伝わる風景写真とは

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「気づかないだけで、世界は本当に美しい。」

これは、とあるドキュメンタリー番組内で宮崎駿監督が仰った一言です。私も風景写真の撮影をしていて本当にそうだなぁと実感する瞬間があります。まだ薄暗い時間帯からカメラを三脚にセットし、わずかな光とともに沸き立ちはじめる朝靄・・・。唯一の光源である太陽が大自然を様々な色に染め、照らし出してゆくひと時・・・。そしてまた時には落ちゆく西日に照らされて燦然と輝く唐松たち・・・。

「あぁ、本当に世界って美しいなぁ。」と感じる瞬間です。

・・・が、実は私、カメラを持つ以前はまったくぜんぜん・・・これっぽっちもそうは感じていませんでした。
むしろ宮崎駿監督の美しいアニメ世界の中に入って生活したい!なんて考えるような少年でした(怖)

しかもまともにカメラを持ったのが33歳だったというのですから・・・それまでいったいどんな少年時代、いや、中年時代を過ごしてきたのやら・・・。

と、いきなり何を独白を始めているのかと思われる方も多いかもしれません(笑)

はじめまして

皆さん初めまして。風景写真家の長瀬正太と申します。

  • 長瀬 正太

    日本写真協会会員・風景写真家

    風景とマクロ撮影を主とした写真家。個人写真教室や撮影会の講師を務める。また「デジタルカメラマガジン」などに記事寄稿。和紙にプリントした作品は国内外でのイベントへの招待も多数。「Don't think. Feel! 」を地で行く天然フォトグラファー。

私は永遠の秘境「グンマー」を拠点にし、県内では赤城山、県外では長野県や日光市などの風景に惹かれ、四季を通じて撮影に出掛けております。
お仕事としては教室や撮影会の講師、時には写真雑誌の記事執筆なども。
また、自身の写真を和紙にプリントした作品も発表しており、2012年~2016「CP+」(パシフィコ横浜)阿波和紙ブースにて作品展示。
2014年「第7回 タシュケントインターナショナルフォトビエンナーレ」(ウズベキスタン)では作家招待をして頂きました。

と、こんな風にいまでは自身の撮影した風景写真でお仕事を頂けるような立場となりましたが。
・・・・実際最初は、師事した先生に良くこんなことを言われました。

伝わる風景写真とは

風景撮るの下手

「長瀬君は風景撮るの本当に下手だなぁ。」と(笑)

いっつも自信満々で自分の写真を持っていっていたので本当に頭にくるんですよねこの言葉。
なんでそんな風に言われるのか全く分からなかったですし。
「長瀬君はここに来たっていう記念写真で撮ってるだけなんじゃないの?」だなんて(怒

ダメ出しされていた頃の写真

う~ん、これ以上ないくらい記念写真ですね(汗)
「長野県・渋峠と言えばここだよね!小さくいれた富士山もバッチリ!空は三分の一配分でしょ!」
(あぁ、恥ずかしい・・・死にたい)

(富士山ちっさ!?こんなの誰も気付けないでしょ・・・)


自分では真剣に撮影したつもりだった。

う~ん、おかしいなぁ。これでも当時自分ではこれ以上ないくらい真剣に撮影していたんだけどなぁ(汗)

そしてそれからというもの、そんな師の鼻を明かしてやるべく写真とカメラの猛勉強をしワークショップや風景撮影会にも意欲的に参加しました。
有名な撮影スポットへ出掛ければ少しでも良い場所で撮りたいと早朝から場所の取り合いをしたり、沢山並んだカメラの砲列の中で人より少しでも良い写真を撮ろうと必死にキョロキョロしたり。
しかし、頑張っても頑張っても私の「風景写真」は上手くならず・・・先生にもまるで褒めて貰えない日々が続きました。

・・・・。
・・・。
・・。
いまは当時のこの自分の「下手」の原因は非常によく分かります。

この頃の私は、自分の思いを伝える風景写真を撮る為に大切なことに気付けていなかったのです。

ある日気付いた、大切なコト

それは・・・ちっとも褒めてくれない師に反発し教室の皆で行く撮影会にも参加せず、一人で撮影に出掛けるようになった頃でした。
その日は風邪を押して出掛けていたのでお昼を食べてから車内で睡眠を取り、気が付いたら15時過ぎ。
車を出て、ふっと峠を見返してみると唐松の黄葉に西日が射し燃えるように輝いていたのです。

その様子を寝ぼけまなこでみていた自分も一瞬で目が覚め、ただただその光景に魅入りました。
あぁ・・・・・・・綺麗だ。」と。

そして、しばらくして我に返るとそこから「この感動を先生に伝えたい。」「いかにしたらこの自分の感情を写真に封じ込めることが出来るのだろうか。」という思いが溢れ出てきて、ああでもないこうでもないと夢中になり時間を忘れて撮りまくりました。

この感動を伝えたいという思い

そしてこの時初めて気が付いたんです。
「あぁ、そっか。自分は今まで撮ることにばかり目を奪われていて目の前の風景に本気で感動してはいなかったんだな。」と。

そうです、私はいつも横にいる先生の目線や周りで撮影している誰かの目線ばかりを気にして目の前の風景を見ていなかったのです。

自分自身が「美しい」と感じていないものをどんなに一生懸命に撮っても、写真を見てくれる人に「美しい」と伝えることは難しい。ですよね。

伝わる写真

「何を撮るか」よりも「何を感じているか」

それからというもの、私は「ここで何を撮るべきか?」ではなく「自分は今、何を感じているのか?」を探るようになりました。それは「美しい」「格好良い」「素晴らしい」「面白い」「悲しい」「汚らしい」なんでも良かったんです。それが分かってからは沢山の方に「長瀬先生の写真はすぐに長瀬先生が撮ったと分かる。」なんて言って頂けるようになりました。

とは言っても見たものを見たままに、感じたものを感じたままに撮れないのも写真の難しさでしょう(汗)

こと「風景」に関しては、幸運にも良い気象条件・良い光線状態・良い景観が揃っても、その瞬間に思いのままにカメラを設定しここぞというタイミングにシャッターを切れなければなかなか「伝わる写真」にはならないですよね。

後処理も大切

また、デジタルの進歩と共に撮影時のデータの状態やレタッチでの補完なども非常に重要となってきています。
風景写真なりの撮影後の為に現場で気をつけたい点やレタッチの仕上げ方などがあり、それを逸脱すれば「なにこれCG?」「どうせレタッチでしょ?」と嘲りを受けてしまうことも有り得かねません。
しかし自分が「伝えたい」「感じたコト」を表現するためには、カメラ任せに撮った写真が一番とも一概には言い切れません。

だから伝えたい。

だからこそ、沢山の「下手」を全て実体験で乗り越えてきた私なりの
風景撮影のコツやレタッチ法をこれからどんどん公開してまいります。
それらが皆さんの「伝わる写真を撮る」すべの一助になれれば幸いです。

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