ヒーコ読者のみなさん、はじめまして。プロフォトグラファーの澤村洋兵(@yohei_sawamura)といいます。初登場ということで、緊張しそうと思いきやそうでもないことに今気が付きました。落ち着いて話せそうです。どうぞよろしくお願いします。
ボクは主に作品をSNSで発表しているのですが、とてもありがたすぎることにSNSの総フォロワーも10万人を超え、自分でもよく状況がわからなくなっていたりもするのですが、多くの方の共感を得られていることは素直にとても嬉しいです。そこで今回はこうして記事を寄稿する機会に、「共感」をテーマに現在の作家性にいたるまでのルーツや共感性のある写真の利用方法などいろいろとお話できたらと思います。
SNS総フォロワー10万人以上!「共感」を集める写真はこうして生まれた。
作品ギャラリー
作品へのこだわり
レタッチで世界観を構築する
とてもありがたいことにSNSのコメントなどでボクの世界観が好き!というお声をたくさんいただきます。これは本当に嬉しいの極みで、Twitterだといつも即リツイートしちゃってます!
自分の世界観を持ったフォトグラファーって本当にたくさんいて、それぞれみなさん世界観に対するこだわりといいますか、大切にしているポイントがあると思うんですが、ボクの場合、それはレタッチに当たります。
撮影するときは自分好みのレタッチに合う場所、モデルさん、状況などを選んで撮影しています。ただ、レタッチして嘘みたいな写真にはしたくないんですよね。感覚的な伝え方になってしまいますが、「やりすぎない、でもやらなさすぎない」といった感じを意識しつつ、実際見た景色よりもシネマティックというか動画のような静止画をイメージして、レタッチでバランスを取りながら世界観を構築しています。
環境を見抜く力
ここからは実際に撮影するときのお話です。
上記でもお伝えしましたが、レタッチで世界観のある写真にするために撮影時に大切にしていることは、自分好みのレタッチに合う場所を探すことだと思っています。ボクの場合、今まで身をおいていた環境もあって、この探す目が自然と養われていきました。この探す目は言い換えれば、環境を見抜く力と言うことができて、ボクにとっては撮影するときに今やなくてはならない要素の一つです。
ではどういった環境にあってこの力が養われたのか?それはボクが長年働いていたカフェでの毎日、日常があったからこそだと思っています。飽きるほど毎日見ている風景のどこに撮りたいと思える瞬間があるのかを考えながら日々撮っていました(お店のInstagram用の写真を撮っていたのもあって)。この日常の連続が撮影時にあらゆる選択肢を考える力を寄与してくれていて、初めての場所での撮影でも視野を広く持って冷静に自分好みのレタッチに合う場所を探せているんだと思います。
光の強さは影を見て決める
撮影時に最も気にかけているのは、陰影を印象的に残すための光の強さです。
ただし、光を追って強さを見ているというよりは影を見て決めています。影が伸びている角度や距離、濃さで光の長さや角度を計って好みの光の強さを見極めて撮影しています。
共感を意識する
元々はあまり共感を意識していなかったのですが、撮っていた写真が共感に近いものだったので後から意識するようになりました。
映画やMVに出てくる何気ない普通の日常のシーンがかっこよく感じて、動画みたいな静止画を撮るという矛盾な考えから、自分のライフスタイルにある身近に起こるいい瞬間を撮りたいと思うようになりました。結局それってフォロワーさんたちにとってもイメージしやすい状況だったりして、作品への共感につながっているんだと思います。そこから共感されることに楽しみを覚えて、意識した撮影もするようになりました。
作品へのこだわり
- レタッチで世界観を構築する
- 撮影時、経験則に基づいた環境を見抜く力を働かせている
- 光の強さは影を見て決める
- 共感を意識する
表現とパーソナリティ
キャリアは写真に影響する
今は写真に関わる仕事をする一方で、現在にいたるまで様々なキャリアを積んできました。美容師や料理人、バーテンダーやバリスタなど当時夢中になれることに興じてきましたが、その経験は一貫して接客業でした。この経験から得られたものが今のボクに大きく影響していると思います。
接客業は常に店舗内すべての状況を把握しておかなければいけないので、何か起きていないか、誰かが何かを求めていないかなど、常時周囲に目を配っていました。それが今日、撮影となれば、構図内の隅々まで何が起きているかを冷静に見れるようになっていたり、モデルさんとのコミュニケーションがスムーズにできていたりといったことに繋がっていると思います。
