リモートワークが主流の今こそ使える新・令和時代のバックアップ術

Photo by Takahiro Bessho

こんにちは、怒りのデスロード、別所(@TakahiroBessho)です。

先日ヒーコスタッフの杉本くんから、令和時代のデータバックアップの記事を書くよう、連絡をいただきました。連絡いただいて、すぐに「書くよ!」って返事して、秒で忘れて今日締め切りっぽいです。ははは。いやー、杉本くん、ごめん。締め切り終了まであと13分。どこまで書けるやら。

リモートワークが主流の今こそ使える新・令和時代のバックアップ術

データバックアップとは

大事なものを一つの場所にまとめておいてくな

さて、令和時代のデータバックアップといっても、基本は令和だろうと昭和だろうと、氷河期だろうと変わらんのですよ。大事なデータは、遠いところに別系統で隠しておく。人類が霊長類に進化する前から、野生動物たちも大事な食べ物は、寝床と別の場所と二系統持ってたじゃないですか、知らんけど。なんにせよ、ポイントは一つなんです。

「大事なものを一つの場所にまとめておいておくな」

これですよ。守るべきはこれだけ。

TOKIOだって「おまえが消えて喜ぶ者に、おまえのオールをまかせるな」と歌っています。この精神です。まあ言うてこの場合、データが消えて泣くのは、我々自身なんですけどね、ははは。

さて、話を戻しますね。すぐ脱線するのは僕の悪い癖です。ポイントは「大事なデータは、絶対、一つの場所においておくな」なんですが、問題は、「じゃあ分けるつっても、どこに?」って 話になりますわな。

氷河期時代は、多分洞窟と木の上とかに置いてたんでしょうよ、知らんけど。で、昭和だと、多分テープ(!?)とかフロッピーとかなんでしょうよ、忘れたけど。おそらく平成になってようやくHDDとDVDとか、ちょっと小洒落た感じにバックアップ取ってた気がします。人類、おっそ。しかも割と意味なかったし、あのバックアップ。疲れるだけだった。

で、ようやく話はここから。令和時代に、僕らはようやくちゃんとしたバックアップが取れるようになります。

前・令和時代のバックアップ

大事なデータは2拠点間に置く

さ、バックアップですよ。令和時代の。令和時代になって、ようやく本格的にバックアップが取れるようになってきた気がします。もちろん、平成も終わりの頃にはすでに今と同じようにバックアップできる体制は整っていたんです。

ポイントは、大事なデータは2拠点間に置くこと。

でも、平成で出来上がったこのシステムを本格的に我々に「自然なやり方」として認識させたのは、まさにコロナによるリモートワーク文脈の中だったんですね。つまり、仕事場を二つも三つも、離れた場所に持つこと自体が、我々の生活の中に入ってきた。じゃあデータだって、多拠点間に必要になりますわな。

ま、それは置いといて、とりあえずまずは2拠点間にデータソースを分散しておく話をしましょう。この時、2拠点のやり方としては二つ考えられます。

  1. 2拠点それぞれを自前で準備してデータを何らかの方法で相互バックアップを取る
  2. 2拠点の片方を自分で、もう片方をクラウドサービスに保管する。

簡単なのは2の方です。リスクマネージメントとしても最適です。

クラウドサービスに保管するやり方の問題点

また、もし皆さんの持っている データが、それほどまだ多くないなら、コストパフォーマンスも昔に比べたらずいぶん安くなりました。Google drive, Dropbox, Amazon Driveなど、比較検討できるサービスもたくさんあります。

ただ、この2のやり方、少しだけ問題があります。一つは、撮影枚数が増えてくると、徐々にコストパフォーマンスが悪くなってくる。平たくいうと、単にデータを保全するために、固定費がどんどん増えていくことになります。

Amazon Driveのバックアップの問題点

と、ここで写真業界に長くいる皆さんなら、「いやいや、待て待て、Amazon Driveは写真のRaw データは、プライム料金に含まれて、実質タダみたいなもんじゃないか!」と仰る方も多いと思います。ごもっとも、その通り。数年前までは、そこで話は終了。数年前どころか、今もその方法を取っている人が多いと思うんです。でもね、一つ、たった一つ、面倒なことがあるんです。

それは、Amazon Drive(Amazon Photo)へのバックアップは、完全な自動というわけではないということです。

Amazonへのバックアップは、専用ソフトかWebページから、クラウドへとアップロードするんですが、つまりはデータを保管している当該のパソコンが立ち上がっていないと、クラウドへのアップロードは停止してしまうんですね。でね、もしね、その間にデータ飛んじゃったらどうでしょう。

