手持ちに最適!なめらかなボケと驚きの描写力 OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II vol 4. M.ZUIKO PRO レビュー

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こんにちは、タンノトール(@tang40)です。ご無沙汰しております。今回はM.ZUIKO PROレンズのF1.2大口径単焦点レンズシリーズからM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROで撮った作例と共にレビューしていきたいと思います。

手持ちに最適!なめらかなボケと驚きの描写力 OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II vol 4. M.ZUIKO PRO レビュー

初めてPROグレードのレンズが発売

2013年、OLYMPUSから初めてのPROグレードのレンズがリリースされました。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、翌年にはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO、さらに2015年にはM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROというOLYMPUSのお家芸とも言える、単焦点より写り(切れ)の良いズームレンズがラインナップされました。

“高い光学性能と防塵防滴、堅牢性を有し、どんな状況下でも常に高画質を提供するプロフェッショナルレンズシリーズ”と謳うM.ZUIKO PROレンズは、その後M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROとF2.8 ズームレンズ群でフォローできない焦点距離を異能とも言えるスペックの単焦点レンズで拡充、その間にボディはOLYMPUS PEN-F、OLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIと2000万画素機をリリーズしカメラシステムとしての完成度を飛躍的にあげてきました。

フォトグラファーに信頼されるレンズ

2002年のフォーサーズ(規格)発表以来、OLYMPUSのレンズといえばシャープでエッジのクリアな描写をする印象がありました。当時からテレセントリック性に配慮し、E-5では(2010年発売、他社がローパスレス機をリリースする以前に)ローパスフィルターの効果を調整することで解像感を強めるなど、挑戦的な試みを実現、信頼に足る手ぶれ補正、防塵・防滴・耐低温性能を備えた携帯性に優れたカメラシステムは屋外をメインフィールドとするフォトグラファー達の信頼を勝ち得てきました。

進化するプロフェッショナルレンズシリーズ

そして2016年11月、「ボケの質と高い解像力の両立に徹底的にこだわった描写性能」を謳うプロフェッショナルレンズシリーズの新機軸F1.2の単焦点レンズがリリースされました。「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」を皮切りに、2017年11月「M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO」、2018年1月には「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」と3本が既にラインナップされ、既にお使いの方も多くいらっしゃると思います。

今までは、ボケに比重をおいた絵作りには、マイクロフォーサーズを筆頭にスモールセンサーはやはり制約が厳しく躊躇してしまう方も多かったのではないでしょうか。F1.2というスペックはボケ量も得られ、さらに“レンズの外側を通る光線をあえて手前に結像させ、球面収差曲線をレンズの外側に行くに従って徐々にレンズ側に傾ける設計を採用。球面収差を意図して最適に残すことで「美しくにじむボケ」を実現しています。”(公式サイトより)という技術によって上質なボケをも得ることが可能になりました。

作例

なめらかなボケ

いかにも作例然とした写真ですが、まずはボケの質をご覧ください。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 200/1/1250秒/f1.2)

中央の垂れ下がる植物の先端にフォーカスを合わせました。画面上部へなだらかにアウトフォーカスしていく描写、画面奥に向かっては大きくボケていますが実になめらかに破綻のない描写が見られます。

マイクロフォーサーズの新しい魅力

今回はこのM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROを使ってマイクロフォーサーズの新しい魅力をお伝えできればと思います。マイクロフォーサーズで17mmですから、35mm換算では34mm相当の画角。使い勝手はおおよそ35mmレンズと同様と考えて良いでしょう。この画角には優れたレンズが群雄割拠しており、僕自身もSIGMA sd Quattro HではSIGMA 35mm F1.4 DG HSMを愛用しています。

実は苦手な画角

…が、正直に申し上げればあまり得意な画角ではなく、ズームレンズを使用した場合、(意図したわけではないのですが)35mm前後を選択することはほとんどありません。

あくまでも私見ですが、35mmというのは(肉眼で見た印象に比して)派手なものが地味に、モヤっとしたものが鮮明に見えてしまう「異常な」画角に思えます。構図を決めてシャッターを押し、写った画像をみると「印象が違う」というケースが多く、にもかかわらず(うまく使えば)たいへん魅力的な絵になる為に、あえて35mm一本で出かけてみたりはしますが…。

