はい、いつも画家のようにして左右の親指と人差し指で四角を作って景色を覗いては師匠から「なんか恥ずかしいから止めなさい(照)」と言われていた写真家の長瀬正太(@ShotaNagase)です。まぁ今現在も思いっきり現地で片目つむってやっておりますが(そのうち鉛筆持ちはじめるか!?)ということで今回は「長瀬先生はトリミングを有効に活用されているイメージがありますが、どのような意図でトリミングしているのですか?」というご質問を頂いたのでそれにお答えしたいなと思います。
「世界を自由自在に切り取ることでもっともっと見えてくる世界が広がる。」読んで下さる方にとってそんなイメージを持って頂けるような記事になればと思っております!
撮影後の勝負!トリミングで魅せる写真表現
トリミングとは。
さて、まずトリミングとはなんでしょう?
レタッチソフトやカメラメーカーごとに「切り抜き・クロップ・クロッピング」などとも言い方が変わったりしますが、ここでは撮影後の写真を好きなアスペクト比(縦横比)に切り抜くことと定義します。

トリミングを前提とした撮影
筆者の場合、基本的に撮影時には「どのように切り抜く。」ということは決めておきます。と、いいますのもレンズは真ん中ほど画質が良いので少しでも良い画質でトリミングをしたいからです。(スクエアなら左右を切り落とす。横長なトリミングなら上下を切り落とす。といった具合)
※参考写真は横長構図なので上下を切り落とす形での撮影を行っている。
悪いトリミングと良いトリミング。
少しでも良い画質にしたいという意味でも、左右や上下のどちらかだけを切り落とす。ですとか、大幅に上下左右を切り落とす。といったトリミングは画質を落とす悪いトリミングと捉えています。また、「とりあえず広めに撮っておいて後からトリミングすればいっかぁ。」というめんどくさがり度MAXなトリミングは言わずもがなですね。
逆に良いトリミングとは「トリミングする前よりもトリミング後の方が良くなった。(写真の意図が伝わりやすくなった)」この1点で判断します。
※トリミング前とトリミング後の比較画像


普段の練習が大事。
「トリミングを前提とした撮影」と一言で言うことは簡単ですが、実際に現場に立ち広大な風景や繊細なマクロ視点で世界を見た時、即座にベストな切り抜きが頭に思い浮かぶかと言えば…否です。
練習方法についても後述しますが自身の体験からも「トリミングは練習しないと上達し難い。」と思います。
ただ、練習してみた結果「トリミングする前の方が良かった。」という事は筆者にもたまにあります(汗)その時はもちろん「撮影時のアスペクト比がベストだった。」ということになるでしょう。
各アスペクト比の意図
トリミングは様々なアスペクト比で切り抜きが出来ますが、今回は筆者が良く使う「スクエア構図(1:1)」「横長構図」「縦長構図」を解説します。
スクエア構図(1:1)
1:1のアスペクト比なので「正方形構図」とも言われますが筆者はちょっとお洒落に「スクエア構図」ですとか単に「スクエア」と呼んでいます。
スクエアで切り抜く際は主要被写体の左右に邪魔なものがある場合や比較的中心部分に大きく主題がくる時などに使います。また古いフィルムカメラではこの1:1がベースとなるフィルムもあるので「古めかしさ、懐かしさ」や「お洒落感」を感じる方もいらっしゃると思います。

横長構図
筆者は「水平線」や「地平線」「連なる山稜」などで良く使う切り抜きです。特に通常のアスペクト比(2:3や3:4)で撮影すると「明るい空が大幅に構図に入ってきてしまう。」ですとか「手前の柵や草むらが画面下部に入ってきてしまう。」という時に使用します。
また、横長構図にすると「空間的に広がりを感じやすい。」という点も筆者がこの構図を良く使う理由の一つです。

縦長構図
横長構図と対となる「高さのある被写体」や「縦方向に主要なラインがある」被写体などで良く使う切り抜きです。ただ、筆者自身この構図で切り抜くのが最も難しいと感じています。その反面効果的に使えると非常に目立ちますし「掛け軸のような風情」をも併せ持たせる事が出来るのでこれからも挑戦していきたい構図の一つです。

トリミング上達法
では最後にトリミングの上達法を解説します。
パソコン上での練習。
まずはパソコン上で練習をしましょう。
筆者の場合は「自由なトリミングを行えばもっと良くなるんじゃないか?」という画像を選び「AdobeBridgeCC」上でいくつか複製を作ります。この時マスター画像(複製元の画像)はそのままに複製した画像をどんどん思いつくままにトリミングしていきます。
大事なことは「トリミングする前よりもトリミング後が良くなっていること。」ですからトリミングの練習と同時に「良くなっているかどうか?」を判断する練習も行いましょう。(マスター画像とトリミング後の画像の比較)
撮影現場での練習。
次に、パソコン上で行ったトリミングの練習経験を生かして実際の撮影現場でも行います。ちょっと恥ずかしいのを堪えて(恥ずかしくなんてない!!)両手の親指と人差し指で目の前の風景を擬似トリミングしてみましょう。これは指を使わないで脳内で出来ればそれはそれでOKです(笑)
また、筆者はその際に「目の前の光景を写真的(平面的)に捉えるため」に片目で見ます。
さらにマクロ撮影のように疑似トリミングが難しい場合、撮影した画像を一度背面液晶で見ます。そしてその画面を指で隠してベストなアスペクト比を試行錯誤するのがオススメです。(粘着性の弱い黒テープ『パーマセルテープなど』を使う方法もあります。)
まとめ
では、今回の記事のまとめとなります。
- トリミングとは撮影後の写真を好きなアスペクト比(縦横比)に切り抜くこと。
- 出来るだけ撮影現場で「どのように切り抜くか。」は決めて撮影する。
- トリミングの上達には普段の練習が大事。
「横長構図」は「水平線」や「地平線」「連なる山稜」など横方向に広がりを感じさせたい被写体で良く使う切り抜き。
「縦長構図」は「高さのある被写体」や「縦方向に主要なラインがある」被写体などで良く使う切り抜き。
〈練習方法〉
まずは適しそうな画像を複製してパソコン上でトリミングの練習を重ねる。次に撮影現場で目の前の光景を頭の中で擬似トリミングする練習を重ねる。
となります。
目の前の光景を好きなアスペクト比で切り取ることが出来れば表現できる世界は本当に広がります。ぜひ練習を重ねて的確に写真をトリミングする方法を自分のものにしちゃいましょう。
また今回の手法でトリミングして出来た力作には #ヒーコ や #トリミング などのタグを付けてSNSなどで投稿してみて下さい。
筆者が目を皿のようにして見つめます(悦)それでは、また!!