自然光でポートレート撮影をしよう!光の種類と捉え方。

自然光のお話。

LR現像編と、光についてをtwitterでアンケートしたら、光についてが多数だったので自然光編としてまとめました。

気が向いたらストロボ編もやりますかね。
で、この種の話は、ネット上にいくらでもあって、自分が写真をはじめた頃に眺めた記憶もあるわけです。
順光はこうなって、逆光はこうなる。とかですね、そういうのをみても「ああ、なるほど、そいうもんか」
となるんですけど、まあそれで終わるんですよ。そこから先にいかない。自分に照らし合わせる事はないんですね。
理由の一つには、参考写真が全然ピンとこないんで、「ここでレフを使うとマシでしょう?」と書かれても「別に」となる。
それでもやっぱり、何となく、逆光が好きとかそういう好き嫌いが撮っていくうちに出てくるから、どうにか克服しないといけない。

じゃあ、順光は苦手だから順光は避けるのか?と言うと、それはどうも嫌だ。
如何なる状況でも、自分が納得できる写真を撮りたいし、撮れるようになりたい。
昔は自分も、苦手な光と得意な光があったけども、いまはそうでもない。

どんな絵にしても良いのであれば、大抵の光で自分なりにまとめられるようになってきた。
周りにも、順光が苦手とかピーカンが好きじゃないとかいう人もいるので、そのあたりの事をまとめようと思います。。
自己流な経験則を元にしているので、参考程度にしてくださいね。

光が硬い/柔らかい

上が光の硬い写真例 / 下が光の柔らかい写真例

硬いとか柔らかいとかどういう事かというと、上の二つのように
陰影がはっきりしているかどうか、明るい場所から暗い場所への変化が唐突かどうかとも言えて
それはつまり、階調がどうとかないとかいう話にもつながってきたりしますね。

そして当然色味などにも影響してきて、光が強いと色も濃くでたりします。

光が硬いとは

これは光が硬い写真の例ですが、左側がほぼ真っ暗ですよね。
日中で光があたっている部分に露出を合わせると、暗い部分がより暗くなってしまうので、こうなるわけです。
左が硬いということはつまり、それだけ光が強いので、明暗差も激しくなり影も濃くなります。

こうなるとレタッチが大変だったり、色が強烈だったりと、光が硬い写真はあまり好まれないですが、オレはこうやって影あそびをしたりするので好きだったりもします。

ここで大切なのは、影が濃く出るという言葉には少し語弊があって、例えば、皺や肌の荒れなども暗部として、濃くでるってことなんですよ。いわゆる物陰だけじゃなくて、そういう細かい粒度でも写真からみたら影、皺の凹凸による影なんです。
一般的に、光が硬いということはあまり好まれていなくて、そういう細かい暗部がはっきり出ちゃうからってのも一つあります。

明るい部分が明るく、暗い部分が暗くなる。それはつまり高コントラストの写真ともいえますね。

カメラが露出を合わせるのに苦労する場面でもあるので、質感を残したければ測光をハイライト側でするようにするなどの工夫も必要ですね。

  • 硬いというのは、影がはっきりしている
  • 光と影の変わり目が急激
  • 高コントラストの写真になりがち
  • 直射日光であったり、光が強い時
  • カメラ標準露出をとるのに苦労する。
  • ハイライトに露出を合わせる。

光が柔らかいとは

これは光が柔らかい例で、自宅のベッドで夕日頃の時間。
太陽が既に、沈む側のビル群や山に隠れかけている時なので、直射日光ではなくなって広がってる感じですね。
肌もすこし艶っぽくなり、充分な光もある。

朝陽や夕陽は、こういう効果があるので好まれていいて、オレも例外ではなく好きな光です。
とにかく光がやわらかいということは陰影がゆっくりと変わります。
これはどういうことかというと、レタッチや現像の際にコントラストを高くすることもイージーってことですね。

光が硬いと、レタッチで無理矢理階調を与えようとしてもダイナミックレンジの壁にぶつかり
そもそも大して修正できないってことがおおいんですが、
柔らかい光であればダイナミックレンジの許容量内で撮れるので、後からいじりやすいというのも大きい。

光が柔らかいというのは、拡散されたり反射を繰り返し弱まった光なので、その原理を覚えていれば自分でそういう状況にもっていくということもできるわけです。

  • 光が回っている時
  • 光がたくさん拡散/反射している時
  • 光が弱い時
  • 低コントラストの写真になりがち
  • 後から現像で高コントラストにすることも容易。

光の向き

光の向きがはっきりしていて、わかりやすいのは、直射日光やストロボを使っている時
えてしてそういう時は、光は硬くなりがち。
わかりづらい環境でも、主光源はどこで、光の向きは何なのか理解するのは非常に大事だと思う。

