こんにちは、月間1万枚の撮影というノルマから、毎日3,000kcalの摂取へと日々の目標が緩やかに移り変わりつつある昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。黒田明臣(@crypingraphy)です。今日は、自分が普段質問される回数ナンバーワン、「肌のレタッチはどうしているんですか?」に対する回答を用意すべく、ちょっと肌レタッチで使用しているツールについて少しずつ不定期で書いていこうかなと思います。
肌レタッチ、はじめの一歩
一般消費者として世の中にあふれる広告写真などをみると、均一に整いながらもきちんと肌感の残った写真を目にする機会というは非常に多いものの自分でやろうとすると中々難しいものがありますよね。自分が、写真をやりはじめて最初にぶつかった壁でもありました。結論から言うとこれは撮影時点から色々と気をつけなければならない点があるのですが、同様にレタッチに於いても正しくツールの特性を把握して、レタッチにかけられる時間と自分のレタッチスキルを鑑みて効率的に選択していかなければなりません。
繰り返しになりますが、撮影時の光に対する理解と、レタッチの両輪がうまくバランスをとってようやくあのような肌質を持った写真ができるという点を理解する事は大切です。自分はプロのレタッチャーではないので、技術的にはまだまだなところも多く、使用する範囲でしか学べていないですが、その範囲でいくつかご紹介していきたいと思います。今回はツールについて。
本記事のポイント
ぱぱっと全て書けたら楽なんですが、中々深い話になるので、今回はポイントを絞ってお話します。
- Adobe Photoshopを使う理由
- 肌レタッチの心構え
- 使用するツール
Adobe Photoshop
当たり前の話しすぎて飛ばしてしまいそうなところですがソフトウェアについて。
これはAdobe Photoshop一択というのが現状だと思います。Lightroomの明瞭度やスポット修正ツールを利用する方もいらっしゃいますが、いずれもマイクロレベルでの作業を考えると正確性や精度やりやすさに不安があり、自分は一切使っていません。とくに肌のレタッチなど、繊細な作業を要求される場合にはやはり、Photoshop一択ということになると思います。むしろ他の選択肢があれば教えてください :O できれば無料で。
Adobe Photoshopを使う理由
Adobe Photoshopを使用する理由ですが、それは以下の点に集約されます。
- 強力なレイヤー機能
- 様々なマスク機能
- 修復・復元系ツールの豊富さ
部分的に任意の箇所の修正を、効率的に高いユーザービリティで実現できるのは自分の知るところAdobe Photoshopのみです。
他にもフィルター機能の有効利用で、肌レタッチを実現する手法も数多くあります。
ぼかし(ガウス)フィルターや、ぼかし(水面)フィルターなど。
これらもキレイな肌再現という目的のためには効果的ですが、今回はできるだけ非破壊でナチュラルな質感を再現するためのツールをご紹介します。
肌レタッチ前後
レタッチ前後の例


下記にご紹介するツールを利用して実際に肌をレタッチした例です。
片方のツールのみを使いこなしてできなくはないのですが、それは前述したように、正しくツールの特性を把握して、レタッチにかけられる時間と自分のレタッチスキルを鑑みて効率的に選択していかなければなりません。
例えば卓越したスキルがあればおいしいペンネアラビアータを素材からつくることもできます。
しかし、それができない、または作る時間がない人は、市販のアラビアータソースを使う。それと同じことですね。
そして、レタッチのみならず写真において100%の正解はないものだと思って取り組むことをおすすめします。
肌レタッチで使用しているツール
使用しているツールをご紹介します。
- コピースタンプツール
- 修復ブラシツール
- ブラシツール
はい、おそらくは殆どの方がこの両方かどちらかを利用していると思います(笑)
基本なんですね、しかし基本がやはり大切。これらのツールをケースバイケースで使い分けて行うことが大切。
そのあたりは深遠な話になってくるので、本記事では取り扱いませんが、どういったツールで実現されているのかという点を知っていただければと思います。
コピースタンプツール
まずはコピースタンプツール、古くからPhotoshopをPhotoshopたらしめるツールの一角として、存在感を放ちまくっていますが、やはり肌レタッチにも欠かせません。
基本的な概念はこうです。
任意の場所(サンプルポイント)を選択して貼り付け(ペイント)する。