その他、美容師時代はヘアーデザインするための美的・色彩感覚が養われたり、料理人だとお皿という構図の中に何をどういう配置で、どういう色バランスでと考えることが意外と写真に近い経験だったり、その他まだまだたくさん影響しているところはありますが、いずれにせよこのキャリアがあったからこそ現在のフォトグラファーとしての活動にうまく働いていると思います。
表現者として形にこだわらない
現在フォトグラファーとして活動していますが、写真に縛られず様々な表現をしていこうと思っています。好奇心がすごく強いので、いろんなことをしてみたいという気持ちがありますね。
ボクの根底にある気持ちとしては、様々ないいモノ、コトを発信して伝えたい、誰かの夢のきっかけになりたいという思いがありまして、ただそれを伝えるにもボク自身の人間力や信用性、表現力がないと納得してもらえないなと思っていて、そのためにもまだチャレンジしていないこともいろいろとやっていこう思っています。そう考えるとボクのなりたいものって、「タレント」が近いのかなと思います。
写真をマネタイズすること
共感とストックフォト
今まで「共感」をテーマに現在の作家性にいたるまでのボクのルーツをお話してきましたが、「共感」という指標をフォロワー数やいいね数で認知する以外にチャレンジしていたことがあります。それがストックフォトです。
ストックフォトに登録したのは、プロフォトグラファーになる前の2018年4月頃です。SNSでフォローやいいねは気軽にできても、写真を買うとなると一気にハードルが上がりますし、そこには購入される方の目的に合ったものなどの課題も出てくる。ただ、やはり共感という部分も大きく関わってくる部分ではあるので、売れる写真の傾向を考えつつやっていました。ボクの場合ですが、ストックフォト用に撮影することはありません。作家性を消すことなく自分らしさを出して、買ってもらえるか、使ってもらえるか、というのもフォトグラファーとしていい修行になるのではないかと思っているからです。
ストックフォトで写真をマネタイズすること
ストックフォトは、共感の練習をしながら生活のサポートができる素晴らしいものだと捉えています。趣味の方も機材などでお金がかかりますし、副業としてやっていくのもすごくいいと思います。
それと、写真をどういう意識でやっているかにもよりますが、ストックフォトはすごく勉強にもなると思います。どういう写真が求められているのかを考えるのって写真についてのマーケティング思考の練習にもなりますし、そうして考えた写真をどうやって撮ればいいかって考えるのも再現力の練習にもなっていいと思います。
例えば、ボクの場合、売り上げを記録した作品は、適度な余白があったり、ある程度何かに振り切った写真(日本ならとにかく日本らしいもの)や、自分のライフスタイルから切り取った本当に作っていないナチュラルな写真でした。これもそうした思考を働かせた結果が購入に結びついていったと思います。
- ストックフォト用に撮影はしない
- 作家性を消すことなく自分らしさを出す
- 共感性を意識した写真セレクト
- 売れる写真についてのマーケティングを思考する場になる
- 売れれば生活のサポートになる
共感性が高いことが大きな魅力になり得る
SNS写真時代だからこそできること
写真を始めて、自然な流れでSNSも始めて、今こうしてフォトグラファーをやっているのは不思議な気持ちもありつつ、どこか納得していたりもします。今にいたるまでにSNSや写真を通して知り合った人たちとも、やはり共感という部分で繋がったということが大きいと思います。結局のところ、SNSもストックフォトも反応が大きいものは、共感が起因していると思います。SNSというプラットホームにおいて共感性は数値化され大々的にフィーチャーされた存在となりましたが、共感という本質は何一つ変わっていないのではないかなと思います。写真を使って誰かに何かを伝えるとき、共感性が高いということが大きな魅力となり得ると、改めて記事を書きながら思いました。
ということで、ヒーコ初登場となった今回、写真と共感という部分でお話をさせていただきました!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!またどこかでお会いしましょう!
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