今年の夏は、人生で一番「暑さ」を実感しているかもしれません。
外出自粛期間を経て仕事が再開し、ほぼ毎日のように撮影をしているのですが、やっぱりマスクをして撮影するのは大変です。とはいえ、自宅にいた期間が長かった分、外に出て暑さを感じられることは、幸せなことだと思います。
編集視点で考える写真家の制作環境
「撮影前〜撮影時」と「撮影後」
さて、その外出自粛期間中に考えたことは、「仕事環境を整える」ということでした。3月頃に進行していた企画は延期になり、そのうえ自粛期間中に新しく持ち込まれた企画が進行するので、2020年の後半は圧縮されたスケジュールになることが予想されました。
そこでこの機会に、新調しようと考えたモノ…。ここまで読むとカメラやレンズなど撮影機材を想像する方も多いかと思いますが、答えは「PC」です。
写真関連の機材は、カメラやレンズも必要なんですが、作業するPCこそが継続の鍵を握っています。撮影した後どうするかが撮影時と同じくらい大事なんですね。写真をざっくり「撮影前〜撮影時」と「撮影後」に分けるとするなら、じぶんにとってその重要度の割合は50:50になります。ようはどっちも同じくらい大事ということ。両者に必要なものを思いつくままにテーブルに並べてみるとすれば、以下のようになります。
撮影前〜撮影時
- カメラ
- レンズ
- その他必要に応じた機材
- 視点
- 粘り
- 経験
- 運
撮影後
- PC
- 写真セレクト
- 編集
- 内省
- 発信
- コミュニケーション
といった感じでしょうか。たくさんある写真についての情報の中で「撮影前〜撮影時」のそれに比べて、「撮影後」の重要性は、あまり語られてないような気もします。今回はこの撮影後にフォーカスしてみましょう。
撮影後のセレクトの快適さは写真活動の別れ道
じぶんの場合、ひとつの案件で撮る写真の枚数は、1,000枚が基準になります。例えば以前、丸一日間、車の撮影をしたのですが、撮影枚数は合計で約900枚になりました。これでも知り合いの写真家に話すと「少ない方だよ」と一蹴されました。まだまだ修行が足りないです。
仕事の撮影の場合は、撮影した日から数日内に、ある程度セレクトした未編集(撮ってだしの)写真をお送りする必要があります。例えば、上記の車の案件の場合、最終的に必要なカットが10枚なので、撮影した900枚のなかから、40〜50枚にセレクトして絞る作業をこちらで行うのです。
仕事ではない、例えばじぶんの作品のための撮影旅行の場合でも、やっぱり数百枚にはなってきます。これをお読みの方の中にも、まだセレクトに手をつけていない写真群があるのではないでしょうか?
PCのスペックが分岐点
写真のセレクトが快適かどうかは、その後の自身のモチベーションに関わってきます。
PCのスペックが低いことで、数百枚の写真の取り込みや、1枚1枚見ていく作業に時間がかかると、それはもう苦行でしかありません。逆にここでサクサク見られることは、撮影時の心の動きや感動に寄り添っていける感じがして、一転して楽しい作業に変わります。
ここは大きな分かれ道です。これはじぶんの経験からくる考えですが、セレクトを億劫に感じるようになったら、その後の写真活動に黄色信号が灯っていると認識していいと思います。PCのスペックが実は写真を継続していくために大きな役割を果たしているのです。
撮った写真は資産として積み上がる
PCで行う作業は、セレクトして写真編集して納品する、実はそれだけではありません。現在、進行中の企画で、東京のあるエリアのブックレットを作るというものがあります。過去にさかのぼって、撮りためてあったその地域の写真と、新作撮り下ろしの写真を合わせてブックレットにするのです。
このように、過去撮影した写真を活用する機会は多くあります。なので、Lightroomのコレクション機能を使って、写真をテーマごとに分類する作業を定期的に行うようにしています。オーダーがあった時にすぐに対応できるようにするためもありますし、じぶんの撮った写真を客観的に見るという意味合いもあります。
