こんにちは、フォトグラファーのYuto(@YutoPhotography)です。つい先日、1ヶ月でTwitterのフォロワーが10000人以上増えました。予想以上に多くの方に、写真を見ていただけることになったことにテンションが上がっております。
そのフォロワーが増える発端となったツイートがこちら。
RAW // レタッチ後 pic.twitter.com/4EoqCjSCo6
— 中瀬雄登 / 写真教室「エヌピクチャーズ」やってます (@YutoPhotography) August 18, 2021
自分が最近ハマっている「ぽつんと夜景」シリーズの編集(レタッチ)の際に考えていることをSNSで簡単に解説してみたところ、多くの方から反響をいただいた次第です。
というわけで今回は、バズった投稿に使った写真のレタッチ工程・投稿で意識した点をより詳しく解説していきたいと思います。
美しい写真の仕上げ方をプロが伝授!バズった写真の編集工程を徹底解説
レタッチの前準備
昨今のデジタル環境の進歩の恩恵で、レタッチでは思いもよらないほど自由な編集や加工が可能です。とは言え、それに頼り切ることでクオリティは劣化していきます。撮影と編集、そのバランスを突き詰めていくことで、ガッツリ編集を楽しみつつも、クオリティを保ち、綺麗な写真に仕上げることが可能です。最初にそのためのノウハウをお伝えします。
具体的にはレタッチで必要な前準備は2つあります。「完成形のイメージ」「必要な撮影条件のもと素材となる写真を用意する」というものです。
完成形をイメージする
今回の写真は、物語のような世界観を想像しました。ジブリ作品とかにありそうな雰囲気といえば伝わりやすいでしょうか。
漠然とでも「こんな感じに仕上げたいな」というイメージを持って撮影すると、あとで施す作業とマッチした撮り方ができるので、シャッターを切る前に少しでも完成形をイメージするようにしています。
必要な撮影条件のもと素材となる写真を用意する
撮影時には完成形のイメージに沿うように撮影します。先にも述べましたが、レタッチではかなり自由に写真を加工することができます。しかしながら、撮影段階でできるだけ追い込んでおくほうが、より簡単な工程かつハイクオリティな仕上がりにできるのでおすすめです。
この写真を撮る時に気をつけた点は以下の通り!
- 雨が降った後であること(地面に残った水に反射した光が艶っぽいので、その艶を活かした仕上がりにしたい)
- メインとなるお店以外の光ができるだけ少ないこと
- ISO感度を低くしてノイズを少なくすること
- 仕上がり写真の明るさをイメージして必要な明るさで撮っておくこと
これらのことを踏まえて撮影したもとの写真がこちら。
全体的に暗めではありますが、自販機・信号機など写真でもっとも明るい部分が白飛びしない程度におさえておきました。街灯は明るさが他に比べて段違いに明るいため、白飛びしていても問題ありません。雨上がりの濡れた地面に反射する光をしっかり残すよう撮影しています。
暗い部分は、大きく明るくするわけではないため、ノイズをそれほど気にする必要はないと考えています。
レタッチのワークフロー
レタッチの前準備ができたことろで、レタッチの手順を説明します。レタッチの手順を覚えることで、スムーズなレタッチが可能になりますし、一定のワークフローを確立することでクオリティも向上させることができます。
見せたいところから見せていく
この写真で自分が見せたいところは「お店の明かり」です。そのため、全体補正と部分補正を同時に進めていきます。
部分補正はお店周りの照明を明るくしつつ、暖色によせます。
機能の使い分けでじっくり追い込んでいく
部分補正を調整すると、全体がまだ明るいということに気づくので、露光量を下げて調整します。全体補正→部分補正→全体補正→部分補正を繰り返しながら進めていきます。この全体補正と部分補正については、いきなり大きな変化を加えるとバランスを取るのが難しいため、見せたい場所を中心に焦らず作業していくことがポイントになってきます。
お店周辺以外の部分補正はこんな感じです。
範囲選択が細かいため、すべてブラシツールで範囲を指定しています。全体に暗い仕上がりを目指す中でも存在感を演出したい場所・物・人物の暗さには注意し、そういった細かいポイントをブラシツールで選択して、図に描いたような対象にあった調整を施すことで写真としての完成度を高めていきます。
最終的な全体調整の数値はこのとおりです。全体補正は基本補正だけ調整して、その他は全て部分補正です。
以上で完成です。
細かい部分補正が多いものの、やっていることは結構シンプルです。
SNSで発信はこうしている!
