どうも、暑すぎて三途の川を泳ぎたい黒田明臣(@crypingraphy)です。今年はどんな水着を着ようかなと悩みつづけて35年が経ちました。未だに買えていません。さて今回はシンプルな背景の前でのポートレート撮影時に目立つ「髪の毛のハネ」を除去するTIPSをご紹介していきたいと思います。
ワンランク上のポートレートへの鍵!Photoshopで髪の毛のハネを自然にレタッチする方法
はじめに
明るい背景紙を使用したり、背景をあえて飛ばしたりするケースでは、アジア特有の美しい黒髪がハネていたりすると目立って仕方ないですよね。それを含めたスタイリングや作品といったことも考えられるのですが、そうじゃないことも往々にしてあるかと思います。
髪の毛のようにピクセル単位で表現される描写では、修復ブラシなどで境界線をぼかしてしまうと印刷したり拡大したりした際に不自然な印象になってしまいます。また、コピースタンプツールで行っても、背景がグラデーションになっている場合などは階調性を表現するのが難しく、時間がかかってしまいます。
かんたんそうな修正ではあるものの、意外とうまくいかない罠がある。
それが髪の毛のハネレタッチだったりすると思っているのですが、今回はかんたんに髪の毛のハネを修正する方法をご紹介します。
髪の毛のレタッチは常にプロブレム
経験のある方はよく分かると思いますが、肌のレタッチなどに比べても髪の毛のレタッチというのは非常に困難です。雑にいえば非常にメンドクサイ。高周波なテクスチャーにランダムな動き。一本一本変えていこうとすると大変です。こればかりは仕方ないですけど、それなりの覚悟をもってレタッチしなければならないし、撮影時にもそういった点を念頭においてケアしておくと、事前に後処理の時間を削減できるかもしれません。
気を使うべきポイントの一つだと思ってます。
今回の使用する画像
ということで、前置きが長くなりましたが今回の使用する画像はこちら。被写界深度はたしかF2.8程度で、わりと浅く仕上げています。あえて髪の毛の部分や首などがボケるようなあたりを狙って設定。完全に解像された髪の毛をレタッチするよりも境界がわかりづらい分、難しかったりします。
髪ハネ部分
ということで、この赤い点線がある辺りの髪の毛を除去していきたいと思います。
レタッチ開始
背景レイヤーをコピー
まず最初に、背景レイヤーをコピーしておきます。このコピーされたレイヤーが最終的に除去された部分となるので重要です。
コピーされたレイヤーをフィルター処理
次にフィルター → ぼかし → ぼかし(表面)を、コピーした背景レイヤーに適用します。ぼかしフィルターはいくつかありますが、ここではぼかし(表面)を採用します。ぼかし(表面)フィルターは、けっこう処理にパソコン側のエネルギーを使うので、データが16bitになっているとそれなりの時間がかかります。8bitであればだいぶ時間も削減されるので、パソコンのスペックと照らし合わせてデータを確認しましょう。
あんまり長すぎると待ってる間に他のことはじめて、作業していたことを忘れてしまうということが多々あります。(これはオレだけ?)
ぼかし(表面)設定
「しきい値」は肌や髪の毛との境界線がボケないように、「半径」はハネた髪の毛が背景に溶け込むように設定します。
- 半径:23
- しきい値:18
フィルターで人物と背景をシンプルに分離
適用後はこんな感じになります。
これで髪の毛のハネていた部分が背景に溶け込んで、階調も整っています。あとは想像の通り、マスク処理を駆使してハネの部分のみ適用します。
背景をマスクしてから髪の毛を消す
一旦、作成したぼかしたレイヤーを完全にマスクしてしまいます。マスクした後、ブラシでハネた髪の毛の部分のみ表示します。ブラシは不透明度20%程度でゆっくりなぞりましょう。これにより、背景のグラデーションを破壊せずに調整可能です。不透明度や流量についてはあくまで参考でしかないので、状況に合わせて変更しましょう。正解はありません。
雑にですが、マスクしてみるとこのような形になります。このくらい大雑把でもこのくらいならとりあえずは大丈夫。
完成写真
完成です。
Before/After
見づらいかもしれないので、アップで比較を。
自然と髪の毛が消えていますね。もしぼかしきれていない髪の毛があった場合は、コピースタンプレイヤーで修復しておきましょう。ついでに一本だけ髪の中で目立っていた毛も消してみました。消したほうがスッキリした感じがしますね。あと、なんとなく背景のグラデーションになっているグレー部分が気になったので、ポイント的にトーンカーブで明るくし調整してみました。気になったらやればいいかもね位のノリで、特にこれは毎回やる必要はありません。


まとめ
髪の毛の束ではなく、一本一本の髪の毛がハネていたりした場合に有効です。現像時やこちらの処理前に写真のデータ自体にノイズや粒子をのせていると、ぼかし部分で粒子が消えてしまって違和感になるので気をつけましょう。とくにVSCO Filmのような粒子込みのプラグインを現像時に使用してからPhotoshopでレタッチを行おうとすると、そういった罠に陥りがちです。背景紙をつかったシンプルなポートレートなどでは、写真全体の情報量が少ない分細かいポイントが気になりがちなので気を配りたいところですね。プロのレタッチャーや広告レベルのクオリティは難しいけど、ちょっとした髪の毛のハネは気になるなんていう方にはおすすめのレシピです 🙂
自分は面倒なのであまり使いませんが…
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