ポートレートフォトグラファーが厳選!フィルターで表現する美しいぼかしや滲みの表現。

どうも小林修士(@ShujiKobayashiP)です。ヒーコで先日アクリル板を使った表現を記事にしましたが、今回は更に多くのフィルター表現についてご紹介したいと思います。光学フィルターの面白さを少しでも皆さまに味わっていただければ幸いです。

ポートレートフォトグラファーが厳選!フィルターで表現する美しいぼかしや滲みの表現。

クロスフィルター

自分が様々なフィルターを使用するようになった発端は、ミストグラデーションフィルターが始まりです。そのフィルターを使用してから、他のフィルターにも興味が湧いてきました。具体的にどういった効果を求めていたかというと映画で見るような横向きに光線が入る「レンズフレア」のような効果が出るものを探していました。

最初はフレアが出やすいオールドレンズを使用する事も考えたのですが、レンズを揃えるのはお金がかかり過ぎます。そこで、フィルターで似たような効果を出せるものがないか探している時に見つけたのが、クロスフィルターでした。

通常のクロスフィルターは光源に対して光の筋が上下左右の4方向、もしくは斜めも加わって6および8方向に出るものでした。しかし僕が求めていたのは光源に対して1方向、上下もしくは左右のみに光の筋が出るようなものでした。

多くの種類がある中でクロスの方向を十文字から一直線まで自由に変える事のできる、ケンコーのバリクロスという商品を見つけました。フレアのような光の滲み方が魅力的で、このフィルターを多用するようになりました。

ちなみに現在使っているのは、cokin 058 スター2というフィルターです。

光から影へ、滲みがみせる表現

さて、次にこのクロスフィルターを使った時に出る効果を解説します。

使ってみて分かったのは、このフィルター効果がはっきりと出るのは光と影の明暗差が強い場所でした。たとえば、この作品の場合は窓の外のハイライトの部分と、窓枠や髪の毛の暗い部分など、コントラストが強い場所に光のにじみが入っているのがわかると思います。

またこの写真のように、画面上に点光源がある場合はイルミネーション写真のようにはっきりとした光の筋が出ます。クロスフィルターはその設計上、フィルター自体を回転させる事ができるので光の筋が流れる方向を好きに決められるのです。この写真の場合は左の窓から光が差し込んでいるようにしたかったので、右斜め下に角度をつけました。

その他の光学フィルター

ミストグラデーションやクロスフィルターを使い、光学フィルターの面白さに目覚め、他のフィルターも試してみました。例えば、このフィルターはcokinのマルチイメージ5というもので万華鏡のような効果がでます。これ以外にも色々な特殊効果のフィルターを見つけては試していました。

Model : Sayu
Instagram : @sayu_watanabe

ソフトフォーカスフィルター

同じ頃、デビッド・ハミルトンの写真も気になりだしました。ハミルトンはイギリスの写真家でソフトフォーカス表現を使い女性を美しく撮影する事で有名でした。

その儚く霞んだ感じは僕がre-flectionの作品に求めていたものと同じだったので、真似るような形でソフトフォーカスのフィルターを使い始めました。

現在使っているソフトフォーカスのフィルターは下記の二つになります。

  • MC プロソフトン(A)N
  • cokin 830 ディフューザー1

上記の二つは、フォーカスの合わせやすさと光の滲み具合が秀逸で、現在も使用しています。

美しいぼかしを演出するソフトフィルター

この作例を見ていただくとはっきりと効果が現れるのは、クロスフィルターと同じように強い光が入っている場所です。光が暗い部分に滲み出て包み込むような美しい効果が得られます。

僕がソフトフォーカスのフィルターに求めているものは、光のにじみが美しく全体的に軟調な感じではあるけど、ピントはしっかりときているものでした。フィルターの作例を見比べた結果、上記の二つがかなり理想に近いものでした。

またこの写真のように強い光が入っていない場面でも、ソフト効果がかかっているので画面全体に微かに滲みが出て柔らかい雰囲気になり肌が美しく見えます。

ワセリンとアクリル板

さて上記のようにデビッド・ハミルトンの作風に影響を受けて、ソフトフォーカスフィルターを使い始めたのですが、彼の写真をいくつか見ているうちに気がついた事がありました。それは写真によってはソフトの効果が画面全体ではなく、一部だけにかかっているという事でした。

この手法について、彼自身が明言した事はないそうなのですが、ネット上の憶測を読む中で興味を引いたのがワセリンを使った方法です。

これはワセリンを使って部分的にボカすという方法ですが、直接レンズにつける訳にはいかないので透明なアクリル板を使います。そこにつくかつかない程度の少量のワセリンをボカしたい位置につけて指で伸ばします。

その指で伸ばす際に、画面に対して横に伸ばすか縦に伸ばすかでクロスフィルターのようなソフトフォーカス効果を出す事もできます。また、見せたくないものが写っている部分をボカすのにも使えます。

Model : Am
Instagram : @am_0903

撮影風景

おまけに、作品撮影風景を掲載します。ヒーコ編集部に取材として同行いただき、撮影してもらっています(記事中の機材写真についても同じく)。

まとめ

  • フレアのような効果が欲しいならクロスフィルター
  • クロスフィルターは明暗差の強い所に滲む効果が現れる
  • ソフトフォーカスフィルターは光が滲むような表現になる
  • ワセリンをアクリル板に塗って一部をボカす
  • ワセリンは工夫次第で様々な効果を出せる

最後に

10年近く(と言っても撮影回数はさほど多い訳ではないです)撮影を続けてきた「re-flection」というこの作品で色々な効果を試してきました。また試していな方法は沢山ありますし、新しい機材を見つけるたびに次は何を試すか考えると、楽しみでしょうがないです。

みなさんもいろいろと試して新たな表現方法を見つけると、撮影が楽しくなるかもしれません。

展示情報

今回、記事の中で紹介した「re-flection」シリーズの作品を展示する運びとなりました。このチュートリアル記事を読んで、少しでも作品に興味をお持ちになった方は、是非こちらの展示も見にきて頂けると嬉しいです。

展示 : 小林修士写真展「re-flection」
日時 : 2月28日(金) – 3月8日(日) 13:00-19:00
場所 : 神保町画廊
住所 : 東京都千代田区神田神保町1-41-7安野ビル1階
電話 : 03-3295-1160

小林修士写真展「re-flection」

記事内で紹介された機材はこちら

バリクロス

cokin 058 スター2

MC プロソフトン(A)N

cokin Z830 ディフューザー1

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最終更新日:2021年8月12日
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