こんにちは。フォトグラファーの岩田量自(@Blueeeees)です。
今回、発売に先駆けて黒田明臣氏の渾身のプリセット全種類を使用させて頂きました。各プリセットに映画俳優の名前がつけられていること、そして本人のレビューから映画に造詣が深いことが伺えます。
編集を始めたものの、途中で迷子になってしまった経験がある方は多いのではないでしょうか?
このプリセットはゴールへの道標を示してくれるものの、その後のアレンジがしやすく汎用性がとても高いので、様々なシチュエーションの写真で活用できるのが最大の特徴です。
大きな道筋に乗りつつも自分なりの道で迷子にならずゴールに進める9つのプリセットを1つずつスナップ中心に Before / After の写真とともにご紹介していきます。
写真編集におすすめのLightroomプリセット!都市風景フォトグラファーによる徹底分析
プリセットを活用した写真編集レビュー
Day Lewis
6度もアカデミー主演男優賞を受賞した名優ダニエル・デイ・ルイスの名が付けられた黒田氏渾身のプリセット。
複雑な自然光環境下をもろともしない自信作とのことで、硬い光と柔らかい光が混在する写真で試してみました。


基本補正の露光量、ハイライト、シャドウを調整、カラーグレーディングで色味を好みにアレンジして、トーンカーブでシャドウ部を持ち上げてフェードをかけると編集工程はかなり少なく完成まで持っていくことができました。
キャリブレーションとHSLで時間がかかることが多いので、プリセットで道標を示してくれるとあれこれ迷うこともなくゴール(完成)までスムーズに突き進むことができます。
色相や彩度が大きく変化しないので、元々の色を活かして編集したい時におすすめです。
色味としては中間~ハイライトにかけて絶妙な塩梅でイエローが乗ります。気になる時はカラーグレーディングでハイライトにブルーを加えてニュートラルなホワイトバランスになる等に調整しています。
また、ハイライトが若干強くなるので、ハイライトを下げてバランスを調整しています。
Nicholson
表情豊かな俳優ジャック・ニコルソンの名が付けられたこのプリセットは、こざっぱりとしたRAWデータから豊かな表情を引き出してくれます。
この写真では露出補正とカラーグレーディング でハイライトと中間色の調整、HSLでブルーとアクアの調整、そしてトーンカーブでフェードの追加とたった2,3分で編集が終わってしまいました。
パラメーターを大きくいじる必要がなく、破綻する色が発生することもないので安心です。


NewYorkの地下鉄で撮影したこちらの1枚、プリセットを当てると隠れていたカラーが一気に顔を出してきてくれました。


基本補正で全体の露出を上げて、円形フィルターで周辺の露光量を少し落としただけですが、こんなにも魅力的に仕上がってびっくりしました。
Gosling
無精髭さえも上品に見せてしまうライアン・トーマス・ゴズリングの様に、スナップ写真にさりげない気品を与えてくれるのがGoslingです。
Before / After を比較すれば一目瞭然ですが、このプリセットを当てるだけで立体感と落ちつきのある鮮やかさを得られています。
基本補正とカラーグレーデングだけの最小工程で完成まで至ることが多いですし、カラーグレーディングで自分の好みに味付けしてもいいと思います。


また、白を白として描けることがポイントとあったので、New YorkのOculusの写真で試してみましたが、色かぶりなどなく確かに白が白と描きやすかったです。
シャドウ部分のブルーがあらかじめ下げてありグレーに近く表現されるのでハイライトからシャドウ部にかけて綺麗な諧調が表現することができます。


黒レベルが高く設定されていて、シャドウ部が多い写真にもとても相性が良いので、夜に撮影したコントラストが強い写真には基本このプリセットを当てています。
この写真は露出を上げて全体を明るくしつつ、ハイライト、ホワイトバランスで全体を調整し、円形フィルターで微調整して完成させています。
極端に調整されたパラメーターがないので、編集工程が少なくプリセットのイメージを踏襲しつつも、自分の好みに味付けができるのでとても助かっています。
Gosling Noble Tone
Goslingのアレンジ版でハイライトに少しブルーが入ったこのプリセットをハイライトが強めの写真に当ててみると、全体にブルーがほんのり乗っかってクールな感じに仕上がりました。
はっきりと出るコントラストもこの写真ではイメージにバッチリ合いました。編集は露光量を少し下げて、トーンカーブでシャドウ部も持ち上げてフェードをかけただけです。
色とりどりの傘も色味がほとんど変わらないので、元の写真の色味をしっかりと生かした編集ができるのは嬉しいです。