例えば下の、スクリーンショットは、自炊の記録写真を集めたコレクションです。恥ずかしながら自粛期間中に自炊を始めました…。
他でいうと、こんなコレクションがあります。
鉄道写真
雨の写真
シルエット
などなど。なので、ここでいう編集というのは「編んで集める」というニュアンスになります。写真の色味を補正したりする写真編集も含めて、過去に撮った写真を埋もれさせることなく、積み上げていくイメージです。
Instagramに写真を投稿する時は、あえて横写真を2枚並べて縦写真として投稿しています。例えば以前投稿したこの写真。撮影時期が全然違うスカイツリーと東京タワーも、同アングルというくくりで、一つの作品のようにみえますね。
常に新しい写真と過去の写真を同じテーブルに置いてみることで、じぶん自身の写真を内省したり、俯瞰してとらえる習慣がつきます。これはすなわち写真を長く続ければ続けるほど、過去の写真と今の写真の相乗効果のパターンが増えるということだと思っています。
撮った写真が資産として積み上がっていく感覚です。
写真を撮り始めて約10年。過去の約10万枚の写真の中からピックアップして作業するとなると、やはりPCのスペックは要求されます。
今回使用したマウスコンピューターのクリエイターPC「DAIV Z7」は、CPUがインテル® Core™ i9、メモリ64GB、2TB SSDと、申し分ないスペック。仕事で撮影した写真の取り込み、セレクト、編集作業。そしてこの記事のため過去にさかのぼって写真をセレクトする作業など、ストレスを感じることは皆無でした。
なお、お気づきかもしれませんが、今回の記事を書くにあたって、挿入写真は「青」が印象に残る写真を多くピックアップしました。時期も場所も全く違う写真でも、こうやって見ると、連続した作品のように見えますね。
現行のインテル® Core™ i7、メモリ32GBのPCからアップグレードしてみて、体感としては1.5倍くらいの快適さでサクサク作業できています。PCで快適に作業できるということは、思い切り撮影できるし、セレクトをため込んでしまうこともなくなります。
いま写真初心者の時のじぶんにアドバイスするなら、カメラやレンズを過剰に新調するよりも、PCのスペックにこだわりなさいと言いたい。
SNSのいいねが気になる人へ
近頃では、撮った写真をスマートフォンで編集してWebやSNSにアップして終わり、という方も少なくないかもしれません。個人的にはそれはもったいないと思っています。SNSのタイムラインに埋もれさせるだけではもったいない。
今回の記事で伝えたかったことは、じぶんの写真に向き合う機会を増やして欲しいということです。写真は一瞬を切り取るものであると同時に、過去から積み上がっていく連続した作品だと気づくことができます。それに気づくことができたら、SNSの投稿でいいねが多かった、少なかったで、一喜一憂することはなくなります。もちろん、発信したりコミュニケーションすることは大事だし、大いに推奨する立場です。じぶんもそれで人生が変わりましたから。
ただ、じぶんの写真の一番のファンはじぶん自身であって、本来それで十分なんです。その大前提を忘れないことが大事なのではないかと。
さいごに
さて、冒頭でもぼやいてしまいましたが、本当に人生で一番暑い夏です。冷夏を期待したのにどうしちゃったんでしょう。とはいえ、来年の夏も、間違いなく「人生で一番暑い夏」と語っていることでしょう。なぜならこの暑さを、来年にはきれいさっぱり忘れてしまうからです。それでも、PCで振り返って写真を見れば、思い出すことがあります。暑さや寒さはもちろん、苦労したこと、一緒にいた人、楽しかった思い出、目の前に広がる世界への感動などなど。
写真って良いものですよね。
すべてのクリエイターに送る究極のPC「DAIV」とは?
「PCと生活って切っても切り離せない」と保井崇志氏が語った裏側を特設サイトにてご紹介。写真のある生活を送るみなさま、ぜひご覧ください。