光と影を操り広がる世界観!ポートレートにライティングが必要な3つの理由

ポートレートにライティングが必要な理由とか大きく出たなという感じですが、もちろんかならず必要という意味ではありません。ライティングというと主にブツ撮りだと思いますが、家やスタジオにこもってああだこうだ言いながら延々とブツ撮りをしているという写真愛好家の姿は想像できません。あまり多くはいないでしょう。

ライティングって必要ある?

しかし、趣味で写真を楽しみながら、ライティングに手を出している方は数多くいます。主にポートレートを中心に。そしてどうやら中には、なんとなくライティングをやってみたいけどどうしたらいいのかわからない。何故皆がやるのかわからない。必要と感じたことがない。という人もいるようです。そういえば自分もかつてそうでした。実はこういう類の内容は過去にも書いています。ライティングやストロボ機材の基礎や光の性質など。ものすごくかんたんにですが、まとめています。

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TUTORIAL

明るさを補うためだけではない

ライトを使って光を足す行為は、一見明るさを補うためのような気がしますけど、大抵のカメラでは100 ~ 1,600、さらには3,200や6,400といった高感度を常用範囲とするこのご時世ですから、一概に明るさを補うためという言い方はできないと思います。

そう考えると、このご時世に何故ライティングをするのか?というのは疑問です。

オンカメラのフラッシュが全てを暴く

少なくとも自分自身、フィルム時代を知らないデジタルネイティブですから、ISO3600とかいう高感度にも慣れています。はじめて購入したカメラには内蔵フラッシュがついていて明るくすることはできました。ですが、「ここは暗いからフラッシュを使おう!」と思ったことはありません。「ここは暗いからISO6400にしよう!」となるのです。何故なら、暗いと思ってスピードライトや内蔵フラッシュを使用しても自分が思い描いていた明るさイメージではないからです。

最初は、フラッシュが暗い場面を解決してくれると思っていました。そうして期待をもって内蔵フラッシュを使用すると得体の知れない艶めかしい光に包まれた想像もしていない目の前の光景がディスプレイに写っていて、ギョッとしたものです。何もかも暴いてやろうという力強さをもった光に満たされた被写体たち。

思い描く明るくなってほしいイメージ

これらは「暗いなあ」と思ってISOをあげて撮影した写真例。

スピードライトを使ったイメージ

カメラ頭上にスピードライトをつけて撮影した写真。

これじゃない感。いや、実際これらの写真は最近スナップとして記録用に撮ったものなので良いんですけど、当時は驚きました。

今はあえてこれを狙う人も多いと思います。いまはラフでグランジっぽいアナログ感を感じるテイストがもてはやされている時代でもあるので、あえて作風としてオンカメラのフラッシュ感を出す人もいますが、目の前の光景と違うという点では異論のある人はいないでしょう。

いまは、iPhoneなどでLEDがついているので、この差もよりイメージしやすいんですかね。フラッシュを使用することで何もかも暴いて見せてやろうと思っているわけではなく、ほんのり目で見ているような明るさになればよいのに、こうなるんですね。いま考えるとすごく当たり前のことなんですけど、当時はたいへん驚いたことを覚えています。冷静に考えてみると目で見ている環境にフラッシュ光を足しているので当たり前の違和感なんですけど。

さらに露出が許容範囲を越えないようにシャッタースピードやISOやF値が変わっていくので、目でみたイメージや、ISOだけをあげて露出を確保したイメージと違って当然というか。しかし当時はそんなことはわかりません。シャッターを押してディスプレイに目の前のものが写るという機械が、光を必要とするかどうかもひょっとしたら分からない可能性すらありますから。(さすがにそれはない?いや、どうだろう)

ライティングことはじめ

広告写真的質感を知りたかった

自分自身を振り返ってみます。

カメラを購入してから最大の疑問は、日頃街中で見ているような広告写真や雑誌に掲載されているような写真のように、明暗のメリハリがついた得も言われぬあのコントラストは一体どういう原理で生まれているのか?ということでした。ただ、それを不思議に思いながらも、とくに調べたりするほど写真に熱中していなかったこともあり、微かな疑問として頭の片隅にあった程度だったのを覚えています。

知り合いでモデルをしている友人にその話をしていると、「ライティングじゃない?」という回答をさらっと教えてもらって、玄光社発行のコマーシャルフォトや、ライティングに関するアレコレを調べてやっていると、ライティング機材をカメラの上におくのではなく、オフカメラ、つまりカメラから離して撮るとああいうイメージになると知り、「ああ、間違いない。コレだ!」と。

