ライティング初心者からプロまでおすすめのストロボ決定版!Nissin MG80 Proがやってきた

三度の飯よりライティングがすきな黒田明臣(@crypingraphy)氏が、ニッシンストロボからはじまったライティングの軌跡と、最新のNissin MG80 Proのレビューを赤裸々にお届けします。

ライティング初心者からプロまでおすすめのストロボ決定版!Nissin MG80 Proがやってきた

はじめに

ニッシンジャパン株式会社との出会いは、おそらく2013年。自分が写真をはじめた頃、ライティングを駆使した広告写真のように、程よい違和感を魅力にかんじていながらそのやり方がわかっていなかった頃。

その違和感はライティングによって実行可能とわかったときに購入してお世話になったのがニッシンスピードライトでした。それから毎年のように意欲的な新製品を発表しているアマチュアからプロフェッショナルまでがスピードライト購入の選択肢としてまず頭に思い浮かべる一大ブランド。

私自身も、かれこれ6台ほど同社製品を保有しています。

ストロボのある写真家生活

何度かインタビューや記事でも語っていますが、自分の写真活動とライティングには切っても切り離せない関係があります。ライティングを積極的に学んでいったことで自然光に関する理解も増えて結果的に写真がうまくなったことは言うまでもなく、どのような環境でも必ず自分の作品にするための選択肢が増えました。

もしかしたらこの記事をご覧の方の中でもライティング覚えたいけど難しそうという方もいるかもしれません。

しかしそういう人こそまずは一つ、シンプルでイージーなストロボを買ってみましょう。そのはじめの一歩にニッシンジャパンは適したメーカーであり、今回ご紹介するNissin MG80 Proは良い選択肢の一つでしょう。

全てはクリップオンストロボからはじまった

メリハリのないポートレート

この写真は、過去に自分が撮影した写真です。ライティングもよく知らずよくこのくらいのバストショットを撮りながら、何故海外や化粧品広告でみるようなメリハリのあるような写真にならないのか?と嘆いていたのはまだ数年前。

そこでライティングという存在を知って、自分の思い通りに光を操るための方法を教えてもらいます。

これが知りたかった

そしてライティングという存在を知って、アンブレラやソフトボックスといったアクセサリーを手に入れてからの写真です。このとき霧が晴れた感覚たるや。

誤解してほしくないのは、前者のようなナチュラルな写真がキライというわけではなく、後者のような写真が世の中にこんなに転がっているのに、何故そのやり方を自分は知らないのだろうか、という漠然とした不安があったのです。

ニッシンジャパンのスピードライトによってこの霧は見事に晴れました。

そんな無知の権化のような私が、いまこうして思い出深いニッシン製品のレビューを書いているから人生は不思議なものです。

モノブロックとスピードライトの比較

ここでは、あえてモノブロックと比較してスピードライトという言葉で書いてみますが、カメラメーカー純正やニッシンジャパン製品をはじめとしたスピードライト型のストロボと、モノブロックやジェネレーター、バッテリータイプのストロボと比較しても、スピードライトというのは決して下位互換ではありません。

私も仕事ではモノブロックタイプのストロボやジェネレーターを借りたりすることもありますが、その理由はスペック的な問題というよりはスタジオという空間の中でコンセントに繋いで長時間撮影するからです。作品を撮影するに当たりそもそもそういったセットを組むほうが稀でしょうし、それを実現するには実は機材以上にアクセアリーや場所などの求められる条件が多いのです。

現に、私がインタビューやアシスタントも不要とするうような撮影を行う場合はクリップオンタイムのスピードライトと三脚、そして小さめのアンブレラ一つで撮影を済ませてしまうこともあります。

ロケーションでのライティングなどでも同様のことが言えます。

スピードライトの利点

撮影内容によっては、スピードライトの利点を活用する幅広い選択肢をもつことが大切。

  • 価格が安い。
  • 軽くて持ち運びやすい。
  • オフカメラライティングがしやすいNASシステム。
  • 様々なアクセサリーに対応。

Nissin MG80 Pro がやって来た

スピードライトの話が長くなりました。

今回発売されるNissin MG80 Pro。先日、ヒーコで行われたヒーコデイというイベントで提供されたブースの一つは、ニッシンジャパン提供のゆめかわな世界が広がる目玉コンテンツの一つでした。

こちらと、事前リハーサルで撮影された同製品による作品を元にご紹介したいと思います。

マシンガンストロボとは

本製品をはじめとするニッシンジャパンのMGシリーズは、マシンガンストロボを意味するコードです。言葉にしてしまえば当たり前ですが、ストロボというのは発光するたびに発熱しています。近年ではLEDライトも発達していてライトは熱を持つということが当たり前ではなくなってきている節もありますが、ストロボはしっかり発熱します。

