デザイナー×フォトグラファー ごはんの時間を記録するつちめい飯ができるまで

はじめまして、つちめい飯(@tsuchimei_meshi)というInstagramを運営しているデザイナーのめいめい(@meiyoshioka_)と申します。

普段は企業のInstagramや紙物のグラフィックデザインをしています。今回はフォトグラファーの土田さん(@ryotsuchida)と一緒に運営しているつちめい飯の制作過程を、自分のおさらいも兼ねて紹介していきます。

デザイナー×フォトグラファー ごはんの時間を記録するつちめい飯ができるまで

つちめい飯とは

デザイナーの私とフォトグラファーの土田さんが、日々のごはんの記録を日記のように更新しているInstagramです。調理前のオクラの肌触り、油で火を通したニンニク、タレに漬かった厚切りのブリ、必ずしも完成したお料理中心ではなく、自分たちが「良いね〜」と感じたものを大事にしています。

はじめたきっかけは二人でシェアハウス暮らしをはじめ、今よりも仕事が少なく暇だったからでしょうか、家で自炊する機会が増え、土田さんが写真に残してくれるようになりました。

自分たちの写真やデザインを見てもらう機会になるかも?と思い二人でひとつのアカウントをはじめました。「つちめい飯」という名前は私がふたりの頭文字をとって3秒くらいで決めてしまったのですが、こんなに長続きするならもうちょっとくらいひねりのあるネーミングにすれば良かったと少しだけ後悔しています…。

当時エディトリアルデザインへの憧れもあり、「あの雑誌みたいにやってみよう」とか、「こんな表現もいいかも!」とやってみたいトンマナを自分のメディアで試せる実験場のような場所でした。土田さんもカメラを買い足したり、照明器具が増えたりするとガラッと違う表情の写真になっていて、フィードが溜まっていくごとに自分たちも更新されていくような感覚もありました。

料理の選定

食べたいものファーストで決める

私たちは投稿日や頻度を決めていないので、突発的に撮影が始まったり、日々の世間話の中でつちめい飯で扱う料理が決まったりします。お互いに買ってきた雑誌や料理本を見て、「これうまそうだね〜」とか、「食べてみたいね〜」となることもあれば、その日のご飯をいきなり土田さんが撮ってくれることもあります。

私調べですが、大体揚げ物、麺類、お鍋、鶏肉系が食卓に並ぶときは写真を撮ってくれる率が高いです。なので私はそれ系のごはんの時は「土田さん写真撮ってくれるかな…今日は仕事で疲れてるかな…」と密かに期待しながら作っています。

撮影

撮りたいものを撮ってもらう

撮影は調理過程から食べ終わりまで、基本的に土田さんにお任せで撮りたいものを撮ってもらいます。土田さんがよく好んで撮っている印象があるのは、

  • ニンニクをオリーブオイルで炒める
  • 鶏肉やナスがグツグツと煮込まれている
  • 麺類がお湯の中でグラグラと泳いでる
  • 肉を焼いて裏返す瞬間

などです。

料理している最中は「おおお良いね〜!」とか「油が踊ってるね〜!」とか食べ物たちの小さな挙動にテンションを上げてくれるので、作っている方も楽しくなります。これに慣れてくると一人で料理している時に若干もの足りなくなります。

撮影中の空気感や写真のテンションを思い出して作るデザイン

構成

デザインは打ち合わせなどせず、私の独断で制作しています。納品してもらった写真を一通り見渡して1番興奮してそうなカットや、自分の中でも美味しいと思っていたカットを表紙にしたりデザイン構成内のメインカットとして使っています。

2枚分のページで1枚の写真をスクロールで見せたり、調理過程を流動的に見せるために写真の境目を曲線にしたり、その写真や見せたいリズム感に合うように、あまりデザインの決まり事に囚われずに構成を考えています。

手書き文字

デザインにはよく自分で書いた手書き文字を入れています。手書き文字は、どのフォントもその時の気持ちやテンションを表現できてないな、しっくりこないな、という時にとても便利です。

鮭ならこんな字かも、唐揚げは少し飛び跳ねた感じにしたい、など作った料理に合わせて文字の形を変えています。

写真の選び方やフォントについて

最近は料理の写真だけでなく、同じ時間や場所で土田さんが撮ってくれた部屋や近所の風景写真なんかも加えています。私は料理のプロでもなく、ちゃんとしたレシピを考えることもできないけれど、「ご飯の時間の何かに惹かれて投稿し続けているんだろうな〜」と考えているうちに、料理以外の写真が加わるようになってきました。

自分が普段考えていることと距離の近そうな写真に文字や意匠を加えて、見てくれる人たちがよりその時の風景が広がるような構成にしたいと思っています。料理だけでなくご飯前や食べ終わった後の夜など、そういった時間も自分にとっては大事なんだなと思います。

文章の制作

普段考えていることを思い出しながら文章を考える

私は文章に関しては素人なので1番、時間がかかる作業です。プロのような文章は書けないので、せめて自分の機微を表す言葉に間違いがないように、カッコつけることも盛ることもせずに書きたいと思っています。

例えば「ほっこり」とか「あたたかい気持ち」とか、その時感じた感情を表そうとする時に、本当に自分のあの感情は「ほっこり」だったかな?と改めて考えてみます。「ほっこり」の意味を調べてそれと似た感情だったとしても、できるだけ忠実に言葉を書きたいので、「大きな仕事が終わった翌日の休みの日、自分のために作ったお味噌汁を飲んで胃の中がゆるゆると温まる心地がした」みたいに一旦自分の中で言葉の持つイメージを具体的にしてみたりします。

投稿文は投稿画像の内容には囚われずに、普段スーパーで買い出しをしてる時や、仕事の移動中で、ぼんやり考えていることを思い出して書いたりしています。投稿画像の文と投稿文は自分の中でなんとな〜く棲み分けをしていて、画像の文章は自分のために書いているのですが、投稿文は、みてくれる人に話しかけたい気持ちもあるので外に向けて書いています。

まとめ

制作過程は以上です。普段何気なく考えていることを自分なりに振り返りができて良かったです。

食べたいものを作り、撮りたい時に撮り、再現したいイメージを丁寧に探っていく時間を大切にしているのかなと思います。

また、Instagramはもう誰もが手を出していて、情報も飽和状態だな〜と個人的に思う節もあり、その中でこれからアカウントを作るとしたら、その時の自分にしっくりくる投稿をし続けていくことも大切なんじゃないかなと思います。

世界観を統一するとか、文字はこういう風にいれるとか投稿を伸ばすためのいろんなHow toはあると思いますが、それに囚われて自分の核みたいなものが知らないうちになくなっていたら悲しいと感じます。背伸びせずに等身大の自分をちくちくと、細く長く続けられたら素敵ですよね。

実はつちめい飯はここ1年くらい全く投稿をしていなかったのですが、最近またのんび〜りと再開し始めました。

作りたいデザインも書きたいことも変化していて自分でみても「面白いな〜。変わるんだな〜」と思います。継続が苦手な人間なのですが、1年あいても1ヶ月休んでもやめないで良かったです。これからも自分たちのための記録として続けていけたらいいなと思います!

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