写真と生きる | 山岸伸 x 黒田明臣対談「写る時代に生きるということ」

今回は、ポートレート写真の巨匠であり、現在も幅広くご活躍中のフォトグラファー山岸伸氏と、黒田明臣による対談をお送りします。

写る時代に生きるということ

商業で活動する理由と原動力

[黒田]

山岸さんと対談させて頂けるとは、駆け出しの自分にとっては大変恐縮で、柄にもなく緊張しています。同時にとても光栄にも思います。改めましてよろしくお願いします。

まず最初に聞きたいなと思っていたことなんですけども、長年商業写真の第一線でご活躍されてたわけじゃないですか。
それこそ写真に興味を持つ前の自分ですらお名前は過去から存じ上げていましたし、いまこうして改めて知ってみると作家としてもご活躍中ですよね。
この両立をしながら、今もなお精力的に活動されているその理由と原動力ってなんなんでしょう?

[山岸]

今は事務所とそこで働いてる子たちを養っていこうって気持ちと、あとは自分本人の為かな。
これまであまりに自分の事を考えないで生きてきたから(笑)

僕は幸せな人生だったからさ、芸能の仕事で最初に気に入られてからずっと仕事が来て、ただひたすらに写真をやって来た。だから営業にも行ったことが無いんだよね。

そもそも、儲かった理由の一つって、芸能プロダクションから仕事をもらってるから出版社が写真の権利を持ってないわけ。そうすると二次使用が使えるんだよね。それが大きかった。

[黒田]

あーなるほど。それって大きな違いですよね。商流がもはや違うというか。

[山岸]

そう。だから、出版社は僕らには一言ないと写真が出せない。名前だけ入れれば良いとはならないんだよね。
だから僕の写真を使うときは必ず副編集長とかがきて「二ページ◯◯万円で良いですか?」とかなるわけ。
他の人は出版社が権利をおさえてるから二次使用でも追加でお金払うわけではないじゃん。そういう意味でも出が違うっていうか、まあだから大きくは売れなかったよ。
他のカメラマンは大きな媒体がついてたからそりゃもう毎週◯◯とか撮っていて、売れてたね(笑)
だけど僕は置いてかれて5番手くらいに居たわけだけど、最終的には事務所やそこで働いてる人たちを養っていっているという人たちはだいぶ減ってしまった。その中でまだ事務所があって働いてくれる人がいるって、それはやっぱり違うよ。

[黒田]

五番手くらいとかおっしゃってましたけど、決して一番太かったわけではないものの、結果的に太く長くってことですよね?いまの自分には考えられない世界ですけど、先を見てそう徹底していたのだとしたらすごい先見の明ですね(笑)

[山岸]

まあ僕は一切贅沢しなかったから。車もフェラーリとか買わなかったし。ゴルフもやらなかった。
買ったのは家と船を買ったくらい。船は危ないと思ってすぐに売ったけど(笑)
だから、無借金だったよ。仕事でサイパンとかグアムとかハワイに行っても、遊ばないでロケハンに行っちゃうし。
そんな感じでずーっと、写真の事しかしてなかったね。

[黒田]

純粋というか真面目ですよね。写真だけを見ているというか。真っ当にって言ったら変ですけど(笑)

[山岸]

一番ふざけたカメラマンみたいだけど一番真っ当だから!(笑)
撮影は一回で終わりだと思ってるから周りともベタベタしないしさ。

[黒田]

いやいや、ふざけたカメラマンなんて思ってません(笑)
良い意味で普通ではないとは思いますが(笑)

周りとコミュニケーションを取らない理由

model:あおい
model:あおい
[黒田]

なんというか写真を撮る姿勢がものすごいストイックですよね。しかしそのベタベタしないというのは、どういった理由なんですか?

