今すぐチャレンジ!紅葉写真をもっと印象的に残す「極彩色」編集術

撮影場所 楊谷寺 上書院

こんにちは。京都写真家のうさだだぬき(@usalica)です。フォトグラファーが絶景を求めて撮影に駆け回る秋もあっという間に過ぎ去り、まもなく2022年を迎える時分になって参りました。

さて、みなさんは紅葉写真、撮りましたか?

全国さまざまなスポットで美しい紅葉に出会えるので、撮影に明け暮れるあまり編集が追いついていない……なんて人もいるのではないでしょうか。

今回は、そんな撮り溜めた美しい紅葉写真を、僕の作風の特徴である「極彩色」に編集してみようというお話です。

僕は普段撮影した写真を濃密な色合い、すなわち極彩色へと仕上げて作品として世に送り出しています。その際に意識しているポイントや色合いへのこだわりをご紹介することで、新しい世界観や色作りの面白さに出会ってもらえたらと思っています。

お手元にある紅葉写真を、一緒に極彩色に仕上げてみましょう!

なお、今回の記事でご紹介する写真は、株式会社サードウェーブが展開しているクリエイターPC「raytrek(レイトレック) XV 写真&動画編集向けモデル」を使用して編集しました。編集に使用したソフトは「Adobe Photoshop Lightroom Classic」です。

今回掲載している楊谷寺 上書院の写真は、特別な許可を頂き撮影したものになります。

今すぐチャレンジ!紅葉写真をもっと印象的に残す「極彩色」編集術

その1 理想の極彩色を表現するための土台作り

まずは基本的項目から整えていきます。

最初は写真の明暗差を抑えることから始めましょう。美しい色彩を表現するために必要な、僕にとっての下地作りです。感覚としてはHDRのようなイメージではありつつ、合成はせずに行うイメージを今回はご紹介したいと思います。

写真を撮影したとき、目で見ている景色よりも明るく、もしくは暗く撮れてしまったなんて経験が誰しもあるはず。

これは人間の目が見分けられる明暗差よりも、カメラが感知できる明暗差のほうが小さいために起こる現象です。

HDRとは、High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称。明るさの違う複数の写真を合成することで、逆光や暗所での撮影でもキレイな写真を残せる機能・方法。

編集時に最適な露出

たとえば、こちらの写真。柳谷観音 楊谷寺の「上書院」の写真を例に挙げて見てみましょう。

窓の外に露出を合わせ、少し暗めに撮影しました。外の景色は適正露出で、室内は比較的暗く写っていることがわかるかと思います。

この写真で室内に露出を合わせてみるとこんな写真に。外の景色が白飛びしてしまいました。基本的に白飛びしてしまった写真は、後から編集することで色を修復するのが難しいとされています。

ですので今回は、最初にお見せした少し暗めの写真を用いて明暗差を整えていきます。

ハイライト・シャドウ調整

まず、調整するのは「ハイライト」と「シャドウ」。僕はいつもハイライトをガッツリと下げて、シャドウを思いきり持ち上げています。今回はハイライトを-94、シャドウを+81に調節しました。

かすみの除去・自然な彩度調整

次に「かすみの除去」「自然な彩度」をそれぞれ+20〜40ほどで調節します。かすみの除去はコントラストが低下してかすんでいる被写体をクリアにできる機能。極彩色のはっきりとした色合いを表現するには相性が良いので効果的に活用しています。

自然な彩度は、鮮やかさの足りない色合いを調整しながら画面全体の彩度を均一に整えてくれる機能。通常の「彩度」よりもバランスを保ったまま写真を鮮やかにできるので、こちらを使用しています。

以上を調整した写真がこちらです。写真の明暗差が随分と減り、全体がパキッと鮮やかになってきました。

その2 建物の水平と垂直を整える

次は撮影時の傾きやレンズ由来の歪みなどを補正して、水平や垂直を整えます。この一手間が、建築の美しさを凛々しく見せることに繋がるのです。

今回のように額縁構図で撮影した写真は、歪みや傾きがなくピシッと揃った状態が僕の理想。撮って出しで撮影できるのが一番なのですが、なかなか完璧とはいかず多少ずれてしまうことがあるので編集時に補正しています。

上のように、写真の歪みや傾きなどを整えるときは「変形」を活用。

中でも今回は、変形ツールの左上にある「ガイド付きUprightツール」を使います。実はこれ、こういった建物写真の補正で無類の強さを発揮する機能なんです。

このガイド付きUprightツールを選択すると、写真の中央上あたりに白い線が表れます。分かりやすいように周りを青で囲みました。これが補正する際に重要なガイドラインです。

