こんにちは。都市のあらゆる姿を写真で収集し表現している岩田量自、通称ジョニーです。(@johnny777)
NHK総合、NHK教育、フジテレビしか映らない佐賀県の山間部に生まれ育ち、幼い頃から”外の世界”への憧れを持ってた私が上京して早10年、そしてInstagramをきっかけにiPhoneで写真を撮り始めて10年が経っていました。ありがたいことに2017年にはappleの広告に写真が採用されたり、Valentinoなどのハイブランドのお仕事をさせて頂きながら写真活動を続けてくることができました。
そんな私が、憧れの大都市東京や海外の都市を歩き回り、撮り続けた写真を編集してたどり着いた、写真活動10年の集大成とも言えるプリセットを販売させて頂くこととなりました。はじめに感謝申し上げます。
世界に選ばれる作品を生み出す!無限の可能性を引き出すプリセット
プリセットのコンセプト

私はもともと建築士として設計実務に携わっていました。建築図面を描く際に最初に引く線である通り芯の”X”と”Y”があります。建物の位置や柱、梁、壁の位置を決める非常に重要な線です。この通り芯によって建物の躯体構造とプロポーションが決まってしまいます。
このXとYは初期設計段階のの1/500スケールのアイディアスケッチを行う様な段階から使用し、何度も引いては消してを繰り返し、最終的な図面へと近づいていきます。
美しい建築は内装を施す前の、躯体構造で決まっているという思想の元、写真を美しく完成させるための通り芯となることをコンセプトとし、XとYを幾度となく引き直し今回のプリセットを完成させました。
プリセットの特徴
1.高い汎用性
10年間昼夜、天候を問わずあらゆるシチュエーションで撮りためた写真で、汎用性の高さを求めて検証と微調整を繰り返しています。極端に動かしたパラメーターはなく、プリセットを当てた後の編集の幅も残しています。
撮影時点でこれは良いと思うものを基準としていますので、「極端に光の条件が悪い」「編集でなんとかしたい」といった状況で撮影したものには上手くマッチしない可能性があります。
2.素材の良さを残し活かす
建築からちょっと離れて大好きなラーメンで例え話を。
化学調味料は一瞬の美味しさを与えてくれますが、しつこく感じることはありませんか?時々食べる化学調味料てんこ盛りのラーメンは、それはそれで美味しいのですが、毎日食べるとなると流石に辛いです。
一方、誤魔化しが効かず素材の味を活かす無化調ラーメンは朝でもスッとお腹に入りますし、毎日食べても体が受け付けなくなることはありません。
※あくまでも個人の意見です
今回作成したプリセットは、激しく彩度を上げたりコントラストを上げてパッと見の印象を良くする様な化学調味料的なものではありません。写真そのものが持つ良さを活かし、長時間観賞していても疲れないことを重視しています。

3.トーンカーブとカラーグレーディングによる深みある色
フィルムに特有の色味がある様に、今回作成したプリセットにも特有の色味を与えました。
RAWデータを基本補正とHSLだけで補正するとどこかこざっぱりした印象になりがちですが、トーンカーブでRGBをそれぞれ調整し、カラーグレーディングでハイライト、中間、シャドウに色を少しのせることで写真に深みが出る様にしています。
4.解像感が上がる
あらかじめ設定にシャープネスを盛り込んでいますので、プリセットを当てただけで解像感が上がります。
テクスチャと明瞭度も若干上げているものもありますので、都市風景や建築物など輪郭やエッジを出したい写真ではその効果は絶大です。
5.スマホ写真との相性が良い
写真を始めたきっかけであるiPhone、すなわちスマートフォンで撮影したjpeg画像との相性もよくなる様な設計にしています。
世界中で一番使われているカメラであるスマートフォンで撮影した写真でも使えることは、非常に重要だと考えています。家族や料理の写真、旅行先で撮影した思い出の写真でもぜひ使って頂きたいです。

プリセットの使い方
1.露出補正とホワイトバランスを調整してからプリセットを当てる
写真によって露出とホワイトバランスは撮影者に依拠しますので、プリセットではいじっていません。
極端に露出不足であったり、色かぶりしている写真を補正するためのものではありませんので、あらかじめある程度補正した後でプリセットを当ててください。
少し明るくなるプリセットもありますので、基本補正の露出とハイライト、白レベルやトーンカーブで適宜調整してください。
2.色味の調整はホワイトバランスとカラーグレーディングで
色味が強すぎたり、写真に上手く馴染んでいないと感じる場合はホワイトバランスやカラーグレーディングで適宜調整してください。
色味だけではなく輝度やブレンド、バランスの調整を併用することで、お好みの深みのある色に変えることもできます。
3.スマホ写真では彩度を少し下げるのがオススメ
RAWデータを元に調整していますので、スマホで撮影したjpegデータで使用すると彩度が強く出過ぎてしまうことがあります。そんな時は、彩度を少し落とすと落ち着きのある色になります。

プリセットの解説
X series:X1~X4
Xシリーズはコントラストを強め、メリハリのある写真になることを目指して作ったプリセット群です。RAWデータの全体的に浅い印象の写真がクリック一つでできるだけ完成に近づきつつ、調整の幅が十分に残っている設計にしています。
写真の可能性を引き出すと共に、綺麗にクオリティを高く見せるという基本を求め続けて完成したシリーズです。
全てはここから始まったX1
これまでの編集データから導き出された最初のプリセットです。様々なシチュエーションで使えて露出補正だけで済んでしまうことも多い、万能かつ時短となる仕様になっています。
オートホワイトバランスでマゼンタによりがちなデジタル写真をどうにか簡単に調整したい、という思いもあり、できるだけプリセットを当てるだけで改善されるように設計しています。晴れた日の青空は少し色が薄くなる傾向にありますが、HSLで彩度を上げるか輝度を下げるだけで青さは戻りますので、お好みで調整してください。
- ヒストグラムのバランスが良ければ良いほど、このプリセットの威力が発揮されます。
- 基本補正のパラメーターやトーンカーブを大きくいじっていないので、写真の調整の幅も広くなっています。
- 全体のコントラストのバランスを大きく崩すことはなく、中間~シャドウに若干の暖色がのり、明るくなります。