この様なさくっと撮った木々の写真のレタッチは色味の調整で時間がかかることが多いですが、「そうそう、この色が欲しかったんだ」という具合に絶妙な色味を出してくれます。


ちなみにこれはプリセットを当てて露出を下げただけの編集になります。
Gosling Crazy Blue
こってりとした青を出したいのであればこのプリセット!少し眠たい青空もこのプリセットを当ててれば一瞬で見違える青空に変身します。
HSLで青の色相、彩度、輝度を調整してお好みの青に調整して唯一無二の貴方の青で写真を染め上げてください!
この写真ではさらにカラーグレーディングで中間部にオレンジを入れてティール&オレンジ調に仕上げてみました。


このプリセット、実は青空の写真でなくてもかなり活躍することがわかっちゃいました。ハイライトの色かぶりが抑えられてクールな白になることが多いんです。


シャドウ部も青に激しく寄ることはないので、ハイライトクールに表現したい時に多用することになりそうです。
Gosling Blue Mania
こってりしつつもGosling Crazy Blueより落ち着いた青にしたい場合はGosling Blue Maniaがおすすめです。青の彩度が低く設定されているので、彩度を上げることで落ち着きと鮮やかさを兼ね合わせた青に仕上げることができます。
全体的に彩度が下がる設定になっているので、青だけ彩度を上げてるとより青が印象的になります。


逆光気味で撮影したこの写真にプリセットを当てたところ、ブルーの輝度が下がることで階調がしっかりと出てるし、枝もくっりきと見える様になるし、コントラストが強くなることで光がより印象的になりました。


露光量とハイライトの微調整であっという間に完成してしまいました。
Goslingシリーズの色味の違いを比較してみた
ブルーが特徴的なGoslingシリーズの色味の違いをブルーが基調の写真で比較してみました。
全てプリセットを当てただけでその後の編集は何もしていません。

トーンカーブとHSLで作り出されたこの絶妙なブルーの表情の違いには脱帽です!
実際にこの比較をしてから黒田氏の解説を読み直すと理解度が深まりました。
Malkovich
名前にもなっている個性的演技派俳優ジョン・マルコヴィッチ様にこのプリセットを当てると夕焼けのシーンがグッと印象的になります。
シャドウ部分がかなり明るくなるので、逆光写真に使うと良さそうです。


この写真ではシャドウ部分が明るくなりすぎたので、シャドウのスライダーを下げて、HSLでオレンジ、イエロー、ブルーを少し調整しただけです。


派手になりすぎることはなく、さりげないイエローで包み込んでくれて印象的な夕焼け空になりました。
Malkovichi Yellow Monster
このプリセットは光の状態があまり良くないシチュエーションにオススメだということで、曇りの日のコントラストが弱く、眠たい印象の写真で使ってみました。
コントラストとハイライトをほんの少し下げただけです。
背景の電球の色と犬の毛色がぐっと印象的になっていますね。ワンクリックでこれは凄い!


いい光だけど、色がイマイチだなと感じたこの1枚にイエローモンスターの魔法がかかることでこんなに雰囲気が変わるんです。
モンスターの魔力が若干強く感じたのでホワイトバランスを少し下げてイエローを弱めてました。


コントラストが強調されるので、シャドウ部分の微調整が必要です。
Pitt
普段はモノクロ現像しないけど、ブラッド・ピットの様に漢らしくモノクロで勝負したい写真ではこのプリセットが頼もしく道標を示してくれます。
コントラストが強めに出るので、建物の写真の当てると構造体の持つ力強さとシャープさが強調されます。


ハイライトが多い写真ではハイライトと白レベルを下げて調整しています。
他のプリセットと違い、トーンカーブには何も手が加えらえていないので編集の自由度も高く、微妙な調整もできるのがポイントです。


また白黒ミックスのスライダーで各色の明るさを調整すれば、きっと理想のモノクロ表現ができるはずです。
さいごに

これまで試しに使ってみたプリセットは写真の原型を留めないほどに色味が変わったりするものが多かったのですが、今回使用させて頂いた黒田氏のプリセットは色が破綻することは決してなく、RAW写真に隠れた原石を見つけて輝かせてくれる、まさに魔法のプリセットです。
気になった方は、ぜひ黒田氏本人による解説もご覧ください。