奥行きのある写真への憧憬 写真家に未踏の大地へ踏み出す勇気を与えてくれるLightroomプリセット

こんにちは、別所(@TakahiroBessho)です。久しぶりにヒーコで記事を書いてますね。あれ、久しぶりだっけ。もう自分どこで何を書いたかも忘れるくらいには耄碌し始めました。

40も半ば、この前までは一の位を四捨五入してさらにそこから十の位を四捨五入したら0歳だった僕も、今では一の位を四捨五入してさらにそこから十の位を四捨五入したら100歳になりました。たった1年で、揺り籠から墓場へとジョブチェンジですよ。数字のマジックとは怖いものですね。

さて、そんな僕にとって、写真現像は大変しんどいものです。最近などはあまりにしんどくて、もう何もしたくないので、Raw現像もまともにしなくなってきました。そんなニーチェも真っ青の深淵に片足突っ込んでる僕でも、これまで頑なに手を出してこなかったものがあります。なんだかわかりますか?わかりますよね、だってこの流れですもんね。そう、プリセットです。

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奥行きのある写真への憧憬 写真家に未踏の大地へ踏み出す勇気を与えてくれるLightroomプリセット

良くあるプリセットの正体

この記事をクリックしていただいた方は、多分写真の現像、プリセットに興味がある方だと推察いたします。みなさん、プリセットに何を求めていらっしゃるでしょう?インスタグラムの外国人の有名写真家のプリセット広告によく出てくるような、適用するだけで、なんか某ナショジオのネイチャーフォトグラファーオブザイヤーに選ばれるような、そんな変化を求めてらっしゃいますか?だとしたらそれは無理です、絶対ならない。いや、ならないってわけじゃないけど、破綻します。

そう、写真の素晴らしいところは、全ての写真は、同じ場所で撮っていてさえ、その光の上限と下限は、フォトグラファーがその時に光と闇と戦った時の記憶として、厳密に「数値」として書き込まれているからです。あたかも神の「光あれ」を模倣するかのように、我々人間は、自らの 光を、探し求めて記憶し、記録するんです。それが写真ってもんです。その光は、同時に色彩の情報も記録します。全く同じ写真というのはこの世界に原理的に存在しえないのです。

全ての写真データは、その基盤の部分のデータが全く違うわけです。だから、「このプリセットであなたの写真をワールドクラスに!(通常価格200$のところ今日だけ99%割引の2$!!!)」みたいに謳ってる、激エモ系プリセットの全ては、つまりは、素材の違うデータを無理くり引っ張り上げて、その結果大体データは破綻しちゃうんです。こういう時にご飯の話になるのは当然の帰結というもので、これはいわば、カレーのルーは、どのご飯にも合うって言ってるようなもんです。

白米にはもちろん合うでしょう。でもね、もしルーをぶっかける先のご飯が、沖縄の炊き込みご 飯である「じゅーしぃ」だったらどうでしょう?カレーかけて美味しいですか?

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絶対まずいです、 断言します。あるいは、繊細に出汁を取られた、超絶美味しい松茸ご飯に、カレーぶっかけま す?絶対しないでしょ。あるいは一番合うはずの白米だって、もしですよ、最高級の石窯で炊いた、ちゃんと「おこげ」のある、それこそ京都の老舗の懐石料理店の最後の締めに出てくるよう なご飯だったとしたら、カレーのルウ、ぶっかけます?かけないでしょ、いやだ、絶対無理。

そう、ご飯という極めてシンプルな主題に対してさえ、上に載っけるモノには細心の注意が必要なんです。どれだけ絶品のカレーだろうと、載せる相手を間違えたら、ゲテモノになるんです。写真だって同じ。プリセットがどれだけ万能であろうとも、元の写真データに統一性がない以上、使える範囲なんてごくごく限られているんですね。

あ、これ、一応プリセットの記事です。ごめんなさいね、なんかむしろプリセット激DIS劇場みたいになって。激と劇で、韻踏んでます、yo。

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若者から見たジョニーの存在

ヘイメン、でも待ってくれyo。まだページを閉じちゃダメなんだze。

あかん、無駄にヒップホップは疲れる。いや、待ってくださいね。なんかね、ヒーコからそんな僕に、無謀にもプリセットが送られてきたんですね。名前を見て驚きました。ジョニー…

震えましたね、伝説のヒップホッパーからプリセットが来てしまいました。なんてこった、これは使うしかない。

ごめんなさい、無駄にヒップホップネタを引っ張るのはやめますね。でもジョニーのプリセットと聞いて、僕の耳がピクッとなったのは確かです。なんでか。実はね、うちの学生(僕が担当している関西大学社会学部メディア専攻の授業です)に、毎年授業の最初の方に、「まずは自分の理想の写真家を見つけてみて!」ってお題を出すんです。どんなジャンルもそうですが、まずはオリジナリティとかの前に、自分の大好きな写真家の模倣をしてみて、その「遠さ」を実感してもらうことを主眼に置いてるんですが、今年ね、やったらジョニーが人気だったんですよ、嫉妬覚えるくらいに。

