ポートレートのライティングスタートアップガイド!自然光とライティングの違い

こんにちは、黒田明臣(@crypingraphy)です。永遠と部屋に引きこもりながらMTGと作業祭りを毎日開催中の愉快なオモチャと化していますが、撮影するのもスタジオに引きこもることが多いので、いよいよ日の目を浴びることも少ないリア充生活を謳歌しています。ストロボ光は浴びていますが、太陽の光とはまた少し質が異なるため、光合成が最近はできていないかもしれません。

光合成派のみなさんからは「スタジオだとロケーションに比べて、ライティングのハードルが高いから敬遠してしまう」という声をよく聞いたりします。よくよく聞いてみると、光は一つのほうがシンプルでわかりやすいからという理由が多いような印象です。

ですが、太陽が一つでも光は一つではありません。我々が普段から撮影する環境は光が複雑に反射しあって構成された空間であることを、自覚されていない方は多いのではないかという印象です。この点においては、自然光よりもむしろライティングのほうがシンプルだと思いすらします。こちらもとても奥の深い世界ではありますが、光のコントロールができて、かつ再現性が高いというところなど、取り入れてみると強い味方になるのがライティング。ライティングを覚えることは、光を見極めることに繋がり、自然光時の撮影にも大いに役立ちます、カメラが光によって描く装置である以上、ライティングへの理解は写真撮影への深い理解につながるのではないかなーと考えています。

自分がこれまでどうにか写真で仕事をできているのは、少なからずライティングでの撮影を得意としているというところですが、つい最近販売を開始した「ヒーコライティングスタートアップガイド」では、自分の基本的なライティング思考をすべて出し切っているので、詳しく知りたい方はそちらで存分に見てみていただきたいです。
正直あれだけみたら、勘の良い方であれば自分を越えることはイージーです。センスという不確かな変数はともかく、必ず誰でも到達できるレベルとそのための知識はすべて詰まっているからです。
せっかくなので、今回はその内容の一部を特別に紹介していこうと思います。ライティングスタートの一助になれば幸いです。

自然光について

太陽は一つでも、光は一つとは限らない


例えば街中でのポートレートを考えたとき。自然光というのは反射しあう光が混在しているので、シンプルに太陽の光だけがまっすぐスポット的に、カメラのフレーム内に降り注いでいるという環境はまず考えられません。太陽は一灯だから一灯ライティングという考えを唱える方もいますが、少なくとも自分には理解できません。

光は離れていればいるほど照射範囲が広がります。太陽と地球までの距離は、1億5000万キロメートルらしいですから、当然それだけ離れている太陽から降り注いでいる照射範囲は地球規模です。
被写体や背景にあたっている光は、ダイレクトな太陽光だけではなく、壁や地面、自身の服や雲、遠くに見える山々など、非常に多くの光が反射しあってフレームの中を満たしています。
それが直射光でなくとも、我々が目に見えているということは影すら何かしらの光があたっていると考えることが自然です。

これをストロボで考えてみると、せいぜい被写体との距離は数メートルです。
照射範囲を太陽光と比べるまでもないことはわかりますよね。
つまり太陽光のように、環境の反射までを理解してそれを再現しようとしたときには、人工光だけでは足りないと考えるほうが自然であり、太陽光を再現するからこそストロボが一灯では足りないということもありえるのです。

このように、ライティングであっても環境光や自然光との対比で洞察することを、ライティング思考力であると自分は考えています。

自然光とは

自然光、つまり我々の日常にある光というのは、太陽の直射光はもちろんのこと、そこから反射されて色や性質が変化された様々な光がMIXされている状態を指します。曇りであっても厚い雲の向こうに太陽があって、そこから強い光が雲を透過して色や性質を変えて地上に降り注いでいるからこそ、私たちは様々な物事を視認することができます。正確には月明かりも自然光かもしれませんがそれは置いておきましょう。