いやいや、そんな短い時間に消えることなんてありえませんてー、って思う人多いと思うんです。僕もそう思うんです。でもね、どういうわけか、一番まずいタイミングでデータって飛ぶんです。なんでこのタイミングやねんっていうタイミングで、リスクの隙間を狙って、データって 飛ぶようにできてるんですわ。こういうの、マーフィーの法則っていいます。古っ。

NASからのAmazon Driveへの自動バックアップの問題点

でも本当にデータって、あり得ないタイミングで飛びます。なので可能な限り、「データがパソコンに取り込まれた瞬間、即時かつ永続的にそのデータが完全に自動でバックアップされる状態」を作らなくてはいけない。

それを可能にしてたのが、そう、NASです。ネットワークドライブ。そしてNAS自体、CPUを積んでいることからもわかるように、小型のサーバーの役割を果たします。つまり、バックアップ設定を適切に行えば、ローカルのパソコンがシャットダウンしてようとなんだろうと、NASに電源が入っている限り、確実にAmazon Driveに自動でバックアップしてくれるんです。

数年前までは!!

そう、数年前まで、写真家にとってコストパフォーマンス最強のストレージ管理&バックアップは「NASからのAmazon Driveへの自動バックアップ」でした。

僕も2年半ほど、完全にして完璧にして安上がりな自動バックアップ手段を手に入れたと思ってたんです。でもね、昨年11月、「NASによる自動バックアップ界」に、ガンマ線バーストのような強烈な破壊光線が注がれました。なんで「NASによる自動バックアップ界」なんていう、たいして住民もいなさそうな超ニッチ世界にそんな非道がまかり通ったのか本当に不思議なんですが、こうなったんです。

画像の詳細はコチラから

なんと、NASからAmazon Driveへのアクセスが全停止。激震走る。対象者、めっちゃ少数だろうけど。せっかく手に入れた最強&最安のバックアップ手段、消えました。

というわけで、ここまでが「令和時代のバックアップ」前の全史です。さて、本番はここから。

新・令和時代のバックアップ

コロナ時代のリモートワークから得たバックアップ術

Amazon DriveへのNASからのアクセスが停止され、途方に暮れることになったんですが、一度あの便利さを知ると、「ローカルからAmazonのアプリでバックアップ」とかいう、隙だらけのバックアップに戻るなんて、石器時代に戻るようなつらみを感じたわけです。

一度「完全自動バックアップ」を知ってしまうと、あなたはもう二度と元に戻れなくなります。

最初に考えたのは、NASからのバックアップも全然問題なく対応している各種有料クラウドサービスを使うことでした。

でもこれ、かなりやはりコスパが悪いんです。

特にプロやハイアマの皆さんのように、10TBとか20TBとかのデータを持っている人は、どんなに安いサービスを使っても、クラウドサービス代金として1ヶ月1万5000円は降らないと思うんですね。となると、年間でデータのバックアップのためだけに20万円程度かかることになる。

もちろん、そのくらいの価値は写真データにはあると思うんです。特にプロの皆さんにとっては、データは何よりも大事なもの。

一年に20万円くらい、って思うじゃないですか。でもね、これ、例えば1年、2年、3年と経っていくうちに、どんどんデータ増えるわけです。そうすると、データバックアップにかける固定費も、データ増に比例してどんどん増えていく

コロナ時代、固定費が増えるのはできれば避けたくないですか?そう、僕もそれを悩んだわけです。そこでたどり着いたのが、まさにコロナ時代のリモートワークからヒントを得た、「2台のNASを双方向でバックアップする」でした。

これは極めて単純な発想で、最初に区分けした

  1. 2拠点それぞれを自前で準備してデータを何らかの方法で相互バックアップを取る
  2. 2拠点の片方を自分で、もう片方をクラウドサービスに保管する。

これの1です。問題は「何らかの方法で相互バックアップを取る」ですが、これはちょっと詳しく 書くともう一個記事が必要になりそうなので、以前書いた僕の個人のNoteの方にリンク貼っておきますね。詳しくはそちらへ。

テレワーク時代のクリエイター向けNAS活用術(Amazon Driveへのアクセス終了への対処も兼ねて)

