カタチに捉われないポートレート写真撮影テクニック!カメラのブレと光で表現するポイント

皆さま、初めまして。 映像クリエーターの畠山 佑輝(@yuki_hatakeyama_)です。

突然ですが、トップ画像となっている女性のポートレート写真をどう思いますか?広い範囲にブレがあり、皆さまが普段撮っていらっしゃる写真とは一風異なるかもしれません。

一般的にマイナスイメージを持たれることが多い「カメラのブレ」。

しかし、上手く使えば、「曖昧さや躍動感といった独特の空気感を切り取る」かなり面白い表現方法になります。

今回は多くのポートレートを撮ってきた経験を踏まえ、皆さまに効果的なブレ写真を撮るコツをお伝えしたいと思います。

表現の幅がグッと広がるチャンスなので、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです!

カタチに捉われないポートレート写真撮影テクニック!カメラのブレと光で表現するポイント

撮影で必要なもの

まず用意すべきは、シャッタースピードを変更できるカメラです。お手元のカメラを、シャッター速度優先モード、もしくはマニュアル撮影モードにしてみてください。

ブレた写真を撮るためには、シャッタースピードを遅くすることが基本です。

絞りやISOはマニュアル設定にしておく方が良いです。シャッタースピードを遅くする分、ISOはなるべく低めに、絞りはなるべく高めに設定しておきます。

日中では、シャッタースピードを遅くすると露出オーバーになる場合がありますが、そういうときはNDフィルターが役立ちます。私自身、ND8(3段分減光)をよく使っています。

次に、表現したいイメージに合わせて自分がカメラを動かして撮るか(手ブレ)、被写体に動いてもらう(被写体ブレ)かどうかを決めます。

被写体ブレの場合は、撮影をスムーズに行うためにも、どう動いてもらうかを事前にきちんと確認しておきましょう。

撮影で重要なポイント

ポイントは以下の3つです。

①シャッタースピード

私は、シャッタースピード1/10を基準に、ブレ具合を確認しながら撮影をしています。

コツは手首のスナップ。 カメラを上下左右に数センチ、または数ミリ動かして、ブレ加減をコントロールします。

シャッタースピードやレンズの焦点距離によって動かすスピードなどが微妙に変わってくるので、ここは正直慣れです。自分のイメージしている表現に近づけるように撮影を重ね、最適なシャッタースピードの感覚を掴んでください。

ちなみに、ブレを最小限にしたい方は、シャッタースピード1/60〜1/30がおすすめです。

どのくらいブレるのかをきちんと把握したい人は、レンズの焦点距離とシャッタースピードの関係を抑えておきましょう。

手ブレしないと言われれるシャッタースピードの目安は、“1/焦点距離”です。

つまり、焦点距離50mmのレンズを使用した場合は、1/50秒(APS-Cの場合は、フルサイズ換算すると75mm、80mmなので1/80秒)が手ブレしない目安です。

これを基準に、ご自身のレンズの焦点距離とシャッタースピードの関係を考えてみてください。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくると表現したい幅が増えるので楽しくなってきます。

②ピント

「ブレてる写真なのにピントって必要なのかな?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は、ピントが合った場所に綺麗なラインができやすいのです。

絞りが高ければ高いほど全体にピントが合いますが、絞り込みすぎは回折現象の原因にもなり、解像感が失われてしまいます。

表現的に必要であればどれだけ絞っても問題はないですが、センサーの不純物などを避けたい場合は、F8からF11の間で撮ることをおすすめします。

③動と静

ブレた写真を撮るうえで一番重要なポイントは、ブレていない部分を作るという点です。止まっている部分があるからこそ、動きのあるブレ部分が活きてきます。このメリハリを意識してみてください。

使用カメラ

私はsony α7Ⅲ canon EF24-70mm F2.8L II USM を使用してます。

広角から標準の焦点距離をカバーしてくれ何かと便利なので、ポートレート撮影のときはこのレンズをよく使っています。

ただし、けっこう重いです。ブレた写真を撮るには正直不向きです。なので皆さまには軽いボディやレンズをおすすめします。

あとは、fujifilm-XT3なども使用することもありますが、写りは個人の好みなので「この写り方好きだな」と思うカメラを使ってみてください。

カメラ設定詳細と撮影方法

それでは実際に、作例を見ながら具体的なポイントをお伝えしていこうと思います。

左: 焦点距離 40mm, s/s 1/15秒, 絞り f11, 右: 焦点距離 35mm, ISO100, s/s 1/5秒, 絞りf11

シャッタースピードや撮影環境によって表現が異なりますので、以下ではロケ撮影とスタジオ撮影を分けてお話していきます。

ロケでのポートレート撮影の実践編

「光と影」「コントラスト」を意識する

ロケでポートレートを撮影する時は、ブレるポイントとブレないポイントを見極めることが非常に重要です。その際は、「光と影」そして、「コントラスト」に注目してみましょう。