つまり、この小さなボディで何も気にせずバカスカ発光するということは、それだけ熱を持つということになります。

聡明な皆さんはそんなことはないかもしれませんが、はじめてストロボを購入した当初のフィルム時代も知らないナチュラルボーンデジタリストの私は、そんな事情も知らずに普段自然光で撮影しているときと変わらず狂ったようにシャッターを押し続け、よくストロボをオーバーヒートさせたものです。

一度オーバーヒートしてしまうとしばらく使い物になりません。壊れたわけではありませんが、当然冷ます必要があります。これはストロボビギナーであれば一度はやったことのあるアルアルではないでしょうか?(自分だけだったら寂しい)

しかし、このMGシリーズでは、高耐熱クオーツ管を搭載することにより、連写による連続発光を可能にします。まさしくマシンガンの名の通り、ライティングにタフネスを持ち込んだ驚異のストロボなのです。

多灯ライティングとカラーフィルターで彩るブースセッティング

ヒーコデイのコンテンツでは、大掛かりなセットではあるものの横幅や高さなどに制限があり、ブース全体を使い切るためにはできるだけ撮影セットをコンパクトにまとめる必要がありました。

そうなると選択肢としてはやはりMG80 Proのようなコンパクトかつ大光量であるストロボが優勢。さらに、同社ニッシンライトスタンドを使用します。

MG80 Proのような小型製品とは、ソフトボックスのような持ち運びや組み立てに時間のかかるものよりもアンブレラのような気軽に持ち運べてセッティングがしやすい機材が高い相性をもっています。

それもあって、今回はアンブレラを中心に利用しています。

使用機材

MG 80 Pro 一台
MG 10 Pro 二台
LS-50C 三台
Profoto Umbrella Deep White M
Profoto Umbrella Deep White XL
カラーフィルター

ライティングの構成

今回のコンテンツでは、三灯を使用していますが、MG10の二灯はカラーを組み立てるために使用しているのみであり、明るさという意味ではあまり期待していません。あまり明るくしすぎてしまうと、せっかくのカラーフィルターの色が反映されずに白くなってしまうので、色がきちんと出る光量に抑えています。

MG10とカラーフィルター

MG10二台は、カラーフィルターをつけて、ニッシンスーパーライトスタンドに搭載しているのみ。何も傘などのアクセサリーはつけていません。
天井やブースの壁にバウンスさせることで、色味を生かしています。

MG80 Proのみで彩る被写体への光

そしてMG80 Proのみが被写体を照らすキーライトとなります。今回は二つの理由で、二種類のアクセサリーを用意しました。

  • スピードライトらしくコンパクトに構成された小さいアクセサリー
  • スピードライトらしからぬ大光量でも対応可能な大きいアクセサリー

Nissin MG80 Pro の魅力

Nissin MG80 Proは、小型ストロボというだけあって、他社モノブロック製品などと比べると驚異的な小ささを誇ります。もちろん同社には、i60といった更に小さい製品もあるのですが、連続発光可能なプロダクトとしてはこれ以上のものは中々ないでしょう。

今回使用させていただいた作品と含めて、MG80 Proの魅力についてご紹介いたします。

NASシステム搭載で、オンカメラもオフカメラも活用

スピードライトを使用する際のポイントの一つとしては、クリップオンで使用するかオフカメラライティングで使用するかという点です。

MG80 Proでは、このいずれでもシームレスに対応できるようになっていること、さらに同製品を複数活用することで、コマンダーを別途使用することもなく多灯ライティングをセッティングできる点がポイントの一つです。

NASによってワイヤレスの調光機能を行いながら最大8グループの制御を、通信距離約100mで実現。

コマンダー機能もレシーバー機能も活用

MG80 Proでは、NASコマンダーを使用せずとも同様のインターフェースでその他のNASシステム対応機への通信が可能です。もちろんレシーバー機能も搭内蔵しているため、NASコマンダーによってオフカメラによるセットアップも可能。

オープンモードも搭載

コマンダーとストロボ同士を連携するためには、それぞれのストロボ同士でペアリングを行う必要がありました。しかし今回はNASシステム対応のストロボ同士であればオープンモードを駆使することでペアリングなしの連携が可能になります。

実際に、私もNASシステム対応のMG10と組み合わせてペアリングなしの連携を行うことで非常に便利に撮影を行うことが出来ました。

モデリングライト搭載

なんとモデリングライト搭載という驚異的機能性。これまで自分がモノブロックを使用する際の大きな理由の一つにモデリングライトがありました。まさかスピードライトでも実現できるようになるとは。

