予約必須)のエントランス。これは…生ハム?窓越しに中央の金属プレートにフォーカスしました。薄い被写界深度でなければ写り込みと相まって乱雑な絵になるところですが、適度にボケてまとめることが出来ました。

製品レビューを終えて
もっと撮りたくなるF1.2大口径単焦点シリーズ
製品レビューは終えましたが、まだまだ使い込んでみたいと思わせるスペック以上に使い勝手の良い、撮影機会を増やしてくれるF1.2大口径単焦点シリーズでした。このシリーズを使ってみて激しく実感したのは、低輝度なシーンでの色再現が素晴らしかったことです。レンズではなくてセンサーの問題なのですが、実際の運用においては、絞りを開けてセンサーに届く光量を増やすというチカラ技が使えるようになったということですから、センサーの問題をレンズで解決したと言っても過言ではありません(言い過ぎ?)。ともあれ、あらためてOLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIの良さを実感致しました。今回のレビューを終えて、マイクロフォーサーズもレンズとカメラ、どちらもボトルネックになることなくポテンシャルを発揮できるシステムになったのだなぁ、としばし感慨に耽っておりました。
次回のレビュー予定
次回は「ヒトをダメにするレンズ」(笑)との異名をとる最強の手ぶれ補正&高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」をレビューしたいと思います。