環境光という人工光について


環境光と呼ぶときにはどうでしょうか。これは自然的な太陽などに限らないその場の環境にある光と考えるのがもっともしっくりくるのではないでしょうか。

人工光と言うこともできるかと思います。蛍光灯・LED・白熱灯・蝋燭の光などなど。人工光でも自然光同様に色温度や性質が異なっています。光が混色したり、いくつかの光が混在したりし、これはこれで面白い表現ができますが、微妙なバランスというところで色が変わってしまったり、演色性と呼ばれるような色の再現性が優れなかったりする特徴もあります。また、自然光とかけ合わさって環境光というように考えることもできますね。

※ 演色性とは、光がある物体を照らしたときに、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質のこと。

ポイント

  • 光源と被写体までの距離による影響を考える
  • 光の性質や色などは変化する
  • 自然光やストロボ、環境光の違いを理解する

ライティングについて

再現性を理解する


こちらの写真は、密室のスタジオでライティング撮影をしています。窓からの光などは完全にシャットアウトしているので、外がどんな天気でも関係ありません。天候に影響されることなく、光を作り出せるというということは再現性が高いということです。
また、当然ライティング用の光ですから演色性にも優れているので、肌のトーンから影までを含んだ絶妙なグラデーションまでを表現することができます。
自分がライティングを好む理由の一つは、仕事における再現性だったりするのですが、理由はもう一つあります。

最初のうちは右も左もわからなかった効果を肌感覚で理解できるようになってくると、光の照射範囲や自然光と比べた強さ、そして柔らかさなどのイメージができるようになって、写真がまた一段回楽しくなったのです。

光を洞察する

必ずしもライティングにおいて自然光を再現する必要はありませんし、それは並大抵のことではありませんが、自然光を深く洞察してライティング思考で考えることは重要です。
ライティングにおいては光が、単に直接「あたっている」、「あたっていない」だけで考えがちですが、それだけでは不十分です。直接あたっていないようでも巡り巡った光が被写体に影響していることを理解するだけで、おそらく三段階くらいステップアップできると思います。
強い光をあてればあてるほど、直接光があたっていない箇所にも強い光が求められます。写真はコントラストということですね。

例えば、自然光で考えると太陽のように強力な主光源がある場合には、反射だけでも必要な光を得られますが、ライティングの場合は補助にあたる光が別途必要になるのです。

ポイント

  • 再現性によってライティングのメリットを享受できる
  • 撮影のための光なので演色性や光の質的に優れている
  • 自然光を基準に考えるのであれば、ストロボが一灯では足りない
  • 光の強さではなく、輝度差やコントラストで考える

日中シンクロで作った自然光セット


例えば、こちらの写真は曇りの日に自然光で撮影していますが、柔らかい光が蔓延している中で、被写体に硬い夕日のような光を再現することで、実際に夕日と雲からのスカイライトが同時にあるような状態を再現することができました。(空をみると曇っていることがわかります。)

しかし、これをライティングで曇りの光部分まで再現しようと思うと大変です。

ポイント

  • 表現したい光をイメージする
  • 自然光の中で足りない光を補う
  • 機材で補える光を把握する

今回のまとめ

理解した先にある表現

光を理解すると、撮影する前から「この環境でどういった撮影ができるか」と想像することができるようになります。それは同時に、何ができて、何ができないか、難しいか、やりやすいかが判断できるということになります。そうすると、準備もスピーディになるし、それ以前に撮影場所選びもきちんと必要な場所を選べるようになります。

どれが良い、悪いではなく、自分の表現をしたいものはどれかということを知ることで明確になることもあるかもしれません。

光の質を知ることで表現の幅が広がる

いろんな光を知るとそれぞれどう活かしたらいいかと考えて、落とし込むようになるので結果、いろんな光を撮ることができて表現の幅がぐんと広がります。ちなみに僕は広がり過ぎて収集がつきません。

今回記事で紹介した光の質やライティングの具体的なセットの組み方などは、ヒコマートで販売予定の動画の方で詳しく紹介する予定です。気になる方は発売をお楽しみに!

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