今回はハードル高め。「トリミング」のお話をToru TANNO @tang40がお送りします。トリミングとレタッチの深い関係の一端をお見せできればと思います。
トリミングとレタッチの深い関係
トリミングとは
「トリミング=任意の部分を切り取る」と単純に考えてください。
ナナメった写真の角度を変える(角度補正)のも切り取られる部分があるので含めます。
※レンズプロファイルによる歪曲補正は除きます。
今回の写真はコチラ
今回も撮影は「THE あきりんくろそん」先輩。
もうなんか出来上がっちゃってますね、いじるとこない。
絵作りが撮った時点で完成しちゃってる。これをレタッチするといってもまあ、やることほとんどないわけです。
試しにWBを調整してみた
この構図である限りたぶんこれがベストな状態。
試しにWB(ホワイトバランス)をちょっと変えて微調整してみました。
やっぱ元のほうがいい。
プリントする際は縦横比に注意
ただ、これをA4にプリントするとかスライドショーにして動画素材にするとなると…
余白を作ってノートリミング or 仕上げの規格に合わせてトリミング、となるわけです。
写真の縦横比(アスペクト比)と紙の規格とは違いますし動画だってHDだ4Kだと縦横比バラバラ。
例えばメジャーなプリントサイズ、「A4」だと横が短くて「4K」だと縦が余る、
この余剰を単純にカットしてしまうと当然ですがバランスが変わります。
プリントサイズの例
A4サイズ
4Kサイズ
トリミングを効果的に使ったレタッチテクニック
色調補正
彩度を落として暗くする
で、作例なんですが。
この写真このままだとどうやっても絵になってしまって作例にならない(ちょっと作例に使わせていただくのもったいない… 笑)のでちょっと小細工。
調整レイヤー「白黒」を描画モード「乗算」で使って彩度を落としつつ暗くして…
暗くした状態に合わせてカラーコレクション(色調補正)しました。
今回ここは主題ではないのでさらっと流しますが
「大枠で色/露出を決めて、それに合わせてレタッチをする」場合、
一番上に全体の色調補正を持ってきて下層に差し込むように部分的な補正を作っていくと、
状態が把握しやすくなるので結果的に不要な絵崩れを避けられるように思います。
色調に合わせて補正
画像全体でみると、なんとか光が回っているかな… くらいです。
つまり縦とか横とか明るいところをカットしちゃうと暗くなりすぎてしまう状態。
(ちなみに。ここまでは作例を解りやすくする為にやっていることなので皆さんはわざわざこんなことしなくて良いです。なぜ書いた… ???)
A4にトリミング
やっと本題。まずはA4、お馴染みのあのサイズ。
思い切って縦位置にトリミングしてみました…
背景の明るい部分がなくなって、なんというかくらい写真になってしまいました。
バランスを見て光量を調整
描画モード「ソフトライト」でグラデーションツールを使い明暗を書きます。
白黒のグラデーションを引くだけでOK。いい感じの明暗差ができるまでトライ&エラー♬
目安としては元の写真の光量。
全体の光量が元の写真を上回ることのないようにやんわりと引ければよろしいんじゃないでしょうか。
ここではトーンカーブで中間域を少し足して「ほんの少しだけ」煌びやかな光になるようにしています。
出来上がり♪
4Kにトリミング
そして4K(DCI)。これは横長ですね。バツっと切るとこんな感じ。
拡散光を足す
上下を切ったことで奥行きまでなくなってしまいました。
向かって右手前、人物の肩に当たる光がなくなってしまったのが大きいと思います。
さらに上部にこの写真の一番明るい部分も切れてしまったので一層暗い印象になってしまいました。
トーンカーブでぼんやりと明るさを足して。
幅を広げて、横に青い光を足す。
なくなった奥行きの替わりに広がりをつくります… ヲイって思いました?
空間の広さの印象を元の写真と同じくらいにしたかったので、
物理的に足りない上下で無理に「奥」をつくるよりも「幅」を出した方がいいかな?っていう判断をしました。
横方向に走る、二本の光の帯状に選択範囲をつくって「境界線をぼかす」→複製して描画モード「加算(リニア)」→不透明度を調整してA4と同じく(印象として)全体の光量が元の写真を上回ることのないようにしました。
出来上がり♪
最後に
トリミングは最も効果的なレタッチのテクニックです。
色を変えたら構図を見直す、
あるいはトリミングに合わせて色調補正やシャープネスを調整するというのは基本中の基本、
「いいんだけどちょっと腑に落ちないなぁ」
っていう時にほんの少しトリミング(角度補正含む)するだけでビシッと決まったりすることがほんとうに多いのです。
あと特にプリント作品、写真(被写体)に合った縦横比で仕上げると一段とよくなりますよ!!
それではまた。
次回予告
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よくあるといえばよくある「あーしてこーして」の対処方法(仮)