ポートレート撮影にもおすすめ!オールドレンズが持つ3つの特徴。

はじめまして!オールドレンズにてポートレートをメインに撮影をしております、鈴木 啓太|urban(@urbansoul_00)です。

今回はヒーコで初のオールドレンズ記事を寄稿させていただくことになりました。オールドレンズという言葉は聴いたことがあるけれど、どういうレンズ?どういう写りをするの?など、オールドレンズの簡単な解説から作例まで、まずはその魅力を知って貰えるようオールドレンズの世界をナビゲートしていきます。

ポートレート撮影にもおすすめ!オールドレンズが持つ3つの特徴。

オールドレンズとは

オールドレンズ黎明期

オールドレンズは人によってやや解釈が異なるものの、ここでは「フィルムカメラで利用されたレンズ」と定義します。オールドレンズブームの火付け役はデジタルカメラ、特にミラーレスカメラの台頭です。2000年代はフィルムカメラからデジタルカメラへ、カメラの主役が変化していった激動の時代。そんな中ごく一部のレンズ愛好家の中で流行したのがフィルムカメラのレンズをデジタルカメラに付ける、いわば「オールドレンズ遊び」でした。

と言ってもPENTAXやCANONのデジタルカメラが発売されて間もない黎明期においては、フィルム機で使っていた過去資産の流用という位置づけがほとんど。レンズとボディのマウント変換を担うマウントアダプターは今でこそAmazonやカメラ店などで容易に購入できますが、当時は種類も少なく、その多くは自作アダプターというもの!(笑)まさにレンズ愛好家たちだからできる、ニッチ中のニッチな遊び方だったのでした。

革命児ミラーレスカメラの登場

時は流れ、Epsonから世界初のデジタルレンジファインダー「R-D1」の登場や、Leica初のデジタルレンジファインダー「Leica M8」が登場し、一眼レフでは使えなかったレンジファインダー用レンズが使えるようになるなど、少しずつですがそのすそ野が広がっていきました。

そして2008年、オールドレンズ界に大きな波がやってきます。それが、ミラーレスカメラの登場です。世界初のミラーレス機はPanasonicのマイクロフォーサーズミラーレス。小型ながらEVF/LV(ライブビュー)によるピント拡大等のアシスト機能が搭載され、ミラーがなくなりボディとレンズ間の距離が短くなったことでマウントアダプターを介して多種多様なレンズが使える…正に革命がおこりました。

2013年 世界初のフルサイズミラーレスであるSONY α7シリーズがリリースされたことで、本来の画角でオールドレンズが利用できるようになったことはもうひとつのブレイクスルーと言っていいでしょう。こうしてオールドレンズが一般的なカメラ用語となって浸透し、スタンダードな撮影手法として確立されていくのでした。

オールドレンズを使う意味

オリジナリティの確立

使用レンズ KMZ PO3-3M 50mm F2
さて、ここからはなぜオールドレンズを使うかについて考えていきます。

僕がオールドレンズを使う意味、それは他者との差別化、オリジナリティの確立、それに尽きます。いわば、表現方法のひとつとしてオールドレンズを使っているのです。ですので、必ずしもオールドレンズだけを使うわけではなく、現行レンズも同様に使用します。自分の最終出力に合わせてレンズを選ぶ。自分が目指すゴール(撮りたいイメージ)から逆算する、と言うのは簡単なようで意外とできていなかったりします。

今ではオールドレンズがブームとなり、オールドレンズだけではオリジナリティを確立できるとは言いにくくなってしまいましたが、星の数ほどあるオールドレンズの中から自分に合った1本を見つけ、表現に変換できれば、オリジナルと言うことができるのではないでしょうか。

撮影の楽しさ

使用レンズ Leica Summar 5cm F2
オールドレンズは単純にマニュアルフォーカスが楽しい!というのも重要な要素のひとつ。撮影が楽しいと言うことはモチベーションの維持にもつながります。

デジタルカメラの進化に伴い、今や「写真を撮る」というよりは「ボタンを押す」と言ったほうが正しいのかもしれません(本当はそんなことは全然ありませんが)。オールドレンズは基本的にはマニュアルフォーカスとなるため、被写体とじっくり向き合って「写真を撮る」ことができるメリットもあります。

安価にレンズが購入できるからおすすめ

使用レンズ Konica Hexanon AR 50mm F1.4

これは特に明るい単焦点レンズを安く購入したい!という方におすすめ。SONY EマウントのPlanar T* FE 50mm F1.4が2021年の実売価格で約16万円前後、オールドレンズの代表格とも言えるSuper-Takumar 50mm F1.4で1.5万円前後と実に10倍近い開きがあります。

最も性能に関しても大きく差はありますが、キットレンズに加えて明るい単焦点レンズが欲しい…という方はオールドレンズを視野に入れるのもgood。マウントアダプターを一緒に購入しても2万円あればF1.4の明るい単焦点が手に入る!と思えば自然と近所の中古カメラ店を探し始めるはずです。

写りすぎないことによる良さ

使用レンズ Carl Zeiss Jena Tessar 3cm F3.5(Robot Mount)
オールドレンズに興味を持たれる方は、より柔らかく淡い写真が撮りたいと思われている方が多いと思います。彩度や解像度が高く、写真の隅々までしっかりと写し切る描写に、なんとなく味気無さを感じることはないでしょうか。

僕は写真に淡さや緩さなど、フィルムの粒状性やレコードのノイズに近い、アナログな味を求めていたため、のめり込むようにハマっていきました。最近でもブラックミストなどのフィルターがブームになるなど、レンズそのものの解像度の高さよりも写りの「味」を重視する人が増えたと考えます。ただしこれも、自分の作風に合うかどうかが最も重要な部分になりますので、選択肢のひとつとしてオールドレンズがあると捉えるのがいいでしょう。

