色で勝負する写真家、BenQ SW270C でアマチュアからプロとして初めてのカラーキャリブレーションモニターと出会う

はじめまして、な方も多いかと思います。フリーランスのフォトグラファーのクロカワ(@ryuto_kurokawa)と申します。広告やアーティストやファッションなど日々色々と撮影のお仕事をこなしている最中、XICOスタッフより「キャリブレーションモニター使ってみませんか?」とレビューのお声掛けが舞い込んできました。

色で勝負する写真家、BenQ SW270C でアマチュアからプロとして初めてのカラーキャリブレーションモニターと出会う

はじめに

以前から存在は知っていたキャリブレーションモニター。どうやらBenQの最新のキャリブレーションモニター SW270C を貸してもらえるとのこと。仕事ではキャリブレーションモニターは必須だと聞いていましたし、フリーランスになりたての僕にもってこいのタイミングだったので「OKです!」と二つ返事で引き受けてみました。

SW270C製品ページはこちら。

色についての悩み

作品もお仕事もカラフルなスタジオポートレートを撮っています

僕に依頼が来た理由はたぶんこれ。色をテーマにした作風のフォトグラファーだからでしょう。確かに色にこだわりはある。しかしながら、色にこだわってる割に色空間だとか、それこそキャリブレーションモニターだとか、そういったものに触れてこなかった、避けてきたのが事実。その結果、いろんなモニターで見たときの見え方の差異に苦戦したり、印刷してイメージと違ったりなど、細かな問題は多々あったのです。

読者の方にも多いかも知れませんが、このあたり調べてみると結構難しい用語も多くて正直めんどうくさいですよね。僕もその一人だったので、この記事ではなるべくわかりやすく説明してみます。

BenQ SW270C 自宅に届く

思ったより大きくてワクワクしてしまう…

数日後、早速届きました BenQ SW270C!撮影機材は大きければ大きいほどワクワクする性分なので、この梱包にはワクワクがとまりません。

“Photographer Monitor”

まさに僕らのためのモニターですね、これは。こういうダイレクトなメッセージはハートに来ますね、ぶっ刺さった。

「台座、アーム、モニター」組み立ては簡単

撮影機材が山積みなのはご愛嬌ということで…

さっそく開封からの組み立ててドーン。台座、アーム、モニターの組み立ては簡単でわかりやすかったです。そしてそれぞれのパーツはずっしりと適度な重さがあり、プロ仕様なんだなと感じました。剛性、たくましさはプロの道具には必須ですから。

どんな場面でも持ち運びやすい

地味な箇所であるものの、この取手もしっかりしていて好印象。スタジオに持ち込んだりなど運搬するときも持ち運びやすいですね。こういった細かな配慮、好きです。

「USB-C接続」1本で映像出力も給電もOK

BenQ SW270Cの素敵なところ、USB-C接続これ1本でいけちゃうところです。

僕は MacBook Pro Retina 15inch をメインに使っていて、端子はUSB-Cのみなのでこれは便利。USB-C1本つなぐだけでモニターへの映像出力はもちろん、給電もできちゃいます。

付属の「遮光フード」がうれしい

セッティング完了!USB-Cでつなぐだけなので、デスクの上もすっきり。27インチのモニター、大きすぎるかなと思いましたが僕のささやかな作業デスクにもぴったり収まりました。これは嬉しい。

遮光フードもついていました。ほかメーカーさんのモニターだと別売りだったりするんですが、最初から付いているのはうれしいですね。これがあるとプロっぽくてかっこいい…って見た目だけじゃなくて視認性もしっかり上がってとても良いです。フードの内側は反射を防ぐ毛の立った素材が貼られています。

付属の万能コントローラー「ホットキーパックG2」が便利

UFOみたいでかわいい

モニターにこんなかわいいものが付属していました。ホットキーパックG2 というコントローラーで、ノブを回して輝度調整ができたり、数字のボタンでAdobeRGBやsRGBなど色空間を切り替えられる便利な代物。デザインも主張しすぎず、高級感もありGOODです。

初めてのカラーキャリブレーション

さて、外観に惚れ惚れしたところで早速キャリブレーションモニターの真髄、キャリブレーションというのをやってみます。…ってそもそもキャリブレーションってなんだっけ。というわけでググってみる。

「キャリブレーション」とは: 較正、校正、調整などの意味を持つ英単語。測定器で標準通りの値を得るために、標準器などを用いてその機器の偏りを計測したり、正しい値になるよう調整したりすること。 引用元:e-Words

なるほど、標準値を得る。モニターを正しい色が出るようにセンサーを使って色を測定し、調整することのようです。BenQ SW270C は ハードウェアキャリブレーション対応なので、モニター内部にある設定を調整できるようです。つまりはセンサーで測定して、モニターの色を直接調整できる、と。これは頼もしい。

このキャリブレーションをするためのアプリケーションは、下記BenQ公式サイトよりDLできます。

BenQ SW270C ソフトウェア 『Palette Master Element』 ダウンロードページ(https://www.benq.com/ja-jp/support/downloads-faq/products/monitor/sw270c/software-driver.html)

Palette Master Elementの起動

早速Palette Master Elementを起動!

