逆光ポートレートをコーディネートする!珠玉の3つのテクニック

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疾風になぞられると、一斉に白いカーテンが曲線的に跳ね上がった。その場で力なく立っていた髪の長い人はハッとしたかと思うと、ゆっくりと目を閉じた。その曲線は水ととてもよく似ていた。水はとても心地良く、綺麗な音をしていた。思考が及ばない透明度の中ですべてが透過されていくようで、静かに浸食されてしまいたかった。ただし、風はそれっきりで、しばらく待ってももう吹くことはなかった。ただどこかで春が聞こえたような気がした。

「 3/8(金) 光と色のフォトコーディネートセミナー!作品ワークフロー徹底解剖! 」

そう、春の宴は目前だ。

はじめに

冒頭であのポートレートセミナーが潔く轟いたことはまた別の話として、本日は逆光時のポートレート撮影にフォーカスしたいと思います。初めて逆光で撮影した際に抱いたあの感情は、もはやノスタルジーの彼方にあって私の知るところではないわけですが、微かに揺れ残る愛くるしい程のその感情は、ふとした刹那に思い出せれなくもないでもないでもありません。

本日は、時計仕掛けのテンダネスでおなじみ鈴木悠介(@monocolors_)が逆光ポートレート撮影が楽しくなるオススメの3つの方法をお伝えします。どうぞよろしくお願いします。

逆光の特長

まずは、逆光の特長を再確認したいと思います。

逆光はカメラに対して光源となる方向、及びそれに近い方向に向けられた状態の光を指します。それによってフレアやゴーストが生じることがあり、その加減はレンズの特長によって異なりを見せます。そのためフレアやゴーストを敢えて強調させ、表現として作品に取り込んでいく意図ある作品も多く見受けられますよね。

また、逆光時はコントラストが浅くなるのもその特長の1つです。そのディティールの質感は損なわれてしまう一方で、印象的なドラマ性のある光を演出することが可能です。その他、明暗差が大きくなるため敢えてその明暗差を強調させて人物をシルエットにしたり、ストロボを用いて日中シンクロをする表現も多く用いられているように思います。

1. 逆光を有形物でかすめる

それでは逆光の特長をおさらいしたところで、早速本題の逆光ポートレート撮影方法にお話を進めたいと思います。

まずは、逆光をレンズにダイレクトに入れるよりも有形物にかすめてフレア・ゴーストを作品に取り入れる方法をご紹介します。逆光を何かでかすめることで光の硬さを柔らげたり絞ったりする効果があります。フレア・ゴーストが大げさになりすぎず被写体やその他見せたいものを引き立てる程よい主張と存在感が作品の臨場感やドラマ性を高めてくれるように感じます。

柔らかい逆光を作る

左の写真は、煽り気味にカメラを構えて逆光をフレーミングのギリギリでレンズでかすめさせて逆光のフレアを作っています。アクセントライトとなった柔らかなフレアは作品に夕日独特の優しい温かみを捉えて情緒ある雰囲気を演出しています。撮影のポイントとしてはカメラを動かしながら、このフレアが入る位置を探るようにして捉えることができると理想的です。

右の写真は、夕日の逆光を桜、被写体の頭と右手でかすめるようにして、レンズに入り込む光の硬さを柔らげています。被写体の表情や夕日と桜が重なる美しさは見せたいポイントとして残しつつ、フレアが作品にアクセントライトとなってドラマ性を高める効果を寄与しているように感じます。

【 余談① 】個人的には桜ポートレートを撮影する際は日中の爽やかな桜も好みですが、夕日と掛け合わせた桜ポートレートもオススメです。夕日と混ざり合う桜の花びらの色合いは、日本で生を授かったなんたるかに触れる素晴らしい機会となり、ハードボイルドはマイルドへと変革を迎えざるを得ない程です。

ポーズによって逆光を活かす

こちらの作品は、先ほどのかすめる逆光の応用編です。窓から入る非常に強い逆光を窓の格子とガラスのコップと二重にかすめて取り入れています。二重にかすめた光は独特の拡散光となりレンズに向かってきます。その光はレンズの特長と合間って全体を大きく包むフレアと画面右下の紫がかったゴーストを生じさせ、作品に印象的な演出をしています。

こうした環境での撮影で気になってくるのがフレア・ゴーストが大げさに入り過ぎると被写体やその他写り込みの存在感が弱まってしまい、見せたいものの印象が弱まってしまうという点です。そこでポイントになってくるのが、フレアの輝度差と被写体のポーズを的確な位置に配置することです。

今回はフレアの輝度が高い部分に注目します。この作品の輝度が高いフレアは、被写体の左耳上部から画面左に緩やかなカーブを描いて被写体の頬、鼻、口、左手を横断して画面下に広がっています。被写体の表情の情報は、フレアの入り方によりその多くは分かりづらくなっており、顔を左手で覆うポーズを取っていることも重なって、認識しづらくなっていますが、一点左目だけはフレアに覆われておらずカメラを真っ直ぐに見ています。

この作品の場合、強いフレア・ゴーストに負けない作品に仕上げるために、左目のカメラ目線をより印象深いものにする必要がありました。そのため目がより印象的になるよう被写体の人寸を大きくして日の丸構図で画面に大きく配置してバランスを取っています。その他、絞りを開放にし写り込む余計な情報はなるべくボカすことにも注力しています。

【 余談② 】この作品のレンズは2年程前に流行したロシア製のレンズ「ヘリオス」というオールドレンズを使用しています。この時は44_4型の使用ですが、ヘリオスレンズの中でマルチコーティングを採用したものでフレア・ゴーストは比較的抑制された方に入るようです。さらに旧型の44_2型はいわゆるオバケフレアと言われる大きなフレアが生じるものもあります。レンズの特長を生かした作品作りは本当に楽しいでよね!

2. フレアをボカして作品に取れ入れる

こちらの作品は、写真全体をアウトフォーカスにして逆光を取り入れることでアンニュイな印象を持たせる効果を演出しています。マニュアルフォーカスで好みのボケみを調整しながら撮影したものです。

【 余談③ 】こうした撮影方法に繋がったそもそものキッカケはオートフォーカスで逆光撮影を行なっていた頃、ピントがなかなか合わずに被写体から外れた写真が撮れた際、「これはこれでいいかも」と思ったことがキッカケだったように記憶しています。その後は、マニュアルフォーカスを使用して意図的にこうした表現を用いたりしています。

3. プリズムを取り入れる

こちらの写真は、被写体の後方から来る逆光を後頭部で一部遮りつつ、そこから漏れてレンズに向かって来る光をレンズ手前に配置したプリズムで透過させることで通常のフレアとは異なった印象のフレアを作り出しています。プリズムは太陽光がプリズムを透過すると赤・橙・黄・緑・青・青紫に分光する効果があります。そうした効果を狙って逆光を捉え作品に取り入れることは、上記2つのオススメ方法とはまた異なった効果が期待でき、逆光ポートレート撮影を楽しむバリエーションの1つとして推奨です。

まとめ

今回のまとめ

  1. 逆光を有形物でかすめて、フレア・ゴースト効果をコントロールして取り入れる。
  2. 逆光とアウトフォーカスを掛け合わせてアンニュイな印象の効果を演出する。
  3. 逆光をプリズムで透過させて作品に取り入れる。
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