ポートレートで見るオールドレンズの特徴

使用レンズ FUJIFILM EBC FUJINON 50cm F1.4
オールドレンズに関する前提知識はこのくらいにして、実際にどんな写りをするのか、実際の写真を見て行くことにします。ここではオールドレンズの代表的な描写として、ゴースト、フレア、ぐるぐるボケの3つを紹介します。

ゴーストの作例

ゴーストとは主に逆光~反逆光時の撮影の際レンズの内面反射などの影響により、写真にその反射の描写が現れてしまう現象です。

現在はコーティング技術等の進歩によりゴーストを大きく低減することができていますが、オールドレンズはほぼゴーストが発生します。フィルムカメラ時代、特にレンジファインダー使用時には直接ゴーストが発生しているか確認することができないため、意図せず写ってしまったゴーストやフレアは害悪なものとして捉えられてきました。時代が変わりデジタルカメラが主流となった現代では撮影結果がすぐにわかるため、それを敢えて写真に取り入れる表現方法が確立しています。

使用レンズ 旭光学工業 Super-Takumar 50mm F1.4
使用レンズ Leica Summarit 5cm F1.5

現代レンズではまずこのような派手な光の輪は見られません。映画のワンシーン、やはりドラマチックな逆光シーンなどで見られる描写のため、見たことのある方も多いのではないでしょうか。

その中でSuper-Takumarは50mmという使いやすい画角でかつF1.4の大口径、値段も1万円台で購入できるため、オールドレンズを使ってみたい人に特におすすめ!ゴーストはレンズの構成や絞り羽の枚数、絞り値などによっても表情を変えるため、是非お気に入りのレンズを見つけていきましょう。またレンズによって、2枚目の作例の様な虹のゴーストや真円のゴーストなど、様々な描写を持つものがあります。これらの描写を見つけるのも楽しみのひとつです。

フレアの作例

フレアもまた、逆光~反逆光時の撮影の際に現れる描写のひとつで、レンズ面やレンズの鏡胴内、ボディ内で光が反射し発生してしまう現象の事です。逆光にカメラを向けた時に、なんだか画面全体が白っぽくなってしまった、という経験をお持ちの方は多いと思います。

現行レンズではその発生は抑えられてはいますが、オールドレンズにおいてはほぼすべてのレンズでフレアが発生すると捉えていいでしょう。ただし、その質には様々なものがあり、表現に耐えうるものとそうでないものに分かれます。

使用レンズ Carl Zeiss Planar 85mm F1.4
使用レンズ Carl Zeiss Planar 85mm F1.4

Carl ZeissのPlanarと言えばだれもが知る銘玉。その中でもYASHICA/CONTAXマウントのPlanar 85mm F1.4は非常に美しいフレアが出るレンズとして有名な1本です。幻想的で淡い写真が好きな方は要チェック。

フレアはレンズに入るわずかな光の角度によって、その量(描写)が大きく変わってきます。光の入射角をコントロールし光の量を調整する、いわゆるハレーションコントロールを行うことで、コントラストを保ったままフレアを活かした写真を撮ることができます。

ぐるぐるボケの作例

ぐるぐるボケもオールドレンズの代表的な描写のひとつ。好き嫌いの分かれる描写ですが、被写体を中心に添えた時の視線集中効果は、目を見張るものがあります。ぐるぐるボケの強さもレンズによって様々であり、特に映画用のオールドレンズ(シネマレンズ)にその傾向が見られます。

代表格であるHELIOSと、筆者おすすめのにじみとぐるぐるボケが同居するEktarの作例をお届けします。

使用レンズ KMZ HELIOS -40-2 85mm F1.5
使用レンズ Kodak Ektar 47mm F2

ぐるぐるボケを出すには、細かい花や木々の木漏れ日を背景にして、絞り開放で撮影をすることがポイントです。被写体を中心に同心円状に渦を巻くような効果が期待できますので、花やポートレート撮影においてインパクトを与えることができます。

こちらも現行レンズではほとんどみられることがない描写ですので、正にオールドレンズ独自の表現方法と言っていいでしょう。HELIOSシリーズはぐるぐるボケの他にフレアなど、オールドレンズの要素が多く詰まっており安価な部類のレンズのため、HELIOS-44 58mm F2など入門用に1本保持しておくのもおすすめです。

まとめ

使用レンズ Nikon Nikkor-S.C Auto 50mm F1.4

さて、いかがだったでしょうか。簡単でしたがオールドレンズの特徴や描写の面白さについて感じでいただけたのではないでしょうか。世の中には星の数ほどオールドレンズが存在し、まだまだその描写が公になっていない隠れた銘玉も多数存在すると考えられます。それらを見つけ出し、自分の表現のひとつとして確立していくのは、まさに写真表現の宝探しともいえるでしょう。

現代レンズにはないアンティークとしての美しさもあるオールドレンズは、写真を撮る楽しさの他にコレクション性などもあり魅力あふれるジャンルとして人気となっています。現代レンズには現代レンズの良さ、オールドレンズにはオールドレンズの良さがあります。オールドレンズはあくまで写真表現を広げる手段のひとつとして、捉えていければいいと思っています。


もしオールドレンズに興味を持っていただけたのであれば、僕が執筆し玄光社から出版されている「ポートレートのためのオールドレンズ入門」にオールドレンズ50本の作例と詳細な解説を載せておりますので、そちらも是非お手に取っていただければと思います。勿論フィルムとの相性も抜群なので、いつかそのあたりもご紹介できればなと。ではまた次回、オールドレンズのコーナーでお会いしましょう。

Pocket
LINEで送る