はじめてみよう流し撮り!必要な3つのポイントを完全解説!

流し撮りに必要な3つの・・・

動くモノなら何でも流す、流しのカメラマンUzzyです。皆さまごきげんよう!流し撮りを上手く撮るコツの一つに「息を止めて撮る」というのがあるのですが、こないだ気が付いたら家に帰って撮った写真を現像してる時にも息を止めていて酸欠で倒れそうになりました(笑)。さて今回は流し撮りを始めるにあたって、最初に必要となる3つの要素について解説したいと思います。

何を流すか(被写体)

流し撮りで重要なこと1つ目。それは被写体、そう、何を流すかということです。
流し撮りができる被写体の絶対条件はただ一つ。その被写体が動いているということです。身の回りの動いているものであればなんでも流し撮り可能!とはいえ流し撮りに向いている被写体とそうでない被写体があります。

例えば、音速に近いライフル銃の弾丸のように、とても小さくかつ速すぎる被写体はピントを合わせるのが困難な上、人間の力ではカメラの振りが弾丸に追いつかないので流し撮りには不向きです。逆にゆっくりと進むカタツムリのように、遅すぎる被写体も通常のシャッター速度では背景を流すことが困難なため、流し撮りには不向きです。そういった意味で適度なサイズ適度な速度で動く被写体を探すことが流し撮りのはじめの一歩になります。

ただし、被写体の速度と被写体との距離は相関関係にあり、シャッター速度が一定の場合、とても速い被写体でも遠距離で撮ればカメラの振りは小さくなり、背景の流れは少なくなります。また逆にとても遅い被写体でも至近距離から撮ればカメラを振る量は大きくなり、背景の流れも多くなります。例えばシャッター速度1/30秒とした場合、300km/hで走る新幹線を通過するホームで流し撮りするのはかなり難しいですが、数キロ離れた場所からであれば難易度がぐっと下がり十分にチャンスがあります。

シャッター速度:1/15秒、絞り:f/5.0、ISO125
70-200mmレンズ使用:焦点距離150mm

そして動く被写体の条件としてもう一つ大事なことはその動きの再現性です。2回、3回とその動きが再現されることで、次に動き出すタイミング、速度がある程度予測できるようになり、また繰り返し流し撮りの練習を行うことができます。例えば同じコースを何度も周回するサーキットは同じ被写体で何度も練習できるのでおススメです。逆にもし一度きりしかないチャンスに流し撮りを強行するには、相当の技術を運と度胸が必要となるでしょう。

シャッター速度:1/20秒、絞り:f/10、ISO100
400mmレンズ使用

これらの条件を満たす被写体をまずは身近なところで探してみてください。一般的に被写体となりやすいものは、鉄道、クルマ、バイク、ヒコーキ、自転車など、乗り物系が多いですね。車輪、タイヤがついている乗り物は上下動が少なく進行方向も予測できるので、流し撮りをしやすい被写体と言えます。走っている人や馬なども人気ですが、動作に上下動が入るのでスローシャッターにすると被写体ブレを起こしやすくなります。

また野生の動物や小さな子供などは動きが予測しづらいので難易度は高いです。そして我らが日本流し撮り研究所でもネタ的に定番なのは回転寿司(笑)。最近食べてないのでその写真はまたいずれ。普段の生活の中に意外とよい被写体が隠れているかもしれません。

被写体選びのポイントまとめ

  • 小さくかつ速すぎる・または遅すぎる被写体は不向き
  • 適度なサイズと適度な速度で動く被写体を探す
  • 被写体の速度にあわせた適切な距離を取る
  • 動きに再現性がある被写体であれば、練習やベストショットを追い込む事が可能
  • 動作に上下動が入る被写体は被写体ブレを起こしやすい
  • 野生の動物・小さな子供などは動きが予想しづらく、高難度

何処で流すか(背景)

さて被写体が決まったら早速撮影に移りたいところですが、意外と見落とされがちな重要な要素があります。それはその被写体をどこで流すか、そう、背景です。流し撮りは背景が流れることで成立する写真です。流れていることがわかり易い背景を選んで撮影しましょう。例えば雲一つない青空背景をバックにヒコーキを流し撮りすると、どんなにスローシャッターを切っても背景の流れが表現されにくいため、高速シャッターで写し止めた写真と代わり映えがしません。同様に夜空や波の無い海、サーキットでもアスファルトのみが背景となるような、上から見下ろすアングルなどは注意が必要です。

シャッター速度:1/80秒、絞り:f/7.1、ISO160
70-200mmレンズ使用:焦点距離200mm

順光の夏の芝生や森の木々など、緑は経験上比較的流し撮りに向いている背景だと思います。カメラの彩度を強めに設定して流すと鮮やかに写ります。建物では原色の壁や屋根など、人垣もカラフルな洋服の集団がいればよい背景です。夜であればイルミネーションはおススメです。また、同じロケーションでもわずかな角度の違いによって写り込む背景が変わってくるため、流した時により写真映えする角度を探しましょう。