少しクールなX1の兄弟X2
X1をベースにしたクールな印象にするプリセットで、基本的な特徴はX1と同等でマッチするケースが多く、汎用性が高くなっているので人物が入っているスナップポートレートでも肌の色を崩すことがありません。
X1よりも空の青がしっかり出るので、空の面積が多い屋外での写真にオススメです。
- 中間〜シャドウが若干寒色側になっているので、お好みでホワイトバランスで暖色に寄せるか、トーンカーブのブルーのチャンネルで中間部分を暖色に寄せて下さい。
- コントラストを強めた方が良い都市風景ではトーンカーブでシャドウを落とすと力強い雰囲気を出せます。




無骨で男らしいX3
コントラストをはっきり出したい写真にオススメなのがX3です。
クールにシャープな写真に早変わりさせてくれるプリセットで、コントラストを強めながらも白飛び、黒つぶれを起こしません。建築物の写真はもちろんのこと、晴れた日の道路の黒が締まるので、ストリートスナップにオススメです。
- 寒色に寄っているので、お好みでホワイトバランスで暖色に寄せて下さい。
- コントラストが強いと感じる場合はコントラストとシャドウで調整して下さい。
- シャドウの青が気になる方はカラーグレーディングをOFFにして下さい。




太陽を味方にするX4
西陽がさすシーンばかりではなく、ホワイトバランスを少し下げるだけで落ち着くので日中のシーンでも使えます。
中間~シャドウに暖色がのっていますが、ハイライトにはあまり影響しないので、白を大きく損なうことはありません。ハイライトにはブルーがのっているので明るい写真では大きく暖色によることはありませんが、お好みでホワイトバランスで寒色に寄せるなどして調整してください。
- 日中の写真ではコントラストが強くなり過ぎることもあるので、コントラストやトーンカーブで調整して下さい。
- 暖色が気になる方は、カラーグレーディングをOFFにしたり相対色のブルーを入れるかトーンカーブのブルーチャンネルで中間部を寒色に寄せて下さい。




Y series:Y1~Y4
YシリーズはXシリーズをベースにアレンジを加えて発展させたプリセット群です。
全体を通してシャドウを持ち上げて明るくしつつハイライトを強調し、フェードがかかる仕様になっており、フィルムライクな印象にもしやすい様に設計しています。Xと比較し人目を引きつけやすいパワーも備えています。見せたい世界観が明確な時に更なる効果を発揮します。
X1を発展させて生まれたY1
全体の色味はX1を受け継いでいますが、中間〜シャドウをパッと明るくしてくれるプリセットです。シャドウにフェードをのせていて、全体のコントラストが弱くなります。よりフィルムライクにしたい時は粒子をのせると良いでしょう。
コントラストが強い写真や日陰の写真、そして夜の写真におすすめです。
- ハイライトが強い写真では明るくなり過ぎるので、白レベルとハイライトを下げて調整して下さい。
- 空がやや暖色によるのが気になる方は、カラーグレーディングの中間調を寒色に寄せて調整して下さい。




闇を照らし光を輝かせるY2
Y1同様にシャドウをパッと明るくしてくれるプリセットで、全体のコントラストが弱くなりますが、Y1よりハイライトを強調します。全体的に若干寒色に寄り、彩度は他のプリセットに比べて低めに設定しています。明暗さが大きい場所での夜のストリートスナップにオススメです。
- ハイライト寄りで、もともとコントラストが低い写真ではコントラストが低くなりすぎることがあるので、ハイライトやシャドウ、上級者はトーンカーブで調整して下さい。




見え隠れする個性Y3
ハイライト〜中間とフェードに寒色を効かせつつ、中間〜シャドウに暖色を効かせてバランスをとっているプリセットです。
日中の太陽光で暖色に寄った写真は爽やかな雰囲気に寄せることができますし、暖色の照明が強い夜の街の写真ではハイライトとフェードにのせた青が効いているので、全体の雰囲気はそのままにすっきりとした印象にできます。
- 日中の青空を写した写真では青がやや強く出てしまうので、HSLで青の彩度を下げたり、輝度を上げたりして調整して下さい。
- カラーグレーディングの中間調を寒色側に寄せると、さらにクリアな印象になります。




ジキルとハイドのY4
ハイライト〜中間には寒色を、中間〜シャドウに暖色をコントラストを強めにのせていて、明暗によって効果の出方が違うジキルとハイドの様な面白い仕様になっています。カラーグレーディングでシャドウにレッドを入れているのでアンバーな暖色になります。
- ハイライトが強い写真では明るくなり過ぎるので、白レベルとハイライトを下げて調整して下さい。
- 露出を下げれば暖色に寄っていき、逆に上げていけば寒色に寄っていきます。
- トーンカーブのブルーチャンネルで中間部分を右に寄せればより暖色に、左に寄せれば寒色に寄っていくので調整も簡単です。




最後に

検証と調整に多くの時間をかけて完成させた、8つのプリセットの特徴や編集のポイントの解説を通して少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。素材の良さを活かすことを重視していますので、皆さんの写真でもぜひお試しください。
実際に使ってみての作例に#ヒーコチャレンジをつけて感想とともにシェアして頂けると嬉しいです。