[山岸]

昔からタレントと仲良くならないのは、タレントにインパクトを与えないように、自分を主張しないようにしてるから。
だからよく、メイク中のモデルにカメラマンが話しかけに行ったりとかする事はよくあるみたいなんだけど僕はしない。
コミュニケーションをとって良い表情を見極めるみたいなのは大っ嫌いだから。
僕はそんな時間があったら撮影の流れを決める。どこで撮るとか全て決めておく。
どういう風に撮ってどういう風に撮影が流れてどういう風に終われるかってことを考えるわけ。

[黒田]

なるほど、そういう意図があったんですね。その想像はできます。
グラビアの現場はわかりませんが、いつもどんな天候でも決まったクオリティで皆さん仕上げられていて、アレは本当に難しいことだなあと思います。
天候やロケーションとか事前に読めない情報が多いと不安にもなりますし。

[山岸]

だからよく「撮影終わるのが早い」って言われるんだけど、それは当たり前なんだよね。
だってジーーっと2時間ぐらい待ってるんだから。
その間に出てきたらここで撮って、次はここって頭の中に入ってるわけ。
でもそうじゃなくずーっとタレントと喋って待っていたらロケの場合は外の天候も分からなくて何も見えない。タレントは見えてもね。
タレントを撮るったって、撮るのは自分だからさ。そんなことやってんなら自撮りしてもらったほうがいいよ。

[黒田]

確かに確かに。そうかもしれないですね。まあ自撮りはほんと下手に良いカメラで撮るより遥かに盛れますから(笑)
例えばロケ撮影だと、天候が刻一刻と変わるわけじゃないですか。
自分は待っている間って気が気じゃないというか…でもそういう気持ちをその最前線にいた方でも持っているというのは、少し安心する部分もあります。
「はるか遠くにいる神々もそういう気持ちあるんだ。」という(笑)

[山岸]

そうだよ、雲見ながら「今だよ今」って思いながらさ。でもこんな仕事しながら、土砂降りになっても仕事するんだよね。
伊達に35~40年と写真撮って知恵を持ってないからさ、雨降ろうが、どんな天候でも撮れる。
「相手が濡れなきゃ良い、僕は濡れてもいいでしょ」みたいな。だから最低限濡れても大丈夫なカメラを使えば良いという発想なわけ。

[黒田]

経験や発想とか知恵でカバーしてるんですね。自分なんかだと天候は本当に厄介だと思っちゃいますもん。
タレントさんのスケジュール抑えなおすのも難しいですし。
それならスタジオで確実に撮れるビジュアルに持って行きたくなっちゃいますね。

[山岸]

そういうのは経験だから。若手の人たちにはまだそういう感覚は無いと思う。
僕はその辺ずっとやってきたものがあるからね。
だってスタジオ行ったらライト三灯くらいセットしてF8で切っちゃうでしょって。ポラ引いちゃえば写真の上下わかるでしょって。
そんな何十回もやる必要ないからさ。でも僕は毎日山ほど撮ってたから。その中のどれかを引き出して入れ込めばいい。
セットはしておいて、来るのを待てば良いだけってのも良いんだけどね。

[黒田]

今でも、求められているビジュアルがあって、そこに天候の要素を必要とする場合なんかは本当に困っちゃいます。
自由に撮れる環境ならまだ方針転換もできるんですけど。
その点は山岸さんの場合、いまは経験もそうですし、当時もやっぱり「山岸伸の写真が良い!」という所からはじまっていたことも大事なのかなと。
けっきょく写真力というか(笑)

来た仕事しかしないと決めていた

[黒田]

それにしても山岸さんのそのスタンスというか、そういった姿勢は端から見ていて異色な感じがします。

[山岸]

そうだよ。ずっと一匹狼で、来る仕事しかしなかったから。
きたものしかやらない。それできた人を一番にしたい!と思うようにしてる。

[黒田]

豪胆さと兄貴分というか。男!って感じがしつつも、繊細さと謙虚さも持ち合わせてるような気がするんですよね。

[山岸]

