光と影で料理を美味しそうに見せるコツ!光の種類と特徴の解説から扱い方まで

はじめまして、Nana*(@necozalenky)です。ヒーコでは初寄稿なので、簡単に自己紹介を。普段はテーブルフォトを中心に、フォトグラファーとして活動しながら、AURORAというライフスタイルセレクトショップを営んでいます。詳しくは、以前「写真家の機材」で取材していただいたときの記事があるので、そちらを参考にしてください。

ヒーコでは、これからテーブルフォトに関するテクニックなどを紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

初回は、自然光を使った光と影の基本的なテクニックについて解説します。

はじめに

料理をおいしそうに見せるためには、光と影を意識することが重要です。光と影を上手に使うことで、おいしさの表現が広がります。撮影にあたって考えることは、料理のどこをどう表現したいかです。見せたいポイントはどこなのか。ツヤなのか、色なのか、立体感なのか、具体的に何を優先すればその料理はおいしそうで魅力的に見えるのかを考えましょう。

料理がもっとおいしそうに見える光と影の関係

こんなに変わる!光の当たり方による印象の違い

ではさっそく、光の当たり方によって写真にどのような印象の違いが生まれるのかを見てみましょう。今回は違いがわかりやすいように、被写体の影がはっきりと出るように撮影し、部分補正などもせずに仕上げています。

(1)サイド光で撮影
(2)半逆光で撮影

(1)の写真はサイド光、(2)は半逆光で撮影したものです。

クロワッサンに注目すると、どちらの写真も光が当たっているほうとは反対側に陰影があり、立体感が表現的できています。色を比較すると、(1)の写真のほうが焼き色が綺麗に表現できているのがわかります。ツヤはどうでしょうか。コーヒーを見ると、(2)の写真のほうが、はっきりハイライトが入っています。その他、アサイーボウルのアサイーやクロワッサンを見比べてみても、半逆光のほうが食べ物の持っているツヤ感が伝わりやすいことがわかります。

順光と逆光の比較

今度は順光と逆光を比較してみましょう。

(3)順光で撮影

(4)逆光で撮影

(3)の順光で撮影した写真を見てください。光が当たっている部分は色を表現できるので、クロワッサンも、サラダもイチゴも、しっかりと色が表現されています。プレートも濃く写っています。しかし被写体の後ろ側に影ができるので、立体感を表現しにくく、フラットな印象になりがちです。影が完全に隠れずに器の上側に少しできていて不自然な感じがしませんか。写真の天地が逆なんじゃないかという気さえしてきます。

(4)の写真は、逆光で撮影したものです。手前に陰影があり、クロワッサンの色が綺麗に表現されているとは言えませんが、ツヤはしっかりと表現できています。

また、この4枚はそれぞれテーブルの色味やプレート、ガラス器も異なって見えますね。半逆光や逆光のほうがテーブルもプレートも光を反射して白っぽく写っています。自然光で撮影すると見落としがちなことかもしれませんが、料理そのものだけでなく、器やテーブルがどう写るかということも、料理が引き立つかどうかに影響しているのです。

影があるからこそ、おいしさが際立つ

もう少し踏み込んで、影について考えてみましょう。

影を意識した写真と、光のみを意識した写真を比較してみます。(5)の写真は光と影の両方を意識して撮影したもので、(6)の写真は光のみを意識して撮影したものになっています。

(5)光と影を意識して撮影
(6)光のみ意識して撮影

トップのイチゴやバナナの辺りに注目すると、影を意識した(5)の写真はしっかりと陰影があり、立体感が表現されています。一方、(6)の写真はややフラットな印象を受けます。

どちらのほうがおいしそうに見えるかを考えてみましょう。

料理写真はリアルなほうが、臨場感を与えられる

料理写真はリアルなほうが、目の前にあるような臨場感を与えることができて、よりおいしそうに感じられると私は考えています。この写真の場合、パンケーキもフルーツも実際に立体的なものなので、写真にしたときも立体的に見えたほうがおいしそうに感じられます。

また、暗くなっている影の部分があるからこそ、光が当たっているトップのイチゴなどがより引き立ち、おいしさが表現できています。

実はこの2枚の写真、コントラストにも違いがあり、左の写真のほうがイチゴの赤さやツヤが右の写真よりも表現できています。光の入り方を少し変えるだけで、色や明暗のコントラストにも違いが生まれるのですが、それはまた次回、説明したいと思います。

光を使いこなすにはフルーツを使った練習がおすすめ

光を上手に使えるようになるためには、同じ被写体を、光の入り方を変えて撮り比べることです。光による写真の見え方の違いが身につくまで、繰り返し撮影してみましょう。その練習の題材に特におすすめなのがフルーツです。理由は4つあります。

フルーツがおすすめの理由4つ

  1.  固形物であるため、陰影を表現しやすい。
  2.  種類にもよるが、色がはっきりしていてわかりやすい。
  3.  水分を含んでいて、ツヤ・瑞々しさを表現しやすい。
  4.  種などがあり、ディテールを表現しやすい。

このように、フルーツは光の向きによる印象の違いがわかりやすいものが多いのです。なかでもイチゴは、1~4の全てに該当する、表現の違いを実感しやすい、おすすめの被写体です。

まとめ

写真の印象は光で大きく変わります。いつも光と影を意識して撮影することを心掛けるようにしましょう。光はどこに、どのように当たって、被写体や背景はどう見えているのか。影はどう落ちているのか。見せたいポイントを押さえながら、一つ一つに気を配ることでより良い写真が撮れるようになるものです。

今日よりも明日の朝食が、もっとおいしそうに撮れますように。

  • サイド光を使うと、立体感と色を再現できる
  • 食べ物の持つツヤ感を出すには、ハイライトの際立つ半逆光
  • 順光はフラットな印象に
  • ツヤ感は出せるが、色があまり出ないのが逆光
  • 光と影の両方を意識する
  • 実際に立体的なものは、写真でも立体感をだしてリアルにする
  • テーブルフォトの練習にはフルーツがおすすめ

より詳しくテーブルフォトを学びたい人はこちら

最終更新日:2021年8月12日
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