撮影・レタッチ編
今回は、これまでの制作環境にまつわる云々と違って、
制作編として撮影とレタッチについて少し触れてみたいと思います。
上に掲載している写真の作業工程です。
説明するのは、おおまかにわけて、以下の三つ。
2. レタッチ:Developing 現像
3. レタッチ:Post Processing 後処理
それでは。
光のコントロール
こちらは過去の作品撮りと先日仕事で行ったウェディング前撮り撮影時の撮影風景です。
見ていただくと分かる通り、ライティングをしています。
自然光でも充分撮れる絵なのですが、ライティング。
ただし、結果の作品をみてもそこまでザ・ストロボという感じにはなっていないと思います。
では、何故しているのかというと、光をコントロールするためです。
光のコントロール
暗いからとか、ライティングしているように見せたいとかが理由ではなく
絵作りのためにいわゆる日中シンクロをしているのですが、これは非常に大きいです。
単純に光が強いのでディティールがしっかりでるし、陰影もつきます。
なので、自分の撮影風景を見たことがある人には、日中でもストロボを使う事によく驚かれますが
きちんと作品を撮る際には日中であっても、光をコントロールする意味でストロボを使います。
例えば、以下なんかは日中でストロボを使っている例です。
ドラマチックにストロボをオフカメラで使うというのは、光をコントロールする意味でも大事。
これをやるとやらないだけでも違いは大きくて、ある程度プロフェッショナルな人は当たり前のようにやっていて
そこは一つの分かれ目だと思ってます。ただ、別にやれば良いというわけではないです。
最終アウトプットとして光のコントロールが必要であれば使うということ。
何にでもマヨネーズをかけたらおいしくなるみたいな感じではありません。
光の使い方
上の作例をみてもらっても、使っているかどうかわからないレベルだと思いますが、自分は、
どちらかというと使っているか使っていないか分からない程度に、際立たせたいんですね
そういう意味で以下の工程を確認してもらえると良いと思います。
光には硬さ/柔らかさがあって
例えば、日中のピーカンがつらいと皆嘆くのは、光が硬いからです。
逆に夕陽や朝陽は、光が柔らかい。
光が柔らかすぎると、陰影が減り、光が硬すぎると陰影がつよい。
その為に日陰をつかったり、陰影をつかったり、そこから生まれる色にも配慮しなければいけない。
オレはそこを可能な限りコントロールしたいわけです。
- 光をコントロールしよう
- 光の硬さ/柔らかさを意識する
- 写真は光
- 味噌汁にはマヨネーズをいれない。
現像
こちらが現像後の写真。
現像では、レタッチを前提とした調整を行います。
主に黒つぶれ白飛びをなくして、階調を調整しやすくします。
部分補正とか肌調整とか明瞭度なんかはいじりません。
あくまでその後の本番であるレタッチ向けのデータとして編集するイメージです。
- No 明瞭度
- No 色調補正
- 出来る限りニュートラルに。カメラプロファイルでニュートラルとかコントラスト下げる etc
肌補正
最後に編集を行います。
順序としては人それぞれだと思うけど、自分はまだ肌補正から。
方法はその時の時間と相談だけども、今回は印刷考えていなかったのでわりと手抜きで、この作業で3分かからない程度。
よく、明瞭度で調整したりぼかしを使ったりする人がいますが、オレはやらないです。
よほどうまくできたら良いけども、基本的に不自然になるのと、大きな写真でみたときにディティールが残っていないのが気になる。
あとはライトのあてかたで肌の見え方が変わるので撮る時点でその辺りも意識する。
とはいえ、「どうしてもこういう光加減にしたくて、それでいくと肌が汚れて見える。」という事もおおく
その場合は、光加減を優先して肌補正頑張ります。
また、プラグインも一切使っていません。
つかったらうまくできるのかもしれないけども、細かい写真ごとの違いというのはやはりあるので
何にでも対応できるというものはないと基本的に思ってます。
- No プラグイン
- 気に入らない影を消す
- しみそばかすを消す
