デザイナー視点で写真を学ぶ「伝わる商品撮影の教科書」

9月29日、MdNコーポレーションより「伝わる商品撮影の教科書ーデザイン視点で素材の魅力を引き出す撮影術ー」が発売されます。近年カメラがとても進化し、誰もが写真を簡単に撮れるようになりました。たくさんの写真が溢れる世の中で、きちんと人に届く写真を撮るにはどうしたら良いでしょうか?本書は写真をデザインとして捉え「伝わる」ことにフォーカスしているのが大きな特徴です。

「伝わる商品撮影の教科書」について

カメラの扱い方ではなく「何を考えて撮影するべきか?」に着目

本書の監修をしました、フォトグラファーの原カオリ(@fratto_pr)と申します。

「伝わる商品撮影の教科書」は、デザイン系書籍に強いMdNならではの目線から生まれました。MdNコーポレーションは、多くのデザイン書を専門に発行してるデザイナーなら知らない人はいない老舗の出版社です。そんなMdNの意向として、今必要なのはカメラ操作の説明本ではなく、カメラ任せである程度の写真が撮れてしまう世の中で、私たちは何を考えるべきか?にフィーチャーした本にしたいという想いがありました。

私が元々グラフィックデザイナーをしていたこと、フォトグラファーに転身後もデザインを感じさせる写真を発表していたこと、そしてヒーコマガジンなどに掲載していた写真×デザインの記事がきっかけになり、今回本書の監修をお声掛けいただきました。

私は普段、野菜や果物をテーマにした作品を撮影したり、仕事では物撮りや商業施設撮影など、商品やサービスを売るための写真を撮っています。そこで今回は普段携わっている「商品撮影」という分野に絞り、メッセージをビジュアルに変換するためのデザイン的な変え方を本書にまとめました。

写真をはじめたばかりの方やデザインを勉強中の方、仕事で撮影を任された方へ

この本はカメラ初心者の方、デザインを勉強中の方や、仕事上何かしらの写真を撮る機会がある方に向けて作られています。

たとえば、いつも「なんとなく」でシャッターを切っているけど、本当にこの撮り方でよかったのかなと不安になることはありませんか?なんとなくで撮ってしまうのは被写体の写すべきポイントが掴みきれていないこと、そして伝えたいことを伝わりやすくする方法がわからないことが原因です。

闇雲にシャッターを切って後から良さそうなカットを選ぶのは時間の無駄になってしまいます。カメラを握る前にまず知識でクリアできる部分があります。本書ではこれらを中心に解説し、カメラ初心者から”写真が得意”へのステップアップを後押しします。

また、仕事で自社商品を撮る担当になってしまった方へ。

SNSやECサイトなど、Web上での露出が重要で大量の商品写真が必要な昨今。そういった写真の撮り方に悩まれている方が多く見受けられます。カメラマンに頼む予算が無かったり、趣味のカメラを持っていたために撮影できると思われて仕事で写真を撮ることになってしまった…なんてことも多々ありますよね。
商品撮影では、ただカメラ操作ができるだけでは不十分。アングルや見せ方など機材以外の部分でも考えておくことがたくさんあります。
本書では必要なポイントを1つ1つ解説しており、たとえば1社に1冊備えておくと安心して頂けるような内容になっているかと思います。

「写真をデザインする意識」で広がる表現や仕事の幅

私がグラフィックデザイナーからフォトグラファーへ転身した当時、写真技術が特出していたわけではなかったのでそこで差別化することができませんでした。

その時私が提供できた価値は、カメラの操作ができることではなく「魅力が伝わりやすい写真を撮る/お客様が知りたいと思う商品の情報をきちんと見せること/Webサイト等のデザインにはめ込みやすい」といった”デザイン的な見せ方のご提案”だったと思います。

とにかく伝える・コミュニケーションの役に立つことに注力した結果、その後に作業されるデザイナーさんから使いやすいビジュアルだと大変喜ばれたり(※)、お客様の反応が良いとクライアントさんから喜ばれリピートや紹介に繋がりました。

(※クリエイティブの仕事ではアートディレクターやデザイナーがフォトディレクションも監修し、カメラマンに指示をするのが主流ですが、コンテンツの流れの早い現代では撮影ファーストで進行することも増えてきました。)

撮影先行の現場ではカメラマンがどう動けるかが商品の売れ行きを左右するといっても過言ではありません。この時カメラ操作やライティングができる、言われた通りに撮れるというだけでは不十分です。ここで大切になるのが商品の観察や、伝えるべきメッセージの汲み取り、そしてそれを写真で見る人に伝える「写真をデザインする意識」なのです。

簡単にいうと被写体をしっかり観察すること、要素を分解してそれぞれに適した色や構図、アングル、光を一つ一つ選んでいくことです。本書を読んでいただくことで皆さんも一歩ずつクリアしていけると思います。

全ての撮影に通じるデザイン的な写真の考え方

本書の企画段階では、花を撮る時はここに気を付ける、料理を撮る時はここに気を付ける、というように何を撮るのかに着目して被写体別のTipsで構成するアイディアもありました。しかし、それでは読む人によっては関係のない被写体のページは無駄な情報になってしまうと考えました。

被写体別の撮り方ではなく、どんな時にも基本となるモノの観察の仕方、アングルの選び方や構図など被写体がなにかに関わらず応用できる基本の考え方を載せることで全てのページが役立つようにしました。

その結果、カメラ操作の話をしているページはあまり無いので、カメラの操作や設定だけを詳しく知りたい方には向かないかもしれません。
しかし、カメラの設定を変えなくても構図の作り方、色やアングルの選択によって出来上がる写真は劇的に変わってきます。これらの要素はカメラの操作ができることと同じくらい大切だと思っています。また、カメラ操作はもうクリアしているといった方にもぜひ読んでいただきたいです。

本の中身を少しだけご紹介

本の内容は大きく1章・2章に分かれています。
1章では被写体の観察方法やアングルの選び方、構図、光の当て方による違いなどを解説しています。本の題名に「デザイン視点」と入っているのは、この章で解説している内容がカメラの操作方法にとどまらず、デザイン的な情報の整理の仕方に言及しているためです。

2章では、ナチュラル、ラグジュアリーなど全8種類のイメージ別にその雰囲気を作る要因と作例、機材のセッティング図を掲載しています。
ここでは1章で解説した内容が実際の撮影シーンでどのように組み合わさって活かされているかを見ることができます。色や構図、光、アングルは何を使っているか、どうしてそれを選んだのかを分解する目線で読んでみてください。

最後に付録として商品撮影周りに最低限必要な機材の紹介を掲載しています。

おわりに

オシャレな写真に憧れるけど「自分にはセンスが無いから…」と卑屈になっている方はいらっしゃいませんか?…これはかつての私自身が考えていたことでした。

感性の鋭さは人それぞれ。持ち前の感覚でクリアしていける方もいれば、何をどうしたら良いかわからず立ち止まってしまう方もいると思います。この本は何より、悩んでいた昔の私自身が欲しかった情報を掲載しました。デザイン的な視点で写真を考えるという、新たな判断材料をご紹介することで、一人でも悩んでいる方の助けになれば嬉しく思います。

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『伝わる商品撮影の教科書ーデザイン視点で素材の魅力を引き出す撮影術ー』

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原カオリ

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