手持ちでも安心!設定から撮り方まで、マクロレンズの簡単撮影テクニック

皆さんこんにちわ。マクロ写真家の長瀬正太(@syouta0002)です。
さて・・・つい先日まで桜の撮影を楽しんでいたと思ったらすでに「夏が来たのか!?」と思うほどの陽気だったりと季節の巡りの速さを感じる今日此の頃。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

四季のある日本ではそんな季節を知らせてくれる草花も多く、そのような被写体こそマクロ撮影に向いているのかなとも思います。

さてさて、そんなマクロ撮影・・・「ピント合わせが難しそう。」ですとか「どうしたらあんなボケが出せるの。」という質問も多いので今回は特に私なりのマクロ撮影のコツについてお話させて頂こうと思います。

手持ちでも安心!設定から撮り方まで、マクロレンズの簡単撮影テクニック

マクロレンズの特徴とは?

最短撮影距離

まず私が「マクロレンズの特徴ってなんですか?」と聞かれたら、即「最短撮影距離の近さ」と答えます。

全く同じ焦点距離、例えば私が所持しているズームレンズ
「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」の60mmでの最短撮影距離は「0.38m」
対してマクロレンズ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」の最短撮影距離は「0.2m」

この差0.18m=18cmの違いを前回の記事にも記述しました
・被写体との距離をなるべく近くする。(最短撮影距離付近ほどボケやすい。)
という効果を発揮して強いボケを生むのです。

ですのでマクロ撮影時はとにかくどこまで被写体に近づくことが出来るのか?を意識して撮影してみましょう。


※最短撮影距離を測る場合カメラの中の撮像素子の位置から被写体までの距離になります。
※一眼レフやミラーレス一眼ではほとんどの場合、距離基準マークという土星のようなマークで素子の位置を示しています。


※「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」にて最短撮影距離撮影。

等倍レンズ

またマクロレンズの中にもいくつか種類があります。
通常のマクロレンズでは最大撮影倍率が1/2倍、もしくは等倍のものが多く、私はこの等倍レンズを好んで使用しています。

最大撮影倍率が等倍とは「直径1cmの円を最短撮影距離で撮影すると、撮像素子上にも1cm(実物大)に写る。」という事です。
1/2倍のものですと「撮像素子上に0.5cm(1/2に縮小)になって写る。」となります。

つまり、この最大撮影倍率が高いレンズほど被写体をマクロ的(巨大)に捉えることが出来る訳です。

カメラのセッティングはどうするの?

私のセッティング

マクロレンズを使用する際の私の基本セッティングをお教えします。

  1. A(絞り優先オート)モードにする。
  2. 絞り(F値)をなるべく小さくする。(開放値)
  3. レンズをMF(マニュアルフォーカス)モードにする。
  4. 測光モードはマルチパターン測光(画像内全面を測る)モードにする。
  5. ISO感度はベース感度にする。

と大まかにはこの5点をセッティングします。

セッティングの狙い

A(絞り優先オート)モードにする。

このモードはカメラメーカーによって呼び方が様々なのですが(筆者はNIKON)「撮影者が絞りの数値をコントロールしシャッタースピードはカメラが自動で計算してくれるモード」となります。

このモードがオートやプログラムモードになっていると「絞り値もカメラがコントロール」してしまいます。
ですから、絞り値をなるべく小さくしてボケを活かした表現がしたい!という場合私はいつもAモードで撮影しています。

絞り(F値)をなるべく小さくする。(開放値)

これは前述の通り、絞り値を小さくすればするほどボケやすくなる。からです。
この時「絞りの開放値は画質が落ちる。」と言われていますが、私は「画質<ボケ」と考えているのでばんばん開放値で撮影しちゃいます。

レンズをMF(マニュアルフォーカス)モードにする。

マクロ撮影時にAF(オートフォーカス)を使用した事がある方は分かると思いますが・・・マクロレンズで最短撮影距離付近で撮影する場合AFがなかなか上手くピントを合わせてくれないので超イライラします(怒)

これはメーカー毎のカメラの構造にもよりますが、AFは「ピントを合わせる際に被写体の色の差や明るさの差(コントラスト)を利用してピント位置を測っている。」ので、マクロレンズで被写体を大きく捉えると画面いっぱいに同じ色や明るさが広がることが原因の一つだと思います。

ですから、なかなか合わないAFにイライラとしてストレスを溜めるぐらいならと、私はマクロ撮影時にはMFモードで撮影しています。
(MFモード時のピント合わせのコツも後述いたします。)

測光モードはマルチパターン測光(画像内全面を測る)モードにする。

私がマクロ撮影する場合、比較的明るい状態・方向を向いて撮影する事が多いです。
そのような条件下で狭い範囲での測光モードを使用すると撮れる写真の明るさに大きくバラつきが出ます。

ですので私はまずマルチパターン測光で標準的な明るさの写真を撮影し、その後自身の好みに露出補正しながら撮影しています。

ISO感度はベース感度にする。

こちらも前述の通り、明るい状態で撮影する=比較的速いシャッタースピードで撮影できる
ので、ノイズが最も出にくいベース感度での撮影を重視しています。
(もちろん、状況に応じて上げることもあります。)

手持ち撮影がオススメ

手持ち撮影の理由

私はマクロ撮影時はほぼ100%手持ち撮影をしています。
(明け方や日没後のよほど暗い時間帯では使用する事もあります。)

