こんにちは。”なんでも撮ってみたくなっちゃう人”ことしふぉん(@shiifoncake)です。現在はフリーランスフォトグラファーとして活動しています。
“なんでも撮ってみたくなっちゃう人”と名乗っている通り、フォトグラファーとしてメインでシティースケープやミニマルフォトを撮影している他に、ポートレートやスナップ写真など様々なジャンルを撮影しています。
写真を始める前から”経験欲“が人より強く、一度でいいからやってみたいと感じることが多くありました。写真でも同じで、SNSなどで色々な写真に触れていると、なんでも自分で一度撮影してみたいと感じることが多く、一度撮影してみてハマると辞められず、ジャンルを絞りきれずこのような状況に至っています。
そんな中、あることがきっかけでこの1年程は赤外線写真というものにも挑戦しています。
世界的人気の写真編集アプリ「VSCO」で楽しむ赤外線写真
赤外線写真との出会い
赤外線写真との出会いは、Instagramでたまたま見た海外の写真家の広告でした。
初めて目にしたとき、淡い水色とピンクとで表現された見たことのない世界観に一瞬で引き込まれました。同時に、写真にPhotoshopなどで特殊な加工を施したものなのか、はたまたイラストなのかと、とても気になったのを覚えています。
プロフィールを確認してみると”IR”という表記がありすぐに調べてみると、”赤外線写真“というジャンルの写真であることが判明し、実際に自分でも撮影してみたいと赤外線写真について調べ挑戦し始めました。
赤外線写真を始めて約1年、現在も赤外線写真の魅力に取り憑かれています。前回の記事では赤外線写真の魅力とその撮影方法について書かせていただきました。
ぜひこちらもご覧下さい。
赤い赤外線写真
今回は前回説明したカラースワップを用いた赤外線写真とは異なる、また別の赤外線写真についてお話ししていきます。
よくSNSで見られる赤外線写真は、淡い水色とピンクが特徴的な写真だと思います。
しかし、最近木などの植物が赤く染まったこのような写真をSNSで見かけたことはありませんか?
これは普通のデジタルカメラで撮影したものに、VSCOという写真編集アプリのIRフィルターというものを使用した写真になります。
今年の6月に新しく追加されたばかりのフィルターなのですが、それより前から同じような写真を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか?
この植物の赤色が特徴的な写真の始まりは、遡ること1940年代、軍事監視を目的として目に見えない赤外光を赤やピンクに変換することで画像として見えるように、Kodakによって偽色のフィルムが開発されたことでした。
人工物である軍用車両に比べ、植物は赤外線をよく反射するため、敵の位置を見つけるためにこのフィルムが使用されていたようです。1960年代には、消費者向けの偽色の赤外線フィルムとして”Kodak Aerochrome“の販売が開始されました。
このフィルムで撮影した写真は可視光線と赤外線の両方に感光するため、一般的な可視光線のみを写す写真とも赤外線のみを写しカラースワップを行った赤外線写真とも異なります。
日常的な風景でありながらも、赤外線が反射する植物だけを赤く染めるという変わった画を、編集ソフトを用いることがなく写し出すことができるのが一番の魅力です。
しかし、現在は”Kodak Aerochrome”は販売されておらず、2019年にKOLARI VISIONというメーカーが”Kodak Aerochrome”を再現した”IR chrome”というレンズフィルターを開発し、販売を開始するまでは、後処理をすることなくデジタルで撮影することは困難な状況でした。
“IR chrome”によって、後処理なくデジタルでの撮影が可能にはなったものの、前回の記事で説明した通り、赤外線を撮影するのは通常のカメラでは難しく、撮影には赤外線カットフィルターを取り除いたフルスペクトルカメラが必要なことに加え、フィルターも日本国内では販売していないためアメリカから輸入する必要があり、撮影するにはかなりハードルが高い状況にありました。
