こんにちは。撮影会の前日はいつも小さい子のようにドキドキしちゃって眠れないマクロ写真家の長瀬正太(@syouta0002)です。今回は撮影会やSNSのコメントなどでたまに頂く「どうしたら柔らかくて優しいマクロ写真が撮れるんですか?」というご質問にお答えしてみようかと思います。
今すぐ試したくなる!マクロ写真をふんわりと優しい雰囲気に仕上げる2つのテクニック
柔らかい光を狙う
「おぉ、柔らかい光を狙えば柔らかい写真になるのか。なるほど!」「って、当たり前じゃ!!」という声が聞こえる…。では、具体的に柔らかい光を捕まえる方法にクローズアップしてみましょう(汗)
曇りや雨上がりを狙う
まず私が柔らかい光でマクロ写真を撮りたい時は曇天の日や雨上がりを狙って出かけます。なぜかといいますと太陽の直射日光が雲を透過することで柔らかい光になるからです。雨上がりはそのまま曇っている事が多く、なおかつ花に雫がついている事があるのでさらにオススメです。
日向と日陰での写真比較
※2枚とも同設定で撮影後、無調整状態 左:日向 右:日陰


日向側の写真は直射光が入り、強い明暗差が出来てしまい柔らかい光になっていない。
対して、日陰側は明暗差が少なく柔らかい光で撮ることが出来ている。
日陰の花を狙う、自分で影を作る
また曇っている時に出かけたのに晴れてきた。ですとか、事前から日程の決まっている撮影会の際に晴れちゃっている時はなるべく日陰の花を狙う。もしくは自分で影を作ります。
近くに建物や大きな木がある被写体を探すと日陰になりやすいです。また、マクロ撮影の場合は被写体に近づいている事が多いので自身の手で影を作ったり「太陽を背に」して自分の身体や頭で影を作るのもオススメです。
このようにして柔らかい光で撮る。もしくは柔らかい光を作り出すことが法則1.となります。

ハイキーにする。
「おぉ、ハイキーにすれば優しい色の写真になるのか。なるほど!」「って、そんなにプラス補正したら白飛びしまくっちゃうんじゃ!?」という声が聞こえる…。
では、引き続き具体的にハイキーにしていく方法にいってみましょう(汗)
+0.7~+2ほどのプラス露出補正
まず私はマクロ写真の撮影時にはほとんどの場合「+0.7~+2ほどのプラス露出補正」をしています。
※露出モードを絞り優先オートモード、かつ、画面全体の光を測るマルチパターン測光にセット。
この露出補正によりハイキー(カメラの示す適正露出よりも明るく撮る)な写真が撮れます。ハイキーにすると色が淡くなりカラフルな花の色などはパステルカラーとなり優しい印象となります。
またこの時、ここまで大きくプラス露出補正をしても明暗差の少ない柔らかい光で撮っていることが白飛び回避に繋がってくるのです。

手ブレに注意
この時、絞り優先オートモードで撮影している場合は手ブレに注意しましょう。なぜかといいますと、暗い日陰で写真を大きくプラス露出補正して撮る。ということは光がたくさん必要になりシャッタースピードが遅くなりがちだからです。
その場合は「沢山シャッターを切ってブレない1枚を抑える。」もしくは「ISO感度を上げる。」といった方法(こちらの記事も参考にどうぞ。)で手ブレを回避していきましょう。また、次項でも解説しますが「レタッチで後から明るさを補正することを前提にプラス補正の値を控えめにしておく。」という方法もオススメです。
レタッチで柔らかく優しく仕上げる
ぎりぎりまで明るくプラス補正
まず画像編集ソフト(私の場合AdobeCameraRaw)を使用してさらに白飛びしないぎりぎりまで明るく露出補正します。この時、ACRの場合は基本補正の中のハイライト補正(マイナス補正でさらに白飛び回避)も利用する事もあります。この辺りのハイキー具合は好みだと思いますが自身で「やりすぎかな?」と思ったら数値を引き戻して下さい。ただ、この時点で花の色がパステルカラーで柔らかく優しいイメージに仕上がっていれば成功だと言えるでしょう。
「明瞭度」をマイナス補正
最後に「明瞭度」という項目をマイナス補正(-10程度)します。
※「明瞭度」はAdobeCameraRawやLightroomCCのパラメータ項目の一つ。
明瞭度のマイナス補正はシャープネスとは逆の機能でほんのりと柔らかいイメージに仕上がります。普段は余りこの項目をマイナスに動かすことはないと思いますが「より柔らかく優しく」という意味では ほんの少しのスパイス といった感じで写真に効いてくると思います。
レタッチ参考例
レタッチ前

パラメータ設定例
レタッチ後
どうでしょう。白飛びすることもなく柔らかく優しく仕上がったのではないでしょうか。
注意点
水滴や雨濡れ注意
私自身は小雨が降ってきたり止んだ直後などは「よし、柔らかい光と雫も狙えるマクロチャンス!」ということで喜び勇んで家を飛び出ていきます。ですが、そういう日はレンズ周りについた水滴や機材の雨濡れに注意が必要です。デジタルカメラは精密機械な上に電気を使っていますからショートしてぶっ壊してしまわないように細心の注意を払って撮影するようにしましょう。
※防塵防滴仕様ではないカメラ&レンズやオールドレンズなどで撮影なさっている方は特に注意して下さい。
そのための装備(雨合羽・カメラ用のカバー・タオルなど)をカメラバッグや車に準備して出掛けることもオススメします。
まとめ
では、今回の「柔らかくて優しいマクロ写真を撮るためのたった2つの法則」をまとめてみましょう。
柔らかい光で撮る。もしくは作り出す。
ハイキー。
さらに、レタッチでもぎりぎりまで明るく補正することと「明瞭度」マイナス補正でさらに柔らかく仕上げましょう。また、雨上がりは柔らかい光と雫チャンス!ですがカメラの雨濡れには最大限注意しましょう。
ぜひこれからの季節に次々と咲く花達を撮ってみて下さい。また「柔らかく撮れたぁ♪」という1枚には #ヒーコ や #長瀬流 とハッシュタグを付けてSNSに投稿してみて下さい。どこからともなく私が現れて「いいね!」と言って去っていきます(笑)