僕にとっては自分を鍛えるための「筋トレ画角」です。きっとこの画角を使いこなせるようになれたら“腕が上がる”のでは…と。

持ち歩くには最適なスペック

そんな難しい画角ですがM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROは、小型軽量防塵防滴と持ち歩くには最適なスペックです。とにかく一日持ち歩いてこのレンズでどんな写真が撮れるのか、興味津々で八丈島へ来てみました。

ちなみにこの取材には「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」と、「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」にOM-D E-M1 Mark IIを持って行きましたが、レンズ4本+ボディ1台、充電器や予備バッテリー、ノートパソコンも含めて全て機内持ち込みできるカメラバッグに収まりました。こんなコンパクトなところにも“機動力の高さ”というマイクロフォーサーズの大きなアドバンテージを感じました。

いざ八丈島へ

羽田から約300km、東京都内の南国 八丈島は生憎の悪天候でしたが、ようやく取れた時間を無駄にはできません。まずは中之郷地区の藍ヶ江へ向かいました。途中、裏見が滝へ立ち寄りましたがほんの十数分の間に豪雨に変わり南国気候の洗礼をいただきました。お借りした機材ということもあり、悪天候でのトレッキングに少々危険を感じた為、裏見が滝から奥へは行かずに引き返しました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 640/1/500秒/f1.2)

解放F値で撮影

解放F値で撮る風景ではないような気もしますが…レンズの素性を知るには絶好の状況。画面上部、樹々の隙間から射し込むように漏れる光と葉のエッジが実に滑らかです。ほんの少しフリンジが出ていますが、ボケが滑らかな為、けっして刺々しい描写ではありません。フォーカスを合わせた画面中央付近ではとてもシャープな写りです。

さらに滝の飛沫を見るとここではさらにフリンジは少なくほとんど見受けられませんでした。「美しくにじむボケ」という謳い文句から解像感、色にじみといった部分が多少犠牲になっているのでは?と危惧しておりましたが、まったくの杞憂に終わりました。

マニュアルフォーカスクラッチ機構

さすがに雨が降る森の中での絞り解放f1.2では狙い通りのフォーカスをAFで、という訳には行かずにマニュアルフォーカスで撮影いたしましたが、フォーカスリングを手前に引くことで、瞬時にマニュアルフォーカスに切り替える「マニュアルフォーカスクラッチ機構」がたいへん使いやすく、MFアシストの助けもありマニュアルフォーカスでの撮影がかえって楽しく感じられました。

中之郷の藍ヶ江へ

雨が強くなってきまので一旦車まで戻り、藍ヶ江に向かい雨の上がるの待つことに。中之郷の藍ヶ江という場所は、透明度の高い藍色の海の色で知られる港です。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 640/1/2500秒/f5.6)

コントラスト描写

黒潮の色と言えば良いのでしょうか。本土の海とは様相の異なるほんとうに見事な藍色の海でした。ここではf5.6まで絞りました。厚い雲と水平線近くに漏れる曖昧な陽光まで写し込んでいます。コントラストの強い多くのレンズで見られる水平線付近でのスクエアに抜けたようなピクセルもなく、曇天にも関わらず良好なコントラスト描写です。

優れたトーン描写

末吉地区、名古の展望…せっかくの展望ですが雨が強くなってしまいました。このカットで見て頂きたいのは白く靄のかかった遠景の描写です。レンズ評価というと解像感やコントラストに目が向きがちですが、トーンの繋がりが悪くては高い解像感や高いコントラストはかえって悪影響にもなりかねません。曇った景色が曇って写る、そしてぼんやりとした描写であると同時に存在感を失わないというのは、優れたトーン描写のレンズならではと言えます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 640/1/2500秒/f5.6)