私自身この”IR chrome”フィルターを購入しましたが、関税がかかったりするため金額も決して安くなく、海外サイトでの購入になるため気軽に試せるものではありませんでした。
VSCOで赤外線写真
そんな中、今年2021年6月に写真編集アプリのVSCOからお手軽に”Kodak Aerochrome”を再現することができるIRフィルターがリリースされました。
この出来事によって、赤外線写真という存在がかなり身近なものになったと思っています。
VSCOは簡単に言うと写真編集アプリなのですが、一番の魅力は130種類以上のフィルターがあり、簡単にいい感じの写真に仕上げることができる点だと思っています。
実際にこのIRフィルターを使用してみましたが、通常の赤外線写真とは異なり緑や黄色を赤やピンクに置き換えるため一部うまく適応できない写真もあるものの、適応できる写真に関しては”IR chrome”が必要なくなる程の完成度で、過去に撮影した写真に一瞬で適応でき簡単に楽しめるのでおすすめです。


VSCOで赤外線写真を楽しむ方法
ここからは実際に使用方法を説明していこうと思います。
VSCOは無料でも使用できますが、IRフィルターを含め多くのフィルターは有料メンバーシップに加入する必要があります。
月額880円、年額2,400円で利用が可能で、年額でのお支払いであれば月額は実質200円で130種類以上あるフィルターが使い放題であったり、HSLの編集や枠線の追加機能も開放されるので、取り敢えず1年入ってみるのも一つの手だと思います。
今回VSCOに追加されたIRフィルターは、IR1〜IR3までの3種類あります。
それぞれを簡単に説明していくと、
- IR1は風景写真用のIRフィルター。ポートレートに使用すると肌色に赤みがのりやすく、植物の赤がIR2より彩度が高く、全体のコントラストも高めである。
- IR2はポートレート用のIRフィルター。肌の色が自然な色になるように調整されている。風景に使用すると眠たい写真になりやすい。
- IR3は白黒の赤外線写真を体験できる。
という風になります。
今回はカラーのIR1とIR2について詳しく解説していきます。実際にIR1とIR2を風景とポートレートに使用して、比較していきます。
風景
IR1
赤の彩度が高めで写真全体が引き締まった印象を受けます。
IR2
赤の彩度が低めで、写真全体のコントラストが少し弱いため眠たい印象を受けます。
ポートレート
IR1
肌にも赤みがのってしまっています。
IR2
IR1と比べ肌の赤みは殆どありません。
実際に見てみてわかるように、風景では赤の綺麗に出やすいIR1を、ポートレートでは肌色に影響の少ないIR2を使用すると使いやすいと思います。
ただし風景でも雰囲気によってはIR2が合ったり、ポートレートでも引きの画であればIR1が合うこともあるので、ぜひ両方とも試してみてください。
IRフィルターではスライダーを0.0〜+12.0で調整することで、赤の色相を調整することが可能です。
実際にわかりやすい葉っぱの写真にIR1を使用して、変化を見てみます。
+12.0(フィルター適応時)
+6.0
0.0
見てわかるようにフィルター適応時の+12.0では赤の色相がマゼンタ寄りですが、+6.0、0.0と変化するにつれ橙寄りに変化していきます。
IR2も同様です。
自分の好みをスライダーを調節して探してみると面白いと思います。
また、うまく赤の色味が出ない場合はWBを調整してみると、色が綺麗に出ることがあります。
作例
実際に都内で撮影した写真にVSCOのIRフィルターを使用した作例をご紹介します。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
赤外線写真を知らなかった方や、知ってはいても原理や機材の準備が難しくハードルが高くて手が出せないと考えていた方も多いと思います。
しかし、VSCOのIRフィルターは手軽にワンタッチで赤外線写真風を楽しむことができます。VSCOのメンバーシップにすでに加入されている方はもちろん、まだ加入されてない方もこれを機にぜひチャレンジしてみて下さい!