風景写真の引き算と足し算とは?基本にして最も重要な3つのポイント

皆さん、こんにちは。風景写真家の長瀬正太(@ShotaNagase)です。
さて、今回の記事は「風景写真の引き算と足し算!」という事で比較的初心者さん向けの内容になります。ですがとても基本的かつ重要な要素なので長い年月風景撮影をされている方などにも昔を思い出しつつ読んで頂ければなと思います。

では、今回なぜ「引き算」と「足し算」なのかと言いますと・・・。

教室や撮影会の講師をしていて、意外と「引き算が大事って分かるんだけど、ついつい色々入れ過ぎちゃうんだよねぇ。」ですとか「引けるだけ引いたら、それはそれでつまらない写真になっちゃう。」なんて言葉が聞かれたからです。

また「長瀬先生は足し算も大事と言いますが、何を足して良いのやら(汗)」なんて言葉も。
特に初めて行く撮影スポットなどは何を見ても新鮮だったり、美しい大自然を目の当たりにすると「どこまでも広く目で見たままの風景を写真に収めたい!」と心のままにパシャリ。

結果「あれぇ、この写真いったい何を撮りたかったんだったっけかな?」なんて事になりやすいのです(泣)

そこで今回、私自身が撮影現場で行っている長瀬流「引き算」と「足し算」を解説。
皆さんの今後の風景写真撮影に活かして頂けたらなと思います。

風景写真の引き算と足し算とは?基本にして最も重要な3つのポイント

何を撮りたいのか?

さて、「引く(マイナス)」にしても「足す(プラス)」にしてもまずはその中核となるものが必要ですよね。
風景写真においては「目の前の風景をどの程度の広さで、どのような構図で、どのような設定で、どの瞬間でシャッターを押すのか。」なんて感じのスタートになると思います。
ここで一度、私の記事「伝わる風景写真とは」も読み返して頂ければ幸いです。
そして「自分は今、何に感動しているのか?」「自分は今、何を撮りたいのか?」をはっきりとさせていきましょう。

これは撮影現場で最初に出た言葉でも良いかもしれません。

    「あぁ~あの山と雲が綺麗だなぁ。」
    「うわぁ~あそこの木々の並びがすごい美しい!」
    「あそこに射す光がたまらない!!」

まずは主役を一つに決める

さぁ、いくつか自分の撮りたいものが出てきました。
「山」「雲」「木々の並び」「光」など。

この時に、これもまた撮影現場で声に出してみても良いと思いますが「山」なら「やま!」と「雲」なら「くも!」と、出来る限り自分に正直に一番に心打たれたものを一つに絞りましょう。

ここで「あれもこれも良い」となると「引く(マイナス)」ことと「足す(プラス)」ことがとても難しくなるので、出来得る限り主役は一つに決めましょう。

「真実(主役)はいつも一つ!」と言っているやら言っていないやら(笑)

そして引き算!

主役が決まれば、まずは「引き算」からしていきましょう。
では、何を引くのか?

主役を弱めるものを引く。

そうです。兎にも角にも

  • 「主役を弱めるもの」
  • 「主役の邪魔をするもの」
  • 「主役より目立つもの」


を引きましょう。

引き算のやり方

引き方としては

  • 画面の外へ出す。(フレームアウト)
  • 被写界深度から外す。(ボカす)
  • 他の被写体で隠す。(前ボケや霧など)
  • レタッチで消す。(スポット修正ツールなど)


などがあります。

引き算と足し算の例

引き算の例

今回はこちら、長野県・北アルプスの燕岳(つばくろだけ)で撮影した写真を使って「引き算」の解説をしましょう。
【引き算の例】

「雲海」を主役と決めています。

引いたものは

    「奥に見える槍ヶ岳(主役より目立つ)」
    「右下にいる黄葉した一本の唐松(木)以外の目立つ唐松(雲海を見る唐松。という主従関係を弱める)」
    「広がる稜線(主役の雲海のラインを邪魔する)」


など。

ここでは「対角線構図」と「三分割構図」を意識して絵作りをし、主役となる雲海を弱めるものを極力「引き算」しました。

次に足し算!

「引き算」ばかりしてなんとなく写真の絵作りが寂しいなと思ったら足し算もしてみましょう。
では、何を足すのか?

主役を引き立てるものを足す。

そうです、そうです。兎にも角にも

    「主役を引き立てるもの」

を足しましょう。

足し算のやり方

足し方としては

  • 画面の中へ入れる。(フレームイン)
  • 被写界深度に入れる。(絞りを絞ってシャープにする)
  • 雰囲気が増すものを足す。(霧や映り込みなど)
  • 光を足す。(朝焼け・夕焼け・光芒など)


などがあります。

足し算の例

今回はこちら、群馬県・赤城山の覚満淵(かくまんぶち)で撮影した写真を使って「足し算」の解説をしましょう。
【足し算の例】

「木々の並びと映り込み」を主役と決めています。
足したものは

    「シンメトリーの山と空(空間的広がりを持たせる)」
    「乱れていない映り込み(神秘性を高める)」
    「鴨の作る波紋(リアリティや微かな動感表現)」
    「霧(主役を背景から引き立てる)」


など。

TOP画像と全く同じ場所で撮影していますが、TOP画像も主役を「木々の並びと映り込み」と決め、極力「引き算」をしたもの。
上記の写真はそこからあえて「足し算」をしたものです。

普段良く通っている場所なので、「いつもと違う撮り方をしてみよう。」という意識から「足し算」をしました。

比較画像

引き算重視
足し算重視

どちらが良いか?は好みによるかと思いますが、足し算で大事なことは「主役にとってプラスの効果があるか?」と、とにかく主役を意識して進める事だと思います。

今回のまとめ

さぁ、どうでしたでしょうか?
今回の「風景写真の引き算と足し算!」を簡単にまとめると・・・

  1. 主役を決める。
  2. 主役を弱めるものを引く。
  3. 主役を引き立てるものを足す。


この3つ!
まずはこの3つを頭の中へ、もしくはポストイットにメモして三脚にでも貼り付けておきましょう(笑)

まずは練習から

ただ、もちろん私自身も撮影条件の良し悪しや状態が刻一刻と変わる風景撮影においてこれらの「引き算」と「足し算」がすぐに出来るようになったのではありません。
誰でも皆、最初から上手いわけではありません。
(たま~に最初から上手い人いますけど・・・私はそうではなかった(泣))

ですからこそ、日々シャッターを押す度に練習だと思って主役を意識して撮影してみて下さい。
積み重ね・・・大事です。

それでは、また!!

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