もう何が何だか分からない時代になったものです。

機材スペックまとめ

  • コマンダー機能とレシーバー機能が搭載されている死角なしの親切設計。
  • NAS(Nissin Air System)によって、8グループの制御が可能。
  • 通信距離約100mと広範囲の通信が可能。
  • NASコマンダーと近いインターフェースで操作可能。
  • オープンモードの活用で、ペアリングなしでNAS対応ストロボの連携も可能。
  • NASシステムは、ニッシンジャパン独自の規格のため、他社電波式ワイヤレスシステムとの互換性はありません。

セットはコンパクトに、光は繊細に

MG80 Proのコンパクトさを最大限活かすために、小さいアンブレラを使用して、繊細な光を再現してみました。

2メーター弱の立方体の中でセットを邪魔しないようにライティングを組んでいます。このサイズでは横綱相撲のようなライティングセットは難しいので、いかに小さくコンパクトに組むかがポイントになってきます。

こういう際にケーブルの取り回しもないクリップオンストロボをオフカメラで使用するという選択が生きて来ます。

大光量で周りを明るくするのではなく、省エネライティングでコンパクトに無駄のないセッティングがポイントです。35mm以上のレンズでポートレートを撮影する際には充分と言えるでしょう。

ニッシンスーパーライトスタンドとの相性

ニッシンスーパーライトスタンド LS-50Cとの相性も抜群のコラボレーション。このサイズのスピードライトに適したスタンドで、組み合わせとして完成されています。

小さいボディで大光量

高さ125mmで、横幅も75mm、質量も490g(電池除く)という省エネ設計ながら、 ガイドナンバーが60から32という大光量設計になっています。

  • ガイドナンバー 60(ISO/100 m/照射角200mm時)
  • ガイドナンバー 32(ISO/100 m/照射角35mm時)

こちらは35mmのレンズで全体をおさめた例ですが、この時点で光量としては1/8程度でしかありません。

照射角は、アクセサリーや使用方法によって調整する必要がありますが、これはポートレートにおいて必要十分な光量に達しています。

モノブロックなどの大光量ストロボ用のアクセサリーも活用できる

今回の作品では、Profoto社のDeep Umbrella XLという、165cmにも及ぶアンブレラを利用しています。もちろんアクセサリーが大きくなるほど求められる光量も高くなりますが、ご参考のようになんの問題もなく利用することができていることにこの製品の強みがあります。

明るくするだけがライティングではない

作品制作において、この世界を切りたいというイメージが事前にあれば、それは光の構成も事前に決めることができます。いきあたりばったりのライティングではなく、何を撮るのかという想像力を高め、できるだけイメージの解像力をあげていくことが大切です。

それが自然とこなせるようになってきたとき、ライティングがまた一つ楽しくなります。

求めていた光の色

今回は、カラーフィルターを使用した色が二灯あるため、キーとなるMG80 Proの色味はできるだけニュートラルな太陽光を模した色味である必要がありました。ここの色が基準となってこそカラーフィルターが予定通りに仕事をしてくれることになるため、重要なポイントでしたが、まるで太陽の光を彷彿とさせる色味には大きな安心を覚えました。

見せたい世界を作りあげる

今回の作品では、ただ明るくするのではなく、街灯の下にいるような薄暗い光を再現するためにライティングも試しています。これはアクセサリーを使ってモデルに光をあてるのではなく、見せたい世界を再現することがポイントです。

その工夫にライティングの面白みがあり、深みにハマっていくだけの魅力があります。

Nissin MG80 Proのある時代

自分がスピードライトを覚えた頃は、このような製品は世の中にありませんでした。当時こんな製品があれば救われた撮影がいくつあっただろうか?と少しかなしい気持ちを抱きながらの撮影でもありました。

断言できますが、いまどのスピードライトを買おうと思っているか悩んでいる人たちは幸せなフォトグラファーです。この選択肢が最初にあるというのは、今後に向けた大きなアドバンテージになるのではないでしょうか

おすすめしたい人たち

  • ライティング撮影をしてみたいと思いながら手が出せない人へ
  • ライティングはむずかしいと思っている人へ
  • 多灯ライティングは難しいと考えている人へ
  • 持ち歩けるスピードライトを探しているという人へ
  • スピードライトを複数台購入しようか迷っている人へ

自分は、ニッシンジャパンの回し者ではないですが、もし購入されるなら一台ではなく複数台で是非多灯ライティングに挑戦してみてください。

それではまた、ニッシンのいるところでお会いしましょう。

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