あのオンカメラでストロボ直射のようなイメージが、工夫をすれば広告的な写真になるのか!という最大の発見でした。とくに、ずっとレタッチによるものだろうと勝手に勘違いしていた自分にとっては目からうろこ。

答えはライティング

初オフカメラライティングで友人を撮影

はじめてオフカメラでの撮影を行って試してみて、やはりあの広告的な質感はライティングによるものだったのだと確信に至ります。カメラの上の内蔵フラッシュやクリップオンではなく、カメラから外して自由なアングルから様々なアクセサリーを使用したりしていくことで、可能性が無限大に広がるということを知ったのです。

驚きと喜び

この驚きと喜びたるや相当なものでした。いままでずっとやり方が不明で一体どういう原理なのかわからなかったことを、どうすればよいのかしれたので。当時は今ほど熱中していなかったものの、写真ってもしかしたらおもしろいかも?とすら思い始めていました。もちろんこの先には長い道のりがあるのだろうけども、どっちの方向に進めばよいかわかっていなかったところに、例えば何千キロだろうとこの方角をひたむきに歩いていけばいずれローマにたどり着くみたいな。いやちょっとちがうかな。

とにかく、嬉しい驚きでした。

ライティングを知る前

ライティングを知る前はこういう写真しか撮れませんでした。

ライティングを知ってから

ライティングを知ってからは、こういった明暗差をコントロールできる写真を撮れるようになります。

どちらが良いとかではないですが、明らかな違いではあります。一時期はこのようにがらっと作風も変わって、ライティングばかり楽しんでいました。また当時は、平日ふつうに仕事ばかりだったので、夜にどこでも撮影できるという点も嬉しいポイントだったかもしれません。こうしてようやく、スピードライトなどライティング機材の必要性が理解できました。

ライティングとは


本題です。

こうしてライティングの可能性を知って、与えられたおもちゃで遊ぶ子供のように必要性なんかおかまいなしで様々なライティング写真を量産して、わかったこと。それは、やはり明るさを補うためではなく演出するためという答えでした。

光をコントロールするということ

スピードライトをはじめとするライティング機材を使用して、さらに様々なアクセサリーなどを駆使していくことで光の質をコントロールすることが可能です。これは刻々と移り変わる太陽と比べて非常に安定した光源となります。太陽光ほどの明るさも大きさもない小さな発光物体でしかないですが、それでも角度や距離を少し変えるだけで撮像範囲の表現というのは大きく変わっていきます。

スピードライトを使用して、光そして写真をコントロールできるという点がライティング最大の魅力。

と、おじさんは考えています。

ストロボを使うことだけがライティングではない

たとえば、この写真ではライティング機材を一切使っていません。太陽光のみでレフ板などのリフレクターもなし。窓から差し込む太陽光が赤い布を透過することで色づいているんですね。

これは自然光だからライティングではないのでしょうか?

たしかに、「この写真はライティングしていますか?」と聞かれたら、「していません」と答えてしまいそうですが、本質的にはストロボを使用してライティングしていることと何も変わらないと思うわけです。わざわざこのために、光が赤くなるような布を用意して撮影しているのだから。ただ、そこにあるものでたまたま撮れた写真ではありません。

つまり、これもライティングの一種ではないかと。

本質は、光をつくること

基本的にライティングというのはスピードライトなどライティング機材を使うことであって、実際に「ライティング」という言葉が使用される時は、大抵の場合機材を使っているかどうかを指すだろうと思います。しかしその本質は、光をつくること。光をコントロールすることではないかな〜というのが持論になりました。

前述例における自然光のコントロールも、モノブロックのような瞬間光やHMIといった定常光を使用して光をコントロールすることも、つくりあげたい写真があって、その「自然」に対する「テコ入れ」という観点では変わらないだろうということです。

我々には、望む光がある

色々な考え方があると思いますが、単なる記録写真だけではなくポートレート、人物肖像であれば、闇雲に光を当てるだけでは意味がないと思います。ただ光があればよいというわけではないということですね。

