Lightroom と Photoshop でスピードRAW現像とレタッチで効率重視ワークフロー。

こんばんは、健康になるべく2ヶ月で体重を10kg増やしたら強烈な体調不良に見舞われた健康優良児、黒田明臣 @crypingraphy です。先日、とんかつ屋に写真仲間で突撃したら僕以外の家族と謎の親戚一団と遭遇してしまい、地球の狭さと冬の冷たさを学びました。

今日は、めずらしく動画です。皆さんご存知ないかと思いますが、実はヒーコに寄稿しはじめる前にはYouTubeに動画をあげていたりとかしました。あまりの面倒さに中々スローペースでやっているのですが、久々に!

それは誤解です。

さいきん、巷では黒田はレタッチをものすごく丁寧に時間をかけてやっていると思われているという事を知りました。はじめましての人に、「こないだTwitterにあげてた写真どのくらい時間かけたら出来るんですか?」とか、「あきりんさんは一枚一枚すごく時間をかけていると聞きました。」だったり、「あきりんさんは一つ一つを丁寧にやってるけど、何枚くらいモデルさんに渡すんですか?」とか、「レタッチにどのくらい時間をかけるんですか?」なんていう直接的な質問まで、色々な話を伺うのですが、すみません。違うんです。誰が吹聴してるのか知りませんがやめて〜!

誤解なんだ〜!

すごく丁寧に一枚一枚職人のように時間をかけている

とは言え、自分がどれくらい時間をかけているのか正確に測ったことはない。こんな分不相応な風評が出回って、あまりにもそのような話を聞いたり質問されることが多いので、今回、時間を計測してみました。本当に一枚一枚丁寧にできる職人のような方が世の中にはいるので、自分みたいな効率厨がそのように思われるのは申し訳なさの極み。

時間かけているように見えるのであればそれは良いこと?なのかもしれないけど、そこまでではありません。その一方で、クオリティについて、時間を言い訳にするようでは駄目です。世の中に出す以上は何を言われてもそれが結果なので。1分でも1時間でも1年でもあまり関係ないし、それで「おお〜」となるのは、本質的ではないですよね。

撮影からモデルに渡すまでのワークフロー

セミナーのお客様には、よくお話していることではあるのですが、黒田のワークフローは昨年あたりからだいぶ体系化されてきています。

全体の流れ

必ずしも、ではないですが、いわゆる作品撮りの際は、基本的に以下のような方法でやることが多いです。特にリクエストがなければレタッチまで待ってもらうこともありますが、このような流れを実現できるように撮影やスケジュールを汲んでいます。

  1. 当日 ~ 撮影、主にフィルムとデジタル
  2. 翌日以降 ~ LightroomでRAW現像を行ってメンバー(モデルやヘアメイク、スタイリスト)に送る。
  3. 翌日以降 ~ フィルムの現像をメンバーに送る。
  4. 翌週以降 ~ 更に絞ってPhotoshopでレタッチ。
  5. 翌週以降 ~ レタッチ後のデータをメンバーに送る。

撮影

これは言うまでもないですが、みなさんが行う撮影と同じ。この撮影前か撮影時に、上記のワークフローをお伝えするようにしています。(慣れ親しんだメンバーはそうとも限らないですが笑)

LightroomでRAW現像を行ってメンバーに送る。

「どれをPhotoshopでレタッチしよう。」なんて悩んでいると、気づけば100年くらい経っているような気持ちになってくるので、LightroomのみでRAW現像をして関わったメンバーに送るようにしています。

だいたい総撮影枚数の50%~70%ほどの枚数。つまり1,000枚撮影すると700枚くらい送ることもあります。丸一日の撮影でなければ、そこまでシャッターを切る方ではないので、平均で400枚くらいですが。

微妙な表情の違いだけだったりもしますが、ボツ写真以外は基本的に渡しているようなイメージです。もちろん自由にSNSなどで使ってもらっても構わないですし、その中から個別にレタッチして欲しいものがあれば教えてください。といった意味合いもあります。

モデルの子がSNSでアップしてくれている写真の多くは、この段階であることが多いです。また、自分があげている写真もLightroomのみというケースは多々あります。

フィルムの現像をメンバーに送る。

同時にフィルムで撮影していた場合は、これはボツ以外殆ど送っています。これはもう撮影枚数の90%ほど。

更に絞ってPhotoshopでレタッチ。

現像ではかなりの枚数を送っているので、ここではガッツリ絞ります。大体総撮影枚数の10%程度。一つのシーンで1枚、多くても2枚といった基準で、削って削って削りまくります。

期限がないと先延ばしに…。

性格的な問題かもしれませんが、締切のある事を真っ先にやってしまいたいという性分で、そういったタスクを詰めていってしまうと、どんどん期限のないモノが後回しになって気づけば一年…みたいなこともあります。これじゃ不味いということで、昨年より上記のような方法でやるようになりました。(このやり方を導入する前の写真はまだ未タッチだったりもする…。)

LightroomとPhotoshopで効率化

LightroomでRAW現像

Lightroomで、どうやって700枚送るのかというのは、もうプリセット頼みです。光の状況ごとにプリセットを作成、もしくは過去に作成したものからアレンジします。一枚ずつ写真を見て現像するというのは不可能に近いので、とにかく明らかにボツなモノ以外はプリセットをあてて現像。

光の状況が変わるとプリセットも微調整が必要なケースが多いので、その都度作ります。

あたらしい現像設定が生まれる度に、プリセットとして時系列に保存しています。時系列に保存すると、大体難の撮影だったか思い出しやすいので、同じような光環境のプリセットを選択して、そこから調整という感じになります。