ある学生なんかね、「え、別所先生、ジョニーさんと話したことあるんですか?!先生、すごい!!」 って、目をキラキラして言われる始末。俺の存在感が死にましたね、その世界線でね。

まあだから僕はちょっとジョニーに嫉妬まじりの羨望を覚えてたんです。19、20のキラッキラの若者たちをも惹きつけるジョニーっすよ、そのプリセット。ちょっと使いたいかも…ってなってたところに、ヒーコから送られてきた。

俺のこと、監視でもしとるんか。

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奥行きのある写真への憧憬

本番開始 はい、てことで、ようやく前置き終了です。長いわ。でもね、本番書こうと思ったら、書くことないんすわ。だってね、全部書いてるから。ジョニーが。これ読んだら良いんすよ、まじで。

世界に選ばれる作品を生み出す!無限の可能性を引き出すプリセット

結局ジョニーの文章でも、ラーメンの話が出てきて、写真家の説明、ラーメンとかカレーで語るの多すぎ問題ですわ。みんな発想おんなじやなっていう。これ、あれですね、美味しんぼのせいですわ。みんなあの長ったらしい海原雄山の語りにぞっこんなんですって。海原雄山も化学調味料大嫌いですしね、なんせ美食倶楽部には置いてないらしいですから。ラーメン三銃士の回をぜひ読んでください。そこには写真の奥義につながる話が書かれています。

さて、僕の方から、一言二言、付け加えるとするならば、化学調味料のラーメンも美味しいです。 海原雄山でさえそれを認めてるので、ジョニーの言うことは間違っている。ここで僕はそのことをはっきりさせておきたい。

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でもですね、一方、ジョニーが上の記事で書いているように、無化調ってのは、これまた別ジャンルと言っても過言ではない、奥行きのあるラーメンの世界が広がっています。そして今回のジョニーのプリセットは、まさにそれです。「奥行きのあるラーメンの世界」。いや、違います。奥行きのある写真への憧憬。

それは、ジョニーの出自である建築の基本、X軸と Y軸という概念に発想を得てこのプリセットが作られていると言うことからも窺い知れます。10年の写真生活、と言う風に上の文章でジョニーは書いていましたが、おそらくそれは正しくもあり間違っています。建築家として、設計者として、引いてきた一本一本の線が作り出してきた、三次元の奥行き。二次元に投影されたX軸とY軸は、象徴界における三次元の立体構造を、二次元へと橋を渡そうという、いわば定められし運命に抗うシーシュポスのように、悲しく美しい抵抗。その絶望を、いわば乾坤一擲の賭けでひっくり返し、燃え盛る炎から復活する火の鳥のように鮮やかに写真空間へと転位したのが、このプリセットなんです。はい、さっぱり意味わからん。

だからこそ、このプリセットを適用したところで、その写真はネイチャーフォトグラファーオブザイヤーにはならない。僕のレベルの低い写真が、急にワールドクラスのNTFで100イーサリウムで売れるような写真に変貌するわけではない。そんなことは決して起こらない。

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でもね、このプリセットが自分の写真に適用されると、その写真の持っている本来の良さが引き立つんです。濁りが消え、奥深いところに隠れている魅力が引き立つ。悪目立ちしてるように見えてた部分が、どう言うわけか全体を引き立てる補助線のような役割を果たしてことに気づかされる。写真家を助け、写真家を育て、そして最後には未踏の大地へと踏み出す勇気を与えてくれるような、そんなプリセットです。

寄り添ってくれるプリセットとは

僕はね、それでもあんまりプリセットって好きじゃないんですよ。だって、やっぱりカレーは白米にしか合わないでしょうよ。どんだけ健康に良いってわかってても、雑穀米にかけるなんてことは僕はしない。日本のカレーは白米っすよ。

でもね、ジョニーのプリセットなら、どの写真にも すっと寄り添ってくれる。そして多分ですけどね、あわよくば、仕事にも使えますね。多分、手間が減りますね。だって、個性の上書きをしないから、このプリセット。はぁ、ようやくまともなこと言えた。

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言葉にならない魅力

ほら、なんかみんなだんだん欲しくなってきたでしょ。え?なんだこのレビュー、何も具体的なレビューしてないじゃないか!ですって?そりゃそうです、だって書くことないんだもの。

だって、美味しい料理を味わった時って、黙りがちになりません?ラーメンもカレーも、一口目を啜って、それが極上の味だったら、手が止まらないですよね。ジョニーの無化調ラーメンも、そのタイプです。

さあ、熱いうちに召し上がれ。

無限の可能性を引き出す Lightroom プリセット

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