よくわからない時は、モデルに立ってもらって、自分とモデルがぐるぐる回りながら写真を撮ってみたらわかるんじゃないかな。

オレが光の向きをかんがえる時は、強風が来たって考えるんですよ
強風が来たら物陰に隠れて、ズラがとれないように必死になりますよね。
その、物陰だと思ったところが影です。

順光

chaki

まあこんなの言うまでもないことなんですが、一応書いておくと
自分の背に、主光源(太陽・ストロボ)がある時、つまり被写体は正面から光をうけるわけですね。
正面から光がくるとすると、ほとんど影っていうのはできないから平面的な写真になる。

強風がきても隠れるところがないんですよね。完全にブルース・ウィルスです。

順光の時は、モデルの顎をあげたり下げてもらったりして影をつくったりすると良いですね。
昔、オレは順光があんまり好きじゃなくて、つまらないと思っていたんですが、いまはけっこう好きです。
光と影を意識しやすかったり、影をうまくつかったり、わりと楽しいです。
コツは、出来る限り光が柔らかくなるように工夫するとか。
神に祈るとかですかね

順光の特徴は、影を使いやすいことと、もう一つ、瞳の色がキレイにでるということです。
ここでカラコンをしていたりすると、カラコンの幾何学的な形で目障りになっってしまったりするんですが
裸眼でいると、ものすごくキレイにとれます。

  • 自分がよくやる影を使った写真は順光の事がおおい。
  • 光が柔らかくなるような工夫が必要。
  • 明らかに順光とわかるシーンでは光が強い場面がおおいので注意。

逆光

逆光!これはけっこう好きな人おおいんじゃないかなあー
オレも昔は好きで、よく逆光狙いで撮ったりしてたなあ。
いまはそんなに好き嫌いがないので、そこまで狙ったりはしないんですけど。

これもまあ言うまでもないことなんですが、自分の正面に主光源があることを逆光といいますね。
順光と同様に、明らかに逆光だとわかるという事は、光が強く硬いとも言えますね。
そうすると、同様に露出合わせるのも大変だし、何より順光とちがってAFだとピントも合わせづらいので注意です。

露出はマニュアルでやって、ピント合わせにマニュアルでやることをためらわない。
あとはライブビューでピント合わせをするなど、工夫するといいですね。
いつまでも粘った所でダメなものはダメなんで。

逆光の特徴としては、ドラマチックに仕上がり、後ろから光があたっているので立体感がでる。
髪や服などのエッジ部分はほのかに明るくなって、目立ちますね
これが汚くみえてしまう事もあったりするので注意が必要だけども、良い演出になっている。

この参考写真は、かなり強い逆光で、白飛びしかけている部分には太陽があります。
そうすると本来、被写体の顔は真っ暗で何もみえないんですが、今回艶もありつつ
被写体の顔がはっきりしているのは、頭で太陽を隠して撮りました。これだけでもだいぶ違うんですよね。

更に、シャドー側に露出を合わせた上で、-0.7くらい下げる。
シャドー側に露出を合わせるだけだと明るくなりすぎるので、そこから少しSSをあげる感じですかね。
そうすると、カメラの性能にもよりますが、充分復元可能なシャドーの階調は残したまま撮影できます。

  • 被写体の頭や、木々、建造物などで太陽を隠そう
  • 露出は自分で調整しよう。
  • 神に祈ろう
  • AFが合わなければライブビューやMFで

斜光/側面光

そろそろ飽きてきたんですが、斜光/側面光というのは、まあ横だったり斜めから光があたってるってことですね。
これもよくやるんですが、半分影になるので印象的なライティングになります。
よく言うレンブラントライトなんていうのもそうですよね。

この例も斜め後ろから光があたっています。
モデルのお腹に血管がういているんですが、これが順光だと影にならないので強調されないのです。
そこを血管横からあてることで、際立たせたりしました。

斜光というのは、自然光だとあまり印象的ではないかもしれないですが、ストロボを使ったりすると、斜光のおもしろさがよくわかりますね。

真上/トップライト

これはあんまり気にする人いないかもしれないですが、真上に光源があるときですね。
参考写真は、自然光ではなく駐車場の上にあった照明なんですが、印象的ですよね。
とにかく個人的には好きで、かっこいい!というイメージ。あんまり女性にやっても喜ばれないと思いますけど。

オレはやります。喜ばれなくたっていいので。

ゴッドファーザーという映画で、このトップライトは効果的に使われていて、自分はそこからインスピレーションをうけて
ストロボでやってみたら、ビンゴだったんですよね。目というのは、写真の印象を決定づける大切なパーツという点において
誰もが納得だと思うのですが、このトップライトだとくぼみが影になって、目はみづらくなってしまうんですよね。