  • 明らかなボツ以外は全て渡してしまう。
  • 一枚一枚に時間はかけない。
  • 光の状況ごとにプリセットを作成する。
  • SNSで使ってもらっても良いかどうかが判断基準。

Photoshopでレタッチ

Photoshopでレタッチする写真では、上述したワークフロー通りにいくと過去にRAW現像は既に終わっているということになります。とは言え、フィニッシュとしてRAW現像するのと、PhotoshopでレタッチするためにRAW現像するのでは勝手が異なります。

そのため、Photoshopでレタッチする対象の写真については、RAW現像を微調整します。

Photoshopでは、色調補正と肌の調整やゴミとりなどが主な作業です。色が決まっていればそこまで時間はかかりません。何かクリエイティブな事をやりたい場合には、そういうテクニックを使うこともありますが、基本的にニュートラルな方が好きなので、トーンの調整で終わるケースが多いです。

  • レタッチのためにRAW現像はやりなおす。
  • 色や階調を調整する。
  • 肌をレタッチする。

53分を3分に凝縮。

今回は、仕事の合間に息抜きとしてレタッチをしてみました。

こういう記事を書こう書こうと思っていたので、忘れずにキャプチャを録画しながら作業開始。

これは、友人が遊びに来た際に、買ったばかりの衣装用ワンピース(パジャマじゃないよ)を試着してもらいながらついでに撮影した写真なのですが、大体1時間半の撮影時間で250枚ほど撮影しています。実際は途中で休んでいたので、撮影時間でいうと1時間程度。セレクトの結果、Photoshopでレタッチするためにセレクトした写真は25枚。丁度10%でしたね。

のんびり撮影していたので、今回は枚数が少なめでした。いつもは1時間あればもう少し撮っていると思います。

  • 撮影時間は正味1時間ほど
  • 総撮影枚数は250枚
  • セレクトは数分で終了
  • レタッチ枚数は25枚
  • RAW現像 + レタッチ時間は53分

今回は、モデルの方がレタッチ写真を待つという話だったので、とくにRAW現像データ150枚程度は渡さずに即レタッチとなりました。セレクトは当日その場で終わらせていたのでRAW現像からのスタートです。

全行程動画

53分のRAW現像からレタッチまでの作業を、3分に圧縮したタイムラプスでお届けします。画面上にタイマーを入れておいたので、時間の進み方がわかると思います。

工程

  1. Lightroomで光に合わせてプリセット作成。
  2. 一つずつプリセットをあてはめて微調整。
  3. 写真に合わせて、新たにプリセットを作成。
  4. 一枚ずつクロップやパースを整える。
  5. Photoshopで5枚ずつ開く。
  6. 使用する調整レイヤーをバッチ処理で一括作成。
  7. 一枚ずつ肌のトーンをレタッチ。
  8. 一枚ずつ色や階調を調整。

全て合わせて53分でした。日頃の感覚で計測してみたのですが、大体このくらいみたいです。あとから見直して、やっぱりここなおそうとかもありますけど笑

Lightroomのみであれば一枚あたり12秒

Lightroomは5分で完了しているので、一枚あたり12秒くらい。これはプリセットを最大限活用しています。何枚やっても殆ど同じ。

Photoshop含めて一枚あたり約2分

一枚あたり、RAW現像とレタッチ合わせて 約2分。体感的には5-10分かかっている気もしていたのですが、そうでもないですね。ビューティーなど、クローズアップされた写真でプリントする場合なんかは30分の時もあるし、1時間くらいかかる時もあります。そうでなければ大体このくらい。あとは、色で遊んで延々と色々試していることなんかはありますけど笑

自分が早いか遅いかはわかりませんが、自分なりのスタイルが確立されてくると、大体このくらいのペースに皆さんなるのではないかな〜。

Before / After

いくつかの写真のBefore Afterです。いつもどおりの写真ですが。

2分あれば大丈夫。

これは、すべての写真にたいしてPhotoshopで色調補正をしているので、こういった撮影であれば早い方です。

肌も質感を残しつつ、自分好みのトーンに仕上げています。夕陽がきれいな一日だったので、夕陽らしく。さっと遊びで撮ったわりには、けっこうモデルの美女ミッシェル力に助けられてまとまりました。カメラは、Leica M Typ 262Sony α7R IIIです。

「肌の質感がキレイだから時間をかけている」は、間違い。

よく、「肌の質感がキレイだから黒田は時間をかけている」と言われますが、そんなことはないと思います。動画をみてもわかるとおり、実際そこを重点的に気をつけているというのはありますが、だからといって途方もない時間をかけているわけではありません。

撮る時に現像・レタッチ可能な範囲を考えながら、10秒で終わるように撮影する。こちらのほうが大切だと思います。(ただし、自分も思い通りに想像はできていません>< )

時間をかけていないから肌のレタッチが〜とかなんとかいうのはただの言い訳か、努力不足だと個人的には思っています。撮る時に気をつければ良い話。フィルム時代からやっている人なんかは、誤解を恐れずに言えばレタッチがものすごく上手という人は多くないと思いますが、肌感とかはキレイですよね。やっぱり光を読むのがとてつもなく上手いのだと思います。少なくとも自分の周りにいる先輩方はそうです。

もし、黒田は時間かけてるから云々という話を聞いた時は、この記事を思い出してください。そして、自分の写真をはじめ、世の中の多くの写真は、時間によって成り立つものでもありません。時間とクオリティは、相応の技術とセンスが伴ってはじめて比例していきます。

時間的投資がクオリティに直結するかどうかは、写真にとって本質的な問題ではないので、それを指標と勘違いしないようにしたいですね〜。

さらば。

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