トーンの秀逸さ

馬路散策路(大里地区)の玉石垣。こちらのカットでもトーンの秀逸さが見られます。遠景(空)にうっすらとかかるシアン、オレンジからイエロー、グリーンへの繋がりが破綻なくまとまっています。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 200/1/125秒/f4.0)

防塵・防滴・耐低温性能の信頼性

終始雨の降るロケでしたがOLYMPUSの防塵・防滴・耐低温性能の信頼性は定評のあるところ、数回の土砂降り、滝の撮影で水浸しレベルで機材を濡らしてしまいましたが全く問題ありませんでした。

小型・軽量システム

少し大きめのポケットのついたアウターを着ていたのですが、左右のポケットに交換レンズを一つずつ、内ポケットにレンズクリーナーキット、ブロアーを、ボディに装着したレンズを含めて3本のF1.2レンズを“手ぶら”で持ち歩くことができました。

この圧倒的な小型・軽量システムは他の追随を許さないアドバンテージです。写真を撮るというのは多くの場合、それがどんな被写体であれ「その場にいる」ことが重要になります。身軽に動ける、ということの恩恵は撮影機会という観点からみれば絶大なものとなるでしょう。

※レンズ交換時にはしっかりと水を拭いてから交換してください。

後日、山形県へ

あまりに天気に恵まれない取材となってしまいましたので(僕、ロケ運のない人なんです)、後日場所を変えて再開することにしました。島の天気は予報通りにならないと痛感しましたので、今度は東京から程近い東北、山形県へ。

驚きの写り

トンネルを抜けると… という有名な一節のように、高速を降りるとそこは雪国。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 200/1/8000秒/f4.0)

高画質とはいえ12bit、このようなシーンでは少々コツがいるのですが上記の画像をご覧ください。地面に積もる雪にやんわりとフォーカスを合わせてf4.0まで絞りました。レタッチャーという職業柄、常日頃ピクセル等倍〜400%で写真を見ていますが、雪のなだらかな凹凸、空の青が雪に写って与えたトーン、木々と空の境目(遠景から超遠景/無限遠)の自然な描写は今までのレンズにはない驚きの写りでした。

トーンが自然な描写のボケ

ボケの質というと、トロトロの大ボケに注目しがちですが、遠景から超遠景/無限遠、唐突な距離差のある部分のトーンの繋がりがこれほど自然な描写は見たことがありません。

「Z Coating Nano」技術で逆光も安心!?

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 200/1/2500秒/f9.0)

逆光でf9.0まで絞ってみました。レンズコーティング技術「Z Coating Nano」の恩恵か太陽を構図に入れても破綻のない描写です。絞り羽根は9枚(円形絞り)、11群15枚(スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ3枚、ED-DSAレンズ1枚、EDAレンズ1枚、スーパーHRレンズ1枚、非球面レンズ1枚)と贅沢なレンズ構成はシーンを選ばず使える安定した描写を期待できます。

大きく「ボケる」マイクロフォーサーズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO/OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II(ISO 200/1/3200秒/f1.2)

最短撮影距離20cm、撮影倍率0.15倍(35mm判換算0.3倍)という近接撮影能力を試してみました。フォーカスは画面中央のグラスの縁に、絞りは解放f1.2、マイクロフォーサーズというセンサーサイズでも大きくボケています。ここでもトーンのなだらかな繋がりを感じます。

まとめ

「付けっ放し」にしたい珠玉の一本

総じて品のある描写を得られるこのレンズ、派手さはありませんが上質な写りは“付けっ放し”にしたい珠玉の一本。

F1.2の解放F値がもたらす「撮影機会の増大」は想像以上に大きなものでした。OM-D E-M1 Mark IIの光束の制限がない像面位相差AFは、全点オールクロスによる測距と相まってストレスのないピント合わせをしてくれますし、フォーカスリングを手前に引くと瞬時にマニュアルフォーカスに切り替わるマニュアルフォーカスクラッチ機構も使いやすく、「今まであまり撮る気にならなかったシーン」でもシャッターを押す気にさせてくれる、そんなレンズでした。

「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」 へ続く

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