光と影

ブレとは被写体から出る光跡なので、明るい部分の方がブレが目立ち、暗い部分になるほどブレがなくなります。また、被写体と背景との明暗差が生まれると、ブレがより綺麗に見えます。

コントラスト

コントラストが高い部分もブレのラインが綺麗に残ります。

以上の理由から、ポートレートを撮る場合は明るめの色やコントラストの高い衣装を用意することが多いです。背景と反発する色味など、目立つ色を持ってくることでメリハリがつき、ブレがより綺麗に見えます。

情報量を抑える

背景、被写体がともにブレていると、 ブレ加減や表現方法によっては、写真左のように「単に手ブレが起きた写真」に見えてしまいます。

これを避けるためにも、全体の情報量が多すぎていないかをチェックしましょう。

写真右のように、背景の情報量を減らしてあげることで、強調したい被写体を中心にブレを捉えることができます。

手ブレと被写体ブレを使い分ける

決まった構図や決まった場所で撮影したい場合は、被写体ブレの撮影をオススメします。

「ちょっと躍動感をつけたいな」という時に非常に便利です。

ロケ独特の面白さを味わう

ロケ撮影の面白さは、「自分の想像を越える写真が撮れる場合がある」ということでしょう。逆光を使うと綺麗な光跡を捉えることができ、非常に面白い写真になります。こうしたその場で生まれる自然な光の変化といったロケ撮影独特の面白さをぜひ楽しんでください。

スタジオポートレート撮影 実践編

ブレを作る部分を見極める

スタジオ撮影とロケ撮影の大きな違いは背景の情報量です。

ロケ撮影と比べて、スタジオ撮影は情報量が少ない分、ブラしても背景が止まって見えてしまうことがあります。

ですから、被写体のどこにブレを作るか、どうブレさすのかはロケ撮影の時よりも特に意識してください。

以下に被写体ブレと、カメラブレの作例を載せますので、参考にしてみてください。

被写体ブレのイメージ
カメラブレのイメージ

被写体に対しての光の当て方

スタジオでは自分で光を作り込めるので、光の当て方にも気を配りましょう。

止めない意識する

しっかり被写体を止めたい方はストロボで止めることをおすすめします。

被写体も止めずにブレをつくりたい場合はHMIなどの定常光を使います。

被写体を止めながらブレをつくりたい場合は、ストロボと定常光をミックスさせて使用することで、被写体に芯が残りつつ、ブレが生まれます。

止めたい時はストロボ、ブレを作る時は定常光と使い分けてみましょう。

光を当てて明暗を確認し、ブレが出る場所と出ない場所をはっきりさせてから撮影するようにしてください。

カメラの動かし方に注意する

スタジオ撮影の場合、カメラの動かし方を特に気をつけています。カメラの止まってる時間が長いほど被写体の芯が残ります。

以下に作例と動かし方を載せるので、参考にしてみてください。

 

シャッタースピード1秒の間、被写体に斜めに歩いてもらう。
シャッタースピード1秒の間、最初に止めて右にカメラを振ってシャッターが切り終わる瞬間に止める。

 

光の反射を意識する

アクセサリーや小物から反射する光にも注意してみましょう。

顔に当たる光と、アクセサリーなどに当たる光の反射では面積が違うため、光跡のメリハリがついた面白い表現になります。

左: 焦点距離 50mm, 1/60s, 絞り f8, 右: 焦点距離 50mm, s/s 1/4秒, 絞り f11

顔周りにアクセサリーをつけたり、キャッチアイを入れてあげると光跡が写せるので、スタジオ撮影の際はどこに光が当たってるかを特に意識します。

事前準備をしっかりと

スタジオで撮るときは特に準備が必要です。撮影をスムーズに行うためにも、自分が表現したいイメージやテーマは事前に決めておきましょう。そうすることで気持ちのブレがなくなり、良いブレ写真を撮影することができます。

カメラ「ブレ」を使ったポートレート写真撮影まとめ

いかがでしたでしょうか?

まとめとして、ロケ撮影とスタジオ撮影のどちらにも共通する大事なポイントをお伝えします。ポートレート撮影を行う時にはぜひ意識してみてください。

カメラの「ブレ」をいかしたポートレート撮影

  • 完成のイメージを想像して撮影する。
  • 静と動を意識する。
  • 自分の好みのシャッタースピード見つける
  • ハイライトとシャドーのメリハリをつけてあげる。

ブレは必ずしも失敗というわけではありません。そもそも写真を撮影するうえで、「絶対にこれしかダメ!」という制限やルールなんて無いと思います。

大切なのは、自分に合った表現方法を見つけて、写真を楽しむこと。

皆さまもブレを味方につけて、自分なりの表現を自由に探してみてはいかがでしょうか?

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