- ディティールが残るように
露出補正
次に、露出を調整します。
露出補正と言っていますが、これは全般的に明るさを決定するという事で、微調整も含みます。
基本的にアンダー目でとった写真の明るさを起こすということは、現像時にやっていますが
今回は、陰影を際だたせるために、より細かな調整をします。
何故かと言うと、正解が自分でみえているわけではなく、次の色調補正で、結局露出から
やり直したりすることもあるので。その時にやり直しやすいようにPhotoshopでレイヤーを
わけて制作する等の工夫が大事です。
ここまでできれば、色調以外は完成しているのであとは好みです。
自分は色調補正で色々な模索や挑戦をすることがおおいので、そのあたりの調整をせず
カメラで撮ったまま、できるだけ自然な色が好まれる場合、例えばモデルへの宣材などは、ここで作業をとめて納品することもあります。
また、モノクロに変換する場合もここまでの作業を行ってからという事になります。
つまり、ここから先が自分のカラーが出てくるわけで、更に言うと
ここで色調補正と露出補正をわけて考えることで、個人的な作品撮りではなく
クライアントの要望に応えられる仕上げというのも意識できるとオレは思っています。
写真には様々な技術が、枝葉にわかれていて、それぞれ意識して
求められた写真を撮るという事も大事なのです。
なんでもかんでも自分色に染めていて仕事にできる人は多くないわけで。
俳優で言ったら、アルパチーノように、脚本の人物を何でもかんでも自分に引き寄せる名優と
ロバート・デ・ニーロのように脚本通りの自分を演じる二つのタイプがいて、どちらも大事ですが
世の中に求められるのはデ・ニーロなのです。
- 自分の露出に
- 色調補正と露出補正は分けて考えよう
- 自分の色を出せば良いというものでもない。
- モデルの用途も考えて、効率的にレタッチする。
- 自分色に染めるのはいいが、自分色にしか染められない人間になってはいけない
色調補正
これが色調補正後のバージョン、つまり完成品です。
人によっては、色調補正する前のほうが良いという人も多いんじゃないかなーとは思う。
でもオレは違うし、オレは人に気に入られるために撮っているのではなく、仕事でもない。
自分の表現なので、自分が目指している雰囲気や、色を出したい。
それがこれなんですね。
以上、ざっとだけども第一回として、ふと思い付いてレタッチ中の写真をスクショしていたので
記事にまとめてみました。今回は実験的なものなので、かなりざっくり書いてしまったけども
時間あってやる気がでれば、もう少し詳細に書いたりもしようと思ってるけど、どうかなー!
あとがき
自分が、こういう事を書くのは、写真を真面目にやりはじめて
最初に思ったのが、ファッション/ビューティーの写真や街中でたくさんみる広告写真をみて
これはどういう流れでつくられているのだろうという単純な疑問と好奇心。
本を買ったり調べてみても、まともな情報は載っていない。
これまで受賞してきたコンテストの受賞写真をみても、カメラ雑誌をみても、そのことについては触れられていないし
触れられたとしてもほんの少し。撮りたくても、そういう写真を仕上げる事ができなかった。
そこで、英語の文献や海外の書籍を取り寄せて、ようやく少しずつ理解できるようになり、日本との差を感じたわけです。
オープンソースという概念が日本にはなく、秘密主義で、利権を守ろうという意識が外から見える。
誰も公開していないし、あるのかもしれないけれど、辿りつけない。
なので微力ながら、自分が覚えたことくらいは公開していこうと思った事がはじまりです。
twitterの写真アカウントもそうですし、before/afterを公開しているのもそう。
時間さえあればもっと体系的にまとめたいのですが、そこまでは中々できないけども、いつかはやりたいですね。
こうして、オープンでいることで、一人でも誰かが、オレの事を知れてよかったと思ってくれたら、それで嬉しい。
まずは自分もまだまだ頑張ります。
質問やリクエストも受け付けています!あとは書くモチベーションになるので、試してやってみたよとか教えてくれたら嬉しいです!