今回、キャリブレーション用のセンサーは i1 Display Pro を使用。

センサーをモニター側面のUSB端子へ接続

センサーをモニター側面のUSB端子につなぎます。側面のUSB端子はPCともつながるのでセンサーの接続以外にも当然使えます。便利!

意外と簡単!センサー設定

画面を進むと何やら難しそうな画面が..と思いきや…。

既定という項目に「写真家」て。めちゃくちゃわかりやすいです。そうです、僕は写真家です。とりあえずこれで設定します。

次へと進むとわかりやすいセンサーを置く画面に。なるほど、ここにセンサーを吊るしておいて置けばいいんですね。ありがとう…。

センサー設置で即キャリブレーション開始

早速センサーを設置。フードにはセンサーのUSBケーブルを通す窓が設けられています。考えられてる…。キャリブレーションをスタートすると少しの間、画面が暗くなったり明るくなったり。「ちゃんと色々テストしてる感」が良い。

あっという間にキャリブレーション終了

キャリブレーション終了。なにやら「合格」と出ています。よかった、合格したらしい…。

無事、キャリブレーションモニター初心者でもキャリブレーションを終えることができました。

超便利な色空間の比較機能

さて、キャリブレーションモニターである BenQ SW270C ですが、他にも色々と素敵な機能があるようなので、その中の一つ GumatDuo というものを試してみました。GumatDuoとは、2つの映像入力を横に並べてそれぞれ異なる色空間で表示する機能です。って言っても言葉じゃわかりづらいので、まずはこちらを。

便利な機能の一つGumatDuo

モニターの中に2つの画面が並んでます。左は sRGBでの表示、右は AdobeRGBでの表示です。

sRGBよりAdobeRGBの方が色表現が豊か、なんて情報はネットを探すと色々出てきますが、こうやって並べるとそれをより実感できますね。sRGBはWebなど各種デバイスから見るときによく使う色空間、AdobeRGBは印刷対応などでよく使いますが、このGumatDuoならどんな色の出方をするのかがサクッと確認できるのでこの機能はめちゃくちゃ便利だと感じました。

色再現へのこだわりがすごい

AdobeRGB 99%カバー

BenQ SW270CはAdobeRGB 99%カバー!ということで、何がすごいのか伝わりづらい部分でもあるかと思うのですが…。

つまりは、通常のディスプレイでは再現できないような色域までしっかりと再現してくれるということです。自分が意図した正しい色を表示してくれているという安心感は本当にありがたいものです。

正確な色再現を可能にするAQCOLOR技術採用

このBenQ SW270Cは「AQCOLOR」シリーズの最新機種なのですが、「AQCOLOR」とは正確な色再現を実現したモニターにのみ与えられる称号のようなもので、モニターに使う部品の選択からモニターの設計、精密な検査など、とにかくこだわりがすごい!

モニターやフードのデザインもそうですが、とにかくユーザーのために作られているんだな…と感じます。

PANTONE/CALMAN認証取得

PANTONEとは、世界共通の色見本の商標のことで、BenQ SW270CではPANTONEカラー認証を取得しているとのこと。海外のクライアントとのやりとりや、発注をする際に色が微妙に違う…なんてことも起こらない。国際標準のモニターなんです。

キャリブレーションモニターの必要性

ここまでで BenQ SW270C の基本的な機能から便利機能まで色々とレビューしてみましたが、「そもそもなんでキャリブレーションモニターが必要なの?」というところについて改めて触れてみます。

よく言われるのが「印刷時とモニター表示の差異をなるべく少なくするため」と言われますが、僕の場合はWeb関連の広告のお仕事が多いのです。なので、それ以上に感じるのが「多様なモニターであふれかえる時代に、一つの明確な指標を持つ」ということです。

数多の中から信頼の指針になる存在に


Mac、iPhone、iPadと我が家だけでもこれだけのモニターが存在します。Android端末やデジタルサイネージ、テレビなど世の中には様々なモニターで溢れかえっていますし、各モニターごとに色の見え方は異なっています。例えば、僕のiPhone XSは彩度とコントラストが強めにでますし、Macのモニターはもう少し控えめです。True Tone機能などのように閲覧環境に合わせて色表現を調整する機能もあったりで、モニターの色表現は無限といえるのではないでしょうか。

そんなモニター大氾濫時代に、何を持って正しい色とするのか、その指標として、羅針盤としてキャリブレーションモニターを使い、正しい色をつくる。そうすることで、様々なモニターで見たときに過剰な見え方を最小限に抑え、なるべく見せたい色で写真を見せていくことができるのではないでしょうか。

まとめ

初心者でも使いやすくシンプルな操作性

はじめてのキャリブレーションモニターの使用レポート、いかがだったでしょうか。なるべくキャリブレーションモニター初心者の方でもわかりやすく、伝わるように書いてみましたが伝わったでしょうか。BenQ SW270Cというカラーキャリブレーションモニターを使ってみて、この「初心者の方でもわかりやすく」というマインドが伝わるくらいに、使いやすくシンプルな操作性で、良いモニターだなと感じました。初めて使った僕でもすぐに慣れることが出来ましたから。

ぜひみなさんも正しい色表現ができるキャリブレーションモニターを味方につけ、モニター大氾濫時代を素敵な色表現の写真で共に駆け抜けていきましょう。

Amazon SW270C販売ページはこちら

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