みなさん初めまして。あまと〜(@amatou_0429)と申します。
私はArchitectureやLandscapeを主に撮影しており、TwitterやInstagramなどのSNSをはじめ、1xのような審査制写真投稿サイトにも作品を公開しております。
そんな私ですが、今回は”長時間露光”をテーマにお話ができればと思います。長時間露光撮影はデジタルカメラの醍醐味の1つかと思いますので、本記事でその魅力が伝われば幸いです。
これで丸わかり長時間露光で魅せる風景写真!機材から撮影方法まで全て解説
風景写真を撮り始めたきっかけ
長時間露光についてお話しする前に前段として、私が風景写真を撮り始めたきっかけをお話しできればと思います。
私自身写真を始めたのが約5年前の大学生の頃になりますが、国内外に行って旅先でスマートフォンを使って写真をたくさん撮るのが好きでした。スマートフォンでも十分綺麗な写真を撮ることが可能になってきていましたが、それでも「スマートフォンでは表現できない写真を撮りたい!」という気持ちからからデジタルカメラを購入しました。
旅行好きからカメラの世界に入ったということもあって、自然と風景写真を撮ることが多かったのですが、「スマートフォンでは表現できない写真を撮りたい!」という観点から、当時のスマートフォンでは難しかった夜景や明暗差のある朝や夕方を撮っていく中で長時間露光という撮影技法を知り、のめり込んでいくようになりました。
長時間露光が生きる場面
現在はスマートフォンのカメラが凄まじい勢いで発達しており、デジタルカメラ並の写真を撮ることが可能になってきたと思いますが、そのスマートフォンでも長時間露光はデジタルカメラ並に撮ることができないと思っています。逆に言えば、導入でも申し上げた通り、長時間露光撮影はデジタルカメラの醍醐味の1つといっても過言ではありません。
それでは、長時間露光が生きる場面をいくつか紹介したいと思います。
夜景でのレーザービーム
長時間露光でまず思いつくシーンといったら夜景ではないでしょうか?車などの光跡やをスローシャッターで捉える。シャッターが開いている時間に通った光を写してくれます。
昼間に雲を流す
長時間露光といえば夜のイメージが強いですが、昼のシーンに長時間露光することによって雲の流れを撮影することができます。
NDフィルター1000
NDフィルター64を重ねて使用
昼間の長時間露光にはNDフィルター必須です。
※NDフィルターの説明については次の項目で説明したいと思います。
海の波を消す
海で長時間露光することによって波を滑らかにすることができます。そうすることでより幻想的な写真を撮ることができます。
NDフィルター1000
ハーフNDフィルターリバース 16を使用
他にも長時間露光で表現できるものはたくさんありますが、今回はその一例をご紹介しました。
スローシャッターをするときに必要な機材
長時間露光が生きる場面についていくつか例を紹介しましたがいかがでしたでしょうか?「こんな表現の仕方もあるのか!」と思っていただけたら幸いです。
ではこのような長時間露光撮影をするには何が必要になってくるか。私が使用しているものを紹介します。
三脚
これは必須になります。”長時間”露光とある通り手持ちで撮影するとブレてしまうようなシャッタースピードで撮影するため、三脚は必ず使うようにしましょう。
シャッタースピードにもよりますが、あまり脚が細い三脚であると、三脚を使用していてもブレてしまうので三脚選びには気をつけましょう。
NDフィルター
昼間の長時間露光時や夜でもシャッタースピードを遅くしたい場合に使用しています。
NDフィルターについて簡単ではありますが説明したいと思います。
NDフィルターを使うことにより光量が減少するためその分シャッタースピードを遅くすることができます。例えば、晴れている昼間でシャッタースピードを1秒にするとおそらく写真全体が白飛びしてしまうと思います。しかし、NDフィルターを使うことにより昼間でもシャッタースピード1秒を可能にすることができます。
下の表はNDフィルターを使った際のシャッタスピードの変化を現したものになります。
見方としては、例えば左の「NDなし」の列の1/4000を見るとします。この場合、NDなしだと1/4000秒の設定をND2をつければ1/2000秒、ND8をつければ1/500秒…ND32000をつければ8秒まで露光できるということになります。
ちなみにNDフィルターは重ねて使うこともできます。先程の作例の2番目はND1000とND64を重ねたと書きましたが、この場合1000×64=ND64000の効果があったということになります。ND64000を使って5分20秒露光したということは、NDフィルターを使わなかった場合は大体1/200秒であったということになります。
