高井哲朗 | MY PERSPECTIVE


高井哲朗 | MY PERSPECTIVE

プロフィール

高井哲朗(TETSURO TAKAI)

公益社団法人 日本広告写真家協会(APA)副会長 APAアワード 写真作品部門 審査員長 東京写真研究倶楽部所長

7つのキーワード

被写体 

広告写真を撮影しているから、どんなものでも撮影するよ。生物でないお店で売られている商品も色、形、光のバランスを組み合わせることによって、まるで神様が創った美しい造形物のように変容していくんだ。作った人、その過程、環境の物語などを読み込んで、愛を注いでいけば、いろんな表情を見せてくれる。すると、人に作られた商品も宇宙に存在するあらゆる生物に変容する。だから、そんな普通だけど普通でない、なんでもないものに魅力を感じるね。

機材

broncolor製品のライティング機材とHasselbladの組み合わせは最強。良いストロボは色温度が安定しているうえ、閃光時間を調整することができて、光をコントロールしやすい。broncolorはアクセサリー類が豊富なのも良い。とはいえ、どこでも使えるわけではないから、商品撮りの仕事はいつも自分のスタジオでするんだ。完璧なライティングは自分のスタジオでしか出来ないからね。

カメラに関して言えば、Hasselbladは最後のCCD(イメージセンサー)で一番情報量(解像度)が入れやすい。少しアナログに近い、やわらかな描写も気に入ってる。近頃の新製品はどれもデジタルって感じで描写がカリカリなんだよね。やわらかさは後から表現しづらいけど、硬さは現像で出せる。だから、最初の写真はやわらかいほうがいい。

あとこれは機材ではないんだけど、撮影のときに大切にしているのが集中できるスタジオとリラックスできるスペースだね。そのために僕のスタジオは半地下にあるんだけど、まるで秘密基地状態だから、外からは中がどんな風になってるか想像もできないし、逆に中にいると集中できる。

理由

写真を撮る理由は、昔から好奇心旺盛で、好奇心が僕の全ての出発点なんだ。

小学校2年生ぐらいのときに昔のおもちゃの日光写真を初めて見て「なんでこんな風になるんだ!?魔法だ!」ってすごく興奮した。光で何かできるっていうのが凄く面白くて、それからずっと光と遊んでる。今も当時の延長線で生きてきているから、新しいものを発見するのが楽しいんだよね。散歩してても気になったらiPhoneで撮ってるし。新しい発見が面白いから撮ってる。ただ、それだけさ。

理想

マン・レイって言う大好きな写真家がいて。こんなこと言ってるんだ。

「美しい写真って何だろう?美しい女って何だろう?わけわからんな。」
そうだよね、まったくわけわからん。たくさん写真撮って、たくさん写真見てもやればやるほどにね。

「抽象絵画って何だろう?具象絵画って何だろう?わけわからんな。」
本当だよ。アナログのときだってそうなんだから、デジタルになったらぐちゃぐちゃだ。

「僕は非抽象しかやらないのさ。今日断固と態度を決めたって、明日になればとどのつまりは自家撞着さ。」
そうだよね。マン・レイおじさんの言うとおり。考え込まなくていいんだ。自由と喜びを追求すれば、観念なんて吹っ飛んじゃうし、矛盾があっても大したことないさ。大好きなお遊びなんだから。

だから、僕は写真家になろうなんて考えてきたことはないんだ。ただ、好きな写真をずっと撮っていきたいってそれだけだった。マン・レイのように自由でいたいから、僕はときどきチャイルド・レイって言ってるよ。

発信

Twitter、Facebook、Instagram、note。それぞれ面白いからやってるんだけど、自分の撮影スタイルにはまったく影響ない。まぁだからSNSでバズることも炎上することもなく、つまらなかったりするんだけど(笑)

でも、テレビ、雑誌、写真集、写真展みたいにややこしくなくて、お金も使わなくていいし簡単に発信できることが素晴らしいと思う。自分自身のブランドをしっかり作って、それをうまくプレゼンテーションして、さらに不特定多数の人々が好む作品をちゃんとリサーチして、毎日途切れる事無く、ぶれないで発信し続けることができればいいんだろうけど。これがなかなかできないんだな。その日の気分で好きなものを撮影して、適当に文字くっつけて遊んでるのが楽しいから、僕にはそれだけのものなんだろうなって。でも、撮るってことはそれを見せたいということとイコールなんだろうな。

撮ったら実際に見てほしい。それがすぐにできるのがSNSだね。散歩してちょっと撮る。それをインスタに載っける。ちょっとまとめて、文字添えたらnoteに書く。いいね、コメントがあれば嬉しい。それだけなんだけど生きていることの生存確認なんだろうね。愛おしいものがあれば撮って報告する。

仕事

六本木スタジオにいるときにいろんなカメラマンがきて、広告、雑誌の仕事を手伝いながら見てきたんだけど、どれも楽しそうでどんな仕事でもしたいと思ってた。だから、いろんな撮影をしてきたんだけど(僕が好きだったのもあるが)、化粧品、時計、ジュエリーなんかの繊細な小物撮影が多くなってきた。

それはそれで楽しいんだけど、人間が絡んだものをやってみたい。人間のパーツなどが面白そうなのでそんなのも撮ってみたい。神様が創った造形物は心を持ってしまった。魂とその入れ物の関係なんかは凄く興味深い。ヌードとか顔のアップとか。

そういうのを広告、雑誌などで優秀なスタッフたちと組んで撮影したいね。

未来

写真は愛ってあちこちで言ってるんだけど、僕にとって写真は記録であり、記憶であり、愛する子供たちなんだ。愛おしいものに会えば、それを記憶したいし、届けたい。 僕にとって写真ってラブレターなんだよね。すべては愛あればこそ。その愛という魂の塊を撮りつづけたい。

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