また、コピースタンプの強力なポイントは、任意のブラシプリセットを作成・使用できる点です。サンプルポイントを選ぶ際に硬さや透明度、流量、さらにはモードなどを調整して使用することができるんですね。これにより精密な修復ができるようになります。
しかし逆に言えば、ブラシ先端を調整せずにデフォルトの状態で使用すると、上記写真のようにコピーした境界がクッキリとわかってしまって手間がかかります。
これは等倍以上で行うピクセル単位の調整には良いのですが、縮小された画像で行う場合には荒が目立ちすぎてしまいます。
※実際コピースタンプツールを利用する際は、ブラシプリセットを用途に合わせて更に調整します。
そのような問題を効率的に解決したのが以下にご紹介する修復ブラシツールです。
修復ブラシツール
修復ブラシツールでは、コピースタンプと違いブラシプリセットを使用することはできません。
代わりに、自動でサンプルポイントとペイント部分の境界を程よく調整してくれます。
サンプルしたピクセルの、テクスチャ・明るさ・陰影を修復先のピクセルと自動で一致しようとしてくれるので、比較的大雑把なサンプルの貼り付けを行っても自然にシームレスな修復をしてくれます。
こちらが同じポイントを修復ブラシツールで行った例。
コピースタンプのデフォルト状態と違い、自然な修復になっていますね。
ただし、マクロ撮影など比較的被写体を拡大したような画像で大きく使用してしまうとPhotoshopでシームレスに自動修復してくれる境界がボケてしまうので不自然になってしまったりするので気をつけましょう。
まさにそこがコピースタンプツールとの使い分けにもなります。
パッチツール
修復ブラシと同様に、シームレスな修復をしてくれます。
修復ブラシツールとの違いはサンプルポイントの選び方。
修復ブラシは、ブラシとあるとおりブラシストロークでの修正が可能ですが、パッチツールは選択ツール内のなげなわツールと同様の方法で任意のポイントを囲って移動することで修復してくれます。
スポット修復ツール
スポット修復ツールでは、全てを自動で修復ポイントのみをブラシで選択すると、サンプルポイント自体を自動で検出してくれます。
これはもっとも効率化されたツールですが、正直なところ肌補正のように精細な結果を求められる場合で活躍する機会は少ないかなと思います。
青空の中で、小さい白い雲を削ったり、水面の小さいゴミを多数とったりするなどの場合には良いかもしれません。
ブラシツール
そしてブラシツール。
こちらもコピースタンプツールと同様に、というか当然なのですがブラシプリセットを細かく設定できます。
しかし、ただ上塗りしているだけなので使い方は気をつけなければなりません。
こちらが他の二つのツールと同様の箇所をブラシツールで修正した例。
流量や不透明度を調整しています。
このような小さな修復であればブラシで意外とかんたんになおせてしまいます。
ブラシの使い方は奥が深いので、ここではあまり触れませんが選択肢の一つとして検討してみると、幅が広がると思います。
まとめ


参考写真を上述のツールで修正した例。
この記事のアイキャッチにもなっている写真ですが、僅かに肌の感じがちがったりしているのがわかるでしょうか
かなり縮小してしまっている画像なので分かりづらいかもしれませんが、神は細部に宿るというように、細かい調整の積み重ねが最終的なクオリティを支えてくれます。同じようなことをイチローも言っていました。いやしかしイチローが言っていたというだけで説得力のレベルが数次元あがりますね。
ということで、まとめです。
アンチパターン
- コピースタンプをデフォルトの状態で利用する。
- Lightroomの明瞭度では繊細な修復が難しい。
- ぼかしフィルターなども用途を間違えると不自然な質感になってしまう。
ポイント
いずれのツールの利用でもそうですが、等倍表示のみで行っていると木を見て森を見ずといった状況に陥ってしまいます。拡大や縮小を繰り返しながら、全体と細部を程よく把握してレタッチしていくことが肌レタッチを行うポイント。また元の画像が悪ければどんなにキレイにレタッチをしても、縮小した時にツルツルなお肌に見えてしまったりします。これは自分も陥りやすく、プリントでは肌の質感も生きているものの、SNS用の画像では質感のない一枚に仕上がってしまうといった例ですね。
質感がなくても良い写真は良いのですが、自分が求めていた表現が描写できていないようであればそれは改善したいですよね。そのあたりのバランスも考えながら、やっていくと良いと思います。
またブラシプリセットして更に、ペンタブなどを利用してレタッチするとやりやすいですね。
今回はツールの紹介でしたが、次回は実践的な内容を書いていきたいと思います 🙂
ではまた桜の咲く頃に。
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