そう、繊細なんだよ(笑)
それは、人を撮るからかな。人を撮ったことがない人って傲慢なんだよね。
撮らないと相手の怖さを知らない。たかが相手の写真を撮るって行為でもそりゃ町に歩いてる人を撮るのとは訳が違うからね。
プロに撮られるってことは、何を望んでるかって事。
やっぱりプロに撮られるってことは納得いく写真を撮られたいわけ。まずそれをプロが超えてなかったらどうするんだ、って思うよね。

[黒田]

期待を裏切ってしまうっていうのは本当に恐ろしいですね。

[山岸]

二度と来ないからね、仕事は。
特にタレント系は、「あの人だめ~口ばっかり~」とか、本人が言わなくても周りが言うし、それが周っていく。
そういう意味でも、今のカメラマンはその怖さを知らない気がするね。

[黒田]

それは若干、自分も感じています。
自分は長年写真をやってきたわけじゃないので、あまり人を撮るという行為が普通じゃないという感覚がまだ少し残ってるんですね。
それが人を撮って仕事をすると世の中に出て残るわけじゃないですか。
これって撮られる側も慣れているだろうしそれが仕事だろうとはいえ、やっぱり怖さがあると思っていて。

アマチュアを撮る時も、自分がプロとしてとアマチュアを撮る怖さや責任もありますし。
タレントを撮る時も、その人たちが何万に見られる写真を撮っているというプレッシャーは常に感じながらやっています。

「山岸伸」の分岐点

model:佐伯香織
model:佐伯香織
[黒田]

山岸さんはタレントの方々を撮っていく中で気づきというか、自分の撮るスタンスが決まるような分岐点はあったんですか?

[山岸]

僕の分岐点は、絶好調の時に売れっ子を撮るの辞めた事かな。
相手のスケジュールに合わせてたら自分の仕事が何にもできないって事に気づいて。
昔は西田敏行さんとか安田成美さんとか売れっ子を撮っていたから本当は仕事を外したくないわけだったんだけど、3回くらい仕事を断ったら仕事が来なくなった。まあそれも寂しくはあったけどね。
それからは「僕のスケジュールに合う子だけ撮ろう!」と思った。

それで食べてこれたわけなんだけど、得したのか損したのかはわからない。でも結論としては今の生き方ができたかな。

[黒田]

まあそれは人生ですもんね。
結局どちらの道が良かったかはわからないのが常ですが、その選択は山岸さんらしい気がします。
先ほどの太く長くという結果にもこういう選択一つが結び付いているんでしょうし。
お金のこととか名誉ということよりも、プライオリティの高い何かがあるのかなあと。

[山岸]

自分の時間で仕事をするのならカメラマンじゃなくて写真家でも良かったかもしれない。
それでも、今の生き方はできた。芸能事務所でも自分のことを知らない人はいないし深く考えなくても良いやと思ったよ。
でも、自分の事務所で働いている子たちを面倒見るために働かないとなって思って。働きたくなくてもさ。
何もしなくても生きていけるから。本当は。どうせ自分は何もできないんだから。
自分ができることは車を運転できるくらい。なんでも100%って使ったことがないんだよね。
カメラは押せば使えるくらい、車なんかはエンジンかけて走るだけで後は何にもわからないし。

[黒田]

いきなり何を言ってるんですか(笑)。
それ言ったら自分は呼吸を続けたら生きてられるくらいのことしかわかりませんよ(笑)。

写真家にならない理由

[黒田]

でもやはり山岸さんは売れるかどうかに対するこだわりより、結果的な生き方や周りを大事にしてるんでしょうかね。

[山岸]

そうだね。あと、そもそも写真家になろうという気もないけどね。

[黒田]

その話は詳しく聞きたいですね!

