あなたの知らない調整レイヤーに潜む恐るべき力。白黒なのにモノクロじゃない Photoshop チュートリアル

こんばんは、あおり気味のタイトルにした方が世の中的にはウケるのが世界標準ということで、それらしいタイトルにしてみました。黒田(@crypingraphy)です。今回は、モノクロ画像を調整するための色調補正である「白黒」を使って、色ごとの明るさを変える方法を偉そうにご紹介したいと思います。

あなたの知らない調整レイヤー「白黒」の使い方。

数ある調整レイヤーですが、その中の一つに白黒というものがあります。
その名の通り、モノクロにしてくれるイカしたツールです。
しかもレッド系イエロー系グリーン系シアン系ブルー系マゼンタ系と、それぞれの色のグレー階調をスライダーで調節できる親切設計です。

Lightroomで、色表現を白黒にすると、HSLの項目で白黒ミックスという調整ができますが、それと似たような感じですね。
(アルゴリズムは若干違うようですが。)

今回は、そんな白黒つけたい男気溢れる機能を使いながらも、白黒つけさせない大人の躱し方をご紹介します。

今回のチュートリアルを実践するとこんな風に。

Before / After

コントラストが落ち着いているのがわかるでしょうか?

順を追って説明していきます。

Photoshopで画像を読み込む。

LightroomでRAWデータを現像したら、Photoshopで読み込みます。
既に現像処理は済ませてあり、Photoshopで肌のレタッチなどは終わらせている状態です。
これでも良いのですが、すこし写真右側のハイライト部分が明るすぎるのと、写真左側のシャドウ部分も明るいように感じます。

髪の立体感ももう少し出したい。

実現する方法はいくつかありますが、今回は白黒調整レイヤーを使ったテクニックを当てはめています。

色調補正パネルから白黒アイコンを選択する。

色調補正パネルより白黒アイコンを選択して白黒調整レイヤーをつくります。
色調補正パネルが見当たらないからは、ツールバー > ウィンドウ > 色調補正と選択して表示させましょう。
ちなみに今からご紹介する方法は、調整レイヤーではなく、レイヤーに対して色調補正白黒を使っても良いですが、非破壊で再編集可能な調整レイヤーが紳士淑女の皆さんにはおすすめです。

属性パネルで色ごとにグレー階調の明るさを変更できる。

このツールのおもしろい点は、色に合わせてグレー階調をスライダーで変更できる点にあります。
調整レイヤーが適用された画像は、一見モノクロのように見えますが、調整レイヤー以下のカラーに合わせて色の明るさを変更できます。
グレー階調の変更というのもあり、あまりスライダーをいじりすぎると色が潰れてしまいがちなので気をつけましょう。

☆ここに注意☆
  • あまりスライダーを変更しすぎると色がつぶれてしまうので繊細なタッチで。
  • レイヤー以下のカラーに対して行われるので、それ以外の処理は全て終わらせておくとベター。

元画像内の色に合わせてモノクロのグレー階調が変わっていく。

試しに少しブルーのスライダーを下げてみました。(左に動かす。)
空の色で青くなっていた影の部分が暗くなっているのがわかりますね。

さらに、黄色と赤の部分のスライダーも左に下げてみます。
そうすると、元画像ではちょっと明るすぎた服の部分の明るさが落ち着いてきているのがわかります。
ちょうど明るい部分がイエロー系のスライダーに該当していたので、明るすぎた部分が調整されました。神。

極端にスライダーを下げてみた例

レッド系イエロー系以外のスライダーを最大まで下げてみました。
かなり全体的に暗くなっているのがわかりますね。
もちろんここまでやってしまうと黒つぶれが激しいのでNGです。

しつこいですが、過度な調整は禁物です。

ここからが本番。白黒レイヤーに潜む悪魔的パワー

描画モードを輝度に変更する。

さて、ここからが本番です。

作成した調整レイヤーの描画モードを、輝度に変更してみます。

カラー画像として色別にグレー階調を調整できるようになる。

こうすることで、白黒レイヤー輝度に対してのみ効果が適用されるため、画像がカラーに戻りました。

考えてみれば当たり前のことなのですが。なかなか粋な使い方ですよね〜。
こうすることで、先ほど調整したような色別のスライダー調整を、カラー状態で色別にできるようになります。
試しにこちらの画像も、気になる部分を調整しています。

ハイライトにあたる明るすぎたイエロー部分と、コントラストを付けるためにシャドウのブルー部分を暗くしました。

髪の毛の部分が暗くなりすぎたのでマスクする。

しかし、グレー階調を調整していることもあり、砂の明るさは程よい感じに落ち着いたのですが、髪の毛のシャドウ部分が暗くフラットになりすぎたように見えます。なので、髪の毛の暗くなった部分は効果が反映されないようにマスクしました。

明るすぎるポイントがあるのでもう一つ白黒レイヤーを作成する。

それでもまだ髪の毛が少し明るいような気がします。
色的にはこれはイエロー系レッド系がターゲットになると思うので、さらに白黒調整レイヤーを作成。
そこからスライダーを調整してみます。

明るいカラーのスライダーを下げる

実際に該当のスライダーを少し下げてみました。ビンゴ。
髪の毛のハイライトが落ち着いているようです。
髪の毛だけに反映されるようにこちらも、髪の毛以外はマスクしてます。

Before / After

髪の毛と照らされた砂地のハイライト部分を新しい白黒スライダーで、下げたモノの比較。

こうして比較するとわかりやすいはず。微妙な差かもしれませんが、こういう差の積み重ねが大切。

完成

以上、白黒調整レイヤーを使用して、色ごとの明るさを調整してみました。

今回の写真は、スカイライトによるシャドウのブルーと、サンライトによるイエロー部分のコントラストを調整したかったので、良い例になりました。

ちなみにこちらの処理は、実は特定色域の選択という調整レイヤーを使用しても同じような処理ができるのですが、黒の階調とグレーの階調で若干の違いがあるようです。適用範囲の違いなので、写真に合わせて選ぶと良いですね。特定色域の選択については、また用途を書いてみようかなと思います。

余談ですが、Photoshopにおけるこういった色別の処理は、適用範囲が広めなので過度な調整は必要以上の効果になってしまうこともあります。このあたりの処理はRAWで行ったほうが安心だと思います。Photoshopでもより精細に分離することは可能なのですが、それはまた別の機会に。

こんな時に使おう

  • 色ごとに明るさを変更したい。
  • スカイライトとサンライトなど、ミックス光ごとに明るさ調整する
  • 肌のレッドとイエローのコントラストを強調したい。

今回の流れ

  1. 色調補正パネルより白黒アイコンを選択。
  2. 描画モードを輝度に変更。
  3. 白黒調整レイヤーから色ごとにスライダーを調整。
モデル協力 : 近衛りこ
カメラ : Sony α7R III

それでは、アディダス。

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