白く引かれたラインの両端を、まっすぐにしたいラインに合わせて引いていきましょう。このとき、右下に表れているサブウィンドウに拡大図が表示されるので、ここで細かくラインを置く位置を定めるのがおすすめです。

拡大図を参考にしながら、窓の左縁から右縁までラインを引く。窓の上下ラインそれぞれで同じ操作を繰り返すと、ご覧の通り、歪みが補正されて気持ち良く揃ってくれました。

このガイドラインは最大4本まで引くことができるので、縦横2本ずつ引いて、水平垂直それぞれを整えて完成です。

Before / After

編集前と編集後を並べてみました。最初の状態と比べると、随分とすっきり整っています。

水平、垂直を整えるこの補正は最初に行ってももちろん構いません。ただ、基本的な色の調整をしてからのほうがガイドを引く際の拡大図が見やすいため、僕はこの順序で行っています。

その3 HSL/カラーを心ゆくまで調整

ここまで進んだら、最後の仕上げに極彩色を目指して色を整えていきましょう。使うのは極彩色の要である「HSL/カラー」です。

HSL/カラーは、レッド・オレンジ・イエロー・グリーン・アクア・ブルー・パープル・マゼンタの8色に対して、色相・彩度・輝度を調整できる機能。極彩色に仕上げるためには欠かせないツールパレットです。

既にお察しの方もいるかと思いますが、紅葉写真の編集ではイチョウやモミジなどの色に合わせてレッド・オレンジ・イエローをメインに調整します。それぞれの色に対して、スライドバーを左右に振りながら好みの色に変えていきましょう。

ただし、ここで一つ注意点が。それは、今回は撮影地である上書院の環境上、絨毯とその色が反射し天井にまで赤色が及んでいること。そのため、レッドやオレンジのスライドバーを安易に調整してしまうと、絨毯や天井の色までガラリと変わってしまうのです。

HSL/カラーでの調整は、ほんの少しの色相の変化でも印象が大きく変わるもの。一気に調整するのではなく、具合を見ながら徐々に変化を加えるのがおすすめです。

レッド・オレンジ・イエローをメインに調整

僕はこんな風に仕上げました。意識したのは、赤く色づいた紅葉と黄色く色づいた紅葉の印象を同じくらいのバランスでしっかり際立たせること。

そのために、色相ではレッドをプラス、オレンジをマイナスに振って赤色を強調。また、イエローをプラスに振って黄色みを少しだけ強く表現しました。他にも、写真中央下部あたりのマゼンタを極端にプラスに振ることで、赤色に寄せて周囲の色に馴染ませています。

彩度を調整

次に、彩度。鮮やかで鮮烈な印象を与えたいので、今回はレッドを思いきりプラスに。オレンジとイエローも具合を見ながらややプラスに振りました。好みの鮮やかさを目指して調整しています。

輝度を調整

最後に、輝度。輝度には色の明るさをコントロールする役割がありますが、少し暗くすると色を濃く見せられる効果もあるので有意義に活用します。今回は、全体的に輝度を下げてやや落ち着いた印象にしました。

HSL/カラーを調整する際、基本的には色相→彩度→輝度の順で上から調整しています。一度ざっくり全体を整えた段階で、改めて細かな調整を進めていくと比較的スムーズに編集できるのではないかと思います。

実はこの記事で紹介している写真も、何度も何度も微調整を重ねています。最初から完璧を目指すのではなく、ざっくり編集を加えてから全体のバランスを整えています。こういった調整を繰り返して、納得のいく好みの色にできたらめでたく完成です。

完成

Before / After

撮って出しの写真と完成した写真を並べて見てみましょう。二枚を比べてみると、劇的なビフォーアフターです。

極彩色の表現をもう長いこと続けていますが、どれだけチャレンジしても「こんな風に編集したら理想の極彩色になる」というパターンや最適解は見つかっていません。なぜなら、極彩色の要となるHSL/カラーの調整が、環境やシーンなどによってケースバイケースすぎるため。要するに、万能なプリセットが作れないのです。

