Orton効果徹底解説!Photoshopで風景写真を絵画風に仕上げるテクニック

こんにちは。朱門@shumonphotoです。今回、ヒーコ初寄稿ですので、ご存知ない方も沢山いらっしゃると思います。風景写真が専門のフォトグラファーです。国内外の様々な風景を撮影したりしています。

ヒーコでは風景写真の様々な現像や撮影のテクニックなどご紹介して行きますので、今後とも宜しくお願い致します。

ちなみに朱門は”しゅもん”と呼びます。一応本名です(笑)

Orton効果って何?

Orton効果は写真をふわっとした絵画調な感じに変えてしまう現像効果テクニックのことです。

1980年代に Michael Ortonという方が手法を編み出したので、こう呼ばれるようになりました。まだデジタル現像がなかった時代というのが驚きですね。

Orton効果の効能

Orton-final

右がOrton効果ありの写真です。(この例では比較のためにOrton効果を強めにかけています。)

ご覧のように、Orton効果をかけることで、全体的にふわっとした感じでかつディテールも失われてない不思議な感じになります。元の写真によりますが、まるで絵画のような雰囲気を出すことも出来ます。

では早速、風景写真にOrton効果をかける方法を説明しますね。

PhotoshopでOrton効果を作る

何はともあれLightroomで基本調整

まずはLightroomでOrton効果をかけたい写真データを開き、基本的な色調や露出調整を行っておきます。

基本的に風景写真であればどんな写真でもOKですが、草原や森林の写真などが適しています。

逆に岩や山岳写真など、シャープなイメージで仕上げたい写真には不向きな場合があります。

1-open-in-LR-adjusted

Photoshopでレイヤー処理を行う

「他のツールで編集」からPhotoshopを起動

Lightroomで基本的な調整を行ったあと、右クリックで「他のツールで編集」「Photoshop CC 2017」で編集を選択し、Photoshopで開きます。

2-open-in-PS-from-LR

Photoshop起動直後の画面

起動直後は、「背景」レイヤーのみが表示された状態。

3-opened-in-PS

「背景レイヤー」を通常レイヤーに

次に背景をレイヤー化し、そのレイヤーを複製します。

3-opened-in-PS

背景のレイヤー化

背景レイヤーはそのままだとロックがかかっているので、レイヤーパレットの「背景」をダブルクリックをして通常のレイヤーに変更しましょう。

複製した描画モードを「スクリーン」に

複製したレイヤーのモードをスクリーンに変更します。

5-change-mode-screen

複製したレイヤーを「スクリーン」にした状態

6-layer-mode-screen-full

レイヤーモードがスクリーンなので、全体が明るい感じになります。
あとで露出調整を行うのでここでは気にせず次に進みます。

更に複製して描画モードを「乗算」に

次にもう一つレイヤーを複製し、レイヤーモードを乗算にします。

7-layer-mode-multiply

「乗算」レイヤーを重ねた状態

レイヤーモードを乗算にすることで、全体が暗い感じになります。

7-layer-mode-multiply-full

露出と彩度を調整する

「レベル補正」ツールで露出を調整

8-level-adjustment

ここで、レベル補正ツールを使って露出を調整しておきます。
レベル補正ボタンを押して、ミッドポイントを左側に動かすことで、全体の露出を明るくします。

「色彩・彩度」ツールで彩度を調整

9-level-adjustment

さらに彩度もやや高めに調整しておきます。
調整値はお好みですが、ここでは効果が分かりやすいように+40としています。

10-increse-saturation

ぼかし(ガウス)フィルターをかける

次にレイヤーコピー2に対して”ぼかし(ガウス)”フィルターをかけます。
半径の設定は写真の解像度や効果の度合いにもよりますので、プレビューで効果を確認しながらお好みで決めてください。
ここでは約20としています。

12-apply-blur-2

レイヤー0を除く全てのレイヤーをマージしておきます。

ここまででOrton効果はほぼ完成です。
マージ(結合)されたレイヤーがOrton効果のレイヤーです。
そのままですと、全体にOrton効果が100%かかっている状態になります。

ここからは自分のセンス次第

Orton効果が100%かかっている状態

14-merged-layers

ご覧のように全体的にふわっとしている雰囲気ですが、ディテールもある不思議なイメージになります。

自分次第でマスク処理を行う

あとは作品をどう仕上げたいか次第になりますが、ここではレイヤーマスクとブラシを使って、奥の部分だけにOrton効果が反映されるようにしておきます。

16-brush-layer-mask

仕上げにバランスを整えよう

更にトーンカーブや色相調整を行いバランスを整えます。

18-color-adjustment-2

Orton効果の前後比較

今回説明したOrton効果を加える前のオリジナルデータ(左)とOrton効果を使って仕上げたデータ(右)の比較です。

Orton効果を奥の部分だけに使うことで、奥行き感やふわっと感がより増していますね。

Orton-final

Orton効果の使い所・レタッチフローおさらい

ポイント・注意点

Orton効果は風景写真をふわっと仕上げたい場合に有効な方法の一つです。

但し、乱用するとコントラストや彩度が高くなり過ぎることがあるので、部分的に使うのがコツです。色々試しながら、自分なりの使い方をマスターしましょう。

レタッチフロー

  1. Lightroomで基本調整
  2. 調整を行なった画像をPhotoshopで開く
  3. 背景をレイヤー化し、複製
  4. 複製したレイヤーのモードをスクリーンに変更
  5. レイヤーをもう一つ複製し、レイヤーモードを乗算に変更
  6. レベル補正ツールを使って露出を調整
  7. 彩度を調整
  8. フロー5.で複製したレイヤーに”ぼかし(ガウス)”フィルターをかける
  9. レイヤー0を除く全てのレイヤーをマージする
  10. レイヤーマスクとブラシを使用し、Orton効果の範囲を設定する
  11. トーンカーブ、色相調整を行いバランスを整える

上記フローとなります。

さいごに

実はOrton効果は風景写真では古くからある有名なテクニックですので、説明した方法以外にも、様々なOrton効果を作り出す方法があります。

今回はその中でも一番よく知られている方法を説明してみましたが、別の方法では得られる効果も微妙に異なっています。

皆さんも機会があれば、是非色々な方法のOrton効果を試してみてくださいね。

それでは。

最終更新日:2021年8月11日
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