シャッター速度:1/6秒、絞り:f/9.0、ISO400
70-200mmレンズ使用:焦点距離173mm

被写体がやってくる前に狙ったシャッター速度で背景だけを流してみて、色味や明るさなど確認することはとても有効です。

背景選びのポイントまとめ

  • 流れていることがわかり易い背景
  • 順光の夏の芝生や森の木々など、緑は鮮やかに写りやすい(彩度の設定を確認する)
  • 建物では原色の壁や屋根などがおすすめ
  • 人垣ではカラフルな洋服の集団などがいればおすすめ
  • 夜であればイルミネーションがおすすめ
  • 同じロケーションでも流した時により写真映えする角度を探す

何で流すか(カメラ)

さて、被写体と程よい背景が見つかったら、いよいよ被写体の動きに合わせてシャッターを切る時です。最後に必要となる要素は当然カメラです。ヒーコ読者の皆さんであれば、カメラはスマホだけ、という方は少ないかと思いますが、流し撮りにあたって最低限カメラに必要な機能は、シャッター速度を変更できること。シャッター速度優先モードもしくはマニュアルモードの設定のあるカメラが必要です。

そしてもう一つ、AF(オートフォーカス)モードに動体予測モードが使えることです。動いている被写体はカメラとの距離が連続的に変化するので、ワンショットAFでピントを合わせると、シャッターを切るまでの間にピントがズレてしまいますが、動体予測オートフォーカスではシャッターを切る直前までオートフォーカスが動作するので、ピントが外れる可能性が低くなります。

普段キヤノン機を使用しているので、カメラは1DXですか?と聞かれることが多いですが、違います。確かに1DXやD5、α9などの各メーカーのフラッグシップ機はオートフォーカス性能が抜群に高いですが、最近の日本メーカーのカメラであれば、入門機であっても十分な動体予測AF機能を有しており、流し撮りは十分可能です。ただし、ミラーレスカメラは一眼レフ機と比較すると現時点では動体予測AFの追従性やファインダーのレスポンスなどで若干のデメリットがあります。特に高速で動く被写体はその差が顕著ですが、やがて技術進歩によって解消されるものと思います。

シャッター速度:1/20秒、絞り:f/6.3、ISO800
16-35mmレンズ使用:焦点距離16mm

そしてレンズに関しても大口径の望遠レンズなどをイメージする方が多いかと思いますが、流し撮りに明るいレンズは必須ではありません。シャッター速度を遅くするために絞り込むことが多くなるため、むしろ小口径レンズの方が有利な場合もあるくらいです。焦点距離については被写体との距離が遠ければ望遠、近ければ広角が基本となりますが、遠景であっても広角で背景を盛大に流すなどケースバイケース、意外と標準ズームが一番便利だったりしますので、キットレンズしか持っていない方でも流し撮りは十分に楽しめます。

あ、一つだけ追加で用意いただきたいオプションはNDフィルターです。これは日中にスローシャッターを切るために必要となります。詳細はまた別途書きますが、ND8、ND16程度のものが使いやすいです。

機材選びのポイントまとめ

  • シャッター速度優先モードもしくはマニュアルモードの設定のあるカメラ
  • AF(オートフォーカス)モードに動体予測モードが使えるカメラ
  • 入門機であっても流し撮りは十分可能
  • ミラーレスカメラは一眼レフ機と比較すると現時点では動体予測AFの追従性やファインダーのレスポンスなどで若干のデメリットあり(フラッグシップ機等は除く)
  • 明るい大口径レンズは必須ではない。小口径レンズの方が有利な場合もある。キットレンズも可
  • 焦点距離については被写体との距離が遠ければ望遠、近ければ広角が基本。遠景であっても広角で背景を盛大に流すなどケースバイケースの場合もある
  • 日中にスローシャッターを切るためにNDフィルターが必要。ND8、ND16程度がオススメ

最後に

以上、流し撮りにまず必要となる3つの要素についてお話しました。あえて個人的優先度を付けるとすると、「1に被写体2に背景、3,4がなくて5にカメラ」というところです。若干流し撮り技術から遠ざかってしまっていますが、前回もお伝えしました通り、流し撮りは練習を必要とするスポーツです。カメラでっかち技術でっかちにならないよう、何度撮っても楽しめて、失敗しても挫けず撮り続けられる被写体と背景に出会いましょう。
さてそんな話をしながらも次回はいよいよお待ちかね!?具体的なカメラ設定やテクニックについて書こうと思います。

シャッタースピードの芸術流し撮り!一味違う撮影テクニックで目立つ写真を生み出そう!

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