今回バズったこちらの写真の投稿は何を伝えたくて、何を強調したのかということをご紹介します。
まず、投稿のターゲットは実は「自分」なんです。
自分自身が良い写真を見た時に「撮って出しはどんな感じなのだろう」と気になる事があるので、自分の投稿でも撮って出し写真を一緒に投稿することにしました。
さらに、ただ撮って出しを投稿するだけではなく、レタッチ解説も加えることによってレタッチの備忘録とするようにしました。これは数年後に再レタッチする時に、当時の自分がどんなことを考えていたか忘れることが多いので、こういったことを残しておくと再レタッチの時に思い出しやすいかなと。
実際の投稿
具体的に投稿に気を付けたポイントを、実際の投稿を交えて解説します。
この投稿のアピールポイントは2つです。
②どのようなことを考えたのか、かんたんに考えを書く
具体的な操作法をあまり書いていないのは、どのような操作をしても結果が同じになればOKという考えだからです。たとえば「明るさを上げたい」場合であれば、露光量を上げる・ハイライトや白レベルを上げるなど、複数の方法があります。どれが一番適正な選択かは写真によって変わります。
そのため、結果がこうなればいいというような形で書いています。ただし、写真によっては具体的にどの項目で調整したかを書いている場合があります。
キャプションはシンプルに「RAW // レタッチ後」だけを書くようにしました。2枚投稿であればスマホでもパソコンでも写真が横並びになるので、どちらがRAW(撮って出し)かレタッチ後かがわかりやすいからです。
SNSへの投稿で意識していることは、以上の通りです。
同じような手法を使った他の写真
RAW // レタッチ後 pic.twitter.com/iai66zz618
— 中瀬雄登 / 写真教室「エヌピクチャーズ」やってます (@YutoPhotography) August 30, 2021
RAW // レタッチ後
メルヘンな建物には、暖色のライトがよく似合います。 pic.twitter.com/ft0pMCMNdK— 中瀬雄登 / 写真教室「エヌピクチャーズ」やってます (@YutoPhotography) September 18, 2021
RAW // レタッチ後
ぽつんと夜景 pic.twitter.com/uetZjg3ZC9— 中瀬雄登 / 写真教室「エヌピクチャーズ」やってます (@YutoPhotography) September 20, 2021
RAW // レタッチ後
ぽつんと夜景 pic.twitter.com/XzfFVEhMHJ
— 中瀬雄登 / 写真教室「エヌピクチャーズ」やってます (@YutoPhotography) September 23, 2021
これらの写真に共通することは、一部を明るくして周りを暗くするという手法を用いている点です。また、光源を暖色によせて写真に温かみをもたせることも意識しています。
都市部でも田舎でも撮れる写真なので、興味のある方はチャレンジしてみてください。
まとめと宣伝
以上がレタッチ工程と、SNS投稿で意識していることの紹介でした。
自分の場合、夜景写真は全体補正と部分補正を交互にしながらバランス調整をしていることが多いです。そして、SNS投稿のターゲットは自分にしてます。自分自身がターゲットになった時に、かつての自分が何を知りたかったかということを考えて、今のような投稿スタイルとなりました。
さて、最後に宣伝となってしまうのですが、「月額制写真教室「ゆーと写真教室オンライン」をやってます。
教室では「写真講評」「レタッチ課題教室」「テーマに沿った写真教室」などの他「テキストベースでの写真講座」「レタッチ配信アーカイブ動画」の配信などをしています。アーカイブ動画では、ツイッターやインスタグラムに投稿している写真の一部のレタッチを、録画収録したものを配信しています。今回の記事で紹介した写真もアーカイブ配信してますよ。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!