上の記事は、まさにタイトルにもあるように「Amazon Driveへのアクセス終了への対処も兼ねて」のNAS利用術でした。

また、バックアップより前に、NASってなんじゃい!って方のために、NASの記事も置いときます。

写真データの保存で痛い目を見たことのある全ての人に!【NAS導入のすゝめ2019】

2台のNASを双方向でバックアップする方法

てことで、このヒーコの記事では、掻い摘んだ一番大事な概略を書きますね。

必要なのは、2拠点です。ある程度離れてる方がいい。僕の場合は、家と、離れたところにあるスタジオ兼事務所兼仕事場のような場所です。コロナ禍にあってリモートワークやオンライン会議が増えたことも あって、2020年の4月に新しく作った場所でした。この家とスタジオに、それぞれ全く同じサイズのNASを準備します。僕が使っているのはこれです。

引用:https://www.synology.com/ja-jp/products/DS1821+

正確にはこれの前バージョンのDS1819なんですが、8スロットのHDDを備えています。その8スロット全部に、14TBのハードディスクを入れています。WD goldを使ってます。これも詳しくはこちらからどうぞ。

つまり、112TB分のNASが2台。ここまでで割とお金がかかりました。合計金額はあまり言いたくないくらい…。

コストパフォーマンスは、悪い?

となると、「コストパフォーマンス悪いやん!!」ってなりますよね。確かに、悪そうな感じがします。でも、僕の場合はすでに20TBを軽く超える分の写真データがあって、それをもし普通のクラウドサービスで利用するとなると、実は軽く年間40万くらいかかりそうな感じだったんです。

つまり、2台のNASに112TBのハードディスクを突っ込んでも、2年で元が取れる計算です。それどころか、112TBのデータは流石に2年では使いきれないので、おそらく3年、ないしは 4年間、NASやHDDが壊れない限りは、この状態で安全なバックアップを常に取り続けられることを考えると、コスパはそんなに悪くない気がします。

そう、このNASをどれだけ準備するかは、皆さんのデータと相談なんです。4スロット程度のHDDで大丈夫で、入れるハードディスクも8TBとかなら、グッと値段は安くなる。多分合計で30万もいかないかもしれません。自分の懐と相談しながら、システムを構築できます。

2台のNASでバックアップする利点

この、NAS2台を2拠点間でバックアップすることの利点はいくつもありますが、まず第一に、一般的なバックアップにつきものの「バックアップしてる時間や労力が無駄」という精神的な負担を完全に無くしてくれます。

上のリンクで紹介した設定で、即時に双方向同期をとっていると、 データは保存された瞬間から、もう片方のNASに自動で保存されていきます。

また、双方向同期でデータが保存されるので、例えば家で保存しようと、仕事場で保存しようと、どちらでデータをいじっても、他方側にすぐに反映されるので、「あれ、どっちでデータ保存したっけな」みたいな、ヒューマンエラーも防げます。

さらに「双方向同期」によって、リモート間のデータの共有は、いちいち「今日やる分のデータをSSDに入れて持っていこう」とかいう面倒なことをしなくてもすみません。仕事場には端末一つ持っていけばいい。あるいは仕事場でやった仕事の続きを、家でちょっと補足するときにも、そのデータは家に帰る頃にはちゃんともう一方のNASにも反映されている。いちいち手動でデータを入れたりする必要がない。

この状態をさらに完璧にするために、僕は、現在LightroomのカタログをGoogle Driveの「バックアップと同期」を使って、全ての端末でカタログのデータもクラウドにバックアップしながら使っているので、出先で写真データだけでなく、現像データも常にどこからでも参照できる状態になっています。(これらは双方向同期ではなく、一方通行同期にしていますが)

こうやって、NAS2台を使った同期を行うことによって、バックアップという基本的には「コストもかかるし面倒だし利便性は下がるし」みたいな部分が、リモートワークの利便性をその基盤から促進する、ポジティブなデータ利用形態へと変えることができるんですね。

ほら、なんか、お金使ってもいい気がしませんか?

まとめ

まとめポイント

  • バックアップをするときは、大事なものを一つの場所にまとめておかない
  • クラウドサービスを利用すると写真が増えるほどコストパフォーマンスは悪くなる
  • 2台のNASでのバックアップは費用はかかるが、将来を考えるとコストパフォーマンスは悪くない
  • NASによる双方向同期はヒューマンエラーを防ぐことができる

というわけで、今回のお話は、単にバックアップの話だけではなく、コロナ時代のリモートワーク管理にも役に立つデータ管理術として、2拠点間の2台のNASの双方向バックアップ(同期型)のご紹介をしてみました。

別所隆弘氏の記事を読みたい方はこちら

小笠原滞在記 – 今の時代だからこそ小笠原諸島をおすすめする理由

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