私が手持ち撮影をする理由は良いアングルを探ることがとても容易でほんのちょっとした構図変更も非常に繊細かつ丁寧に出来るからです。

手持ち撮影時のブレにくいシャッタースピード

ですが人間は完全に静止することが出来ない生き物。
手持ち撮影時はカメラブレ(身体が動く)や手振れの危険性が大きくなるのでブレやすいのも特徴です(汗)

ですので、今回は私がマクロ撮影時に常に気にかけている「手持ち撮影でもブレにくいシャッタースピード」をお教えします。

それが「1/焦点距離(秒)」です。

このシャッタースピードよりも速いかどうかを目安にして撮影しているのです。

このシャッタースピードさえクリア出来ていれば180mmマクロといった望遠マクロレンズはもちろん、500mmミラーレンズで手持ち撮影することなんかも出来ちゃいます!

※35mm換算での焦点距離になります。
※カメラやレンズに付いている手振れ補正機能によっても多少変わってきます。
※クリア出来ていれば手振れしないと保証するものではありません。

SSが遅くなってしまう時は?

この時、明るさが足りない=上記シャッタースピードより速くならない状況の場合は

1.ISO感度を上げる。
私の場合まずはISO800~1600程度に上げます。それでも足りない場合はブレなくなる所までどこまでも上げます。(ノイズが入ってしまう事よりもブレないことを重視します。)

2.露出補正を±0もしくはマイナス補正にしレタッチで明るさを補う。
現場では少し暗めに撮ることでSSを速くし、撮影後にパソコン内のレタッチで明るさ補正をします。(RAW撮影推奨)

3.三脚もしくは一脚を使う。
事前に暗い状況で撮影することが分かっていればこれらの道具の準備をします。
ただ屋外の草花は常時風などで揺れているので被写体ブレには注意しましょう。


※TAMRON SP AF 180mm f/3.5 Di LD [IF] MACRO 1:1(ニコン用)にて撮影。SS1/340秒


※Reflex NIKKOR 500mm F8 にて撮影。SS1/400秒
(1/500秒以上が推奨ですが、息を止めて頑張ればなんとかなります!(笑))

ピント合わせが難しい

構えを安定させる

とにかくピント合わせが難しいマクロ撮影で私が気を付けているのは構えの安定感です。
特に草花の撮影では低い位置を撮ることが多いですよね。

その際に、とにかく出来るだけ地面への接地面を多くすること。
また、出来れば地面>足>膝>肘>手(カメラ)となるべく一直線状になるように構えます。
(次項の写真参照)

3つのピントコントロール

MFでピント位置を調整する際に私は3つのピントコントロールで被写体にピントを合わせています。

まず1つ目は「ピントリングを回してピント面を前後させる。」

2つ目は「自分の身体を前後に動かしてピント面を前後させる。」

3つ目は「持っているカメラだけを前後に動かしてピント面を前後させる。」です。

皆さん1つ目と2つ目は比較的やっていらっしゃると思いますが、ファインダーを覗いている目をカメラから少し離して行う3つ目はあまりやったことはないのではないでしょうか。

またこの3つの前後コントロールをしつつシャッターを押す際のコツもあります。
それは

「わざとピント面を動かし、ピントが合う瞬間と合わない瞬間を自分で作り、合った!!という瞬間にシャッターを押す。」

ことです。

この時、私の場合は一度に5~6枚撮影し、その都度背面液晶画面にて拡大してピントが合っているか否かを確認しています。

そして「この1枚は絶対にものにしたい。」という時ほどたくさん撮ります。

出発する時間が遅くなってしまいものすごい風の中で河津桜の撮影をした時などは一つのカットに100枚以上を費やしました。


※ほぼ同じようなカットを実に112枚撮影していました。
メモリーカードのありったけを使ってでも撮りたかった1枚が撮れればそれで良いんです!

撮影時の確認事項

確認すべき3点

私が自身の教室で生徒に口酸っぱく言っていることが「撮ったら必ず見る!」です。
この際に確認すべき点を私は3つに絞っています。

それが「ピント・ブレ・構図」です。

ではなぜこの3つなのかと言いますと・・・

ぶっちゃけ「レタッチで後からどうにかするのが非常に困難な項目」だからです(笑)

Photoshopなどの最新のレタッチソフトではブレに関してもずいぶん修正出来るようになってきましたが、基本この3点は後から修正するのが非常に難しいです。

だから。という事もありますが、それに絡めて実際に私が最重要視しているのは
「現場で気が付ければ、即再チャレンジが出来る!」ことです。

家に戻り、パソコンへとデータを移し、大きな画面で確認してみたら・・・

「あぁ、合ってると思っていたピントが合ってなかった(泣)」
「うわぁ・・・背面液晶の小さい画面では気付かなかったけどブレてるじゃん(泣)」
「くー、端にある花が見切れてた(泣)」

と・・・・・何度泣いたことか。

最後になりますが、是非とも皆さんには私の失敗を糧にしてハッピーなマクロ撮影をお楽しみ頂きたいです。
そして、どんどん一緒にマクロワールドにずぶずぶとハマっていきましょう(笑)

それでは、また!!

※TAMRON SP AF 180mm f/3.5 Di LD [IF] MACRO 1:1(ニコン用)にて撮影。

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最終更新日:2021年8月12日
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