[山岸]

写真家は仕事がなくなっても目的があれば良いと思う。
だから例えば写真家になりたいなら、黒田君も前の仕事からフォトグラファーをメインにする必要ってなかったよね?
アマチュアで目的のために写真を撮って十分エンジョイできた。でもそこから変わってプロになったわけじゃん。

[黒田]

例えばお金の面だけで言えばITをやっていた方が安定もしていたし収入も良かったです。
おそらく将来的にもより希望的でしたし(笑)。
それで生活基盤を確保しながら写真家としてやっていくでも良かったんです。ただなんというか大切なのはその安定ではなくなってきちゃったんですよね。
もう少し広く残りの人生を考えてみた時に原動力みたいなものが生まれたというか。
自分の場合は、商業の世界だけでなくアマチュアの写真やクリエイター業界部分に対して何かできないかと思った部分が大きいのですが。

[山岸]

僕もそれと一緒で、自分で選んできた。ずっと写真の仕事をしてきたわけ。
それなのに、仕事が少なくなったから写真家になりますって、それは嫌だね。
あと名刺にも名前しか入れてない。この名前で生きるしかないと思ってるから本名でやってるんだよね。

[黒田]

名前の件、それ自分も最近本当にそう思い始めました。
前は純粋にフォトグラファーでやってきたわけじゃないことに対する負い目っていうのが強かったんですけど、いまは結局「黒田明臣」で生きていくしかないと思っていますね。
どちらも精一杯やってきたことだし、恥ずかしがることじゃ無いなあと。
肩書きやレッテルはどうでも良い、自分がこの個体で何ができるか。という気持ちに(笑)

[山岸]

だって上にはキリがないからね。
総理大臣の前に行ったら野心家もヘチマもないよね(笑)

[黒田]

いや、間違いないですね(笑)

[山岸]

たかだかカメラマンだから。じっと見たらなんだ?って。スケール感が違うじゃん。
上に行けば行くほど感じるよ。こんな人たちがまだまだいるのかって思う。

[黒田]

そういった考えを持っているから山岸さんは謙虚にいられるんですね。

[山岸]

そうだね。写真を通して会えるって楽しみだよ。
やっぱりコツコツやってきて、相手が受けてくれるのはありがたいね。

[黒田]

それも実績だけではなく人徳あってのものなんでしょうね。
そういう気持ちを山岸さんが今も持っていられる、天狗にならないのがすごいところですよね。

[山岸]

そこはやっぱり生きていくのにやっとだから。

[黒田]

そのスタンスをずっと見習っていきたいですね〜。

「良い写真」とは何か

model:秦瑞穂
model:秦瑞穂
[黒田]

話は変わるんですが、この間ヒーコでトークショーを行ったんですけど、テーマが「良い写真」とは何か。
で。我々SNS世代の人間たちが集まって話していたんですが、山岸さん的に良い写真について何か思うところがあればお話を聞きたいです。

[山岸]

写真は一枚見ただけで一瞬で良いね!ってわかる。じーっと見ることは無いかな。
どうやって撮ったんだろうとか考えないね。

[黒田]

確かに、どう撮ったかと良いなと思う写真は関係ないですもんね。

[山岸]

どれだけ手が入ってるかとかは考えないんだよね。自分の感性で良いな!と思ったものが良いわけ。
合成がどうとか小さいこと言ってられないよ。写真はもっと大きいものだと思うから。
風景でもなんでも写真ってさ、良い風景見てたら撮るの忘れちゃったりするんだよね。

[黒田]

ありますね。なんか、そこ一致しない時ありますね。
キレイな風景をみて良いと思うのとそこで自分が撮るかどうかは違うんですよ、けっこう。

[山岸]

自分でなんで撮ろうと思わなかったんだろうって思うときもあるし。
人と知り合ってからその人を撮るのが良いわけじゃないし。本当、十人十色だよね。
人の写真を良いとか悪いとか言う人いるけど。人それぞれ自分が惹かれるものがある。
自分が出来るか出来ないかですごいなって思う場合もあるし。

[黒田]

すごく共感します(笑)
良い写真は結局受け取る側それぞれなのかなという結論にトークショーでもなりました。

何でも仕事に取り入れていくスタイル

[黒田]