それでも余りある力をもったライティングだと思ってます。

快晴時の対処法

この日はピーカン。時間帯にしても11時頃で、光が強くつらい。
はっきり言って写真を撮るような日じゃなかったんですよ。
そういう経験は誰にでもあると思います。

ピーカンとは”ピーカンとは快晴のことで、もともと映画業界が撮影時に使っていた言葉である。
ピーカンの語源は快晴の空がタバコのピース缶の色に似ていたという説、
快晴の日はカメラのピント合わせが多少曖昧でも完全に合うことから『ピントが完全』を略したとする説、
単純に太陽の光が「ピーンと届いてカンカン照り」を略したという説など様々だが正確なことはわかっていない。”

出典:http://zokugo-dict.com/27hi/p-kan.htm

※萩庭桂太先生(http://keitahaginiwa.com/#yeo)に教えていただきました <3

 

以前のオレには好きじゃない撮影が二つあって

  • ピーカン
  • 街撮り

この日は、その両方が重なった撮影。
しかし当時のオレは、苦手な二つの条件を克服したいとも考えていて
街撮りや日中の撮影を、あえてしていた時期でもあって、これ以上ない練習日和だった。

克服するためにためした事は三つ

  • 露出オーバーにならないようにNDフィルター
  • 障害物を利用する。
  • 光ではなく影をみる。

これだけ光の事を書いておいてあれですが、そういう時は影をみるようにします。
影になっているところで撮影する!これが一つ、あとは明るすぎてISO/64でも辛いのでNDフィルター着用。
更に障害物などの目に見えないバウンスや影を意識する!

この写真は、順光気味な斜光で、NDフィルターを9stop!
更に自分の背後と太陽の間にある街路樹の前にモデルはいてもらって、
あとはとにかく露出を下げる。

夜の写真に思われるけど、真っ昼間の写真なんですよ

光のコントロール

この写真もピーカンの状態でとにかくつらかった。
そこで、竹やぶの中にモデル二人を突っ込んで、光が拡散するような場で撮ることにしたんですね。
ちょっと配置を変える。これだけのことで、それなりに絵になる。

この写真もピーカンです。

更に順光で、光が強すぎて話にならない状態。
モデルも、目を開けられないので、どうしようというところで、
他の写真のように障害物も竹やぶもない砂山。

なので、自分が影になりました笑
太陽とモデルの間に立って、モデルにはしゃがんでもらい
自分の影で撮ったんですね。

みてもらうと影になっていない部分は、白飛び気味ですが、そうでないところは階調が残っている。

この写真なんかもピーカン。
先ほどのCHANEL写真と同じですが、これは陸橋の下にいって
直射日光を避けました。
陸橋の柱がレフ板になって、良い感じにバウンスしているのでモデルの顔まで照らしつつ
斜め横からの斜光にもなっているので、立体感がでてますね。
代わりに陸橋の横側が明るい感じになります。

ということで、まとめると、光のコントロールと言っても
かつては神と崇められた太陽をコントロールすることは無理。
自分が動こう。

何でも人を変えよう変えようとするが、人を変えようとすることよりも自分が変わった方がたいていの物事は解決するのです。

僕はそれにいまさら気づきました。

  • 直射日光を避ける。
  • 光を拡散させよう。
  • 自分が影になってもいい
  • 自然の中で反射しているところを見つける。
  • NDフィルターを使っても良い。

何故、快晴(ピーカン)が辛いのか

余談ですが、ピーカンというのは、結局、光が硬く、トップライトである。
ということで、つらいというのは結局、ここまでに書いたような特色が悪い意味で合わさってしまうからで
対処をすればどうにかできないこともないです。

ただ、障害物も何もなく、野原や砂漠にピーカンへ向かうのは、丸腰でペスに立ち向かう程度には危険な行為です。

街中の妙

最後に、街中の写真です。
街中というのは本当に難しくて、とくに日本の町並みというのは乱雑としていて
その中に一定の調和を見つけて、バランスよく背景とし、モデルも配置しないと絵にならない。

しかし良い点としては、光が良い具合に反射を繰り返し拡散されるので
しっかり光をみるとおもしろい絵が撮れます。
この例は、世界最高峰の審査型投稿サイトである1xで通過した写真で
新宿や渋谷、原宿といったごみごみしたところです。
どれも光の加減をみる練習をした成果とも言えます

一枚目は、ビルの反射を利用。
二枚目は、ビルの反射と背後のビルで拡散された光を捉えて
三枚目は、黒壁が光を吸収する点と肌にあたる光で陰影を強調。
四枚目は、逆光にみえますが斜光なんですよね。これも背後の建物に反射している光の方が柔らかいので、逆光のように撮影しています。
光が柔らかいので、手前の髪の毛などの立体感も残っているかんじ。
五枚目は、斜め後ろからのトップライト。シャドーを現像でかなりおこしていますが、良い感じに柔らかい光になってくれた。

どれも街中で、人混みの中だったりピーカンのような辛い天候だったりですが、工夫一つで時と場所を選ばずにすむようになりました。

こういうあえて困難なシチュエーションでの撮り方を練習するというのも、練習になるので時間があればやるようにしています。

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