「自分は昼間の長時間露光はしないからND8,16あたりを買おう」「自分は昼間の長秒をするからND32と1000を買って重ねよう」など、NDフィルターを購入の前にどのように使うのか想像しながら整理すると良いと思います。
レリーズ
レリーズはカメラ本体のシャッターボタンを押さずにシャッターを切れるリモコンになります。
レリーズを使う理由は2つあります。まずは長時間露光の撮影ではカメラのシャッターボタンを押した反動でブレてしまう可能性があるためです。そしてもう1つは、昼間で数分間長時間露光をしようとしてもカメラによってはシャッタースピードが30秒までしか設定できないものがあるためです。
ちなみに私のカメラは30秒までしか設定できずそれより長いシャッタースピードで撮影する際はバルブモードを使用する必要があるのですが、レリーズを使うことによりバルブモードでもカメラのシャッターボタンを押し続ける必要なく撮影が可能になります。
長時間露光の方法
ではこれらを使った長時間露光の撮影方法について説明できればと思います。今回は昼間に長時間露光をするシーンでの説明になります。
まず構図を探したら三脚をセットしします。そうしたらNDフィルターをセットしたいところですが、まずはピントを合わせるようにしましょう。
特に昼間の長時間露光のように濃いNDフィルターを使う際は装着後にピントを合わせるのは至難です。ピント合わし終えても、まだNDフィルターは設置せずその時点での設定を決めて、決めた時のシャッタースピードの秒数を覚えておきましょう。
そうしたら、やっとNDフィルターを設置します。
では実際の秒数はどうすれば良いのかというと、先ほど紹介しましたNDフィルターの計算表で計算するようにします。例えば今回NDフィルターを設置する前は1/125秒だったとしましょう。
125秒なので赤枠の列を見ます。仮に今回NDフィルター1000を使うとしたらこの表によると8秒が適正ということになります。
また、NDの計算に関してはアプリでもいくつあるのでそれを使用すると便利です。ちなみに私は、NiSi ND Calculatorというアプリを使用しています。
シャッタースピードもわかったらカメラのマニュアルモードのBlubモードにして、レリーズを使い、先ほど計算した秒数で撮影します。
今回はNDフィルターからの濃度からシャッタースピードを計算しましたが、「このくらいのシャッタースピードで撮影したい時はどのくらいのNDフィルターにすれば良いのか」といった形で先にシャッタースピードを決める方法でもよいと思います。
構図の探し方
次に長時間露光撮影する際の構図の探し方の説明したいと思います。
静と動を探す
長時間露光というのはシャッターを開いている時間の時の流れを移すものになります。
雲や波、車の光など流動的なものはシャッターを開いている時間の動きを映しますが、動かないものはもちろんそのまま写ります。その性質を生かして動くものと動かないものをバランスよく組み合わせると良いと思います。
上の写真は波という流動的な被写体と前景の木と主題の岩という固定的な被写体を組み合わせました。
主題と副題を考える
長時間露光を覚えると雲を流す、車の光跡を残す、海を滑らかにするというところに目がいきすぎてそれらが多く占めるような構図で撮りがちになります。ここで考えないといけないのは、あくまで長時間露光は手段であり目的にしてはいけないということです。
今撮ろうと思っている構図の中で雲や車の光跡や海は果たして主題なのでしょうか?もしそうでないのであれば不用意にそれらを入れず主題を添えるための副題として活用しましょう。
上の写真の主題はあくまでもダークな雰囲気の街並みです。このシチュエーションに出くわした時は、雲を流すことによってより時間の流れを感じさせ、よりダークな感じを際立たせることができると考えました。ただし、空はあくまで副題として添えるだけにして、その分、下の道路やガードレールを入れることによって誰もいないダークな街並みをより強調させることにしました。
まとめ
- デジタルカメラの醍醐味
- 三脚は必須
- NDフィルターを使うと昼にも長時間露光ができる
- レリーズがあるとよりブレない
- NDフィルターをつける前にピントを合わせる
- NDの計算アプリが便利
- 静と動を探す
- 主題と副題を考える
長時間露光はデジタルカメラの醍醐味の1つである
まだまだTipsはございますが、長時間露光の魅力について少しでもわかっていただけたら幸いです。
繰り返しになりますが、長時間露光はデジタルカメラの醍醐味の1つであると私は思っております。長時間露光ができることにより表現の幅が格段に広がりますし、時の流れを1枚の写真に収めることができるって考えるとなんかかっこいいですよね。
皆さんもさまざまなシーンで長時間露光での撮影をしてかっこいい写真を撮ってみてください。
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