  • その人が美しくみえるように。
  • 自分が美しいと思うように。
  • 光によって演出できるように。

など、人それぞれあると思いますが、ただ明るく写るようにではなく、そこには何かしら自分が求める光があったり、これだけはイヤだという好き嫌いがあるのだろうと思います。でなければ極端な話、全員クリップオンストロボだけ使っていれば良いんです。いや、もはやスマートフォン一つで解決かもしれません。

そうでもなければ、ピーカンはイヤだとか。曇りはイヤだとか。晴天が好きだとか夕陽が好きだとかそういう議論や欲求は生まれないでしょう。

つまり、我々には、こうあってほしいという光が少なからずあるのです。

ポートレートにライティングが必要な理由

ライティングの本質は、光をつくること、光をコントロールすることであって、明るくすることだけが理由ではない!じゃーん。ポートレートフォトグラファーに限らず、写真に光を必要とする以上フォトグラファーには光が必要で、そこには好き嫌いがあります。さいきんではiPhoneでもポートレートライティングモードみたいなのがあるんですよね。やはりそれだけポートレートとライティングは切って切り離せないものなんだと思います。

理想の光がある点

我々フォトグラファーには見せたいイメージがあって、理想の光があります。自然光や自然環境ではそれをパーフェクトに表現することは難しいでしょう。ライティングであってもパーフェクトに表現することには相当な難易度と、実現したところで予定調和という難関が控えていますが。まあそれでもライティングが理想に近付こうという努力そのものだったりしますよね。

ポートレートに限らずですが、被写体を際だたせるための、こうあってほしいという光を考えていくことは上達していく上で避けて通れない道だと思います。あまりこういうことは言いたくないですが、どうしても時代や文化に基づいた共通の美的感覚みたいなものがあって、それが光によって成り立つものであることが多いのは確かなんですよね。

コントロール可能な範囲である点

光を狙って写真を撮るというのは風景でもポートレートでも共通だと思いますが、ポートレートというのは被写体が人間一体程度の大きさであることから、ライティングでコントロール可能な範囲化に構図が収まるという物理的な条件があります。

つまり、ライティングで思い描くイメージを実現しやすいんですね。この最たる例がブツ撮りやテーブルフォトで、風景写真なんかだとさすがにライティングしようにもスケールが大きすぎて難しい。ワイルドライフなんかもライティングしている時点で何もワイルドではないし、ストリート写真であっても演出しすぎることに対する嫌いがあるのだと思います。

光と影で描いている点

光で照らしても影がなければ造形はわからない。陰影があってはじめてその人の顔や姿形を認識できるわけで、それらをどのようなシェイプで見せるかという点もライティングのさじ加減一つ。これは自然光であっても変わりませんが、光と影をつくりあげていくことはポートレート写真の醍醐味だと思います。どこにモデルが立っていて、それを順光で撮るのか逆光で撮るのか。そういった様々な判断が撮影の合間で行われていく中で、ライティングがその判断の手助けや足りない部分を補足してくれたりします。

ライティングをしよう

ストロボ光によるライティング

目の前の被写体を記録的な側面だけではなく自分なりの美意識をもって写真に残したいという人。

そういう人は、少なくないでしょう。その美しく残すという答えには、ライティングが含まれているかもしれません。美しくというのは、絵的な美しさだけではなく情景的なものであってもよいし、何ら劇的なものではない日常的なことでも良いでしょうし。ただどういうものを写したいにせよ、こうであってほしい光というのはあると思うんですね。それを実現するためのソリューションであると。

つまり、ライティングは、撮りたい写真を実現するためにフォトグラファーが採用できる手段の一つであって、光をコントロールすること。

そのためには、自分が何をどう撮りたいのかという点について、ビギナーの方であればより深く考えておく必要があると思います。例えば、最初は誰かの何々みたいな写真を撮りたいみたいな欲求でも構わないでしょうし、何を撮りたいのかできるだけ明確にイメージすること。これがライティングを楽しんで活用していくにあたっての、はじめの一歩なのではないかなと、自分のこれまでを振り返るとすごく感じていて。イベントだったりセミナーであったり、アシスタントをはじめとするスタッフにもそのように伝えています。

まとめ
  • 明るくするだけがライティングではない
  • 光をつくることもライティング
  • 光をコントロールすることもライティング
  • 闇雲に光をあてるだけでは駄目
  • 光を演出として使用する
  • ライティングをするのはライティング機材とは限らない

ということで、希望があれば具体的に何を揃えていけば良いかとか書いていこうかな。

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最終更新日:2021年8月12日
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