しかしお話を伺っていると、全て一貫しているというか。
何でも中庸でこだわらずに取り入れていかれるというか、例えばFacebookとかSNSはじめとするウェブサービスにも手を出しているじゃないですか。

[山岸]

そうだね。みんなはわからないと思うけど、そもそもインターネットで写真の配信をしたのは多分僕が初めてなんだよね。
携帯電話の待受写真なんかをやったのはたぶん一番早かったんじゃないかな。
スマホに変わった時点で規制が厳しくなってやめたけど。あと海外でも仕事してて、香港、台湾とで紙面を2年やったりもしてたなあ。
当時、日本人では珍しいタイプだったと思うよ。

[黒田]

取り入れるのが早いですね!

[山岸]

早かったね。自分で売り込みとかしないから、勝手にやりませんかって話がきたんだけど。
そういえばそれでお金がすごい入ってきたけど、絶好調の時から自分はずっと足元を見て生きてきて明日はないというのはずっと考えてきた。
ある意味すごく慎重だから、それで遊び倒すとか無かったね。

[黒田]

先ほどの話じゃないですけど、謙虚さというか自分を知るというか。

[山岸]

そうすると、相手の財布で仕事ができる。1000円しかなくてもちゃんと10万円分の仕事ができると思ってるよ。
本当、下が見えないやつがいっぱい居るんだよね。だからいつも笑ってんの。そんなに続かないんだから頑張んなって。

[黒田]

結果、その考え方で山岸さんは今も尚長くずっとやっていってる実績があるというか、生き方でそのまま証明しているというか、体現していますよね。

[山岸]

そうだね、この生き方は自分の誇りでもある。
だって10年経つと黒田君がもう一人出て来るんだよ。

[黒田]

ええ、本当(笑)
10年もかからないと思いますね。

[山岸]

だからその間に自分がどういう風にやっていってるかが一番大切だと思うし、謙虚じゃない人を見てもなんとも思わないよ。

[黒田]

なるほど。山岸さんは自分の中に「写真が一番」って世界観がありますよね。
それを時代に適した形で出しているように見えますけど、自分もいくつになっても時代がどう変わってもそういう姿勢で居たいと思うんですよね。
これまでは写真のクオリティを突き詰めてきましたけど、いまはなんというか長く続けていられる方法を模索しています。

[山岸]

クオリティなんかは今はアマチュアと差がなくなってきてるしね。
レベルの高い写真が撮れるようになってる。君も含めてね。
それは何故かって完成度を一枚で高くできるからだと思う。そこにかける熱量があって、技術を磨いていける。
でも昔はカメラがそもそもよく写らなくて、フィルムがめちゃめちゃでさ、出てきた時びっくりするわけ。
写真に傷がずっと付いていたり。だからカメラを信用できなかったんだよね。

[黒田]

そもそもカメラを当たり前に使える時代じゃなかったとはよく聞きます。

「写る時代」に生きる世代

[黒田]

今やカメラがデジタル化で便利になってしかも値段も安くなって綺麗に写真が撮れて当たり前で、色々な人が写真をはじめてますからね。
そのおかげで自分みたいなのが写真をはじめて仕事にしたりしてるので(笑)

[山岸]

そこは認めるんだよ。それはやった人にしかできないから。

[黒田]

この今話している、「写る時代」に生きる世代に対してどう思いますか?