一枚一枚の写真に対して微調整をするという膨大な作業を行うことになりますが、完成したときの喜びはひとしお。思わず満面の笑みを浮かべてしまうほどです。

今回の写真でも同様に細かな調整を行いながら編集していきました。

極彩色で仕上げた紅葉写真例

今回は一枚の写真を極彩色に仕上げるまでの流れをご紹介しましたが、極彩色で仕上げた紅葉写真を他にもいくつかご紹介させてください。

Before / After

大本神苑

くろ谷 金戒光明寺

東福寺塔頭 勝林寺

これらの写真はすべて、僕の拠点である京都で撮影したものです。2021年10月には『極彩色の京都 四季の名所めぐり』というタイトルで、四季折々の京都を集めた写真集も出版しました。極彩色で彩られた京都をもっと見てみたいという方はぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。

編集作業を快適にするクリエイターPCまとめ

raytrek XV 写真&動画編集向けモデル

製品写真撮影:塩崎亨

そして最後に、今回も前回に引き続き、ご紹介した写真のすべてをクリエイターPC「raytrek XV 写真&動画編集向けモデル」を用いて1から編集しています。

クリエイターに向けたPCという特徴の通り、Lightroom Classicの立ち上げ、写真の読み込み、パラメータの調整、書き出しがどれもサクサクで、ストレスを感じることなく作業に集中できました。今回は2021年に撮影した紅葉のデータを大量に処理しましたが(全部で約400GB、約8,000枚)、大量のデータ読み込みから100枚単位のパラメータの同期も素早く処理してくれて「おおっ」と思わず感動。

写真の編集時、PCがもたついているのを最も感じるのがパラメータ調整時に起きるラグです。ところが、今回のような大量のデータを扱っている最中でも、パラメータの反映がリアルタイムだったので、すごく効率よく作業ができたように感じます。

その他にも、今回の記事ではスクリーンショットを盛り込みながら執筆しましたが、細かなデータの移動や複数の画像ファイルの閲覧なども快適。編集はもちろん、記事執筆をスムーズに進めることができたのも嬉しいポイントです。

写真提供:株式会社サードウェーブ

また、前回の記事でも触れたように、デスクトップ型ならではの冷却ファンの力が本当に凄まじい!ファンから吹き抜ける風が少し寒さを感じさせるほど強力で、より重たい作業を任せても頼もしく活躍してくれそうだと感じられました。通常ならPC本体が熱を持ってしまうような場面でも、パフォーマンスの低下も見られませんでした。

ディスプレイへの出力端子も潤沢で、デュアルディスプレイで使用してもUSB端子がまだまだ残ってくれます。さまざまな機材やガジェットをつないで活用する写真家にとってもありがたいポイントでした。

たくさん溜まった紅葉写真の編集も、しっかり任せられるPCの存在はとても重宝するものです。みなさまもクリエイターPC「raytrek XV 写真&動画編集向けモデル」を使って、快適に極彩色の編集を楽しんでみてください!

#ヒーコ紅葉チャレンジ で極彩色チャレンジ!

うさだぬ氏による極彩色の編集術、いかがでしたか?

この記事を通して「極彩色な紅葉写真を編集してみたい!」と思った方は、ぜひTwitterハッシュタグ #ヒーコ紅葉チャレンジ で記事の感想や、写真編集にチャレンジして投稿してみてください!

紅葉以外でも、今回の編集方法を実践された方は是非ハッシュタグをつけてご投稿ください♫

投稿してくださった方には、うさだだぬき氏のTwitterアカウントやヒーコ公式Twitterアカウントから反応がくるかも。ヒーコ公式アカウント@wearexicoをタグ付けいただくと、ヒーコ公式アカウントより見つけられやすくなります。

それでは、たくさんの投稿をお待ちしています!

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うさだだぬき氏による極彩色レタッチ発表

以前の「四季を一層鮮やかに 極彩色で楽しむ京都の風景」記事にて募集した、ヒーコ公式LINEへJPEGとRAWデータを送ってくださった方の中から5名を選出し、うさだだぬき氏が写真を極彩色にレタッチする企画。

順次ヒーコ公式Twitterアカウントにて発表します!要チェック♫

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クリエイターPCについてもっと知りたい方はこちらから!

raytrek XV-Ti 写真&動画編集向けモデルについて

※raytrek XV-Tiは、今回うさだだぬき氏使用「raytrek XV」の後継機となります。

CPU:Intel Core i7-11700F
グラフィックス:NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti 8GB
メモリ:16GB DDR4 SDRAM ※今回レビューした製品はメモリを32GBに増設しております
ストレージ:500GB NVMe SSD
※代表的な構成の一例です。当ページの掲載内容は、在庫等の都合により予告なく変更、または終了となる場合があります。

製品情報

うさだだぬき氏の記事はこちら

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