お初にお目にかかります。高橋直哉(@takahashi_naoya)です。主に東京近郊でストリートスナップと都市風景を撮っています。
有り難い事にヒーコで記事を書かせて頂く事となりました。少しの間ですが、どうぞお付き合いください。
撮影のため、よく街に飛び出している自分ですが、自宅で撮る写真も好きだったりします。
昨今の事情も含め、何となく外で撮るのに気がひけてしまった方や、まとまった時間が無く撮影できずにモヤモヤした気持ちの方もいるのではないでしょうか。そんな方に今日は、自宅で写真を撮ること、特にカメラを撮ることをオススメしたいと思います。
そう、いわゆる物撮りの類です。
ですが、そこにはオシャレな小物も本格的な機材も必要ありません。必要なのは、いつも傍らにあるカメラと、身の回りにあるごくごく普通のものだけ。これらだけで、撮影欲求も満たしカメラへの愛着も深めようという話です。
日々の生活の中で、カメラを撮ることがおすすすめな理由。
大切なカメラへの愛着が深まる
窓際にあるサイドテーブルの上で、自然光の状態で撮ってみました。置いてある小物は、飲みかけのコーヒーとワイヤレスイヤホンのケースというごくごく普通のもの。昼食時のわずかな時間で撮影しています。
このように、角度や光の条件を調整しながらカメラに向き合ってみると、特にデザイン面で色々と気づくことが多いです。
例えば「レンズのリムの部分が光ると格好いいな」とか「グリップ部分って少し跳ね上がったような独特な傾斜がついてるから持ちやすいんだな」「右手親指を置くスペースにあるなだらかなカーブは、目視しないでもボタンに手がかかるように導いてくれてるんだな」などなど。
こういった作りはデザイン界隈では「アフォーダンス」と呼ばれていて「説明がなくても使いやすく、経験則でも分かりやすい特徴を持たせる」といった考えのもと直感的に操作できるように作られている部分なのですが、その細部の作りへの理解を深めることで、より愛着が湧いてきそうです。
先程の「グリップ部分」の話一つとっても、自分はカメラを持っているのでは無く「デザインによって持たされている」わけです…!プロダクトデザイナーへの尊敬の念を抱かざるを得ませんね。
愛機から光を学ぶ
先程と同じ窓を利用して自然光で撮影しています。
自宅での時間が増えた事により、リビングの窓から降り注ぐ斜光が意外にも綺麗な事を再発見できた、なんて事は皆さんもあるのでは無いでしょうか。
我が家のリビングは特に冬の日差しが美しいので、この冬も刻々と光が変わってゆくことに一喜一憂しながら撮っていたりします。愛機から光を勉強させて貰ってる感じとでも言いましょうか。
前述のデザインの話と共通する部分でいえば「被写体の些細な輝きを発見する行為」に他ならないと思うのですが、こういう試みはポートレートにも活きてくるかもしれませんね。
仕上がりはストーリーで拡張できる
こうやって撮っていると、時にはもう少しだけ手心を加えて撮りたい時もあるもの。
「物撮りってオシャレな小物とかが必要でスタイリングが大変ぽいイメージ」があり、センスが必要そうだなと常々感じているのですが、被写体をカメラに限定した場合で言うとそこまでの障壁はないと感じています。
カメラには、それぞれサイズ感や機能などからわかりやすくターゲットが設定されている場合がほとんどなため、どんな人が持っていそうか想像できることが多くそれらをヒントにすると比較的ストーリー性をもたせやすいです。つまるところ、ある程度のストーリーを考える事で自然とスタイリングが定まってきやすいということです。
外打ち合わせの休憩で入ったお店で一息ついたというストーリー
室内に入る自然光でGRⅢを撮りました。
GRⅢは「撮影とは違うシチュエーションでもなるべく毎日カメラを持ち歩いていたい人が一度は検討するカメラ」というイメージがあるので、この写真では「外打ち合わせの移動中、休憩で入った店で荷物を出した時」という感じのストーリーを設定しました。なので、背景はノートPCを使っています。
加えてGR好きはこだわりも強そうなので(やや偏見ありです)セットアップにはイヤホンでは無くヘッドホンをチョイスしてみました。
この人の荷物の配分がおかしいのはつっこまないで置いてください。
お出かけ準備をしているカメラ女子というストーリー
少し趣向を変えて、妻が大事にしているCONTAX T3を撮りました。
もともとは義理の祖父が長く使用していたものを譲り受けたらしいのですがコンディションが素晴らしく大変貴重な状態だったので、これは撮りたいという事で撮影することに。(革のケースもめちゃくちゃ綺麗でした)
近年では女性にも人気な機種という事で「カメラを趣味にし始めた女性が、出かける準備をしているところ」という設定で妻の私物をいくつか拝借しつつ撮影してみました。アクセントとして写ってるプリントもこのCONTAX T3で撮ったものを並べています。
ビジネスマンのバッグの中身というストーリー
続いてSONY RX100M5です。この機種は小型なボディに似つかわしくない十分な画質と明るいズームレンズの利便性から、実際にビジネスマンの営業シーンでも使用している場面によく遭遇しました。そんなイメージもあって、ビジネスバッグとノートPCにメガネという男性的な感じのセットアップにしています。
さぁここまで見て貰ってどうでしょうか?なんとなく撮れちゃいそうな気がしてきませんか。
「そんな事言われてもカメラが2台ないよ!」という人も居るかと思いますが、最近はスマートフォンも画質が良いのでそれでも十分楽しめると思いますし、友人と会うような機会があれば、お互いのカメラを貸し合って撮ってみるのも楽しいと思います。ぜひチャレンジして貰えたら嬉しいです。
さいごに
時にはお気に入りのアイテムを
少しずつ撮影が楽しめてきたら、カメラ以外のお気に入りのアイテムも是非撮ってあげて下さい。その頃にはきっと撮りたくなっているはずです。
その中には、装丁の美しい本、一目惚れしたアクセサリー、奮発した靴。経年劣化を楽しむアイテムだってあります。
家族との日々を撮るように、自分のもとに迎え入れた時の姿を撮ることで、使い込んでいった姿との対比に浸る楽しみだってあると思います。
撮影は、なにも世界の裏側まで行かないと出来ないわけじゃありません。近所で撮影を楽しんでいた頃は誰にでもあったはず。こんなときだからこそ「身近なものを撮る楽しみ」を改めて掬い上げてもらうのも良いんじゃないかなと思います。
ということで、少し話はそれましたが、日々の撮影のパートナーとの思い出にも、撮影欲の発散にも、カメラを撮るのがオススメかもしれないという話でした。皆さんも、お気に入りのカメラをちょっと綺麗に撮ってあげてはいかがでしょうか?