[山岸]

人をずっと撮ってきたから人を撮れない人を認められないんだよね。
会えば撮れる、風景ならそこに行けばある風景とかじゃないだろうと思っていて。
でもそれも限界があるから行けば撮れる以上のものが撮れるやつは尊敬するけど。そこには根性もいるからね。
でも何においても、早道を行こうと思うとダメだと思うよ。
一生懸命やっていたとしても、女優が写真を撮ったらみんなそっちにバーっと行っちゃうわけだし、それって悲しいじゃない。
最低限写真の勉強をどっかでしてないとって思うよ。
今の時代、写るゆえに言いたい。写らない時代なら初めからそういうのはこないから。

[黒田]

いち写真愛好家としての自分からみると、タレントさんがあの独特な世界の中を写真に写してるのは見たい感じもするんですけど、我々は商業の中で自分を持っていけるかどうかってなるんですかね。

[山岸]

そうそう、とっても良いことだし、止めようがない。しょうがない。でもそこでやっぱり負けちゃダメだから。
大切なものが何かって事だね。

[黒田]

自分を持つって事に尽きるのかもしれないですね。

[山岸]

20年も撮っててこんなかよとは思わせられないよ。
長く商業をやってきてみんなと違うってとこがないとおかしいじゃない。

[黒田]

説得力が違いますね〜、言葉の重みを感じます。
思ったより時間が長くなってしまったんですけど、色々とためになるお話を聞けて、個人的に話していて聞きいっちゃいました。
山岸さんは、義理ありきで、人間関係、人と人とを大事にする。というのがすごく伝わってきます。
それで損してるところもあるんじゃないかなって勝手に想像しちゃいますけど、そこが人を惹きつける魅力だとも思いますね。
そういう部分は単純に男として憧れますね(笑)

今回は貴重なお話をありがとうございました。

プロフィール

山岸伸


1950年3月22日生まれ。社団法人 日本写真家協会会員。俳優・アイドル・スポーツ選手などのポートレートを中心に、広告・グラビア・写真集・雑誌の表紙撮影など、幅広く活躍。なかでも写真集は、400冊以上を超える。

公式ブログ:「アイドルブログ 写真家山岸伸・撮影日記

展示情報

山岸伸写真事務所でアシスタントをされている近井沙妃氏による写真展が開催されます。

写真展

ROMEO

2017年4月19日、カメラマン山岸伸氏が7人組アイドルグループ「ROMEO」の撮影中に心筋梗塞で倒れ、現役アシスタントの近井沙妃が引き継いで撮影した。恋人と別れた男の虚脱し空虚な心情を表現した曲「WITHOUT U」のコンセプト写真と同年9月1日に大田区民ホールで行われたROMEO JAPAN DEBUT PROMOTION「WITHOUT U」FINALE LIVE in TOKYOの写真を展示した、初めての写真展。

開催情報

■開催期間:2017/11/17(金)-11/22(水) 11:00-19:00 最終日は15:00まで
■場所:オリンパスプラザ東京 クリエイティブウォール
(新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビルB1F)

トークショー

■開催日:2017/11/18(土)全2回 13-14時/15-16時
■場所:オリンパスプラザ東京 ショールームイベントスペース
(新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビルB1F)
・司会/進行:大貝篤史(アサヒカメラ)

プロフィール

近井沙妃 / Saki Chikai
1991年千葉県出身。
デジタルハリウッド大学在学中に同校教員の写真家 若子jet氏の紹介によりカメラマン 山岸伸氏のアシスタントとなる。ポートレート・賀茂別雷神社・靖國神社・台湾・ばんえい競馬・球体関節人形など様々な撮影に同行。現在もアシスタントとして日々勉強中。

ROMEO ※読み:ロミオ
2015年5月、韓国にて当時平均年齢最年少17.7歳でデビューした7人組ボーイズグループROMEO(スンファン、ユンソン、マイロ、ミンソン、カイル、ヒョンギョン、カンミン)
2017年7月にシングル「WITHOUT U」で日本デビュー。オリコン週間CDシングルランキング、初登場7位を記録

クレジット

制作​ 出張写真撮影・デザイン制作 ヒーコ http://xico.photo/
カバー写真​ 黒田明臣
出演​ 山岸伸 http://www.yamagishi-shin.com/
Biz Life Style Magazine https://www.biz-s.jp/tokyo-kanagawa/topics/topics_cat/artsculture/

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