あの日観た花火ポートレートの合成方法を、ぼくたちはまだ知らない。

はじめまして。ヒーコに寄稿するのは初めてになります。杉本(@Sugimoto_Yuya_)と申します。小学生の頃の夢は車通勤。その夢を見事叶えた、流体とか熱関係の仕事をしながら写真を趣味にしてるサラリーマンです。

今回は、第2回 ヒーコセレクションで選ばれた「花火ポートレート」写真について、ぼくの撮り方と言いますか、試行錯誤して一つの方法を編み出したのでそれをご紹介したいなと思った次第です。

はじめに

この先、合成・レタッチあり

はじめに断っておきますが「真実を写す=写真」とお考えの方はこの先を読むことをおすすめ致しません。

既にタイトルや諸々から御察しの事と思いますが、ぼくは合成やレタッチが好きなのでそういった技術を写真編集の工程として取り入れる事に肯定的です。中でもこの記事で紹介する写真はゴリゴリ中のゴリゴリです。

それでも大丈夫な方は、この先をどうぞお楽しみください。

あの日観た花火ポートレートの合成方法を、ぼくたちはまだ知らない。

今回紹介する写真

今回ぼくが合成方法を紹介する写真は、こちらになります。

合成の思考回路

一般的に花火を人物と共に撮ろうと思うと、花火と人物の輝度差が発生します。花火は、当然の事ながら夜の暗い空に向かって上がっていき、そこで明るく咲きます。

一方で人物は夜の闇の中にいます。カメラのダイナミックレンジの中にどちらをも理想的な明るさで留めることは難しくなります。

かと言って、後から人物の服装や表情がわかる程、シャドウを持ち上げればノイズまみれになってしまいます。ぼくは先に載せた写真の完成だけはイメージができていました。

  • 人物を明るくしたい。
  • 花火を玉ボケで大きく表現したい。

という二つの指針を立てました。

人物を明るくするためには

まず人物を明るく表現したい、については選択肢はいくつかありました。ストロボを使うとか、何か光源の近くで撮るとかですね。

この花火大会は東京、足立区の花火大会なのですが、結構人が多くで混雑しています。割と窮屈な会場で子供が走り回ってたりもします。そこにライティングを一式揃えて花火の打ち上がる間中、シャッターのたびにストロボが発光していたら…まあぼくなら隣がそんな人だったら嫌です。目がチカチカしますし。

光源も、野球のグラウンドで見てるので近くに花火と釣り合うほどの光源はなく、その結果ぼくが考えたのは太陽光でした。この時点でもう合成になるなという強い予感はありました。

花火を綺麗な玉ボケにするには

次に花火のサイズ感です。

綺麗な玉ボケにしようと思うと、皆さんもご自身のカメラで試して欲しいのですがMF(マニュアルフォーカス)にしてピントリングを回していくと綺麗なボケになるんですよね。そして玉ボケは大きくなっていきます。どこにもピントは合わないんですけれど。

2つの方針から用意した写真

でこの2つの指針から用意した写真が以下の2枚です。

SONY SEL55F18Z Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

1枚目は場所取りの段階でちょっとシートの前に立ってとお願いして撮らせて貰いました。2枚目は夜になって花火が始まってから、MFにして玉ボケを撮影しました。玉ボケのサイズ感は好きなサイズになるようにピントリングを回して調整するといいと思います。よく聞かれるのですがどちらも「SONY SEL55F18Z Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」で撮影しています。
 

花火ポートレート作り、スタート!

合成の準備

まずは被写体をマスクで切り抜きます。今回は細かいところまでは手をつけていませんが周辺は丁寧にマスキングした方が完成時のクオリティに直結しますのでおすすめです。

髪の毛はこの写真を元に一部成型しましたが、風が強くない日ならシンプルに範囲選択でマスクできると思います。

境界線を調整

花火の写真をマスクした被写体の下に持ってきて、再度マスクを微調整すれば完成です。ぼくは大まかにマスクを切った段階で乗せてしまって後から境界線の調整をしています。先に高精度で切れるという方はそれでもいいと思います。

ちなみにぼくはペンタブを持っていないのでマスクは全てトラックパットと指でやっています。たまに友人に変人だと言われますが今のところ指で困ってないです。

クイック選択ツールで大まかに切って指で調整していますが、マスクの方法はあらゆる方法があるのでご自身にマッチしたものを選択するといいと思います。

違和感をなくす

よく聞かれますが、合成時の違和感を無くす方法の1つがまとめてレタッチする。ということです。被写体は切り抜いたついでに少し暗くしているんですが、その後レイヤーを重ねた状態でまとめてレタッチすると馴染むケースが多いので重ねた段階で違和感あるー!ってなってやめないでください。その瞬間はだいたい違和感あります。

カラールックアップとトーンカーブでちょっと色を乗せてコントラストを調整しました。

完成!

以上の工程で、完成です!

PSDは残さないスタイル

ぼくは基本的には仕事で使いそうにない写真はPsの編集データは残しません。重いので写真を保存したらレイヤーは全て削除しています。基本的に編集データを残してない写真に関しては100%の再現は不可能です。

今回、ぼくの見通しが甘いばっかりに、1から作り直すことになったのでそれならと冒頭で紹介した仕上げとは別の仕上げにしましたが、これはこれでいいので今回は残して置こうと思います。

左:冒頭写真 / 右:再合成写真

最後に

今回のポイント

  • 作品のゴールを明確にし、別撮りしておく
  • 玉ボケをMFで作る
  • まとめてレタッチすると馴染みやすい
  • PSDは残しといた方が後々良さそう

試してみては

実は冒頭の写真だと、この記事の内容に書いてあるようなものに、更に細かい工程が隠れていたりするのですが、全てお見せすると膨大な量になってしまうので、この記事ではサクッと版の現像をやってみました。花火ポートレート作品が作りたい方は、ぜひ試してみてください。

写真を合成する。という点に関して、賛否ありますが、一つの表現方法として紹介しました。

それではまた!失礼致します!

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